2007年04月23日

ビジャレアル対バルセロナ ~ピレスの逆襲~

 ロナウジーニョ、メッシ、エトーがスタメンで揃い踏みした試合は、未だリーガの中では負けなしらしい。この試合ではその3人がスタメン。中盤はデコ、イニエスタ、シャビ。試合を支配することはできそうだが、危なっかしい場面も増えるだろう。中盤の控えにジオしかいないのが気にかかる。シウビーニョが久々のスタメン復帰。

 ビジャレアルはマティが軽い怪我のため欠場。フォルランの下にピレスを置く布陣で臨む。注目は機能しないカニと、左サイドの若手コンビである。注目はザンブロッタ対マルコスのポジショニング争いだ。

 ■元気のないエトー

 ビジャレアルの姿勢は明確だった。なるべく前線でボールを奪いたい、でも無理だったらゴール前に壁を作ろう。バルサがDFラインでボールをまわしているときは、イニエスタや前線から下がってくる選手、両サイドバックに前を向かせない守りを見せる。いつものバルサならこれで結構苦労する。ビルドアップの場面でボールを奪われてしまう場面も出てくることが多い。しかし、この試合ではイニエスタがDFラインの前で精力的に動き回る。結果として、イニエスタが起点となって、ビジャレアルの執拗なプレスを交わしていた。

 バルサ・本日の問題はビルドアップではなく前線の選手の工夫のなさであった。本来の形ならば、相手陣内でボールも人も動く攻撃を見せる。しかし、ボールしか動いていなかった。病み上がりのわりに、ロナウジーニョのコンディションは良かったと思う。独力で崩す場面は少なかったが、周りを活かす意識が高かった。特にシウビーニョと連携はビジャレアルにとってやっかいなものだった。しかし、シウビーニョのクロスの質が恐ろしく悪く、危機的なものにはならなかった。

 メッシはホセ・エンリケ、マルコスの2人によって抑えられてしまった。ザンブロッタも効果的な飛び出しができず、この2人の連携は逆サイドに比べるとお粗末なものになってしまった。創造していたよりも、ホセ・エンリケは守備が巧かった。シャビやデコが助けにくれば状況は変わったかもしれない。

 デコ、シャビは中央によりがちになってしまった。ただ、中央のビジャレアルの守備意識は非常に高くここも抑えられてしまった。特にエトーは何もしていなかった。前節に続いて、中央だと元気がない。得意の鬼プレスも周りがついてこないので、何の意味もなかったし、そもそもあまりプレスに行っていなかった。

 アーセナルの抱える問題に似ている。自分のマークを引き連れて動く場面が多かった。単にスペースに走っても、マークがついてくることが多い。スペースを作る動き、そのできたスペースに走る動きがない。みんなボールをもらうことしか考えていないように見えた。

 それでもバルサはチャンスを作るが、ラストパスの質が悪く多くのチャンスを自分達でつぶしていた。ロナウジーニョ、エトーがキーパーと一対一の場面を作ったが好セーブに阻まれた。

 ■フォルランのワントップ

 ビジャレアルはゴール前で守る場面が多かった。それは別に問題はない。問題はイニエスタをフリーにしすぎたことだ。普通は攻撃が行き詰ると、バックパスをする。バルサの攻撃を作り直す役割はイニエスタが担っている。そこをフリーにする場面が目立った。恐らく、ピレスかフォルランがマーク担当のはずなので、後半に向けて修正したい。

 また、ターゲットが1人だけなので、前線に飛び出すには時間がかかってしまう。それでも攻撃が形になっていたのは、バルサのプレスがゆるかったからである。特に前線の中央付近は弱かった。エトーがデコシャビと一緒にセナやホシコを挟み込むように守備をしてきたらやばかった、しかし、エトーがプレスに来なかったので、デコ、シャビはセナ、ホシコにプレスに行くことができなかった。1回だけロナウジーニョが自分の持ち場を離れプレスに来る場面があった。つまり、それだけ中盤のプレスは目に余るものになってしまっていた。ビジャレアルとしてはバルサがこの問題を修正して来る前に、何とか先制点を奪いたい。

 ■ピレスの逆襲

 前半と何ら試合のペースは変わらなかった。お互い問題を修正する気はなしだ。すると、どっちが先に折れるか勝負となる。

 最初にミスをしたのはバルセロナであった。前線からのプレスによって、テュラムはボールを持たされる格好となった。テュラムの選択肢は2つ。ドリブルで駆け上がるか、前線へロングパスか。近くの選手はマークされているので、そこにパスを出すことができない。そんな状況の中、テュラムは難しいパスを選択し、敵にプレゼントパス。カウンターをくらいあわや!という状況を作られてしまう。

 バルサは相変わらずゴール前での工夫がなかった。こちらは誰かの個人技爆発待ちである。しかし、ビジャレアルの厳しいマークの前に何もできない状況が続く。そんな中、ロナウジーニョやイニエスタ、メッシがどうにかしようと奮闘しているのが印象に残った。

 そして次はビジャレアルのカウンター。メッシがビジャレアルゴール付近でボールを奪われる。メッシが必死に追いかけ、デコと挟み込む形となるがボールはフォルランに渡る。しかし、フォルランがトラップミスで攻撃は遅れてしまう。ただ、フォルランにボールが入ったことで、バルサのDFラインは下がってしまう。しかし、フォルランが自陣まで戻ってしまったため、前線の選手は下がるのをやめてしまった。ボールが自分達の近くまで戻ってきたので当たり前の反応である。つまりDFラインが臆病になってしまった。そんなに裏を取られる場面があったわけでもない。

 フォルランはDFにボールを預けて前線へ戻っていく。バルサはこのDFにプレスに行くため、3人で寄せに行くかと思ったが、ここでプレスをサボり気味になってしまう。なんてことはないパスで、一気に3人が置き去りにされ、フリーでピレスがボールを受けるとあとはノーチャンスであった。見事な形でビジャレアルが先制。見事、ピレスがチャンピオンズリーグの逆襲を果たす。

 絵に描いたような得点シーンであった。DFがピレスにボールを預ける。フォルランはそのまま追い越して行き、そのフォルランにシウビーニョが引きずられ、マークしていた選手をフリーにしてしまう。ピレスはそのフリーになった選手にパスを出して前線に飛び出していく。次に、ピレスが飛び出してできたスペースにフリーでカニが顔を出す。ピレスからボールを受けた選手はカニにボールを出し、カニはボールを受けると飛び出したピレスにスルーパス。後はキーパーと一対一である。プジョルはフォルランについていってしまい中央はがらがらであった。フォルランのボールのないところの動きがすばらしかった。

 ■どうやって流れを変えるか
 
 時間は後半の15分過ぎ。時間はまだ十分にある。状況は1点ビハインド。ボールは回っている、問題は最後のくずしの部分である。さてライーカールとはどう動くか。しかし、いつもならデコシャビイニエスタの誰かを投入し、流れを変えることができた。しかし、全員すでにピッチ上にいる。ザンブロッタ、シウビーニョの2人は攻撃的なので、ベレッチを入れてもあまり変わらない。ただ、今日のシウビーニョは調子がいまいちなので変えることもありだが、それではあまり状況は変わらない。クロスの質がよくなるくらいだ。しかし、後半はクロスまで持っていけていない。

 前線の選手を変える勇気はないだろう。エトーを下げたら怒るかもしれないし、ロナウジーニョはそれなりに良いプレーができている。メッシは国王杯でスーパープレーを披露したばかりだ。それにしてもエトーは二試合連続で微妙なパフォーマンスである。前回の試合も左サイドにポジションを移してから復活だったので、中央ではいいプレーができていない。ロナウジーニョが珍しく左サイドに住み着いていたので、得意のポジションチェンジもなかった。マークがつらそうなメッシとポジションを変えればよかったのにそれはなぜかしなかった。

 思いつくだけ交代策を書いてみると、王道はエトー→サビオラ。本日のエトーは最悪。メッシに期待を託すならエトー→ジュリでメッシを中央に持っていく。病み上がりロナウジーニョを下げるなら、ロナウジーニョ→サビオラでエトーを左サイドで復活させる。前線からの追い掛け回しを期待するならエトー→グジョンセン。スクランブルアタックにでるなら、イニエスタをメッシの位置で使い、メッシをシャビの位置、シャビにアンカーをしてもらう。ジオを中盤で使っても、問題はそれより前の選手の守備なので、あまり意味はない。よって不採用。これ以外の交代策をやってきたらたまげる。

 しかし、ライーカールトは動かなかった。先制点で勢いにのったビジャレアルに押し込まれる展開が続く。そしてライーカルトがとうとう動く。残り約15分でシウビーニョ→グジョンセン。。。さすがライカールト。予想を軽く裏切ってくれる。

 ■シウビーニョ→グジョンセン

 バルサは、ロナウジーニョを中盤に下げ、左をエトー。イニエスタを左バックにしてきた。グジョンセンとエトー、メッシの位置は流動的に変わる。周りに合わせるグジョンセンの加入によって、エトーとメッシは自分達のやりやすい場所に動いていった。メッシが中央でチャンスメイクをし、グジョンセンは最初にプレスをかける役割をしっかりと担い、前線は機能するようになった。

 しかしイニエスタ、シャビのポジションニングがあまりにも前がかっていて簡単に裏を取られるなど、崩される場面が目立った。なぜイニエスタを左サイドバックで使ったのか。正直いって、背負わなくて良いリスクまで背負っている気がする。

 そして相手のスローインをイニエスタが中途半端な対応をする。そこから2点目を奪われ試合終了。

 ■独り言

 今期のビジャレアルはリケルメ問題、新戦力の怪我人続出によって混乱状態であった。それもここに来てようやく落ち着いてきたと思う。左サイドのマルコス、ホセエンリカコンビはリーが屈指の左サイドになるだろう。右サイドもカニが計算できるようになってきた。来期にカソルラを買い戻す話もあるので、かなりあつくなると思う。ピボーテもセナ、ホシコのコンビはかなり強い。前線もフォルランを中心に、ピレス、マティ、ニハト、ホセマリを選手はそろっている。来期は相当楽しみになりそうだ。

 バルサはきつい試合となった。エトーとデコの不振が痛かったと思う。今期のデコはいいときが非常に少ない。二試合連続でエトーは中央だとよくない。これも心配。ロナウジーニョは徐々に戻ってきた。らしくない守備もしていて、少し驚いた。

 一番驚いたのはメッシであった。あんなに守備をするようになるとは。あのゴールによって中心選手としての自覚が芽生えたのだろうか。ただ、ホセエンリケに抑えられてしまったのは本人もショックだろう。一番びっくりしたのはあの交代策だ。なんだったのだろう。

posted by josepgualdiola |09:27 | バルセロナ/06~07 | コメント(9) | トラックバック(0)
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Re:ビジャレアル対バルセロナ ~ピレスの逆襲~

デコは勤続疲労、エトーは怪我の影響と理由付けは出来ますが、ピッチ外の騒動も影響してるかもしれませんね。

イニエスタのLSB・・・ジーコ日本の黄金の中盤+サントスSBの案より、意図が分かりません。

posted by クドウ | 2007-04-23 17:11

Re:ビジャレアル対バルセロナ ~ピレスの逆襲~

バルセロナはこの時期に、エジプト遠征に行くのもわかりませんね。

posted by shimada | 2007-04-23 20:20

Re:ビジャレアル対バルセロナ ~ピレスの逆襲~

前半を見ていたときはこれは勝てるなとは思ったんですがね。ロナウジーニョも悪くなかったですよね。意外にも守備もしていたし。
今回はなにか前線の最後の一押しが無かったですね。GKも当たってたかもしれないですが・・・
それにしても疲労を気にすべきこの時期になぜ無駄な遠征を・・・

posted by T33 | 2007-04-23 21:52

Re:ビジャレアル対バルセロナ ~ピレスの逆襲~

またライカーの謎の采配で負けてしまいましたね。
3-4-3で叩かれたから、デコ、チャビ、
イニエスタの共存はムリだと悟ってくれたかと
思いきや、またこの3人で廻そうとするとは。


エジプトへ行くのは、CLマネーの損失補填のためですよ。
CL連覇するつもりだったから、その収入を当てに予算を組んでたんでしょうw

取らぬ狸の皮算用ってヤツです。結局自分達の
首を絞めてるんですけどねぇ。リーガ優勝も危ないってのに・・・

posted by てぃーほりっく | 2007-04-23 22:41

Re:ビジャレアル対バルセロナ ~ピレスの逆襲~

コメントありがとうございます。

>>クドウさん
デコはスランプだと思います。今期はもう期待しません。エトーはよくわかりませんでした。確かにピッチ外でもなんかありそうです。

>>shimadaさん
金がないようですね。

>>T33さん
個人技で点を取れないとこうなる、、という試合でした。相手の守備が上手だったのもありますが、あのメンツに抑えられるようではチャンピオンズリーグ制覇は夢のまた夢ですね。

>>てぃーほりっくさん
マルケス、エジミウソン、モッタがいない状況では、あの3人の共存は仕方ないかと思います。ジオを中盤で使えばまた状況は変わるでしょうが。

アウェーで勝てませんね。ちょっとやばいです。

posted by josepgualdiola | 2007-04-23 23:25

Re:ビジャレアル対バルセロナ ~ピレスの逆襲~

前半は、そんなに悪くは無かったですよ???
4本あったチャンスが一本でも入っていれば流れは変わっていました。
デコにしても、今日に関してはかなり良くなって来ていると思います。ボール際で何回も体を張っていて、ファール結構もらってましたし。
そんなに、悪かったかな?今日は結局。最後の詰めの重要性を改めて感じた試合でした。

posted by バルセロイニエスタ | 2007-04-23 23:47

Re:ビジャレアル対バルセロナ ~ピレスの逆襲~

エジプト遠征まじで意味分からん

イニエスタのSBはちょっと疑問です。ちなみにユーロ2004の時のポルトガルも最終手段としてデコを右SBにして成功してた。あとイスタンブールのリバプールもジェラードがSBやってた。

posted by ハビエル | 2007-04-24 01:08

Re:ビジャレアル対バルセロナ ~ピレスの逆襲~

>>バルセロイニエスタさん
デコシャビイニエスタとロナウジーニョエトーメッシー使ってあれではきつくないですか。もっと試合を支配できると思ってました。

デコに関しては守備面は回りに引っ張られて微妙になってきているのかもしれません。もう少しリーダーシップを発揮してもらいたいなと。

>>ハビエルさん
デコの右SBってすごいですね。ジェラードはエッシェンのようになんなくこなしそうですが。

posted by josepgualdiola | 2007-04-24 09:04

Re:ビジャレアル対バルセロナ ~ピレスの逆襲~

トマソンは??

posted by ああああ | 2007-04-24 19:21

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