2008年04月26日

チェルシー対マンチェスターユナイテッド ~バラックとシェフチェンコ~

 チェルシーのスタメンは、チェフ、アシェリーコール、テリー、カウバーリョ、フェレイラ、ミケル、バラック、エッシェン、ジョーコール、ドログバ、カルー。なんとホームでは80戦無敗。未だに継続中であった。

 ユナイテッドのスタメンは、ファンデルサール、ブラウン、リオ、ビディッチ、シルベストル、アンデルソン、キャリック、フレッチャー、ナニ、ギグス、ルーニー。なめられたかチェルシー。CL優先ってことなのだろうか。勝利したらほぼ優勝決定。

 ■ボール支配

 ユナイテッドのシステムは4-4-1-1が一番近いかなと。アンデルソンとルーニーを前線に後の選手は守備守備であった。普段はSHがもっと高い位置で攻撃に備えているのに、かなり低い位置でスタートしている。どうやら守備の意識がいつもよりも高いようで。だから、ロナウドを控えにしたのかもしれない。戦術的な理由。普段のユナイテッドは、4-2-4と表現しても良いくらいである。それだけ、普段はSHの位置が高い。

 さらに、SHは自分のポジションを限定せずに動き回る。よって、前線が流動的にポジションを代えるので、いやらしい攻撃が加速する。サイドに人がいなくなっては困るので、サイドはSBが上がってきてポジションを埋める。この補完行動によって、ピッチを広く使った攻撃が可能となる。つまり、攻撃時は2-4-4だったりする。昔横浜で聞いたことあるような。なぜピッチを広く使う必要があるかというと、相手の守備を分散させるためである。

 しかし、この試合ではSBがまったく攻撃参加しない。するチャンスもあまりなかったけれど、普段よりも攻撃はしないんだよという姿勢がありありと見て取れた。ユナイテッドのプランは、前半は0-0で凌ぐ。後半にテベスとロナウドを投入して勝負を仕掛ける。こんな感じだろう。問題は守りきれるかどうかである。

 ユナイテッドの守備を見てみると、かなり引き気味であった。前線からのプレスは皆無。プレスの開始位置も、ハーフライン付近よりも自陣より。その結果、テリーとカウバーリョはフリーでボールを捌けたし、中盤の3人衆も簡単に前を向くことができた。つまり、ポゼッションし放題である。ちなみに、チェルシーのプレス開始位置はハーフライン付近。

 しかし、チェルシーはポゼッション攻撃があまりうまくない。相手のギャップでいかににボールを受けるか。相手のゾーンの隙間で相手を混乱させることができるか。ポジションを入れ替えて、相手をあっといわせられるか。チェルシーはそういった工夫が少ない。よって、ボールを支配している割に効果的にチャンスを作れないまま時間が過ぎていく。時にドログバへの放り込みを織り交ぜながら。チャンスといえば、クリアボールがジョーコールの元に流れたり、最初のブラウンのミスだったり。

 チェルシーで、そんな相手の嫌な動きをできる選手は誰だ。できそうなのはピサロだが干されまくっている。ジョーコールもポジションを限定しないで動きそうだが、ドログバが中央に陣取っていると、右サイドからあまり出てこない。この試合でも、25分までは中央に出てこなかった。もっと早く出て来い。

 そんな中で面白い動きをしていたのがカルー。チェルシー時代のロッベンと比べると、物足りなさがたくさんだが、利点もある。最終ラインまで戻って守備をするようになったし、相手の嫌がる地点でボールをもらうことが実はできる。

 チェルシーの中盤にプレスがかからない。アシェリーコールが高い位置を取る→右SBに入ったハーグリーブスがサイドを気にするようになる→ハーグリーブスとリオの間にほんの少しのスペースができる。そこでカルーが躍動。チェルシーの攻撃が左サイド経由が多かったのはカルーのそんな動きが原因だろう。アシェリーコールの隠れた動きもすばらしい。

 しかし、カルーだけでは不十分。バラックはクロスに飛び込む型だし、エッシェンはよくわからない。相手のギャップでボールを受ける動きも少なければ、そこにボールを送り込む動きが少ない。25分以降にジョーコールが中央に進出。多少は攻撃がよくなったが、ごちゃごちゃしながらチャンスを作る形であった、それでも得点の気配はほんの少しあった。

 逆にユナイテッドは得点の気配がほとんどなかった。攻撃のチャンスはほとんどなし。ルーニーが左サイドに流れて終わりみたいな。ナニもいつもよりも守備に追われていて位置が低く、しかもドリブルで抜けない悪循環。ギグスが左サイドではもう辛い現状もあって、ユナイテッドはどうするんだと。

 試合が動いたのは、前半の終了間際。ドログバの鬼キープにユナイテッドの選手がつられにつられてしまう。何人ボールに寄せに行くんだと。ドフリーのバラックが得意のゴール前に走りこむ動き。そこにドログバからのクロスがピンポイントで飛んできて、チェルシーが先制。前半はこれで終わり。バルサはこのユナイテッドから点を取れなかったなら失望。

 ■謎なチェルシー

 後半が始まると、そこには前半とは異なる光景が登場。チェルシーは守備意識を高めて試合を再開。1-0でリードしているから守りを固めて速攻に切り替え。今日のユナイテッドなら怖くないしなんて考えたなら、かなり理解に苦しむ行動である。

 恐らくボール支配率も60%を超えたチェルシー。だったらボールを支配して時間を潰せばいいわけで、DFラインを下げる必要性がまるでない。しかも、後半は無理に縦に展開する必要もないので、ボール支配を目標とすれば、それを達成するのは決して困難ではないはずなんだけれども。

 DFラインを下げて守りを固めるチェルシー。交代はないものの、攻撃意欲を高めてきたユナイテッド。ユナイテッドには好都合のカウンターのやりあいの始まり始まり。突如無秩序状態になった試合に混乱したのはチェルシー。前半は守る時間が少なかったわけで。マイボールになってから、ばたつく場面がちらほら。自らリスクを背負うとはなんなんだチェルシー。

 そして決定的なミスが55分に生まれる。カウバーリョのバックパスをルーニーが掻っ攫ってゴール。珍しいカウバーリョのミスであった。守りに入った罰ってことになるかもしれない。ここからチェルシーが再び攻撃に出る。しかし、前半のようなボール支配はできなかった。全選手の縦への意識が強すぎて、めちゃくちゃであった。迫力はあったものの、ジョーコールやカルーが効果的であったかというと非常に微妙。さらに、びびったDFラインがラインをまったく上げなかったので、バラックとドログバが怒っていた。

 62分にルーニー→ロナウドと投入。64分にアンデルソン→ミラクルオシェイ。交代枠を使い切った。ちなみに、2人とも怪我である。7分にドログバのひざが顔に入ったビディッチも含めて全員怪我で交代とはついていないユナイテッド。そのせいもあって、テベスを入れられなかった。本当はオシェイではなくて、テベスを入れたかったのではないかと。

 65分にフェレイラ→アネルカ。エッシェンがSBに移動。ベレッチ投入のほうが面白そうだけど。4-4-2にしたら、余計にDFラインが下がってしまいそうな予感である。3ラインが2ラインになれば当然そうなるかと。しかし、そうはならなかった。62分まではDFとMFの間にスペースができて、ユナイテッドにチャンスが生まれる。特にギグスのミドルは思いっきりフリーであった。4-4-2にしたことで、開き直れたDFラインは凄い。

 DFラインの低さ問題が解決されつつあるチェルシーが流れを引き寄せていく。しかし、4-4-2が機能しているところを見たことがないチェルシー。結局ドログバかよというチャンスの作り方であった。しかし、攻撃の足を引っ張っていたフェレイラのかわりのエッシェンが攻撃にアクセントを与えていた。

 80分にカルー→シェフチェンコ。なんとシェフチェンコが登場。誰もがびっくりである。前線の飽和を解決するためにでなく、さらに人数を増やすヒディンク作戦だろうか。

 86分に攻め続けたチェルシーが報われる。ドログバが潰れてエッシェンが右サイドを抜け出してクロスを上げる。そのクロスがキャリックの手に当たってPK。それをバラックが落ち着いて決めて、なんとチェルシーが逆転。すかさずジョーコール→マケレレで守備固めのチェルシー。

 ユナイテッドは猛攻を仕掛けるものの、ゴールライン上で2度もクリアーされてしまう不運もあって、試合はそのまま終了。最初からユナイテッドが攻め気満々で来たらどうなったのか非常に興味深い試合でしたと。

 ■独り言

 守りに入ったユナイテッドが負けたのは、今季初なのかな??詳しくはわからないけれど、これでファーガソンが揺らいだら、バルサに勝機があるかもしれない。揺らがないとは思うけれど。ただ、このタイミングでこの戦い方で敗れたのは結構痛いと思う。精神的な面で。最後の猛攻が示したように、ユナイテッドは攻撃してナンボなわけで。

 ちなみに、自分がユナイテッドの守備のつたなさをたびたび指摘しているけれど、実際に失点が少ないじゃないか。まさにその通りである。ただ、それはバルサやレアルの失点数が少ないこととあまり変らないではないかと。攻守を分断して評価するのはあまり好きではないけど、ユナイテッドの攻撃力は相手の攻撃力をそぐほどの力を持っているのは事実なんだろうと。

 ここからのチェルシーの試合は面白そうである。FK争いでドログバがバラックに怒っていたのは心配だが。なんてたって、点を決めたのがバラック、ゴールライン上での守備でチームを救ったのがシェフチェンコだった事実が、非常に面白い。

posted by josepgualdiola |20:38 | プレミアリーグ/07~08 | コメント(5) | トラックバック(3)
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チェルシー対マンチェスターユナイテッド ~バラックとシェフチェンコ~

バラックのPKが決まった瞬間叫びました。
それにしても途中から見るのが怖くてもう ひやひや
ユナイテッドの底力は凄いですね
テベスが出てこなくて本当に良かった
そして まさかのシェバが あんな形でチームを救うとは!
今日のチェルシーは久々に観てて楽しい試合してくれました

posted by chelseaLove | 2008-04-26 23:12

チェルシー対マンチェスターユナイテッド ~バラックとシェフチェンコ~

ユナイテッドは攻めてなんぼですよね。ほんとに。最近の鬱憤をトラフォードで晴らせますかね。
しかし、チェルシーは水曜のアンフィールドの試合は何だったんだろうか、ってくらい見違えましたね。


今日はテベスを出せる状況じゃなくなった運の悪さもあったけど、チェルシーの「勝ち」ですね。

posted by むっち | 2008-04-26 23:22

チェルシー対マンチェスターユナイテッド ~バラックとシェフチェンコ~

もつれましたねー。
ファーガソンは完全にダブルを取りに行ってますね。今日の采配が裏目になって両方取り逃すなんてことにならないのを祈ります!

posted by イニエスタ | 2008-04-27 02:56

チェルシー対マンチェスターユナイテッド ~バラックとシェフチェンコ~

この試合は久しぶりにLIVE放送でFULLMATCHで観戦しましたが、手に汗握る試合でした。
仰るとおりチェルシーの攻撃は確かに闇雲で無茶苦茶でしたが、得点の可能性は感じましたので、2得点は予想通りでした。Aコールは素晴らしかったですね。
試合終了間際のゴールライン前の2度のクリアなどは勝利への執念を感じました。内容は素晴らしくはなかったが
バルサもチェルシーと同じレベルの強いメンタルがあればマンUと引き分けることは可能だと思いますが。
今シーズンのバルサではたぶん引き分けも無理でしょう。


posted by サントス | 2008-04-28 15:26

チェルシー対マンチェスターユナイテッド ~バラックとシェフチェンコ~

コメントありがとうございます。

まさかのCLで再戦ですね。最近の流れからすると、チェルシーはビックチャンスです。

>>chelseaLoveさん
おめでとうございます。シェフチェンコは最後の最後でビックナ仕事をやってのけました。なんだか嬉しくなりました。

>>むっちさん
ユナイテッド対バルサは明日見ます。鬱憤を晴らすような試合内容だったかが一番気になります。

>>イニエスタさん
ウェストハム戦が楽しみですね。

>>サントスさん
バルサの未来はどこへいくのかですね。

posted by josepgualdiola | 2008-05-01 22:16

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