2007年12月19日

ヘタフェ対ビジャレアル ~ポゼッション対決~

 何気に好カードです。今季からポゼッションを目指し始めているヘタフェと、昨季終盤からポゼッションを機能させているビジャレアル。ポゼッション対ポゼッション対決。どっちがポゼッションするのか、非常に興味深い。

 ■ヘタフェの事情

 昨年までのヘタフェは人もボールも動くサッカーで、ショートカウンターを武器としていた。ボールを奪って、相手の守備が整う前に組織で攻め込む形。それがヘタフェの攻撃。守備は徹底的なプレッシングを行う。人に対する意識も強く、バルサ、レアルでもその守備を破壊することは難しかった。

 そして、相手に合わせて変わるシステムは驚異的であった。ストライカーがいないんだから、攻撃に人数かけなきゃ点が入らない。だから、みんなで攻めるんだ。いたって論理的なサッカーである。ヘタフェのサッカーはかなり正しかった。

 しかし、そんな正しいサッカーも同じくらいの格の相手には通じず。バルサやレアルがヘタフェ相手に引きこもることは絶対ない。引きこもらなければならないことはあっても。強豪は問題ない。問題はヘタフェ相手に引きこもる相手。昨年のヘタフェの順位が低い理由は多分ここ。攻めてくる相手は得意だったが、引きこもる相手は苦手。どうしても点が取れない。だかたウチェを獲得。放出したグイサがマジョルカでブレイクしたのはやるせない。

 よって、同じ格のチームを相手にしても、まともに戦えるように、、今年のヘタフェはポゼッションも目指している。先制したら昨年の形に戻せばいいし、ボールが持てるならそれで時間を潰せば良い。単純にラウドルップの好みや新戦力の台頭が原因かもしれないけれど。

 ■ボール支配率

 ボール支配率は高ければ良い、というものではない。場合によって持たされて終了なんてこともある。しかし、ポゼッションを目指しているチームにとっては、高ければ高いほうがいいことも事実だ。

 ヘタフェ対ビジャレアル。支配率が高かったのはどっちでしょう。正解は、、、、、、、、ヘタフェ。正面からビジャレアルのポゼッションを撃破してしまった。これには正直びっくりである。

 ビジャレアルは、いわゆる守備をすることを念頭においていない攻撃的なチームである。両SBも積極的に攻撃参加するので、非常にカウンターにもろい。そのため、攻守の切り替えを早くすること、そもそもボールを失わないことで攻撃的な守備を実現しようとしている。攻撃は最大の防御。よって、ボール支配できなければ切ないことになる。チーム全体が機能しない。

 この試合のボール支配率は58:42でヘタフェの勝ち。最近のビジャレアルのボール支配率を見てみる。ベティス戦は61%、バジャドリッド戦は53%、アルメリア戦は54%、セビリア戦は58%と下回ることはあまりない、というよりもなかった。それだけ異例なことである。

 ヘタフェ相手にポゼッションで勝負を挑むビジャレアル。しかし、相手は腐ってもヘタフェ。相手の攻撃の目を潰すのはお手の物。サイドよりも中央を固める守備で、相手のバランスを崩すのはお家芸。その代わり、グラネロが中央からサイドへ何度も走っていたけれど。サイドに追いやれたビジャレアルはそれでも強引に中央へ→大渋滞。

 よって、ヘタフェがボールを支配する展開となった。ついでにビジャレアルはボールを保持することが前提となっているので、高い位置での守備が不得意である。これもヘタフェがボール支配を高めた理由の1つである。
 
 ■両チームのポゼッションの違い

 ヘタフェのポゼッションはサイドを基点としている。両SHのグラベロ、パブロが中心。中央のデラレッド、カスケロからボールをサイドに展開。そこに両SBの飛び出しを絡めて攻撃を構築していく。ボールを回している段階で、両SHが中央でクサビのボールを受けることはあまりない。その役目はマヌとブラウリオが担っている。ただし、この2人の能力は他のポジションの選手ほど高くはないので、上手くキープができない。そのためか、サイドに流れることが多い。よって、攻撃は外外になってしまう。要するに、守るほうからすると結構絞りやすい攻撃である。

 この状況を打開するために、時々グラネロが中央に進出したり、カスケロが前目のポジションを取ることがある。FWにクサビのボールが入った瞬間、カスケロがFWの横ですばやいサポートをする場面があった。ウチェがいれば、中央で起点ができる可能性が高い。このような欠陥があるにもかかわらず、ある程度形にできてしまうのは、中盤の選手の質の高さに原因がある。

 ビジャレアルのポゼッションは中央を基点としている。ピレス、カニは両SHのポジションのように見えるが、どんどん中央にポジションを移す。それこそボックスのようになる。空いたサイドのスペースをスペイン代表SBコンビが駆け上がる。2人ともスタメンではないだろうけれど。

 両FWも前線でボールを待つのではなく、積極的にボールをもらいに中央に下がるが本来の形な気がする。つまり、中央で数的優位を作り、相手も中央に人を集めないといけない状態を作らせる。そこで、強引にダイレクトパスで中央突破を図るか、ガラガラのサイドで勝負に出るかを選択。ただし、サイドで待っている選手はSBと決まっているわけではなく、ピレスやカニがそのままサイドにいることもあるし、FWの選手がサイドにいることもある。このポジションを限定しないさまはメキシコ代表に少し似ている。

 ■相手のCBを引き出せ

 話を試合に戻すと、ヘタフェは攻めるものの、フィニッシュまではなかなかいけない。それでも、攻守に安定していたので、そのうち点が入ると思ってたが、先制したのはビジャレアル。この場面が興味深いものだったので詳しく解説。

 ブルーノ→ブランコ→ピレス→ニハトでゴール。ブルーノがクサビのボールを入れ、前線から降りてきたブランコがワンタッチでピレスにはたく。ピレスがトラップした瞬間に2列目からニハトが飛び出す。ピレスはスルーパスを選択。ニハトはキーパとの一対一を冷静に決める。前半15分のことだった。

 ヘタフェの事情を絡めてもう1度。ブラウリオがブルーノに寄せに行く。ブルーノはクサビのボールを選択する。DFラインにいたブランコがクサビのボールに寄って行く。ブランコをマークしていた右CBのベレンゲルは前を向かせてたまるかとブランコについていく。ベレンゲルがブランコについていったので、左CBのディアスはバランスを取るために、ポジションを中央に修正する。ブランコは前を向かずにダイレクトでポストプレー。ピレスが前を向いてプレーできる状態になる。この時点でCBの位置にいるのはディアスのみである。ディアスの横には広大なスペースがあり、そこを二列目から飛び出したニハトに使われて終了。

 ちなみに両SBはピレスとカニのマークについていたので、フォローできず。ニハトの近くにいたデラレッドは、ボールだけを見てしまっていたので、背後を走っているニハトに気づかず。ボールが左サイドにあったのでコントラは中に絞るべきだったかもしれないし、デラレッドはニハトについていくべきだけど、それを求めるのは実に難しい。

 ここでの教訓は、FWが中盤に降りてくる形。分かりやすく言うとゼロトップの形を戦術としているチームは、相手のCBのうち、どちらかを中盤に引っ張り出せば大チャンスが生まれるということ。そのチャンスはボールによることで生まれる。

 逆に、自分のマークが中盤に下りて行っても、そしらぬ顔で自分のゾーンを埋め続ければ、中盤を支配されても、何とか守りきれる可能性が高いかもしれない。カバーリングと2列目から飛び出してくる選手に注意を払っていれば、ゼロトップも怖くないかも。要するに引き出されなければいい。最近ローマをみられない状況なので、何ともいえないが、FWがいなくなった時のCBのポジショニングを注意深く見てみようと思う。かなり今更感があるけれど。でも、中盤で前を向かれて、2列目から飛び出されと苦しいか。

 
 ■引きこもるビジャレアル

 先制点で波に乗るかビジャレアル。先制点を入れたニハトはその後も軽快な動きを見せる。ようやく、大怪我からコンディションを戻してきたのだろうか。しかし、根本的な問題が解決されたわけではないので、ビジャレアルはやっぱり押し込まれる展開となる。勢いだけで解決できる問題ではない。

 ここはヘタフェのホーム。そして先制した。というわけで、ビジャレアルは似合わない引きこもりを選択せざるを得なかった。ピレス、カニも両SHとして、ヘタフェの攻撃の基点を潰そうと躍起になる。攻められないなら守りきってカウンター。らしくないビジャレアルの表情に驚いた。そしてヘタフェが引きこもられるという珍しい現象がWOWOWにデビュー。

 ヘタフェはこの守りに苦戦するものの、前半途中から出場したシニョリーノを中心にビジャレアルゴールに迫る。左SBのシニョリーノは積極的に攻撃参加し、グラネロを助け、クロスを上げまくった。結果には繋がらなかったが、今後出番が増えそうな選手である。前半は1-0のまま終わる。

 ■後半戦

 ビジャレアルは後半になっても大きく変わらず。引きこもってカウンター。時にボールを繋いで時間を潰そうとするが、どう見ても守っている時間が長い。ニハトがようやくフィジカルコンディションをソシエダ時代に戻したようで前線で走り回っていた。良い所はそれぐらい。

 ビジャレアルの守備はヘタフェのサイドの基点を潰そうと、人数をかけてきたが、上手く守れているとは言えず。ヘタフェに決定機を何度も与えていた。それでも、得点にならなかったのは、ダイブ判定だったり、オフサイドだったりで審判がビジャレアル寄りだったこと。

 ヘタフェはたまらずベレンゲル→ケパで強烈なメッセージを選手に伝える。しかし、3バックなんてやったことない。しかもシニョリーノ、コントラは純粋なSB。どうしようか、考えているうちに守備の隙をつかれ、ニハトに2点目を献上。その後、すぐにカソルラに3点目を決められる最悪の展開。ベレンゲルがいなくなって守備が崩壊。

 ヘタフェも前線からの守備でゴティンからボールを奪い、ケパが一点返すと、その直後にケパがPKを奪う。しかし、決められず試合終了。ケパを倒したフエンテスは一発で退場。よくわからない審判だった。

 ■独り言
 
 パブロとデラレッドが目立った試合だった。特にデラレッドは今のレアルでも通用しそうな気がする。攻守に貢献できる選手なので、経験をつめば面白い存在になりそうである。そしてラウドルップ。攻撃的に行きたい采配は分かるが、結果的に自爆になってしまった。

 そして審判が目立っていた。ビジャレアルは引きこもりのやり方があまりうまくなく、ちょっとは練習したほうが良さそうである。ニハトの復調が好材料。ロッシと共にコンビを組むことになるのだろうか。

posted by josepgualdiola |10:20 | リーガエスパニョーラ/07~08 | コメント(5) | トラックバック(0)
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ヘタフェ対ビジャレアル ~ポゼッション対決~

今のヘタフェは昨年までのシュスター色を残しつつラウドルップ色が加わったものなんですか?

仰る通り、ヘタフェは対戦相手(強豪・中堅・格下)によって変わりますね。
強豪には滅法強いが、中堅~下位には弱い。
ヘタフェ以外にも最近のスペインリーグはそういうチームが増えてるような気がします。
実際マドリーもバルサも苦しんでいますね。

ビジャレアルは最近勝てない試合が多いですね
ロッシの不在が影響してるのでしょうか?
すごく単純な事ですが、攻撃中心のチームでは
やはり得点源ストライカーの選手がいないのはと痛いと思います。
アトレチコもアグエロがいなかったらどうだかと思いますし。バレンシアもビジャが好調ならもう少しはマシではないかと。


posted by サントス | 2007-12-19 13:30

ヘタフェ対ビジャレアル ~ポゼッション対決~

ぜひ、クラシコの予測をして下さい。

posted by おねがい。 | 2007-12-19 18:23

ヘタフェ対ビジャレアル ~ポゼッション対決~

この試合見てないですけど、ヘタフェは好きなチームですね。
あの守備の仕方は素晴らしいです。
手本のような守備です。
加えてウチェがいると最高ですね。

posted by アルメニア | 2007-12-19 23:33

ヘタフェ対ビジャレアル ~ポゼッション対決~

相変わらず鋭い分析に驚くばかりです。
ところで、ビジャレアルのブランコって・・・ギジェのことですよね?ならフランコです。訂正まで

posted by トモート | 2007-12-20 11:22

ヘタフェ対ビジャレアル ~ポゼッション対決~

コメントありがとうございます。

>>サントスさん
凄く単純なことですが、そんなもんだと思います。ただニハトが調子を取り戻してきているので今後はいいかもしれません。

>>おねがい。さん
ボール保持を放棄すれば、バルサが絶対勝つと思います。

>>アルメニアさん
おっしゃるとおり、ヘタフェはお手本のようなチームです。

>>トモートさん
訂正ありがとうございます。ブランコじゃ英雄ですもんね

posted by josepgualdiola | 2007-12-23 12:20

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