2007年06月18日

レアルマドリッド対マジョルカ ~個人能力対組織力~

 優勝決定戦。これで欧州のサッカーもほぼ終わりになる。つまりクライマックス。なんだかんだここまで来てしまったレアル。サラゴサ戦ですでに優勝を決めたような喜びっぷりはかなり印象的だった。コパアメリカに向けての合宿よりもレアルを選んだロビーニョ。マリから気合で帰ってきたディアラ。エルゲラが累積でいないくらいで、メンバーはそろっている。ベッカムとニステルの怪我の具合が少し心配。

 レアルのスタメンはカシージャス、ロベカル、セルヒオラモス、カンナバーロ、サルガド、ディアラ、エメルソン、ロビーニョ、ベッカム、ラウール、ニステル。注目はサルガド。優勝のかかった場面で頼りになるかベテラン。

 マジョルカ。特にこの試合で勝って得るものは、、、恐らくない。ただ目標がないからって、だらだらの試合をするチームではない。まして相手は優勝のかかったレアル。自分達の手によって、それをどうとにでもできるのだから、むしろモチベーションは高そうな気配。相変わらず渋いスタメンだが、、、イバガサがいない。イバガサがいなければ、マジョルカはただの走る集団となってしまう可能性がある。非常に危険。ただし、それはそれで非常に厄介である。

 ■序盤からマジョルカのハイプレッシャー

 ボールホルダーに寄せにいく。その寄せの方法も多々ある。マジョルカの寄せはボールを持っている選手に余裕を与えない。ボールを奪いに行く迫力が強いので、レアルの選手はボールを早めに離さないと危ない。ボールを離さなければ、ボールを奪われるか、適当なロングキックで逃げるしかない。テクニックがあってプレスを交わせるなら話は別だ。しかし、レアルDFにそんな選手はいない。

 このマジョルカのプレスによって、レアルはボールをマジョルカに渡してしまった。混乱状態。マジョルカはボールを奪うと、すぐに前線にボールを供給し、フリーランニングで相手を崩しにかかる。試合開始すぐにアランゴ、ビクトルが決定機をつかみ、最高の立ち上がりを見せる。

 マジョルカの積極的な寄せに比べて、レアルの寄せは甘い。ボールを見ているだけ。パスコースをきっているつもりかもしれないが、後ろとの連動性がないので意味がない。つまり、ゆるいプレスが相手に余裕を与えてしまった。そのため、イバガサがいないにもかかわらず、何度もスルーパスを通されてしまっていたわけだ。

 そんないやな流れはニステルの強引なドリブル→ヌネスが負傷。激突による治療で試合がほんの少し中断した。この中断でレアルの選手は気持ちを入れ替えることに成功する。特にカンナバーロ。鋭い出足でパスカット、そして相手の動きを巧く封じ込める活躍を見せ始める。他の選手もそれに引っ張られるような形となり、球際でレアル守備陣が強さを見せる。ニステルの隠れた好プレー。

 守備が巧く行けば、攻撃も機能する。レアルはマジョルカ陣内でボールを展開し始め、エメルソン、両SBの位置が徐々に上がっていく。ベッカムが紙一重のクロスを上げれば、ロベカルがニステルをサポートするすばらしい飛び出しをみせ、もう少しでラウールに合うクロスを上げる。しかし、このクロスボールはそのままファーに流れマジョルカに拾われる。マジョルカはロベカルの上がったスペースを巧く使いなんと先制点。ロベカルの裏という古典的な弱点をつかれて失点してしまった。

 この失点シーンは突っ込みどころ満載で、サルガドのポジショニングや中央での寄せの弱さ、カンナバーロのライン取りなど、まだまだ修正点はたくさんああるレアルであった。

 ■マジョルカはひいた

 試合を優勢に進めるためには相手からボールを奪う→攻撃開始。この流れが望ましい。攻守の切り替えが早いチームはそんなに多くない。ボールを奪った位置というのはとても大切である。

 序盤のマジョルカはレアルDFがゲームを組み立てようとするパス回しを許さず、ボールを奪い攻撃を仕掛けた。ボールを取り返す位置が非常に高いと。チャンスも作りやすい。また、攻撃をしているときから守備のことを考えているレアルの中盤の選手はあまりいないので、マジョルカにとって好都合。

 しかし、マジョルカは徐々に押し込まれるようになった。そのきっかけは前述したニステルの強引なドリブルである。このシーン以降レアルDFは一対一で負けなくなった。このDFの活躍がボールを奪う→攻撃という流れをレアルに導く。

 レアルがボールを奪い→攻撃の形になってから、レアルはチャンスこそ作れないものの、優勢に試合を進める。マジョルカが先制してからは、この流れはさらに加速する。勇気を持って前に出なければ、マジョルカらしさはでない。

 およそ前半の30分にニステルが怪我のため、イグアインと交代。ニステルは走れない状態になっていた。機動力のあるイグアインはひいた相手には有効である。しかし、イグアインは特に目立つことなく前半は終わる。レアルはあと少しでシュートまでいける段階にある。ロビーニョはキレキレ、DFライン+ディアラもキレキレ。ベッカムは時折光る。エメルソンはなにをしていたのだろう。

 ■エメルソン→グティ
 
 最近のカペッロは交代が早い。しかもその交代選手が必ず活躍する。神采配。最近の成功体験がレアルの選手に精神的余裕を与えるかもしれない。交代で入ったグティはディアラの横でボールを散らし、珍しく守備もした。

 エメルソンに比べると、グティは積極的にボールに絡んだ。ワンクッション増えるので、マジョルカからすると、相手が1人増えたように感じるだろう。タメが作れるので、そのぶんロベカルが余裕を持って前線に上がることができる。そのロベカルが強引なドリブルでファウルをもらう。絶好の位置でベッカムが狙うが、ボールの質がいつものそれに比べると悪い。

 チャンスの後にはピンチ。中盤でディアラがアランゴに交わされ、サルガドが裏をつかれる。バレーラがカシージャスと一対一になるが、枠を外す。レアルは土壇場で生き残る。

 後半20分にベッカム→レジェス。そして期待を裏切り続けたレジェスの逆襲が始まる。ロビーニョが右サイドで粘る。中へクロス→イグアインが巧くボールをうけ、それをまた中へ。ラウールにつられたためレジェスがフリーでシュート。同点ゴール。しかも右足。

 ロビーニョが強烈なミドル。コーナーキックを得る。イグアイン→ディアラで逆転。カシージャスが泣いていた。最後はまたもレジェス。ロビーニョ、イグアインが粘ってそのこぼれだまを見事な左足。これでレアルが優勝した。

 マジョルカの誤算はマキシロペス。バルサに帰れない出来であった。マキシロペスという名の蓋。

 ■独り言

 勢いなのか流れなのか定かでないが、なぜにあそこまで交代要員が活躍するのだろうか。意味不明。特にレジェスはこれでレアル残留も夢ではないと思う。レアルチーム自体の総括は別の機会に。それにしてもよくこじ開けた。マジョルカはひいたら負けなのにひいちゃったのが敗因。そしてマキシロペスが敗因。 

 それにしてもロビーニョはやばかった。この試合のMVPはロビーニョ。敢闘賞はカンナバーロ。影のヒーローはディアラ。

posted by josepgualdiola |11:20 | レアルマドリッド/06~07 | コメント(13) | トラックバック(0)
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Re:レアルマドリッド対マジョカ ~個人能力対組織力~

確かに何であんなに交代する選手が活躍するのかわからないですね。
組織的にも全然ダメなのに勝てるのはなぜだ?
レアルだから勝てるのか?
ブランドの強さはすごいですね。
組織が悪くとも個人で勝てることを証明したようなシーズンでした。
とにかくカペッロはすごい監督であり、レアルは強いってことですね。
でも来シーズンフロントが頼んでもカペッロが続けるかは微妙じゃないですか?
あんなチームをカペッロは引き受けたくないでしょう。
これでやめればレアルに優勝をもたらした英雄で終わるし。

posted by アルメニア | 2007-06-18 15:37

Re:レアルマドリッド対マジョルカ ~個人能力対組織力~

カルデロンが続投名言しなかったようです。
カペッロはたぶん前回と同じくやめるでしょう。
いくつも優勝させてはやめて行く、仕事人ですな

posted by カル | 2007-06-18 16:20

Re:レアルマドリッド対マジョルカ ~個人能力対組織力~

手持ちに一芸に秀でた物を持つ人が多いので最低限の決まりごと決めるだけでも一定の成果が出やすいのではないかと。またレアル自体、数年前の黄金期がまさに一定の決まりごとしかない状態で過ごしていたため、選手ものりやすいのではと思いました。

戦術・戦略を考える前に、どこからスタートして肉付けしていくかを見極めただけの段階だと考えているので、カペッロ続投の場合どう成長するか?に興味を抱いています。

しかし、レアルは毎年この時期強いんですよね。終盤に合わせて、調子のいい選手が多くなる傾向がある気がします。メディカルスタッフを含めた伝統というものを感じますね。

posted by クドウ | 2007-06-18 17:11

Re:レアルマドリッド対マジョルカ ~個人能力対組織力~

優勝しましたね、正直びっくりです。
ただ相変わらずカカ、カカ、カカと言い続けてる会長を見てると来期に期待できないなあ、と思ってしまいますね。

posted by ココロ | 2007-06-18 18:23

Re:レアルマドリッド対マジョルカ ~個人能力対組織力~

確かにあの交代選手の活躍は“神技”です。

カカは穫れない方が良いのでは?

今はそれよりもカペッロがどうなるかが重要。

posted by トト | 2007-06-18 19:00

Re:レアルマドリッド対マジョルカ ~個人能力対組織力~

カペッロのどんどん攻撃な選手をいれる姿勢が、レアルの勢いにつながったのでしょうかね。

posted by shimada | 2007-06-18 22:20

Re:レアルマドリッド対マジョルカ ~個人能力対組織力~

コメントありがとうございます。

>>アルメニアさん
勝者のメンタリティ、何よりもここ最近の気持ちの強さは尋常ではなかったと思います。気持ちって大切ですね。

>>カルさん
次はカペッロどこへ行くのでしょうか。アーセナルに行ったら笑えますね。

>>クドウさん
そういえば昨シーズンもやらた終盤は強かった気がします。ゴールが明確になれば、レアルは強くなるのかもしれません。

>>ココロさん
でもカカきたらすごいですよね。

>>トトさん
神業でしたね。理解不能です。

>>shimadaさん
ヒディングのそれに少し似ていますね。ヒディングはもっと無謀な交代をしますけど。

posted by josepgualdiola | 2007-06-19 00:23

Re:レアルマドリッド対マジョルカ ~個人能力対組織力~

違う話題で申し訳ないが、クライフの負け惜しみのコメントが見苦しい。
昔、ドリームチームがカッペロ率いるミランにチャンピオンズリーグで大敗した事を根に持ってるのかね?
それにしても見苦しい。何で素直に賞賛できないんでしょうね。人間性を疑います。

posted by アンチバルサ | 2007-06-19 21:05

Re:レアルマドリッド対マジョルカ ~個人能力対組織力~

>素直に賞賛
いやいや、それをやったらクライフじゃない、ということで(笑

posted by ギル | 2007-06-19 22:24

Re:レアルマドリッド対マジョルカ ~個人能力対組織力~

クライフじゃなくても、今年のレアルを賞賛する人はあまりいないと思います。もちろん、バルサも賞賛されるレベルにはありません。

posted by josepgualdiola | 2007-06-19 22:57

Re:レアルマドリッド対マジョルカ ~個人能力対組織力~

こんばんは

劇的な逆転優勝でしたね。それにしてもカペッロの率いるチームは、必ずリーグ優勝するのが不思議ですよね。あと、関係ないですけど、ベッカムを慰留させなかった、レアルのフロントに対して、ジズーが相当怒ってますね。

posted by mussan | 2007-06-19 23:31

Re:レアルマドリッド対マジョルカ ~個人能力対組織力~

クライフはいつもあんな調子じゃないですかね。

posted by san | 2007-06-19 23:47

Re:レアルマドリッド対マジョルカ ~個人能力対組織力~

シーズンを通して考えたとき、レアルの内容・結果とも良かったとまでは言えない。
でも、ベッカムとロベカルの最後のシーズンで優勝できたのは良かった。
ベッカムのプレースタイルはあまりレアルとは相性が良くなかったけど、復帰後の活躍はホント素晴らしい。
ベッカム好きの戯言でした。(^^;
(ジズーや中田英の方が好きなんだけどね)

posted by ジダ | 2007-06-20 00:45

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