2007年02月04日

左前方にいたおっちゃんの、馬券を見つめる目。

東京競馬場に来るのは、かれこれ半年ぶりぐらいになるだろうか。最近は専らウインズ族なのだが、2歳王者のドリームジャーニーを東スポ杯で破ったことから3歳牡馬ピラミッドの頂点に位置するとの呼び声も高いフサイチホウオーをはじめ、ディープインパクトの半弟にして2戦2勝の戦績を誇るニュービギニング、東スポ杯でフサイチホウオーの上がりを上回る末脚を繰り出した藤沢厩舎の刺客・フライングアップルなど好メンバーが揃ったこともあり、久々の現地観戦を決断するに至った。

私は競馬場に行くと、必ず内馬場に行く。単純に空いてるし、ベンチに座ってゆっくり落ち着いて予想出来るからだ。そしてレースが始まるとモニターに釘付けになる。競馬場に来ている意味を問われそうだが、おそらくこのサイクルは一生変わらないような気がする。

それでも、メインレースになると内馬場を離れ、必ずゴール前で観戦するようにしている。やはりメインレースともなるとゴール前の歓声もより一層大きくなるからだ。さらに投資額もメインレースになるとより多くなることから、その歓声には「本気」が窺え、結果に一喜一憂するファンの人間模様がまた一層競馬場の趣を引き立たせる。

そして今日も、普段と同じようにメインレースが始まる前にゴール前へと向かった。周りを見渡すと返し馬の際に「宏司(北村騎手の名前)!」と叫ぶファンもいれば、僅かな時間も惜しまず最終レースの検討に勤しむファンもいる。そういった競馬場の風景が、また競馬場の魅力を引き立てる。

さて、そのメインレース・共同通信杯の結果はというと、直線に入り一旦はフライングアップルが先頭に躍り出たものの、中団で脚を溜めていたフサイチホウオーが直線半ばで並びかける。岩田の激に応え、必死にフライングアップルが食い下がるもフサイチホウオーはジワジワと差を広げ、外から追い込んで来たダイレクトキャッチの追撃もクビ差振り切り、見事無傷の4連勝を飾った。一方、期待されたニュービギニングは最後方からレースを進め、直線インを突いたものの、伸び切れず4着まで。上位陣との地力の差が出た格好となった。

私はフサイチホウオーとフライングアップルの馬連1点勝負(3倍強しかつかなかったが)だったので見事に外してしまった。直線結構熱かったので得も言えぬ脱力感が襲ったがまあしょうがないか、と最終レースに向けて気持ちを切り替えた。左前方におっちゃんの馬券が視界に入ったので盗み見してみるとその馬券はニュービギニングを軸にした3連単だった。さらにおっちゃんが別の馬券を見ていたのでそれも盗み見してみると、その馬券はニュービギニングからの馬単が記されていた馬券だった。

ニュービギニングを軸にした人はそのおっちゃんだけではないだろうからそれほど特別な光景とは思わなかったが、1つ気になったのが、その馬券を見つめるおっちゃんの目だった。愚痴を漏らすのでもなく、紙屑となった馬券を破り捨てるでもない。ただただその馬券をじっと見つめていたのだ。おっちゃんには、その馬券がどのように映っていたのだろうか。寺島修司は「競馬ファンは馬券を買わない。財布の底をはたいて自分を買っているのである」という言葉を残したが、おっちゃんが遠い目で見つめていたのは、馬券ではなく自分自身だったのだろうか。

posted by 犬太 |19:33 | 競馬コラム | コメント(0) | トラックバック(0)
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