2007年01月06日
作陽vs神村学園~作陽が見せた大人の試合運び~
高校サッカーの聖地・国立は、大荒れの天候となった。ピッチに立つ選手はもちろんのこと、ベンチに控える選手も震えた体を温めようと足を動かし、スタンドの応援団は雨ざらしになりながらも必死に寒さに耐え、選手を鼓舞し続けた。ボールは水溜りによってスピードを失い、濡れたピッチに選手は何度も足元を取られていた。 3.8度という身を震わすような状況下に加え、昨日からの連戦。このような厳しいコンディションの中にあって、両チームともスタメンに手を加えてきた。作陽は現在大会得点王の小室をベンチに置き、神村学園も鮫島をスタメンから外した。 立ち上がりからチャンスを作ったのは、神村学園だった。2分に右からの低いクロスに遠藤が飛び込み惜しくもサイドネットに当たるシュートを放つと、11分には同じような形から木村がボレーシュートを放ち、その1分後には作陽ディフェンス陣を切り裂き、中央で待つ遠藤へクロスを入れたがこれは合わせることが出来なかった。ほとんどのチャンスに遠藤が絡んでおり、遠藤を起点としてチャンスが生まれることが多かった。 このピッチコンディションに苦しんだのは、作陽だった。作陽の伝統ともいえる高い組織力を生かしたショートパスでの崩しにおいて、ショートパスはまさに肝とも言える部分である。センターサークル付近に出来た水溜りによりボールの勢いが殺がれ、ボールが止まってしまったシーンが象徴しているように、ショートパスを繋ぐのに苦労し、なかなか攻撃のリズムを掴むことが出来ずにいた。 しかし、作陽はしたたかだった。無理してショートパスを繋ごうとせず、1トップの櫻内に当ててそこからサイドに展開したり、サイドへ1本のロングパスを送ったりとパスの長短を使い分けることによって少しずつリズムを掴んでいった。 国立のスコアボードが動いたのは、前半24分だった。作陽が右サイドで得たFKに宮澤が相手と競り合いながら頭で合わせる。1度は神村学園のGK矢野が好セーブを見せたが、こぼれた所をキャプテンの石崎が押し込んだ。その後も作陽は押し続け、1トップの櫻内を濱中、宮澤が追い越していくことでチャンスが生まれていた。特に宮澤の飛び出しは神村学園ディフェンス陣を苦しめていた。 この試合、作陽に感心した所は、時間の使い方の上手さだった。前半ロスタイムに差し掛かると、作陽の選手は無理することなく前にボールを蹴り出すことで神村学園の勢いを止めていった。 後半に入ってもなお、雨はとどまることを知らなかった。ピッチコンディションがさらに悪化する中、作陽は小室、神村学園は五領というジョーカーを投入した。特に五領は竹元監督から「ラッキーボーイではない。出ればあれぐらいはやれる」と評されている選手であり、何とかして流れを変えようとする竹元監督の意気込みがひしひしと伝わってきた。神村学園は続けざまに中村、村田といった攻撃的な選手を投入し、何としてでも点を取る、という明確な意思が表れていた。 交代が吉と出たのか、確実に決定機は生まれていた。五領が積極的にボールに絡みシュートを放つと、中村は前線を所狭しと動き回った。だが、石崎、安井を中心とした作陽ディフェンス陣の壁をどうしても突破することが出来ず、1点が遠い展開になった。 一転して主導権を握られた作陽だったが、ここでもしたたかだった。小室の個人技に頼りがちだった前線にキープ力のある村井を投入することで攻撃にタメが生まれ、村井が起点となり、スピードのある小室が高くなったディフェンスラインの裏を突き、度々ゴールをおびやかした。そして後半ロスタイムに入ると、後半から投入された小室を下げ、直接狙える位置でのFKもカウンターを避けるために直接蹴らずにサイドへ出してボールをキープするなど、上手く時間を使っていた。 ほどなくして、試合が終了した。結局、前半からスコアが動くことはなく、「大人のサッカー」を見せた作陽が、決勝への切符を手にした。
posted by 犬太 |16:21 |
高校サッカー |
コメント(2) |
トラックバック(3)


