2007年04月27日
マンチェスターユナイテッド対ACミラン
ユナイテッドはルーニーしかFWがいない。スミスと2トップでくるかと思いきや、変則的3トップ。守備的なのか、それとも攻撃的にいきたいのか、わからない布陣だ。それにしてもビディッチとリオの怪我が痛い。バルサと似た理由で、ユナイテッドはサイドバックの裏をつかれることが多い。そんな時、踏ん張っていたのが、リオ、ビディッチィコンビである。 その2人が同時に欠場、代役はブラウン、エインセ。少しだけ頼りない。サイドバックの飛び出しを必要としないような3センターなのか、スコールズの攻撃力を活かす3センターなのか、結構楽しみである。ただサイドの守備がおろそかになりそうだ。 ミランはカカが絶好調のようだ。いつのまにかワントップになっていてびっくりした。ベルルスコーニって2トップしか認めていなかったような。 ■ユナイテッドの穴 予想通り、サイドが空いた。中盤が四枚でも、ロナウド・ギッグスと両SBの間にスペースができてしまうことがある。この試合でもその現象と同じような現象がおきていた。理由はギッグス・ロナウドが下がらないからである。 ミランのシステムはユナイテッドのシステムに似ている。ミランも3センターといえば3センターである。しかし守り方がぜんぜん違う。ユナイテッドはスコールズを頂点とした三角形を中盤で作り、数的不利にならないように他の選手がポジションを変え、三角形になったり逆三角形になったりしていた。この守り方だと、中央は分厚くなる。しかし、3センターがサイドの守備をすることはなくなる。つまり、ロナウドやギッグスが下がらない限り、そこにスペースはできてしまう。 ミランの場合は3センターは横並びが基本で、エブラがボールを持っていたらエブラサイドにゾーンをスライドさせる。この動きによって発生した逆サイドのスペースはセードルフが埋めて、カカはボールにプレスをする。基本的に穴はない。 つまり、組織の攻撃がある程度機能しているミラン対、なんとなくばらばらで個人技勝負のユナイテッドという形で試合は展開していく。しかし、試合が落ち着く前にコーナーキックからユナイテッドが先制してしまう。運がいい。 ■DFラインと中盤の間のスペース いかにしてこのスペースでボールをもらうか。これは攻撃陣の課題である。いかにしてそのスペースを埋めるか、これは守備陣の課題である。ユナイテッドの3センターの守り方はさっき書いたとおりだ。中央を分厚くしている。しかし、中央からカカに突破される場面が目立ってきた。その理由はDFラインと中盤の間のスペースをカカにうまく使われてしまったからだ。その原因は3点ある。 1点目はDFラインが下がりすぎていたこと。前でボールを奪おうとする中盤と、ゴール前で勝負したいDFラインがバラバラの動きを見せる。インザーキほど裏の飛び出しが怖くないジラルディーノ相手になぜあんなにDFラインを下げたのか。リオらの不在なのかな。DFライン下がっても良いから、せめてマークにはついていけ。 2点目はスコールズの後ろで構えていたキャリック、フレッチャーが後ろにいるセードルフ、カカのポジションについて無頓着すぎた。 3点目は前線の選手がサボりすぎ。スコールズたちがボールに寄せられるように少しだけでもプレッシャーをかけてくれれば状況は変わっただろう。ただ、前線の選手が残っていなければ、カウンターはできないだろう。難しいところだ。 ミランの同点ゴールはセードルフが中盤とDFラインの間でボールを受け、2列目から飛び出してくるかカカを中盤の選手がフリーにしてしまう形で入った。良くわからなかったが、2点目はカカの巧さとユナイテッドDFのミスが相まって入った。 完全にミランペースである。ユナイテッドに対してミランは完全に試合を支配した。力の差がかなりある。 ■マルディーニ→ボネーラ、ガットゥーゾ→ブロッキ 怪我によって、前半6分までに2人の選手が交代することになってしまった。交代枠が残り1枚になってしまう。この試合でのガットゥーゾはかない効いていた。ボールを奪うシーン、ボールをキープするシーンともにかなり目立っていて、その役割を誰が行うのか。 ミランはこの交代の影響を微塵も感じさせないプレーを見せる。楔のパスを何度もカットし、3人目の動きを使った攻撃で何度もユナイテッドゴールに迫るが、追加点を狙う気があるのか、、、後ろから選手が上がってこず、ゴール前に来るとたちまち消極的な攻撃に変化した。 ユナイテッドはまったく攻撃の形を作れていなかった。ここで特攻を仕掛けるキャリックもフレッチャーが高い位置に進入してきてパス&ゴー。この二人の動きにつられ、スコールズがフリー。そのスコールズがルーニーにスルーパスでゴール。ちなみにずれたスコールズのマークをセードルフがサボっていた。この得点で流れが変わる。 ■前半と後半の違い ユナイテッドは攻め急がなくなった。前半は前線の選手にボールを入れる→前線の選手個人技で勝負→ミランに複数で対応され敗れる、このような展開だった。しかし、後半になるとまずは低いところでボールをキープ→前半とは違い、ミランが寄せに来ない→サイドバックも上がっていく→すると前半は数的不利だったのが同数になる。 つまり、ミランがばてた。交代選手の出来どうこうではなくばてた。これがすべてだったと思う。寄せは全体的に甘くなった。ファウルでしか対応できなくなっていった。ユナイテッドが攻撃に人数をかけ始めたことによって、ミランの選手の距離が開いてしまった。それによって、要所要所で個人勝負になり不利になってしまった。ボールを奪っても、回復点が低い位置になってしまい、。攻撃を組み立てられなくなってしまった。逆にユナイテッドはDFのラインも高く、セカンドボールを拾い波状攻撃を仕掛けていた。 ただ2人が怪我をしなければ、より疲労している選手をフレッシュな選手に交代できたかもしれない。そういった要素は確かにあるが、こんなにばてるとは思わなかった。ミランにとって苦しい状況が続く。 ■ジラルディーノ→グルキュフ 後半は何も出来なかったジラルディーノを下げ、グルキュフを投入。前線から追い掛け回して時間を稼ぐのか、カカを前線に残しておくのか。結果はよくわからなかった。それだけ意味不明な采配であった。恐らくカカを前線に上げるための交代だったのだろう。理屈はわかる。それよりも、キャリックやフレッチャーの自由を奪ったほうが良いと思うのだが。 そして逆転ゴールをルーニーが決めて試合終了。カウンターのきっかけとなった選手は悔しくて眠れないだろう。それにしてもすごいシュートだった。 ■独り言 ミランはあんなに後半になると動きが落ちてしまうのか。あれが通常の状態だとするならば、かなりやばくないかと思う。それまでの試合の流れは完璧だった。好印象に変わった。 ユナイテッドは相変わらずですね。
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posted by josepgualdiola |09:14 |
チャンピオンズリーグ/0607 |
コメント(10) |
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Re:マンチェスターユナイテッド対ACミラン
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初めまして。
分析に感服しました。
まさにその通りだと思いました。
ミランの逆転負けについては
色々個人名を挙げて戦犯にする人が多いですが、
やっぱり後半の運動量低下が原因ですよね。
前半は完璧な内容だっただけに、
後半のスタミナ切れが悔しいです。
ただ、今シーズンのミランは同様の展開の試合が多々あるので
あーまたか…と思いましたが。。
ジラルディーノ→グルキュフの交代はアンチェロッティならではの交代です。
得点を狙って勝ちに行くのではなく、
グルキュフにボールキープさせ、守りきるのが
目的だったと思います。
でも中途半端に点を取ろうとして、中途半端な攻撃で
ボールを失ってたのが痛いです。。
ボール回してれば同点で終わったのに…。
失礼しました。
posted by ミラニスタ | 2007-04-27 12:32
Re:マンチェスターユナイテッド対ACミラン
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最近毎日ブログを書いてくれて楽しく読んでいます。後半のバテっぷりはミランの選手の年齢を見れば分かると思います。ロナウドも30代(CL出れないけど)・・・なんかミランって日本社会に似ていると思います。高齢化。個人的にですが、陰ながらミランを支えていたトマソンやルイ・コスタが懐かしいです。
posted by 日本人 | 2007-04-27 15:09
3失点目の理由
コメント投稿者ID :
仰るとおりグルキュフを投入するのは「ボールをキープしろ」という意図です。
”グルキュフはテクニックが高くキープ力があるから”というのはアンチェロッティの談です。
(ただいつもはセードルフとの交代なのです。セードルフが90分プレーしたのは最近ではほとんど無かったと思います)
そしてカカは前線に残します。これもリードしてるときミランが必ずとる方法です。(アンチェロッティは殊CLの布陣においてカカはFWと明言しています)
もちろんリードしている状況なら、相手は攻めてきますから足が速く突破力のある選手がいれば一気にカウンターを狙えるので間違ってません。
ここからは推測です。
監督の思惑とは裏腹にミランの選手達は”勝てる試合だった”と思ったのではないかな、と思います。ハーフタイムに”行ける”という感覚を持っていたので同点にされて悔しく思ったのではないでしょうか。
ベルルスコーニは常に「ミランのようなチームは最後の10分間ボールを隠さなければいけない」といっていした。
そしてミランの選手達はミラノでのバイエルン戦の失敗の後ボールキープの練習を念入りに行っていましたし、その直後のエンポリ戦では2点差にも関らず80分から極端な程ボールをキープしていました。
それだけに「またか」という思いがしてなりません。
アンチェロッティはマンチェスターでの戦いを終えて「あまりに愚かで無垢だった」と極めて珍しく厳しい発言をしています。
2nd-leg、ミランは同じ戦術を繰り返すはずです。しかし同じ失敗は繰り返さないで欲しいです。
posted by サンチョ | 2007-04-27 17:06
インザーギに注目
コメント投稿者ID :
セカンドレグはインザーギに注目しているのですが、どうでしょうか?
posted by スージー スージー | 2007-04-27 18:09
Re:マンチェスターユナイテッド対ACミラン
コメント投稿者ID :
ギグス、ロナウドは守備はやはりしませんね。マルディーニ、ガットゥーゾといった選手が復帰しなければ、ミランはまずいですね。
posted by shimada shimada | 2007-04-27 20:42
Re:マンチェスターユナイテッド対ACミラン
コメント投稿者ID :
コメントありがとうございます。普段見ていないミランの試合なのでかなり助かります。
>>ミラニスタさん
あの運動量の低下はかなりびびりました。しかも同様の試合内容が多くあるとは切ないですね。
またグルキュフは役に立ってませんでしたね。
>>日本人さん
DFラインの高齢化はそこまで昨日の試合の流れに影響はしてません。ただ運動量ありそうな中盤の選手達が、いくら年齢が高いからってあれかよ、って驚きがでかかったです。
>>サンチョさん
この試合で、ジラルディーノは完全に消えていました。理由は2点あると思います。ジラルディーノ自身の理由(オフザボールの動き方、味方からの信頼)と、ユナイテッドの攻勢です。見てのとおり、ボールは前線に入らず、中盤も孤立状態、しかもジラルディーノとの距離は遠い。
この状態で前線にカカをいれ、裏へ放り込む事に関してはまったく問題ないです。ただ、そこで中盤でキープ力のあるグルキュフを入れても、キープできるわけないってな話です。
>>スージーさん
カカが前を向いてボールをうけるチャンスがかんりあったので、裏へ抜け出すインザーギは面白いと思います。ただサイドに抜け出す選手のほうが機能すると思います。
>>shimadaさん
ガットゥーゾは気合で戻ってきそうな気がします。
posted by josepgualdiola | 2007-04-27 22:31
Re:マンチェスターユナイテッド対ACミラン
コメント投稿者ID :
はじめまして。
後半のミランの落ちはマンUの攻撃のやり方が原因じゃないですかね。
前半から左右に何度も振られて、横の動きの負担が大きくなったと思います。
それに攻守に渡って中盤に頼りすぎの気もします。
基本的に自陣に引いてからの守備なんで攻⇒守にしろ、守⇒攻しろ上下の走る距離が長くなってしまうんですよね。
posted by ひまじん ひまじん | 2007-04-27 22:37
Re:マンチェスターユナイテッド対ACミラン
コメント投稿者ID :
ギュルキュフはキープというよりキャリックのマークに入ったのではないでしょうか。
ちなみに、ギュルキュフ投入前後のキャリックのボールタッチ回数を算出しそれを裏付けているサイトもあります。
ミランとしては敗因は皆さんおっしゃるとおり完全な体力不足にあると私も思います。予期せぬアクシデントで2枚もカードを切らなければ成らなかったのが全てでしたね。
特に動けるガットゥーゾの離脱はあまりに大きかった。。
posted by okb | 2007-04-29 00:02
Re:マンチェスターユナイテッド対ACミラン
コメント投稿者ID :
ガットゥーゾの交代も痛いけど、個人的にマルディーニがいなくなったことの方が大きいと思います。
この試合はボネーラの対応の悪さが問題だと思いました。カウンターを食らう場面でもマルディーニだったら防げたかと…。
個人的にはミランが有利かと思います。
マンUはDFの主力がいないのが痛いと思うんで。
ちなみに今年のマンUは取られた取り返せ的な試合で勝ってきてるのでこのままでいいかなと思います。
守備をしないためロナウドが攻撃に専念でき、これだけ活躍してるという利点もあることだし…。
posted by モラレス | 2007-04-30 01:40
Re:マンチェスターユナイテッド対ACミラン
コメント投稿者ID :
>>ひまじんさん
マンUの攻撃のやり方も原因のひとつだと思います。ただコメントした頂いた方の内容を考慮すると、毎試合ばてているようなので、自身の根本的な問題かと思います。
中盤に頼りすぎという意見には全面的に同意です。
>>okbさん
キャリックを抑えるために投入され、結果は出したようですが、流れは変わりませんでしたね。切ないところです。
>>モラレスさん
ミランがばてないための対策をしない限り、前回のリプレイが濃厚だと考えています。
posted by josepgualdiola | 2007-05-01 21:37
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