2007年02月28日

U-22日本代表vsU-22香港代表~大きなミスが命取りにならなかった幸運。~

緒戦の戦い方が非常に難しいことはワールドカップのグループリーグでも証明されている。そういった意味では勝ち点3という最低条件をクリアしたことは誉められるべきである。それは、相手が明らかな格下であっても、である。

それでも、反町監督の言うように「収穫は勝った事だけ」と言わざるを得ない。北京五輪出場権獲得へ向けて、期待よりも不安が募った1戦だった。

この日の日本のスタメンはアメリカ戦でボランチを務めた本田拓に代わって青山敏が入った以外に顔ぶれに変動はなく、怪我人を除くとこの布陣が現時点でのベストメンバーであることを示唆していた。特に水本、伊野波、青山で形成される3バックはここの所ずっと固定されており、現在の日本代表内で最も厳しい牙城と言えるだろう。

先週のアメリカ戦でビルドアップの意識の低さを指摘されたDF陣は、立ち上がりから縦への意識を持った意図のあるパスを何度も供給していた。立ち上がりにロングボールを多用したのはアメリカ戦と同じだが、今日は特に伊野波のフィードキックの精度が高く、サイドへ効果的なフィードを送っていた。

効果的なフィードを送ることが出来た要因の1つには香港代表のラインの高さがあった。しかもラインを高く設定している割にはプレスがほとんど効いておらず、日本の3バックが余裕を持った状態でボールを保持することができ、裏のスペースへフィードを送り、前線の3人がラインの裏を取る回数も次第に増えていった。

最初の得点も裏のスペースを取った形から生まれた。11分、カレンの左足でのスルーパスに平山がオフサイドラインギリギリで抜け出し、先制点を挙げた。平山は5分にも水野の浮き球でのスルーパスに同じような形で抜け出しており、新たにプレイスタイルの幅を広げる結果となった。

裏を突いた形はなおも続く。先制点から2分後の13分にはカレンが自陣から送られたスルーパスに抜け出し、ポスト直撃のシュートを放つ。22分にも水野から浮き球のスルーパスを受け惜しいシュートを放っていたように、攻撃に対する意識が高かった。また労を厭わないディフェンスも健在で、自陣まで戻ってボールを奪う場面も見られた。

裏を狙う一方で、逆に日本が裏を狙われピンチを招くシーンも度々あった。その傾向が顕著だったのが日本の左サイドで、本田圭の戻りが遅れたことでクロスを上げさせてしまっていた。この日の本田圭は得意のセットプレーもキック精度を欠き、好守の切り替えという点でも不満が残った。

後半に入ると、日本は李に代えて家長を投入し、練習でも試されていたFWのポジションで起用された。アメリカ戦でも途中出場ながらキレのあるドリブルで相手を翻弄しており、流れを変える役割として期待されての投入であると言える。家長は投入された直後に早速左サイドをドリブルで切り裂き、これで流れは日本に大きく傾くかに見えた。

だが、後半に入り香港は前半でも随所に披露していたフィジカルの強さ、球際の強さでその流れを断ち切った。攻撃自体にそれほどバリエーションはないもののボールに対する執着心がプレーに表れていて、57分の競り合いのシーンや58分のバックパスに対するプレスなど得点の匂いを感じさせる場面もあった。

それでも日本は66分、水野が個人技で持ち込み、最後はフリーの梶山が落ち着いてゴール右隅に流し込み、2点にリードを広げる。すると、疲れから運動量の落ちた香港に対しようやく連動性溢れるプレーが見られるようになり、83分には途中出場の増田がダメ押しとなる3点目を決め、試合に決着をつけた。

「今までの試合の中で1番監督が怒っていた」というのは試合後の梶山の弁だが、とにかく目に付いたのが、軽率なプレーの多さだった。あやうく失点しそうだった松井のプレーをはじめ、中盤で簡単にボールを失ったりファウルスローをしたりとミスのオンパレードだった。相手が香港だったので失点という形にはならなかったものの、最終ラウンドとなるとそうはいかない。この試合が教訓となってくれれば良いが、それが改善されないようだと、オリンピック4大会連続出場の道は拓かれないだろう。

posted by 犬太 |21:35 | 日本代表コラム | コメント(5) | トラックバック(2)
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2007年02月28日

Jクラブ総括2006~浦和レッズ編~

12月2日、隙間なく埋め尽くされた埼玉スタジアム2002。そのバックスタンドに作られた人文字によるエンブレム。そのインパクトは2004年、初のステージ優勝がかかった駒場での対名古屋戦でのグラウンド一面を埋め尽くした紙吹雪のそれにも匹敵するものだった。

上記のエピソードに代表されるように、浦和に優勝をもたらした大きな要因の1つに、熱狂的なサポーターの声援があったことは言うまでもない。昨シーズンホームで無敗と圧倒的な強さを見せ、その声援はアウェーの地をも包み込んだ。「浦和と対戦するクラブはどこもアウェー」であるかのような状況を作り出した熱狂的なサポーターの功績は計り知れないものがあった。

思えば、昨シーズンの浦和に置かれた立場は非常に難しい立場だった。天皇杯を制し、ワシントン、小野、相馬、黒部といったタレントを補強。シーズン直前のゼロックス・スーパーカップではガンバに3-1と完勝し、ダントツの優勝候補に挙げられていた。

そういった周囲の期待やプレッシャーは、ギド・ブッフバルトに優勝という義務を与えた。優勝するためには、勝ち点をより多く積み上げる必要がある。そこで必要になってくるのが「点を取られないこと」だ。1試合平均0点台という鉄壁の守備の源は、リーグ最強の3バックだけでなく、個々の選手の高い守備意識に基づいたものだった。

その一方で、試合内容に対して「つまらない」という声もあったことも確かである。これに関しては戦術の1つであるので守備的=つまらない、攻撃的=面白いという価値観自体どうかと思うのだが、個々の能力への依存度が他チームに比べて高かったことは確実に言える。攻撃が手詰まりになった際に闘莉王を前線に上げ、ひたすらロングボールを入れることが多かったように、攻撃のバリエーションが豊富でなかったことも「つまらない」という声を後押ししてしまったのだろう。

だが、結果としてチームは優勝してしまった。攻撃での連動性という点では川崎やガンバに比べて劣っており、守備での連動性も清水の完成度と比較して決して高いとは言えなかったが、それでも頂点を極めてしまった。言い換えれば、チームとして完全に熟する前に優勝したということだ。今振り返ってみると、前評判通り頭1つ抜けていたのだろう。

そして闘莉王、ワシントンといった主力を欠いた天皇杯も返す刀で連覇を成し遂げた。ギド・ブッフバルトがチームに植えつけようとした「勝者のメンタリティー」は、ほぼ身に付いたと言ってもいいだろう。この天皇杯連覇を置き土産に、3年間チームの指揮を執ったブッフバルトはチームを去ることとなり、後任には浦和での監督経験を持つオジェックが任された。

2冠を達成したチームの指揮官を任されるプレッシャーは相当なものがあるはずだ。さらに今シーズンはクラブがプロジェクトチームを立ち上げるほど力を入れているACLが控えている。加えて代表選手を多く抱えるクラブであるだけに、代表に時間を取られることも予想され、例年以上に厳しいシーズンが待ち構えている。ゼロックス・スーパーカップでは仕上がり・連携の危うさを感じさせたが、開幕戦までにいかにしてそれを高めていくのだろうか。

さらに昨年世界のビッグクラブ「トップ10」入りを果たしたようにクラブ規模もどんどん大きくなっており、「ACLとの両立が出来ませんでした」という言い訳は絶対に許されない。「地域密着型」で大きくなっていった浦和が、今シーズンはJリーグでは王者として、ACLでは挑戦者としてどのような戦いぶりを見せてくれるのか。今シーズンも浦和が話題の中心となることは間違いないだろう。

posted by 犬太 |09:56 | Jクラブ総括2006 | コメント(3) | トラックバック(1)
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