2007年02月19日
現実対理想 ~バレンシア対バルセロナ~
チェルシー対バルセロナの試合は、よく理想対現実と表現されることがある。チャンピオンズリーグで名勝負を披露してくれる両チームだが、バレンシア対バルセロナもそれに近いものがあるのでないか。 バルサのスタメンは、バルデス、ザンブロッタ、プジョル、エジミウソン、オレゲール、マルケス、デコ、シャビ、ロナウジーニョ、グジョンセン、イニエスタ。このブログでおしているイニエスタが右で先発。ライーカールトらしくない采配だ。注目はグジョンセンのスタメンと、マルケスのピボーテが機能するのか。問題のエトーはベンチにも入らなかった。 バレンシアのスタメンは、ブテル、モレッティ、アジャラ、アルビオル、ミゲル、シルバ、アルベルダ、マルチェナ、アングロ、モリエンテス、ビジャ。風邪のため、カニサレスが欠場。怪我のため、ビセンテ、バラハが欠場。 両チームの前回の対戦を簡単に振り返ってみる。前半はバレンシアの守備の前にバルセロナが沈黙、ビジャに先制点を奪われる。しかし、後半、エジミウソンをイニエスタに代えて、中盤を支配し、バルセロナが同点に追いつく。こんな試合であった。 ■バルセロナの前半戦 バレンシアは前でボールを奪うということに、あまり拘っていなかった。前で奪うというよりは、後ろでしっかり守ってカウンターを狙う。デコ・シャビにもそこまできつく当たらず、バルセロナにボール支配を譲っていた。ボールを譲られたバルセロナは、比較的自由にボールを回してバレンシアのゴール前に迫っていく。 しかし、ゴール前にバレンシア守備陣が壁を作り、ひたすらバルサの攻撃を跳ね返していた。前半はバルサのペースであったが、ほとんど決定機はなかったといってよいだろう。一度だけ、イニエスタが抜け出し、グジョンセンに良いクロスをあげたが、グジョンセンは枠を外してしまった。それのみだった。 バレンシアの守り方はいたって単純。DFラインは下げすぎず、その前に中盤の4枚がラインを形成。この2ラインで分厚い壁を作り、ゾーンでしっかり対応していた。マークの受け渡しも完璧で、非の打ち所がなかった。声も出ているのだろうし、個々の球際、守備意識が非常に高かった。 また特にDFラインがペナルティエリアの中まで下がらないように、意識していたのだろう。裏を取るにはスペースがなく、放り込むにはゴールとの距離がありすぎる。このDFラインの位置取りが見事だった。DFラインはペナルティエリアのラインまでしか下げない、それ以上下がってしまったら下がりすぎであるというのは今後も参考になるだろう。 バルセロナはそんなバレンシアの守りの前になぜ沈黙したか。理由を3つに分けてみる。 最初の理由は個々のコンディション不足だろう。要するに個人技で打開できる選手がいなかったことだ。わかりやすく言うと、目の前の敵を抜ける選手がいなかった。今までの不調時のロナウジーニョは独りよがりであった。最近は独りよがりに慣らす、周りを使うようになり、さらに自分がボールを奪われると、相手を地の果てまで追いかけるようになったが、迫力不足は否めない。また、デコも昔に比べると、サーカスプレイに走る頻度が増した。唯一、イニエスタは可能性を感じさせたが、彼にはボールが回ってこなかった。 次の理由はこのイニエスタである。彼の右が機能しているとは言いがたかった。イニエスタを右で使う最大のメリットは、中央に侵入し、ボール回しを円滑にすることである。しかし、バレンシアが引いたことによって、今日のバルセロナのボール回しはそれなりに円滑に進んでいた。よって、イニエスタが中央に行く必要がなく、右でイニエスタが出る必要がなかったのである。さらに、イニエスタが中に行く→右サイドバックがその上がったスペースを埋める、これが約束事であるのだが、本日の右のスタメンはオレゲール。まったく攻めあがってこなかった。結果として、右に張り付くことになったイニエスタに本来の怖さはなかった。 最後の理由はダイナミズムの欠如である。代表例は両サイドバックのオーバーラップのなさ。まったく上がってこなかった。バレンシアのカウンターを警戒して、上がらないという選択を取ったのだろうが、バルサらしくない。また、戦線の選手も単純なパス&ゴーが少なく、選手を追い越すような動きが少なかった。なぜこのような事態になったかはわからないが、攻め急ぐシーンも目立った。それでも攻撃はいい形で終わる場面が目立ち、それがバレンシアのカウンターを防いでいたので、決してバレンシアペースの前半戦というわけではなかった。 ■バレンシアの後半戦 バレンシアの攻撃の形はとにかくカウンターである。ボールを奪ったら前線に近い選手は全員ダッシュ!!!ボールをバルセロナのサイドバックの裏に放り込み、そこから勝負を仕掛ける。 前半戦で2度カウンターからチャンスが生まれた。両方ともアングロが絡んでいた。最初のチャンスは中盤でボールを奪い、モリエンテスが前を向いてボールを受ける。アングロが同時に右サイドを駆け上がり、そのオーバーラップに気を取られたバルサの裏をつくスルーパスをビジャに通した。モリエンテスらしくないスルーパス。このビックチャンスはバルデスの好セーブによって防がれた。ちなみにビジャのマーク、エジミウソンは途中でオフサイドをアピールし、ビジャを追うのをやめていた。。 次のチャンスは単純にアングロを使いそこからクロスで相手を崩したシーンである。地味な選手アングロだが、その貢献度は想像以上にでかい。 後半になると、もう少し前からプレスに行く場面も目立ったが、戦い方は前半戦とあまり変わらなかった。しかし、カウンターで先制点を奪う。それは狙い通りの形であった。 深い位置でバルサからボールを奪うと、一気にバルサ左サイドバックの裏へビジャが飛び出す。そのままビジャがバルサ陣内に侵入し、バルサのDFがビジャに気を取られているうちにアングロがゴール前に飛び出してきて、ビジャがそこにパス→ゴール。バルサのDFは何が起こったのか理解していないようだった。すぐさまメッシをグジョンセンに代えて投入。 そして追加点がすぐにバレンシアに生まれる。相手のクリアミスを拾い、初めての波状攻撃。それを最後はシルバが押し込み二点差。 このあとアルベルダ、デコが同時に退場し試合は荒れていく。この退場の原因は、アルベルダがメッシに後ろからスライディング→そばにいたデコがアルベルダを突き飛ばす→両者退場。なんか最近のデコはキレやすい気がする。 メッシ加入後、バルサの攻撃は個人技で徹底的に仕掛けるものになっていく。それに比例して、ゴール前でのフリーキックのチャンスが増え、最終的にロナウジーニョが1点返し試合終了。 ■独り言 オレゲールがバレンシアサポにやたらブーイングされていたけど、なぜでしょうか。まったく理由がわからない。挑発でもしたのかな。 バルセロナは相手にボールを預けても良かったと思う。昨年チェルシー戦でそのようなサッカーを披露したと思うのだが、あれは気のせいだったのだろうか。同じペースで攻め続けると、相手の集中力が極限まで高まることが多いので要注意である。エジミウソンとグジョンセンの立場が怪しくなってまいりました。 バレンシアはさすがだけど、もう少し面白いサッカーをして欲しいぞ。チェルシーのほうがまだ面白いことをやっている気がする。
posted by josepgualdiola |11:29 |
バルセロナ/06~07 |
コメント(12) |
トラックバック(0)
トラックバックURL
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/josepgualdiola/tb_ping/119
この記事に対するコメント一覧
(事務局では、サービス全体の雰囲気醸成の為、全コメントをフィルター/目視チェックし、削除等しております。見逃し等も有りますので、ご不快な思いをされた場合は、事務局宛 support@plus-blog.sportsnavi.com にご意見頂けると幸いです。)
Re:現実対理想 ~バレンシア対バルセロナ~
CL再開と共にピタリと調子を上げてきたバレンシアはちょっと不気味です。カウンターでキッチリ得点を決める集中力。流石です!
もしかしたらインテル戦が一番の好カードかもしれないですね。しかも、格上相手というのはバレンシアが得意とする所ですし…。
posted by デポル | 2007-02-19 13:05
Re:現実対理想 ~バレンシア対バルセロナ~
なんとかぎりぎり読む時間がありました。
バレンシアのプランどおりでしたね。バルセロナはメッシのみ目立ってた感じですね。オレゲールはやはり弱点となってる気が。
バレンシアはエドゥがいたときはもうちょっとカウンターと普通の攻撃を使い分けれた気がするのですが・・・
両チームの一回戦が今回CLの最注目です!!
posted by ムッチ | 2007-02-19 13:14
Re:現実対理想 ~バレンシア対バルセロナ~
スペインは多民族国家で、オレゲールは特定のある民族を賞賛するコメントをしたそうです。
故に、賞賛された民族とは違うバレンシアのファンはブーイングをした、ということのようです。
posted by 語彙 | 2007-02-19 13:17
Re:現実対理想 ~バレンシア対バルセロナ~
先日テロ死刑囚(ETA)を支持する内容を含む論文を出してしまったためスペイン中から反感を喰らってるのです。
この死刑囚も他の一般犯罪者たちと同じ扱いを受けるべきと言ったニュアンスだったんですがそれがまずかった。ETAのような微妙な問題は触れなきゃいいのにやってしまったオレゲール。
バルサは今週エトー問題で大きく揺れたわけですがもう一つオレゲール問題というのもあったのです。
ちなみにオレゲールはカタルーニャ独立を希望する左寄りな人であります。
posted by バルサファン歴10年 | 2007-02-19 18:07
Re:現実対理想 ~バレンシア対バルセロナ~
ゲームを作るエドゥ、バラハが居ないからしょうがないでしょう
そんなに裏に放り込んでたかなあ
むしろトップへの放り込みが多いような
posted by | 2007-02-19 18:16
Re:現実対理想 ~バレンシア対バルセロナ~
こんばんは
バレンシアは、怪我人が異常に多いですよね。おそらくフィジカルコーチに問題があるのでしょう。特にビセンテは、ガラスの足と呼ばれるほど、ここぞ、というときに怪我をして、長期離脱をしてしまうので、残念です。
posted by mussan | 2007-02-19 20:55
Re:現実対理想 ~バレンシア対バルセロナ~
この試合のライカールトの采配はちょっと疑問でしたね。守備を重視とゆうことでオレゲールを右、ザンブロッタを左に使ってますが普通に左にジオの方が良いと思います。
あとわかった事としてはグジョンセンは物足りなすぎですね。なんと言うか怖さが足りない。エジミウソンもなんか軽い。テュラムの復帰が待たれますね。おっしゃるとおりこの2人+モッタは立場が怪しいですね。
明るい材料としてはメッシは復活と言って良いでしょう。今季のロナウジーニョはFKが凄いからメッシがピッチにいる時間が長ければ長いだけチャンスが増えそうです。次のCLではスタメンでも良い気がします。確かに混戦になりましたがエトーがちゃんと戻ってアンカーをマルケス、CBはプジョル、テュラムで固定できれば大丈夫と信じています。
posted by T33 | 2007-02-19 23:01
Re:現実対理想 ~バレンシア対バルセロナ~
コメントありがとうございます。
>>デポルさん
インテルは今シーズン固い試合内容らしいですね。固い同士がぶつかるとどうなるんでしょうね。
>>ムッチさん
本当にバレンシアのプラン通りの試合になったと思います。バルサにはもっと悪あがきをして欲しかったですね。
>>語彙さん
情報ありがとうございます。
>>バルサファン歴10年さん
これが真相のようですね。情報提供ありがとうございます。オレゲールはたまに物議をかもす発言をしますね。『俺はカタランだからスペイン代表には入りたくない』なんてことも昔言っていました。
>>名無しさん
今度数を数えてみますわ。
>>mussanさん
ビセンテは本当になんなのでしょうか。ガラスよりもろい気もします。
posted by josepgualdiola | 2007-02-19 23:08
Re:現実対理想 ~バレンシア対バルセロナ~
>>T33さん
自分は左ジオ、右ザンブロッタがベストかと思います。ザンブロッタは右のほうが思い切って攻撃参加できるようですし、ジオは言うまでもありません。
またメッシの加入によって、フリーキックのチャンスは増えるでしょうね。あとメッシと仲良しのサビオラも同時にピッチに立てば、さらに増えるかと思います。
あとはエトーのタイミングでしょうね。
posted by josepgualdiola | 2007-02-19 23:14
Re:現実対理想 ~バレンシア対バルセロナ~
バレンシアは、デオオルノ、エドゥ、ビセンテと怪我ばかりして役に立たない選手が多いのによくやってるよね。ホアキンも不調だしね。
posted by ホーク | 2007-02-20 08:36
Re:現実対理想 ~バレンシア対バルセロナ~
はじめまして!僕もライカーの采配に疑問です!!!!
コネッホはどうした!メッシをだすならジュリよりいいのではないでしょうか?右にベレッチ、左にシウビーニョ(ロニーはシウビーニョと相性がよい気がするのですが)ジオは中盤で使いたい・・・ライカーにとってオレゲールは「守備の人」なのでしょうか?デコ、シャビ、イニはテンポが似ているので守りやすいのでは(ボールを失う事も少ないですが)?両ウイング開き過ぎ!!ウイングがオーバーラップするのが窮屈!!あと、グッディのポジショニングがいつも曖昧なのでミドルも打てません!!!
すいませんグチばかりになってしまいました。(笑)
とにかくリバプール戦が心配です。
posted by D | 2007-02-20 10:03
Re:現実対理想 ~バレンシア対バルセロナ~
>>ホークさん
ホアキンについては、取り扱い方を間違っているような気がします。デルオルノはちょっと怪我長引いてますね。心配です。
>>Dさん
リバプールが、というよりベニテスがどのようにして試合に挑むか興味心身です。
posted by josepgualdiola | 2007-02-20 23:12


