2007年07月13日

日本対UAE ~守りきるのか、攻め続けるのか~

 最初に前回の反省。中盤より前の守備がまったく機能しなかったこと。攻撃面では仕掛けるプレーが少なかったこと。セットプレーの変な工夫。柔軟にポジションを変えるスピード。これらの点が改善されていれば嬉しい。

 次にスタメンは川口、駒野、中澤、阿部、加持、鈴木、遠藤、憲剛、俊輔、巻、高原。どうやら2トップに代えてきた模様。山岸→巻の変化によって、個々の選手の役割も変わりそうである。

 最後にUAE。負けたら終わりなので必死に来るに違いないが、思ったよりは激しく来ないと思う。なんとなくだが。

 ■守備の問題について

 残念ながら予想ははずれ、UAEはかなり激しく来た。ボール回しも連動性もそれなりにあり、噂のマタルのドリブルは世界に通用するレベルだった。出足はUAEの勢いに押され、日本は押し込まれる展開となる。うそだ。日本が押し込まれたのはUAEの出足がすばらしかったからではない。日本の守備がだめだったからだ。

 カタール戦は4-1-4-1で守っていた。UAE戦は4-4-2。何が明確に違うかというと、中盤の位置取りが大きく違う。カタール戦の中盤の位置は非常に高いが何もしないものだった。最悪である。UAE戦の中盤の守備の位置はDFラインに近く適切な距離を守っていた。しかも、この位置はゾーンの配分が明確なので、サボりようがない。つまり、カタール戦よりはかなりましになった。それでもサボっている人はいたが。ちなみに4-1-4-1だろうが、4-4-2だろうが、中盤の位置は本来あまり変わるものではない。

 何が悪かったかというと、相手選手に対するプレッシャーである。ボールホルダーに対する寄せが非常に甘く、自由にボールを繋がれてしまっていた。前を向かせないくらいのプレッシャーを与えれば、高い位置で相手のミスを誘発させることは出来たと思う。暑いから仕方ないのかもしれないが、だったら追いかけないほうがいい。無駄走りで疲れてしまう。

 日本のボールの奪うどころはDFラインと中盤の間であった。UAEの攻撃の人数が徐々に減り始めてからこの守り方は機能してきたと思う。楔のボールにDFがプレスをかけ、中盤の選手と挟み込み作戦。できることならば、中盤とFWで挟み込み作戦をしてもらいたいが、それはちょっときついか。後ろへの守備という意味では高原、巻ともにあまりしていなかった。

 次にUAEの守備の問題。バルサ式の4-3-3。このシステムの弱点はアンカーの横、とウイングとSBの間である。そこをどう埋めるかがポイントだが、まったく埋めていなかった。バルサのミスからUAEは何も学んでいない。人を見る意識も少なく、攻撃に比べるとその完成度は限りなく低いものだった。

 日本のSBは巧くそのスペースを突いていたと思う。UAE戦のSBの位置取りは満点。駒野は積極的に仕掛け、加持は2点目に絡んだ。この2点目の加持を追い越していった鈴木の飛び出しは影のアシストである。

 試合前に、UAE戦では飛び出したい、と発言した遠藤。飛び出しを実行しただけでなく、空いたスペースでボールを受けると積極的にチャレンジ。今日のできだったら何の問題もない。憲剛は縦パスが大好きに見える。味方がDFラインと中盤の間にフリーにいたので、面白いくらいに縦にボールを入れていた。
 
 ■試合に話を戻そう

 最初にペースをつかんだのはUAE。人数をかけた積極的な攻撃で日本ゴールに迫る。しかし、日本のSBが高い位置にポジションを取り始めたこと、日本が速攻をメインに攻撃を組み立て始めてから状況が変わっていく。

 前半15分くらいから駒野を中心に左サイドから攻める。すると、UAEは自陣に引いて守るしかない。攻撃に移るには長い距離を走らなければならない。暑い。ってなわけで、UAEの攻撃は日本の攻撃が機能しだすと徐々に機能しなくなっていった。

 そして日本が先制する。お得意のフリーキック。セットプレーに関しては工夫した場面もあれば、そのまま上げた場面もあった。鈴木がクロスを上げた場面もあった。精度の高いキッカーがいるので、普通にやってもいいと思うのだが。ただ得点シーンはショートコーナーからであった。俊輔→高原。

 追加点はすぐに生まれた。加持から高原。鈴木の飛び出しが絶妙だった。ネビル兄かと思った。その後も日本が試合を支配し続ける。要因はSBが下がらなかったこと。カタール戦ではひいてしまったが、今回は引かなかった。時間の問題もあるが、このような姿勢はすばらしい。そしてPKを俊輔が決めて3-0である。カタール戦はなんだったんだ、というくらいに遠藤が前線に飛び出していた。この場面でもPKを奪った。そして後半戦へ。

 ■UAEの寄せ

 前半の35分過ぎからUAEの寄せがファウル気味、というよりもファウルそのものになっていった。人に対する寄せに関してはUAEの激しさを見習う部分もある。激しすぎると退場してしまうので気をつけましょう。

 後半になっても日本は攻め続けた。確かに3点差あれば多少リスクを犯しても問題ない。ただし、UAEもシステムの不備を修正してきたので、前半ほど自由にボールを繋げていたわけではない。

 日本はカウンターからモハメドに中央を突破され失点してしまう。憲剛もう少し頑張れ。あとDFラインを上げてオフサイドを取るか、ついていくのかがはっきりしていたらよかった。

 後半も最後までSBの位置は高かった。

 ■独り言

 山岸が左サイドを住処にしているのに対して、巻は中央を自由に動くタイプ。高原からするとやりやすいし、ポジションを限定する選手よりは周りの選手もやりやすいかもしれない。

 課題である守備はそのままだが、他の点はかなり改善されていると思う。特にチャンレンジしない病は無事に治ったようだった。どうやらカタール戦は意図的にチャレンジしなかったわけではないようである。

 SBの位置も相手の嫌なポジションを常に意識していて、変にひくこともなかった。そのせいもあってか、カウンターで失点してしまった。だが、それはしょうがない。もし、SBがひいていたなら、UAEに決定機を多く与えてしまう可能性がある。守りきるすべがないのなら、攻め続けるのも作戦である。ただ、試合の中盤でもう少し休んでも良かったかもしれない。

 最後に大熊さんの声がすごかった。

posted by josepgualdiola |22:23 | アジアカップ2007 | コメント(11) | トラックバック(0)
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Re:日本対UAE ~守りきるのか、攻め続けるのか~

観ていなかった者にとって
非常に判り易い解説いつもありがとうございます

守れないなら攻める。

もー割り切って行くしかないですよね。



>最後に大熊さんの声がすごかった。

激しく同意w

posted by 比呂 | 2007-07-14 01:28

Re:日本対UAE ~守りきるのか、攻め続けるのか~

いつも楽しく拝見させて頂いてます。


海外サッカーは見る機会が少ないですが、
日本代表の試合なら、と思い、
初めてコメントさせて頂きました。


>日本はカウンターからモハメドに中央を突破され失点してしまう。憲剛もう少し頑張れ。

僕も憲剛の守備軽いな~って思っちゃいました。
ただ高温多湿で90分・・・かなりキツいんでしょうね、やっぱり。

憲剛と鈴木を足して2で割らなければ、
1ボランチでも行けるんでしょうか?
なんかオシムは1ボランチでやりたい、
と言ってたのをどこかで見ましたので。


これからも更新楽しみにしています。
お邪魔致しました。

posted by Nesta | 2007-07-14 02:08

Re:日本対UAE ~守りきるのか、攻め続けるのか~

> この位置はゾーンの配分が明確なので、サボりようがない。つまり、カタール戦よりはかなりましになった。それでもサボっている人はいたが
中村俊でしょうか。囲みにはいきますけどね。ディフェンスの意識が曖昧でした。

> UAE戦では飛び出したい
中盤の総意でもあったと思います。UAEが攻めを意識していたことにも要因があると思いますが、
FWと飛び出す中盤の選手のバランスも良かったですね。

> 寄せに関してはUAEの激しさを見習う部分もある
相手のレベルが上がると今のプレスでは全く意味のないものになりそうですね。一歩出足を早めて欲しいのですが。

マタルやっぱり良い選手でした。あとアシストした15かな?もう少しこの辺にボールが集まれば面白かったんですが。

マタルのシュートを止めた川口。グッジョブでしたね。

posted by ロナウド | 2007-07-14 02:54

Re:日本対UAE ~守りきるのか、攻め続けるのか~

うわ・・すげえ分かりやすいですね。
お邪魔します。感心ついでに、ブログ汚してきます。

>次にUAEの守備の問題。バルサ式の4-3-3。このシステムの弱点はアンカーの横、とウイングとSBの間である。そこをどう埋めるかがポイントだが、まったく埋めていなかった。バルサのミスからUAEは何も学んでいない。人を見る意識も少なく、攻撃に比べるとその完成度は限りなく低いものだった

相手のシステムまで全くわかんなかった。なんでUAEの守備がユルユルなのかもさっぱり分からなかったけど、なるほどこういうことなのかぁ。

>山岸が左サイドを住処にしているのに対して、巻は中央を自由に動くタイプ。高原からするとやりやすいし、

もし、よかったら、高原は自由に動く巻きの方がやりやすいっていう理由を教えて下いますか。
やっぱりそこが要因で、今回2得点なんですかね。あと、今回の巻の動きにぜんぜん目が行ってなくて
「巻の動きのよさ」ってのが確認できなかったのです。

>加持から高原。鈴木の飛び出しが絶妙だった。ネビル兄かと思った。

えぇ!?鈴木の飛び出し?私さっぱり判らなかった。気づいたらゴール前に高原含め3人いたけど、うち一人が飛び出してきた鈴木ですか?その飛び込みでDFつられてスペース開いたのでしょうか?
ぜひおしえてください!・・・差し付けなかったからでよいので。 あとネビル兄ってどんな人ですか?気になりますー。

posted by HemRock | 2007-07-14 02:58

Re:日本対UAE ~守りきるのか、攻め続けるのか~

おはようございます

以前、金子達仁氏がカタールの戦術面で指摘していた結果のみ重視するだけのサッカー(カウンターのみ)に徹して、ただ相手を削るエンターテイメント性に欠けた戦い方をUAEは、仕掛けてきました。それに対して、日本は、加地、駒野の両サイドバックをかなり高い位置に配置して、ディフェンスとGKの間に、低い弾道のアーリークロスを入れていく戦術を用いていました。結果は、ご存知の通り、高原が、ゴール前でフリーでボールをもらうことができて2ゴール、俊輔のPK(さすが国際舞台での経験が豊富なだけあって冷静でした)ただ、気になるのは、試合終盤になって集中力の欠如が見られることです、(確かに、あの気候であれだけのサッカーをし続けるのは難しい話なんですが)無失点で終わるのと、1点取られて終わるのでは、、、、

posted by mussan | 2007-07-14 06:55

Re:日本対UAE ~守りきるのか、攻め続けるのか~

コメントありがとうございます。

>>比呂さん
2~3点差くらいだったらあのくらいの攻めでいいと思います。相手の荒っぽさでなえた部分もあると思いますが。

大熊さんの声は相変わらずです。面白かったのは大熊さんはキープしろって行っているのに、解説者がオシムが消極的になるなってジェスチャーをしていますと言ったところでした。

>>Nestaさん
憲剛はボールを奪われたわけです。それを非難するのはわかりますが、追っかけるのは大変でしょう。恐らく無理をすれば止められたと思います。カードをもらう可能性高いですが。カードをもらって止めるか、後ろに任せるか、状況は3点差ならば、後ろに任せても問題ないかと。同点の状況だったら追いかけ方にも影響はあると思いますよ。

鈴木と憲剛を足したような選手をバルサが必死に探しています。守れてつなげる選手は世界的に不足気味です。

>>ロナウドさん
そこでサボるのか!っていうのが問題だと思います。サボってもいい場面とサボっては決していけない場面があると思います。日本の選手は囲みに行くのですが、圧力のない場面が多いです。もちろん、圧力のある場面もありましたが。

かなり飛び出していましたね。特に遠藤は有言実行でした。守備はUAE相手でも通用しないのが現実です。

1度、鈴木が振り切られてミドルをマタルが打った場面にはびびりました。イラン以外にもこんな選手がいるんだなと。

>>HemRockさん
巻ですがそこにいるだけでも、だいぶ違うと思います。高原と近い距離にいるだけで、高原が下がる、巻が上がるといったように簡単なコンビプレーができます。また相手のシステムも2トップならば2CB+アンカーで見るしかありません。そうすれば中盤が空きます。いるだけでいいこと尽くめです。

鈴木の飛び出しは加持の横をたてに抜けていった動きです。サイドでボールを持っている選手を追い越すことで、ボールホルダーに余裕が生まれます。ボールホルダーに対峙しているDFからすると、パスを出すかもしれないと警戒するからです。

この警戒によって、たいていの場合ボールホルダーは一瞬フリーになるので余裕を持ってクロスを上げることが出来ます。つまり、鈴木の飛び出しが加持さんに余裕を与えたわけです。

ベッカムがユナイテッドにいたころ、同じような動きをネビル兄とよくしていました。ベッカムがサイドでボールを持つ→ネビル兄が追い越す→相手は気を取られる→ベッカムがその隙にクロスを上げる。この動きの象徴のような選手なので、例としてあげました。

>>mussanさん
あまり失点は気になりませんでした。強いて言うならDFラインの対応です。鈴木はあのミスから学んでくれればマケレレにいっそう近づきます。

posted by josepgualdiola | 2007-07-14 08:32

Re:日本対UAE ~守りきるのか、攻め続けるのか~

アジアの中では日本がポゼッション、相手がリアクションなので。
日本には前線から中盤にかけてのプレスがもっと必要なんでしょうか?
スタミナやフィジカルが弱いのなら、ブラジル人の帰化選手とかをボランチに入れたいですね。
昨日の試合を見て、高原だけはLIGA ESPで通用するかな?と淡い期待を抱いてしまいました。
スペインの中堅クラブあたりどうでしょう?

posted by サントス | 2007-07-14 09:52

Re:日本対UAE ~守りきるのか、攻め続けるのか~

やはり日本には2トップが合うようです。以前、 josepgualdiolaさんがニステルの取扱説明書に「近くに選手を置く事と書いたほうが良い」と書いたように高原もそうしたほうが良いですね。高原は張るよりも動いてリズムをつかむタイプですし。

巻は仕事を果たしていると思います。ただし点を取れそうで取れない所が高原との違いになってしまってますけど。高原にはホントに格とも言うべき決定力が見えますね(アジアでの)

日本のプレスがゆるいなと感じる所はありましたが気候的によほどきついんだろうなとは思います。後半にはUAEのプレーが荒くなる気配が感じられたので、高原や俊輔を早く代えて欲しいと思っていました。ベトナム戦も早めに点を取って高原を休ませる展開にしてもらいたいですね。

それにしても・・・オーストラリア(W杯16強)の苦労ぶりを見ると気候の厳しさが感じられます。まさにアジアの洗礼!2位で上がられると日本といきなり当たっちゃうんだよなぁ・・・ならばいっそ予選で落ちてくれ。

posted by T33 | 2007-07-14 10:37

Re:日本対UAE ~守りきるのか、攻め続けるのか~

>>サントスさん
必要です。ボールを奪うメカニズムがなければ、ポゼッションもへったくれもありません。それに世界と対峙するには絶対必須だと思います。 フランクフルトの試合をちょこちょこ見ていたのですが、高原をFWの軸にすれば結構やると思います。リーガのチームが軸にすれば面白いと思います。

>>T33さん
せめて10分でも機能してくれれば評価できるんですけどね。高原も2トップのほうがいきますね。そう考えると、カタール戦は山岸が中央よりにポジション取ればよかったわけですね。というか、ワントップでも近くに相棒がいない状況で何とかしてしまう選手って少ない気がします。 オーストラリアはアジアに来て後悔しているかもしれませんね。

posted by josepgualdiola | 2007-07-14 14:01

Re:日本対UAE ~守りきるのか、攻め続けるのか~

遠藤選手、見直しました。カタール戦とは段違いでした。頑張って走っていたと思います。ミドルも多少打っていましたし。

やっぱサイドバックが高い位置にいるといいですね。非常に効果的だと感じました。

あとUAEの悪質なファールにはムカっときました。

それにしても高原、さすがですね。個人的にファンなのでもっともっと活躍して欲しいです。

次は完璧アウェーのベトナム戦、最後まで集中を切らさないように戦って欲しいです!

posted by ao | 2007-07-14 15:59

Re:日本対UAE ~守りきるのか、攻め続けるのか~

お答えありがとうございます!

巻はいるだけで相手DFにとってはプレッシャーになるんですねぇ。DFとしては、対応すべき選択肢が増えるんですね。

加地が走りこんでフリーになったの所に憲剛がパスを出したってイメージよりも、鈴木が追い越す動きでフリーになった加地の所にパスが出たイメージですね。なるほど、ニュースで見たら鈴木が加地さんの後ろ(右側)走ってました。ああいう動きですか。なるほど。マンUのガリー・ネビルって人のことでしたか。

以上、理解してるポイントは、ずれてるかもしれませんが、大変参考になりました。ありがとうございました。

posted by HemRock | 2007-07-16 02:50

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