2008年05月02日

チェルシー対リバプール ~自由な采配はどっちだ~

 チェルシーのスタメンは、チェフ、アシェリーコール、テリー、カウバーリョ、エッシェン、マケレレ、バラック、ランパード、カルー、ジョーコール、ドログバ。バラック×ランパードの共存、ビックゲームでのマケレレ、切り札のエッシェンSBを最初から使ってきたグラント。注目は誰だ。カルー。

 リバプールのスタメンは、レイナ、リーセ、キャラガー、シュクルテル、アルベロア、マスチェラーノ、シャビアロンソ、ベナユン、カイト、ジェラード、トーレス。ベニテスをもってしても、行き着くシステムはこのジェラードシステム。ジェラードにすべてを託すなんてベニテスらしくないぞ。

 ■マケレレとジェラードの差

 グラント監督になってからチェルシーはゆっくりと変化してきている。SBは攻撃参加するようになったし、モウリーニョ時代ののようなカウンターよりは、横への意識が強いポゼッションをするようになったし、少人数でダイレクトプレーでゴールに迫るよりも、多くの選手を経由して攻撃を組み立てるようになった。

 ユナイテッド戦で、前半限定でも試合を支配したように、この試合でもボール支配はチェルシーに軍配が上がる。18分にはランパード→ドログバで抜け出した。それはまるでバルサのような攻撃であった。やっと出てきたかテンカーテ。決定機の数も明らかにチェルシーのほうが多く、どうしたリバプールというよりも、どうしたチェルシー。

 リバプールのシステムは4-2-3-1ではなく、4-4-1-1。守備の場面では、トーレスが、最前線、ジェラードはその後ろ、マスチェラーノらの並びにカイトらがいるので、4-4-1-1と表現。話はそれて、チェルシーのWGもリバプールのSHも最終ラインまで戻って守備をしていた。このポジションで守備をしない時代はもう完全に終わりを告げたようで。

 で、リバプールは攻撃的な守備の最高峰と勝手に認定しているのだがけど、それも終わりを告げたようで。最近のリバプールはいつ見ても攻撃的な守備を行わない。いつでも、どこでもボールホルダーには気迫のこもったプレッシャーを与えて相手の攻撃を完全に破壊する守備はどこへ消えた。

 話はさかのぼって、CL決勝のミラン戦。昨年のお話。あの試合も4-4-1-1気味でリバプールは試合を進めた、、、はず。確か、ワントップには働き者のカイト君。後ろにはリバプールの王様ジェラード。カイト君は新人のトーレス君よりも守備で奔走していたが、王様が途中でサボってゲームオーバーであった。

 で、新人のトーレスは別に守備をしない選手ではない。アトレチコでもするときはしっかりしていた。恐らく、監督に頼まれれば、ちゃんと守備をする好青年に違いない。しかし、SBがオーバーラップ→毎回無視される→上がらなくなる現象と同じように、前線で相手にプレッシャーをかける→後ろがついてこない→ガチな意味で無駄な走りとなる→プレッシャーをやめる現象がトーレスを襲ったかはわからない。

 くだらない前ふりの結論は、つまり、ジェラードが守備を明らかにしなくなっているといいいたいわけである。昔のリバプールは、カイト×ベラミーが前から攻撃的な守備を行う→彼らを無駄にさせるわけにはいかないので、中盤もラインを上げて連動した守備を見せる→DFラインも連動してラインを上げる→コンパクトサッカーの完成。

 今は、トーレスもジェラードもたまにしか守備をしない→計算できない守備で前線がチャレンジとして機能しないので、中盤が最初にボールに対して寄せる人になる→当然、相手のDFライン深くまでマスチェラーノたちが深追いできない→必然的にDFラインとブロックを形成しなくてはいけない→結果としてDFラインが下がる。以前よりは、各所にスペースができる。ランパードやバラックがいやらしいポジションでボールを受ける場面が目立った理由ははこんなところだろう。

 そんなこんなでリバプールは最大の長所でもある攻撃的な守備が消えてしまいそうな予感である。チェルシー戦ではボールホルダーに対して、プレッシャーがかからない場面がかなり多かった。逆にチェルシーはほとんどの場面でボールホルダーにプレッシャを与えていた。

 チェルシーのシステムは4-1-4-1。カルーとジョーコールの守備意識が格段に増したことで、分厚い守備ブロックを形成することが可能となったチェルシー。ドログバを最善に残して、中盤の選手は積極的にボールホルダーにプレスをかける。その思いっきりのよさの正体はマケレレの存在感。DFとMFの間にマケレレがいることで、自分のプレスが無駄にならない可能性が高いチェルシー。だって、プレスが失敗しても、マケレレがカバーしてくれれば致命傷にはならない。しかも、選手間の距離が近いので、相手を囲い込むこともできる。

 4-1-4で守るチェルシーと4-4で守るリバプールでは攻撃の時間帯が変ってくるのも必然。チェルシーがシュート数で圧倒したのはこんなところだったりして。リバプールはクラウチがいないので、ロングボールは封印。そのおかげで支配率は上がったかもしれないが、攻撃から可能性はまったく感じなかった。チェルシーのSBとリバプールのSBを比べれば、一目瞭然ではあるんだけれど。

 得点は33分。オフサイド気味に抜け出したカルーの突破から、ドログバがこぼれだまを押し込んでチェルシーが先制。恐ろしいスピードのシュートであった。なんだかんだチェルシーはドログバが試合を決めることが多いけれど、ドログバに放り込むだけのチームではなくなってきているのが厄介。前半は1-0で終了。ちなみに、リバプールはシュクルテルが負傷し、ヒーピアが代わりに出場している。

 ■きっかけは

 フラテリスの曲が終わると後半が始まりそうな気配。雨が強さを増しているぞと。大雨でも技術的なミスがまったく生まれないのが凄い。

 後半の序盤はチェルシーも人数をかけて攻めていたが、徐々に守備意識を高めていく。具体的に言うと、SBは攻撃参加しなくなっていったし、マケレレの位置も下がっていった。ボールはリバプールへ。

 ボールを持たされたリバプール。しかし、チェルシーの守備の前に結局はクラウチのいない前線へロングボールを蹴るお粗末な攻撃。その攻撃にきっかけを与えたのは右サイドのアルベロア×カイト。

 攻撃面で期待をもてないアルベロアだが、おとりになることはできる。アルベロアは積極的に高い位置で対面のアシェリーコールをひきつけてカイトをフリーにしていた。自由になったカイトは持ち前の頭の良さを発揮して、何度も中盤からボールを引き出す動きでチームに流れを引き寄せる。

 時々、ジェラードとかぶっていたが、この動きにジェラードもヒントを得たようだった。ジェラードは中盤に降りてゲームメイクをこなすようになり、ゆっくりとリバプールの前線が流動的に動き始める。楔のボールをもらう動きを前線の選手が意識するようになり、楔のボールを通す意識がDFラインに広がった瞬間。

 また、カイトが頻繁にボールに絡み始める。すると、カイトはボールを失うこともある。真面目なカイトはすぐにボールを取り戻しに行く。その動きに周りも反応。トーレスも守備に走る場面が増えてきた良い予感。エトーが走り出す→守備の合図。声に近いものがあった。そして同点ゴールが生まれる。

 65分。前線の流動性とアルベロアの高い位置取り、ジェラードのフリーランニング、ベナユンのドリブル&スルーパス、トーレスの見たことのない決定力でリバプールが先制。きっかけはカイトだが、おいしいところを持っていったのはベナユンであった。

 ちなみに、ドログバはそこまで守備に熱心でないので、キャラガーたちは自由にボールを展開することができた。ただし、キック精度はレイナのほうが高い。それでも、この状況ではクラウチの登場が待たれる。

 70分にカルー→マルダ。マルダは応援している選手であるが、この場面で出てくる選手ではない。決してない。このあたりがグラント采配の面白いところである。攻撃的にいけのメッセージだろうが、マルダかよ。マルダはボールに絡みまくるものの、どうしても得点の気配が漂ってこない。ただし、エッシェンらが攻撃参加するなど、ピッチにはメッセージが無事に伝わった模様。

 77分にベナユン→ペナント。クラウチはなしか。で、ユナイテッド戦もそうだったけれど、チェルシーは前半に先制、後半に攻撃を自重→追いつかれる→攻撃に出るものの前半の流れは取り返せない病にかかりそうな予感。慣れてくれば、そういった芸当もできるようになると思うが、守備の勢いが戻りつつあるリバプール相手では苦しい。

 両チームともクロスを上げるものの、決定機はほとんど作れないまま後半が終了。試合は延長戦へ。ジョーコール→アネルカ。終盤に来て、ジョーコールはコンディションが下がっている模様。今季のMVPといってもいいだけのできだっただけに、ちょっと切ないここ最近。

 ■延長戦

 リバプールペースは変わらないものの、いまいち最後のフィニッシュまで届かないリバプール。トーレスが仕掛ける場面があれば面白いのだけど、仕掛ける場面がまったかくない。ペナントも抜きに行く場面がなく、SBは相変わらずだった。

 そうはいっても、チェルシーも同じで、前半の流れは取り返せない。しかし、ドログバの一発のプレーで流れが代わる。中盤からのボールを受けたドログバは、ヒーピアとキャラガーを外してフィニッシュまでもって行く。リバプールにはこういう選手がいないし、こういう場面をつくろうともしない。

 そのCKからこぼれだまをエッシェンミドルはゴール取り消し。レイナの前にあれだけ選手がいれば、オフサイド取られても仕方ない。取られないこともあるけど。しかし、この直後にバラックがヒーピアのトラップミスを見逃さずに早いチェックでボールを奪いいく。そしてPKを奪う。これをランパードが決めて、チェルシーが2-1で勝ち越し。

 リバプールはトーレスに代えてバベル。カイトをトップにして、ポストプレー狙いか。しかし、カイトまでボールが届かないんだな。大人しくクラウチが見たかった。ここで、アネルカとマルダが輝きを放つ。右サイドでコンビプレーを披露。アネルカが抜け出してクロス→ドログバが決めて3-1。チェルシーが一気に優勢に立つ。延長前半終了。

 チェルシーは無理をせずに時間を潰しにかかる。リバプールは破れかぶれの時間が続いた。しかし、残り5分でバベルの超ミドルが炸裂。恐ろしく変化したのだろう。ここで、チェルシーは守備がためにシェフチェンコを投入。縁起をかついだか。試合はこのまま終了。なんとチェルシーは、はじめてのCL決勝らしいぞ。チェルシーおめでとう。

 ■独り言

 SBの差と、個人で試合を決める選手の差と、システムの差がもろにでたかなと。CLで優勝したら、ドログバとかどうするんだ。置き土産か、それとも残るのか。リバプールは金銭的に補強が難しそうだし、ベニテスの未来はどうなる。

posted by josepgualdiola |22:10 | チャンピオンズリーグ/07~08 | コメント(2) | トラックバック(1)
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チェルシー 延長戦の末にリバプールを下し決勝進出 【アマデウスの錯乱?】

チェルシー 延長戦の末にリバプールを下し決勝進出

2008-05-03 08:56 | 続きを読む
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チェルシー対リバプール ~自由な采配はどっちだ~

毎年毎年優勝争いせずに、CL出場権だけ取得して(5位だったときはダダをこねてまで)、CLだけは勝ち上がる嫌なチームが負けたのは喜ばしいことだ。

チェルシーなんて好きでもなんでもないが、この試合だけは応援した。

それにしても、ENG勢同士の決勝なんて非常につまらない。所詮金か。

posted by わ | 2008-05-03 02:58

チェルシー対リバプール ~自由な采配はどっちだ~

ドロクバの2ゴールは何度見ても凄過ぎる!
あの速さ走り込みあの狭いスペースをGKレイナが反応できないシュートを打つのは人間技じゃないですね。
エッセンの神がかり的な運動量もとてつもないですね。
攻撃にも守備にも。120分スタミナが全く衰えないのがまた凄い。
やはり肝心な試合でこの主力2人が大活躍したという事に尽きると思います。
この2人をスペインで見たいですが、マドリーには入ってほしくない。
エトーがあまりにも情けなかっただけに、アフリカ選手の明暗が分かれましたね。




posted by ゴレアーダ | 2008-05-03 20:36

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