2007年12月21日

リバプール対ユナイテッドの雑感 ~ユナイテッドの進化~

 結果はもうご存知のように1-0でユナイテッドが勝利した。前半終了間際のCKからテベスが先制点を決める。このCKも単純にクロスボールを上げるのではなく、ギグス→エリアの外にいたルーニーのミドル→テベスというトリックプレーであった。トリックプレーというのは大げさかもしれないけれど。

 昨年の対戦でもユナイテッドが1-0で勝利している。そのときの得点者はミラクルオシェイ。この昨年の試合内容を要約すると、リバプールの守備の前に、ユナイテッドの攻撃は沈黙。攻撃が機能しない状態でも、前線の4人は守備に参加しなかった。そのため、リバプールに攻め込まれまくるが、何とか耐えるユナイテッド。しかも、スコールズがネコパンチで退場するなど最悪の展開。しかし、ロナウドのFKのこぼれだまをミラクルオシェイが決めてなんとユナイテッドが勝ってしまう。こんな試合だった。

 話は今年の試合内容に移る。昨年と同じように、やっぱりユナイテッドの攻撃はリバプールの守備の前に沈黙した。特にロナウドは何もできず。何もさせてもらえず。テベス、ルーニー、ギグス、ロナウドをそろえても、リバプールの組織的守備を破壊するのは困難ということである。それだけ、リバプールの守備がすばらしいということでもある。今年初めて観たリバプールだったが、守備の連動性は相変わらず世界最高峰だった。

 このままでは昨年と同じ展開になってしまう。都合よく、ミラクルオシェイがミラクルを起こすわけもない。そして、ミラクルに期待するほど、ファーガソンは馬鹿じゃない。ファーガソンは昨年の反省を踏まえて、しっかりしたリバプール対策を打ってきた。その目的はリバプールの攻撃の流れを阻害すること。

 対策の中身に触れる前に、リバプールの攻撃の形をおさらい。今季初リバプールなので、今から書くのは古い形かもしない。ご勘弁を。

 リバプールの最大の特徴は前線からの激しい守備で相手の攻撃を混乱に陥れること。つまり、前線でボールを奪ってショートカウンター。しかし、リバプール相手に引きこもるチームは当然いる。

 そんなわけで、リバプールは意外とボールを繋ぐ意識が高い。例えば、レイナを観ていれば分かる。レイナはボールを繋ぐことを最優先としている。仮にクラウチが前線にいてもである。ビルドアップの仕方は特徴的。CBにボールが入ると、両SBは前線に飛び出していく。つまり、CB二枚でボールをまわす羽目になる。相手のFWがプレスに来たら、中盤とパス交換、またはレイナを交えてプレスを交わすことが多い。CBから中盤にボールを入れるか、前線に人数を増やしたことで、一気にサイドにロングボールを入れるのが特徴。

 シャビアロンソ、ジェラードはロングボールが得意である。よって、彼らがDFラインまで降りてきて、CBの代わりにビルドアップを担うことは多い。ただし、この試合でのジェラードはあまりおりてこなかった。また、片方のサイドに相手を引き寄せて一気にサイドチェンジでサイド攻撃なんてのもある。この形はリーセが中に切れ込んで、右足のシュートの場面。今季はトーレスが加わったので、相手DFラインの裏に放り込み続けるのもありである。ロングカウンターもいけそうな感じ。

 話をユナイテッドの行ったリバプール対策に戻す。普段はあまり低いポジショニングを取らない両SH。リバプールの両SBは積極的に攻めあがってくることへの対策。次にルーニーを相手のCBの間にポジションを取ることで、リバプールはDFラインからボールをサイドに散らすことができなくなる。最後にテベスはマスチェラーノのマークについて、CBから中盤にボールを入れさせないようにしていた。

 このリバプール対策によって、リバプールの攻撃の選択肢は極端に減った。ほとんどがロングボールになってしまい。狙った形は数えるほどしか作ることはできず。ユナイテッドはロングボール対策として、さっさとDFラインを下げて空中戦を申し込む。トーレスに裏を取られるのは怖いが、空中戦ならなんのその。リオとビディッチは無敵の強さを証明していた。

 ちなみに、リバプールの前線からの守備によって、ユナイテッドもロングボールがいつもよりも多くなってしまった。こちらも、キャラガー×ヒーピア対テベス×ルーニーなので、もちろん競り勝てることができずに終了。ただし、ルーニーは競り合いで何度かキャラガーを吹っ飛ばしファウルを取られていた。

 それでも、今年のユナイテッドは昨年と一味違う、攻撃が上手く機能しない状況で、アンデルソンやエブラがこの状況を何とかしようというプレーが何度か観られた。そして、それはユナイテッドの攻撃に厚みを加え、そのときの迫力はいつものそれと比べて違った。特にアンデルソンの中央突破はチームに勇気を与えていたと思う。

 後半になると、ユナイテッドは引きこもりを選択。後半開始直後は前に出ていたが、5分もたつと、全員が守備ブロックを形成していた。リバプールがバベルを左サイドに投入すると、ユナイテッドはルーニーをバベル対策としてサイドに変更。ロナウドを前線に残してカウンターを狙う。

 ちなみに、ロナウドはルーニーほど守備をするわけでないので、ここから一気にリバプールが攻勢に出ることができるようになる。つまり、DFラインからボールが繋がるようになる。この変化が一番面白かった。しかし、ユナイテッドのゴールは遠く、ファーガソンの狙い通りに試合は1-0で終了。シュート数、ボール支配率ではリバプール優勢だったが、ユナイテッドの試合となってしまった。

 ■独り言

 守備をやればできるテベス×ルーニーと、守備が苦手な両SHのできるだけことを考えた見事な対策だった。もちろん、リオとビディッチありきの対策である。ハーグリーブス、アンデルソンは共に攻守に大貢献。2人とも新戦力なのだから恐ろしい。残念ながらブラウンがちょっと足を引っ張っていた。ネビル兄が帰ってくれば問題ないだろうけれど、補強してもいいかもね。今回のように、相手の長所を消すサッカーができれば、優勝間違いなしである。

 リバプールにとっては苦しい試合となった。ファンデルサールの凡ミスを得点に結びつけられなかったのが痛い。それもこれも実力。ジェラードが妙に攻撃的なポジションをとっていたのは今年の仕様か気まぐれか。どちらにせよ、中途半端なできとなったのは切ないところ。アンデルソンやエブラのように、俺が状況を変えてやるんだっていう選手がいなかったのが敗因かも。マスチェラーノは相変わらず神だったけれどね。

 スローインのときに、リーセがユニフォームでボールを拭くしぐさがアルベロアに移っていた。あのしぐさはなんか好きだ。

posted by josepgualdiola |21:02 | プレミアリーグ/07~08 | コメント(6) | トラックバック(0)
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リバプール対ユナイテッドの雑感 ~ユナイテッドの進化~

この試合見逃してしまいました…痛恨の極み。。

マスチェラーノは神でしたか!そしてリオとビディッチは無敵でしたか!ホントに見たかった~。
ユナイテッドの相手が長所を消すことができるっていうのは去年より成長している点ですね!チャンピオンズリーグどこまでいけると思います??

posted by イニエスタ | 2007-12-21 22:16

リバプール対ユナイテッドの雑感 ~ユナイテッドの進化~

しかしファンデルサールが二度も味方とぶつかったのはちょっと笑いました。データ的にはリバポが押してましたが後半も必ずしもユナイテッドが押されてた感はありませんでしたね。ハーグリーブスはいいとしてもアンデルソンもけっこう守備で利いてるのが意外でした。
それとエブラはいい選手ですね。攻守に頑張りを感じるのが魅力です。全体の能力も高いですけど。

BS1がやり始めたんで、時々プレミアを見るようになったんですが(プレミアなんて、と食わず嫌いしていたマドリディスタ)、結構面白いですね。スタジアムの雰囲気はリーガも見習うところがある気がします。ただせわしない感じがやはり残りますけど・・・。あと英語でサッカー中継というのが意外と新鮮だったり。

posted by コルッカ | 2007-12-21 22:39

リバプール対ユナイテッドの雑感 ~ユナイテッドの進化~

マスケラーノは神ですよね。
私の中ではあのポジションにおいては世界最高ですね。
バルサが彼を獲れば、もの凄く強くなりそうです。
選手層も厚くなりますし。

ユナイテッドはアンデルソンですね。
彼の加入は大きいと思います。

posted by アルメニア | 2007-12-21 22:40

リバプール対ユナイテッドの雑感 ~ユナイテッドの進化~

リバプールはおそらくインテルにも苦戦しそうですね。

posted by サントス | 2007-12-22 08:38

リバプール対ユナイテッドの雑感 ~ユナイテッドの進化~

管理人さんがこの試合を書いてくださるのを待ってました。

私は生で見ていたのですが(しかもユナイテッド側・・・)
ロナウドはアップからかなり不調でした。
ジェラードとロナウドがともに消えていたので
チームとしての戦いになって面白い試合でしたね。
アンデルソンとエブラがいなかったらリバプールが勝っていたと思います。
途中のリーセ→Fアウレリオの交代は単なるロングボール要員だったのでしょうか??

posted by nanashi | 2007-12-22 17:58

リバプール対ユナイテッドの雑感 ~ユナイテッドの進化~

コメントありがとうございます。

>>イニエスタさん
今日みたいな戦い方ができれば、優勝できるかと。

>>コルッカさん
4強はプレミアっぽくないので、プレミア嫌いにもお勧めです。

>>アルメニアさん
アンデルソンはやばいですね。本当にやばいです。今シーズン最大の発見。

>>サントスさん
インテルはリバプール相手に引くんでしょうか。

>>nanashiさん
アウレリオはFKですかね。おっしゃるとおり、ロングボール要因かもしれませんが、断言はできません。

posted by josepgualdiola | 2007-12-25 12:20

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