2006年09月30日
「簡単に失点したが、内容に悲観すべきところは見当たらず、最終的に自分たちのやり方を崩す必要はないと思ったのだが・・・」
試合後、大宮アルディージャの三浦俊也監督はこのように試合を振り返った。
確かに、前半に関して言えば、内容は良かったのに何がなんだか分からないうちに逆転されていた、という印象があった。大宮は前線からしっかりプレスを掛けて高い位置で奪い、「短いカウンター」を仕掛ける、という一連の約束事がなされていた。しかし、攻撃のキーマンである小林大悟があまりボールに絡むことができず、前半戦のように自由に動いてフリーの状況を作る、という工夫もあまり見られなかった。
一方名古屋は大宮の前線からのプレスに慌ててボールを失ってしまう場面が多く、ディフェンス面での不安定さを覗かせた。3バックがサイドに釣り出された時にはボランチや逆サイドの選手がそのスペースを埋めるのが鉄則だが、全体的に攻撃的な選手を配置している為か、1失点目に代表されるようにその基本事項が守られていないことが多かった。
だが、攻撃的な選手を数多く配置するということがもたらす影響は、何も悪いことばかりではない。
今の名古屋は「2点取られてもいいから3点取れ」というような攻撃的なサッカーを展開している。攻撃的な選手を中盤に多く配置することで得点のチャンスを多くしようという訳だがそこでキーマンになってくる選手がヨンセンと藤田である。
まず、ヨンセンについてだが、彼がいるといないとでは、チームの方向性が変わってしまうほど重要な役割を担っている。FWとして点を取るという役割はもちろんのこと、前線のターゲットマンとして高いレベルでのポストプレイやサイドに流れたり後方に下がってボールをもらいに行くことで杉本、本田、山口らが使えるスペースを作り出している。そうすることで名古屋の武器である中盤の選手の高いクオリティを最大限に活かすことができる。
そして藤田についてだが、元々はシャドウ・ストライカータイプの選手だが今の名古屋ではボランチとしてチームのバランスを取る「舵取り」の役割を担っている。浦和レッズの鈴木啓太やFC東京の今野泰幸と比べると決して高い守備力ではないが、的確なポジショニングで決定的なピンチを未然に防いでいる。
4-1という派手な結果に隠れがちだがこの試合でヨンセン、藤田の果たした役割は決して小さなものではなかった。
だがこの試合に限っていえば、杉本の活躍に尽きるだろう。
ハットトリックという結果もさることながら、それぞれのゴールに内容があった。特に特筆すべきは3点目のシーンで、ああいった相手のミスを見逃さないことは今後「ゴール」という明確な数字を残していく上でとても重要なことである。
こうして試合を振り返っていくと、大宮の敗戦は三浦監督の中では「偶然性」という要素が多くのウエイトを占めていたようだが、実際は「必然性」が多くのウエイトを占めていたのでは、とも思ってしまう。特に後半は攻守ともに「3人目の動き」すなわち、サポートの面で常に遅れを取っていた。そのため、攻撃では厚みが生まれずに、守備では簡単に危険なスペースへの侵入を許していた。
前半戦こそ小林大悟の獅子奮迅の活躍もあって好位置をキープしていたが、小林大悟へのマークが厳しくなり、また彼自身のコンディションが落ちていくにつれてチームの調子も下降線を辿っている。大宮にとっては、ここが最大の正念場だろう。
posted by 犬太(ケンタ) |22:59 |
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2006年09月28日
「ドーナツ化現象」とは読んで字の如く中心部が減少し、回りの部分が増加するという現象を表す言葉である。
そしてこの「ドーナツ化現象」は、日本サッカー界においても起こっている。
ここでは、「ドーナツ化現象」をいわゆる「海外組」に限定したい。まず、今現在海外でプレーしている選手を挙げると、
中村俊輔「セルティック(スコットランド)」
高原直泰「フランクフルト(ドイツ)」
稲本潤一「ガラタサライ(トルコ)」
松井大輔「ル・マン(フランス)」
中田浩二「バーゼル(スイス)」
鈴木隆行「レッドスター(セルビア)」
大黒将志「トリノ(イタリア)」
小笠原満男「メッシーナ(イタリア)」
森本貴幸「カターニャ(イタリア)」
上記の選手が挙げられる。それ以外でも福田健二など2部のチームなどでプレーしている選手をカウントすると優に2桁を超える選手が海外のクラブに籍を置いているということになる。彼らの主な特徴としては、ほとんどの選手がさほど有名ではないリーグのクラブに籍を置いている所にある。
そして過去に海外のクラブに籍を置いていた主な日本人選手の名前を挙げてみると、
三浦知良「ジェノア(イタリア)」
中田英寿「ローマ(イタリア)、ボルトン(イングランド)など」
小野伸二「フェイエノールト(オランダ)」
城彰二「バリャドリード(スペイン)」
柳沢敦「メッシーナ(イタリア)」
主に上記の選手が挙げられる。特徴としては、イタリア、スペイン、イングランドといった「世界3大リーグ」と呼ばれるリーグに所属している選手が多い。
つまり、昔は「実より名」が優先された感があり、「挑戦」という意味合いが強かった海外移籍だが、最近では「名より実」がファースト・プライオリティになっており、「挑戦」という意味合いよりも「戦力」としての意味合いが強くなっている。その最もたるが、当時フランスリーグ2部だったル・マンへと移籍した松井大輔であり、スペインのチームからのオファーを断り、チャンピオンズ・リーグに出場できる可能性の高いセルティックへの移籍を決断した中村俊輔だろう。
そういった意味では「ドーナツ化現象」という言葉よりも、「むしろ鶏口となるも牛後となるなかれ 」──「海外組の鶏口牛後化」という言葉の方がふさわしいだろう。つまり、「名」を求めて強豪と呼ばれるクラブや出場機会に恵まれないクラブを選択するよりも、「実」を求めてレベルはやや劣るかも知れないが常時出場が可能なクラブを選択し、チームの中心選手になるという方法である。
もちろん、世界の中での位置づけがそれほど高くないクラブに籍を置いたところで常時出場が保障されている訳ではない。なぜならそのクラブに所属しているほとんどの選手が「牛後」から「鶏口」への昇華を望んでいるからだ。その中で「鶏口」を勝ち取ることは容易なことではない。
だが、現に中村俊輔、松井大輔はすでに「鶏口」を勝ち取っている。そして高原直泰、稲本潤一、中田浩二といった選手達もまもなくそれを勝ち取ろうとしている。これは、Jリーグ創設から13年、そして三浦知良の「挑戦」から12年──日本のサッカーが世界に認められてきている、という1つの証明だろう。
posted by 犬太(ケンタ) |13:09 |
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2006年09月23日
以前、「川崎フロンターレvsジュビロ磐田」のコラムで、「川崎にとっては得意分野である撃ち合いに負けたこと、そして先制した試合で今シーズン初めて勝ち点3を失ったことと、今後に影響を及ぼしかねない負け方だった。」と書いたが、皮肉にも、それが現実のものとなってしまった。
まず、ナビスコカップ準決勝第2戦の川崎について軽く触れておこう。前半は千葉の連動性に富んだ攻撃への対処に手こずり、2点を失ったものの、後半は川崎が主導権を握り、マギヌン、ジュニーニョのゴールですかさず試合を振り出しに戻す。しかしその後は攻めがやや単調になり、決め手を欠く。そして延長戦終了間際に痛恨のPKを献上してしまい、ジ・エンド。試合内容としては決して悪いものではなかったが、今シーズン安定していた守備が立ち上がりに明らかに破綻をきたしていたことが気がかりだった。
そして迎えたガンバ大阪戦、その気がかりは、はっきりとした形となってしまった。
立ち上がりに関して言えば、川崎ペースだった、と言えるだろう。我那覇がポストになり、そこを起点にして両サイドから崩していくといういつもの川崎の形が随所に見られていた。だが、あくまで「立ち上がりに関しては」である。
試合が進むに連れ、少しずつ、しかし確実にガンバペースへと移行していった。遠藤、二川が攻撃の起点となり播戸、マグノ・アウベスが裏を狙ってよりゴールに近い位置で仕事をする。我那覇のポストプレイから攻撃が展開されていく川崎とはまた違った攻め方だった。
そして川崎に退場者が出たことで数的優位を得たガンバは、一気に攻撃の速度を上げていった。サイドバックの加地が右サイドをえぐり、折り返したボールにこれもサイドバックの山口が合わせたかと思えば、今度は山口がポスト直撃の強烈なミドル。ゴールへの匂いは敏感になっていった。そして36分、二川のミドルシュートを相澤がファンブル。それを播戸が見逃さず、5試合連続となるゴールを決めた。一見ごっつぁんゴールに見えなくもないが、常に相手のミスを想定して詰めていなければ絶対に生まれないゴールである。
川崎は我那覇が前線で確実にボールを収めていたが、1人少なくなったことで後方からの押し上げが少なくなり、どうしても遅攻になってしまう。さらにジュニーニョが負傷退場してしまったことで完全に攻め手を失ってしまった。こうなると川崎は防戦一方でディフェンスはもはや決壊寸前だったが、キャプテン・伊藤の獅子奮迅の活躍によりどうにか1点差で前半を折り返した。
だが、ガンバはしたたかだった。
後半開始僅か1分、クリアボールのミスを遠藤から二川へと繋ぎ、追加点。相手のミスを点に結びつけるのは、さすが王者と言った所か。川崎は後半から3ボランチ気味にし、中村、谷口がより飛び出せるような戦術を採ったが、この1点でプランが完全に狂った。
その後は、まさにガンバの「お祭り」。後半6分、26分とマグノ・アウベスが立て続けにゴールを奪い、終わってみれば、4-0。まさに「グウの音も出ない」強さだった。
早い時間帯で数的優位を得たことがガンバにとって大きなアドバンテージとなったことは確かだが、数的優位を得るとチーム全体が前掛かりになってしまい、えてしてカウンターを喰らいやすい。しかし、明神、橋本がチームのバランスをとり、またセカンドボールに対する反応、ポジショニングが良い為に、川崎の武器であるカウンターを見事なまでに消していた。個々がそれぞれの役割を理解し、それを確実に遂行できるのが今のガンバの強さの秘訣だろう。
昨年の強さとはまた違った強さを見せているガンバ大阪。去年は終盤優勝争いの中でのプレッシャーに苦しんだが、そこで得た経験は計り知れない。その経験こそが、必ずや終盤戦に生きてくることだろう。
posted by 犬太(ケンタ) |22:59 |
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2006年09月22日
今、ジュビロ磐田が変わろうとしている。
ドゥンガ、中山らを擁して年間王者に輝いた1997年から7年。その間、メンバーが大きく入れ替わることは無かった。中山、藤田、名波、田中、福西、そして海外移籍を果たした高原といった選手達が「ジュビロ磐田黄金期」を支え続けた。その間、Jリーグ年間優勝3回、得点王3回、Jリーグ年間MVP4回。ジュビロ磐田は数々の栄光を手に入れた。
だが、「盛者必衰」という言葉は、ジュビロにも当てはまった。
これまでチームを長年支え続けた選手達の年齢が上がったこと、選手の入れ替わりがほとんどなかったことによるチームのマンネリ化も相まって成績が落ち込んだ。
そこでまずチームが採った方針──それは、「外部からの注入」だった。そのシーズンオフにジェフ千葉から村井、茶野、チェ・ヨンスといったジェフの中核を担っていた選手を獲得。さらに、ノアシェランから川口能活も獲得し、外部からの刺激によって内部の活性化を図った。
しかし、迎えた2005年シーズンも優勝争いに絡むことなく年間6位という成績に終わった。レアル・マドリードに代表されるように大型補強による選手の入れ替えが必ずしも好成績に繋がるわけではない、ということを実感した。
そして2006年、チームの方針は1つの方向に定まった。「ユース年代の強化・育成を重視する」
ジュビロはこれまで新人選手の獲得を藤田、名波、服部に代表される大卒勢、前田、菊池、成岡、大井などに代表される高校勢に頼っていた。特に菊池、成岡、大井の世代は3選手とも年代別の日本代表に選出されていたことから、ジュビロの将来は安泰だと思われた。しかし、彼らが現段階で黄金期を支え続けた選手達を越えたとは言い難く、その間にガンバ大阪から大黒将志、ジェフ千葉から佐藤勇人、横浜F・マリノスから坂田大輔など各クラブのユース出身者から後にA代表に名を連ねる選手達が頭角を現してきた。
ユース出身者のメリットとしては、ポジション別の育成が出来ることが挙げられるだろう。高校生で注目を集める選手は、10番タイプの選手やエースストライカーが多い。そのため、サイドバックやGKなど、特殊な適正が求められるポジションの選手が注目を集めることは少ない。さらに、常にクラブチームの管轄で練習しているため、選手の性格からポジション適正まで的確に見極めることが出来るというメリットがある。
そして迎えた2006年シーズン、チームは現在7位というポジションにつけている。圧倒的な運動量でピッチを縦横無尽に駆け回る太田、2005年ワールドユースにも出場した船谷、U-21代表候補にも選出された上田などユースから着実に選手が育っており、特に太田はチームの中核を担う選手にまで成長した。
黄金期を支えた藤田、奥、高原といった選手は今のチームにはいない。だが今後、前田、カレン・ロバート、菊池、成岡ら高卒のプレイヤーと、太田、船谷、上田らユース出身者達、そして服部、福西といった黄金期を支えた選手達が持つ"勝者のメンタリティー"を上手く融合することが出来たとしたら、再びジュビロに「黄金期」が訪れる日が来ることもそう遠い話ではないだろう。
posted by 犬太(ケンタ) |00:21 |
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2006年09月20日
「日本人にはハングリー精神が足りない」
日本人がこう言われ続けて何年経過したことだろうか。ハングリーとは「空腹」の状態を指すが、飽食の国・ニッポンでは餓死など滅多にないし、「ハングリー精神」とはなんぞやと言われても実感が湧かないだろう。ただ、この選手のプレーを見ていると「ハングリー精神」が何たるものかというものが見えてくるような気がする。
常にゴールを見据えるギラギラとした眼差し。相手DFを翻弄する圧倒的な体のキレ。「こんなんじゃアカン」「まだまだ」「休んだら終わり」試合後のインタビューで発せられる言葉からも分かるように一寸の心の隙も感じさせない心。今の彼には「心・技・体」が何一つ欠けることなく備わっている。
今シーズンの道のりは決して平坦なものではなかった。大黒将志、アラウージョの両エースが抜けた今シーズン、J2降格の憂き目に遭ったヴィッセル神戸から古巣・ガンバ大阪に迎えられた播戸は、大分トリニータから移籍してきたマグノ・アウベスと共に退団した両者の穴埋めを果たす役割を任された。
その期待に応えたのは、マグノ・アウベスだった。フィットするまでに時間を要するかと思われたが開幕からゴールを量産し、セレッソ大阪との大阪ダービーではハットトリックを達成するなど、穴埋めと呼ぶには失礼な活躍を見せた。
その一方で、播戸はスタメン出場すら厳しく、途中出場の日々が続いた。準優勝を果たした1999年ワールドユースに選出され、2004年には17点を挙げた播戸にとって、それは屈辱だった。
だが、播戸は挫けなかった。そしてワールドカップによる中断明け後のJリーグで、彼の試合とゴールに対する「飢え」は、ついに解放された。12試合で、12ゴール。いままでの鬱憤を晴らすかのような活躍ぶりに、周囲は色めき立ち、代表入りを推す声も聞かれ始めている。
しかし、今の播戸にそんな余裕はない。「オシム監督より、西野監督にアピールしないと」と、保障されているとは限らない自分のポジションに対する危機感を持ち続けている。それも、ベンチスタートの多かった序盤の経験から来るものだろう。
その滾ることのない「ハングリー精神」がある限り、播戸の口から「まだまだ」という言葉が聞けなくなる日が訪れることはないだろう。例え、得点王に輝いたとしても、日本代表に選出されたとしても。
posted by 犬太(ケンタ) |19:00 |
Jリーグプレイヤーズコラム |
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2006年09月18日
この試合、前半は北朝鮮の圧倒的なフィジカル、スタミナに対処できず、あっさりと2点を失った。北朝鮮は戦術的には前線のアンに当てるだけのシンプルなもので、つなぎとは無縁のサッカーだったが、とにかくフィジカルが日本の選手に比べて2回り程違うので、それでもなんとかなってしまっていた。
一方、日本は攻撃しようにも北朝鮮の選手のボールへの寄せが早く、そして厳しいものだったので、チームのコンセプトである「人もボールも動くサッカー」が全く出来ていなかった。それでも、2点目を取られて以降はボールが繋がるようになり、北朝鮮を翻弄する場面が度々見られた。
そして後半、日本が反撃を開始した。
反撃ののろしを上げたのは、参加している中で唯一のプロ選手、セレッソ大阪の柿谷だった。バイタルエリアの左あたりでボールを受けると、絶妙なボールコントロールで相手を抜き去り、最後は右足のアウトに掛けてゴール右へと突き刺した。ため息が出る程の、スーパーゴールだった。
後半も半ばに差し掛かり、運動量が急激に落ちた北朝鮮に対して、日本は「人もボールも動くサッカー」を存分に発揮し、大塚、端戸、水沼、山田、岡本らが我先にと言わんばかりに積極的にゴール前へと飛び出していった。そして柿谷からのスルーパスを受けた端戸が貴重な同点ゴールを挙げ、とうとう試合を振り出しに戻した。
こうなってくると北朝鮮も守ってばかりはいられない。運動量が低下したとはいえフィジカルの強さ、個の能力が落ちることはなく、終盤にはカウンターからあわやのシーンを作り出した。
試合はこのまま延長戦へと突入したが、この試合日本の運動量が急激に低下することはなかった。特に水沼のスタミナは驚異的で、決してサボることなく攻守において献身的な働きをしていた。
そして延長戦後半、東京Vユースの河野が投入された。そして、それが試合の分かれ目となった。
小柄ながらもキレのある動きで北朝鮮を翻弄し、前線のありとあらゆるポジションに顔を出していた。北朝鮮は河野の動きに全くついていくことが出来なかった。
そしてゴール前で水沼とのワンツーで抜け出し、シュート。見事に決勝ゴールを挙げた。そしてその後もカウンターからまたしても河野が左足アウトサイドで流し込み、勝負あり。日本が優勝の栄冠を勝ち取った。
中学から高校をまたぐこの世代の強化は日本サッカーにとっての永遠の課題と言われていたが、今回優勝と言う最高の結果を残せたことは大きな収穫と言えるだろう。しかも、決して個の力に依存することなくチームとしてしっかりとした「スタイル」を持ち、それを貫いた上での優勝というのは今後この世代が世界で戦っていく上で、大きな自信となったことだろう。
posted by 犬太(ケンタ) |16:56 |
日本代表コラム |
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2006年09月18日
あいにくの大雨となったこの試合だったが、「壮絶」という言葉がピッタリな試合内容に"水を差す"ようなことはなかったようだ。"雨ニモ負ケズ"にスタジアムに足を運んだサポーターの方々は「勝ち組」と言えるだろう(行けばよかった・・・と激しく後悔しました)。
立ち上がりから積極的だったのは、アウェーの磐田だった。リーグ随一の攻撃力を誇る川崎相手に引き分け狙いの受動的なサッカーをするのではなく、能動的なサッカーをしていた。太田がピッチを右へ左へ縦横無尽に駆け回り幾度となくチャンスメイクをすれば、監督がアジウソンに替わってから攻撃的なポジションを任されるようになった福西が積極的な飛び出しで何度もゴールをおびやかした。
一方ホームの川崎は、怪我で戦列を離れていた寺田が久しぶりに復帰したが周囲との連携がいまひとつで度々決定的なシーンを作り出してしまっていた。カップ戦を見据えて中村に替わって原田、マギヌンに替わって今野がそれぞれ先発出場を果たしたものの効果的な働きがあまりなく、いつものような連動性のある攻撃が出来ずにいた。
それでも、先制したのは川崎だった。
悪い流れの中でもワンチャンスで点を取れるのが今年の川崎の強みだろう。ジュニーニョが田中にボールを奪われたがすぐさま取り返し、我那覇へとつなぐ。そして我那覇はパスではなくシュートを選択し、そのままゴール右隅へとボールを突き刺した。以前我那覇のコラムを書いた時にシュートレンジを広げることが今後の課題、と書いたが、このゴールで我那覇はまた新たな可能性を示した。
こうなると今シーズン先制した試合では負け知らずの川崎ペースとなる所だが、悪しき流れは一向に改善されない。逆に磐田はさらに攻撃への比重を高めていった。そしてやはり、とでも言うべきか、太田のクロスを相澤が弾いた所を福西が押し込み、前半のうちに磐田が同点に追いついた。このままの流れで行けば、逆転は時間問題かと思われた。
しかし、後半から中村憲剛がピッチに入ると、川崎を取り巻く「空気」は、一変した。
前半全くといっていいほど攻撃を組み立てることが出来なかった川崎が、中村がボールを持つことによって前線が流動的に動くようになり、それに呼応して森、マルコンの両ウイングバックも積極的にゴール前へと進出していった。そして中村もいつもよりポジションを1つ前に上げられたことで積極的にシュートを放ち、チームを動かすと同時に、スコアボードまでも動かそうとしていた。
そしてスコアボードが動いたのは、中村が投入されてから僅か6分後のことだった。CKからのこぼれ球をジュニーニョが押し込み、勝ち越しに成功した。それまで神がかり的なセーブを連発していた川口でもこれは止める事ができなかった。
しかし、これで川崎に気の緩みが生じたのかどうかは定かではないが、この試合ここまで全く上がれなかった服部が攻め上がって折り返したクロスにカレン・ロバートが飛び込み、傾いたスコアを再びイーブンに戻した。しかし、依然として川崎の方にまだ流れがあった。
だがこの試合、「空気」を変えることができる男が、まだいた。中山雅史が投入されたことで、磐田を取り巻く「空気」が一変した。
中山が前線で献身的に動き回ることでスペースが生まれ、後半に入ってから「消える」時間帯が多かった太田がボールに絡むようになった。そして後半33分、その太田のシュートのこぼれ球を前田が押し込むがポストに嫌われ、チャンスは潰えたかに見えたが、中山がヘディングで押し込み、ついに磐田が勝ち越しに成功した。中山らしい、相手を恐れない勇気が生んだゴールだった。
その後はやや大味な展開になり、互いに1点ずつ入れ、結局4-3というスコアでアウェーの磐田が壮絶な撃ち合いをものにした。
この試合特に目立っていたのが、磐田の3得点に絡んだ太田だった。前線で精力的に動き回り、ここぞという時には積極的に勝負を仕掛けていった。サイドアタッカーが少ない日本人の中で太田のような選手は貴重な存在だ。
そして両チームにおける決定的な差となったのが、GKだった。相澤がディフェンスとの連携が上手くいかなかったり雨で滑るボールへの処理がおぼつかなかったりしていたのに比べ、3点を失ったものの川口は再三に渡るファインセーブもさることながら、飛び出しのタイミングやポジショニングなど、さすが、と思わせるようなプレーが目立った。相澤のように高さのあるGKはそうはいないので、相澤にはこの試合での経験を生かして、少しでも川口との差を詰めていってもらいたいものである。
川崎にとっては得意分野である撃ち合いに負けたこと、そして先制した試合で今シーズン初めて勝ち点3を失ったことと、今後に影響を及ぼしかねない負け方だった。川崎としては、ナビスコカップ準決勝までの限られた時間の中で気持ちの切り替えが出来るか否か、そこに焦点が絞られてくる。そういった背景を考えると、次のジェフ千葉戦は、色々な意味で今シーズンを占う1戦となるかもしれない。
posted by 犬太(ケンタ) |00:07 |
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2006年09月14日
「黄金世代」1979~80年に生まれた小野伸二、稲本潤一、高原直泰、中田浩二、小笠原満男といった後に世界へと戦いの場を移して行った選手を擁し、1999年のワールドユースで準優勝に輝いた世代の俗称である。
しかし、彼らとは別の道を歩んだ79年生まれの選手達、いわゆる「遅れてきた」選手達の活躍が最近目立っている。ドイツワールドカップにも出場した坪井慶介、巻誠一郎、新生日本代表に選出された羽生直剛などがその例だ。
敏感な方なら既に気づいていると思うが、彼らにはある共通点がある。それは
「大卒」である、という点だ。そう考えると「遅れてくる」ことにも納得が行く。事実、「黄金世代」においてワールドユース、シドニー五輪に召集された選手の中にいた大学生は、ワールドユース時に召集され、本戦まで参加した石川竜也1人だった。
そして「大卒」の選手の中からまた1人、「遅れてきた」選手がやってきた。
堀之内聖──昨シーズン途中からレギュラーの座を確保し、今シーズンも闘莉王、坪井といった代表勢と並んでリーグ最小失点と鉄壁の守備を誇る浦和レッズ不動のセンターバックである。
「7人の侍」という言い方もされた代表7人衆に加え、小野伸二、ワシントン、ポンテら実力も名前も取り揃えた選手達が揃うチームの中にあって、「堀之内聖」という名前は決して知名度の高いものではないかもしれない。しかし、チーム内における「堀之内聖」という存在は極めて重要な位置にある。
フィジカル面で特筆すべき点はないものの、最大の長所とも言えるクレバーさを生かした優れた戦術理解力、的確なポジショニングでチームに極上の安定感を与えている、いわば「縁の下の力持ち」的存在である。
そして彼の的確なポジショニングはセットプレー時に生かされる。今シーズンはまだ1得点を挙げるにとどまっているが、天皇杯決勝でのゴールなど、ここぞという時での貴重なゴールが多い。ちなみに、リーグ戦で彼がゴールを挙げた試合で負けた試合は1度もなく、「堀之内が決めると負けない」不敗神話が続いている。
さらに彼はディフェンダーの宿命とも言える警告を今シーズン1度も受けていない。これは今シーズンセンターバックでレギュラーを張っている全チームの選手の中では堀之内ただ1人である。
ただ、このクリーンなプレーが今後堀之内がステップアップを果たす上でメリットになる可能性もあるし、デメリットになる可能性もある。というのも、国際基準のレフェリングと日本のレフェリングは明らかに差があるからだ。日本ではファウルになっていたプレーが国際試合では流される、ということは日常茶飯事である。浦和レッズは来年ACLに参加する。そういった観点から考えれば、もっと球際で相手に寄せて厳しいプレスを掛けてもいいのにな、と思ってしまう。
これまで日本人のセンターバックにはフィジカルに優れ1対1に強いタイプ、カバーリング能力に優れたスイーパータイプなど様々なタイプのセンターバックが存在したが、堀之内のようなタイプのプレイヤーはいなかった。そういった意味でも、堀之内が今後どのようなセンターバック像を確立していくのか、非常に興味深い所である。
posted by 犬太(ケンタ) |23:32 |
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2006年09月13日
野球界においては、2000本安打を達成した横浜ベイスターズの石井琢朗のように、プロ入り後に投手から野手へ転向し、その類稀な才能を発揮する場合がある。同様に、サッカーにおいてもそのようなケースは多々起こる。
その中でも1番多いのが、FWからの転向である。
具体的な例を挙げてみると、「アジアの壁」と呼ばれた井原正巳は高校まではFWだった。ドイツワールドカップに出場したジュビロ磐田の福西崇史も同様で、ジェフ千葉の山岸智はJユースカップで得点王になったほどの実績をFWで残しており、大分トリニータでルーキーながら右サイドを務める高橋大輔もFWからの転向組である。
では、「元FW」の選手の持つメリットとは一体何だろうか?
一番には、やはり攻撃力が挙げられる。井原はリベロとして攻撃参加も積極的に行なっていたし、福西のセットプレーでの得点能力は日本代表においても大きな武器となった。山岸、高橋はサイドというポジションながら積極的にゴール前に顔を出し、前者は5点、後者は3点を現時点で獲っている。
そして意外なことかもしれないが、FW上がりの選手に懸念されるであろうディフェンス能力はそこまで低いものではない。井原については説明をするまでもないし、福西は主にディフェンス面での働きを求められていたように、1対1での強さ、鋭い読みを持っている。FWにも守備が求められる現代サッカーにおいては1対1においてはあまりポジション間でのディフェンス能力の差は無いのかもしれない。
では、FW上がりの選手にデメリットが無いのかと言われればそうではない。
本職でやっていた選手との大きな差は「状況判断能力」と「ポジショニング」だろう。どれだけ攻撃に魅力があって守備もそれなりにこなせるからといってもそのポジションにおける「状況判断能力」と「ポジショニング」は、やはり本職の選手に比べて劣る、と言わざるを得ない。例えばCBの選手ならラインコントロール、ボランチの選手ならカバーリング、サイドの選手ならオーバーラップのタイミング、といった部分である。
ただ、こういった部分は経験と共に徐々に改善されていくものである。1番良くないのは、そのポジションに求められることに対してあまりに忠実になり過ぎて、自分にしかない長所──攻撃の意識とゴール前での得点感覚を失ってしまうことである。
現代サッカーにおいて、攻撃しかできない、守備しかできないという選手に対する需要は決して多くはない。FW転向組に限らず今後サッカー界で生き残っていく選手には「スペシャリスト」以上に「ゼネラリスト」が多くなるのではないだろうか、と思う。
posted by 犬太(ケンタ) |17:55 |
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2006年09月12日
マリノスが日産だった時代、抜群のリーダーシップを発揮し、日本代表でもキャプテンを務めた、柱谷哲二。
「アジアの壁」と呼ばれ、フランスワールドカップで初出場の日本代表のキャプテンを務め、日本における「リベロ」の概念を形成した、井原正巳。
現在横浜F・マリノスのキャプテンを務め、日韓共催ワールドカップにも出場した、松田直樹。
そして松田直樹に「まるで若い頃の自分を見ているようだ」とまで言わしめる選手がいる。
栗原勇蔵──新生日本代表の初陣・トリニダード・トバゴ戦で代表デビューを果たした選手である。
元々高いポテンシャルと屈強なフィジカルには定評があったものの、足元の技術やポジショニングに難があり、レギュラー定着までには至らないシーズンが続いた。しかし、2004年のACLでは4試合に出場し2得点を挙げるなど、将来への希望を抱かせるようなスケールの大きさを随所に披露していた。
そして迎えた今シーズン、遂にレギュラーの座を確保し、中澤、松田とともにJ屈指とも言われる3バックを形成している。
だが、まだ彼のプレーには荒削りな部分が目立ち、松田、中澤あたりと比べると現時点では実力的に一枚下だと言わざるを得ない。実際問題、代表に選出された今でも松田、中澤が栗原を「教育」している段階だろう。ただ、松田のフィードキックの精度やラインコントロール、中澤の1対1での強さやゴール前でのポジショニングの上手さはJリーグの中でもトップクラスなので、身近に良いお手本がいることは栗原にとって幸運である、という言い方も出来る。
あと彼の改善すべき点を挙げるとするならば、ラフプレーが目立つことだろうか。早速、とでもいうべきか、代表デビュー戦でも相手選手を担架送りにしてしまった。Jリーグではラフプレーの数は以前よりは減少したように思えるが、まだまだ不用意なファウルが多い。ファウルなしでボールを奪取する事が出来れば次の攻撃へと繋がるというメリットがあるので、今後彼にはなるべく不要なファウルを減らすことが求められる。
ただ、これはあくまで「現時点」での話である。彼の荒削りながらもスケールの大きいプレーを見ていると、今後の伸びしろ如何では偉大な先輩達を超えるだけの可能性を感じさせる。
数々の"武勇伝"が物語っているように、彼の負けん気の強さ、気持ちを前面に押し出したプレイスタイルは日本人にはなかなかいない貴重なタイプの選手である。松田、中澤という偉大なCB2人の良い部分を吸収して、今後栗原には順調に成長していってもらいたいものである。
posted by jleagecolumn |18:32 |
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