2007年01月03日
Jクラブ総括2006~ヴァンフォーレ甲府編~
2006年シーズンのサプライズの1つとして、ヴァンフォーレ甲府がJ1残留を果たしたことが挙げられるだろう。戦力的にJ1を戦い抜くには厳しいとされながらも、ホーム・小瀬で圧倒的な強さを見せ、小瀬で浦和レッズ、川崎フロンターレ、ガンバ大阪の上位3チームに勝ち星を許さなかったことは賞賛されてしかるべきである。 限られた補強資金の中でピンポイントの補強を行ない臨んだ今シーズンだったが、戦前の予想通り結果の上では苦戦が続いていた。だが、4-3-3のシステムをベースに前線3人+中盤の逆三角形の頂点の2人が高い位置からどんどんプレスを掛けていくアグレッシブな「甲府スタイル」はJ1の舞台でも通用していた。 内容が結果に伴い始めたのは、茂原が加入して以降だった。3トップのセンターフォワードを務め、相手チームから執拗なマークに遭っていたバレーのポジションに前で「タメ」を作れる茂原を起用し、バレーを3トップの左にポジションチェンジさせたことでバレーへのプレッシャーが軽減し、バレーのゴール数が増えていった。それに伴いチームも着実に勝ち点を増やし、第30節・京都戦でJ1残留を決めた。 冒頭で「サプライス」という言葉を使ったが、7年前の状況を考えれば、今もなお「ヴァンフォーレ甲府」というチームが存在していることが1つの「サプライズ」であるのかもしれない。というのも、J2参入前年の無理な補強により財政が圧迫され、ついには債務超過に陥り、チームの解散・売却という話が浮上したのだ。 この一連の騒動はサポーターの存続運動により、但し書きという条件付で暫定的な存続が決まったが、チーム存続の危機がすぐそこにあるのは周知の事実だった。 この悪い状況を変えたのが、2001年より社長に就任した海野一幸だった。2001年シーズンにチーム初となる黒字を達成するとその後も決して無理をしない身の丈にあった経営を行い、経営状況を好転させた。また地元市民との結びつきを強め、クリーニング店が選手のユニフォームの無償洗濯をしたり、理髪店が選手のヘアカットを無料で行なったりと他クラブとはまた一味違った地元市民との深い友好関係を築いた。 甲府躍進のもう1人の立役者は、前述の甲府のスタイルを作り上げた大木武だ。2002年に甲府の監督に就任した時は現在のスタイルが完全に浸透する前に退任してしまったが、2005年に再び甲府の監督に就任すると、J2でも屈指の攻撃的なチームを作り上げ、J1に上がってもそのスタイルを変えることなく、さらなる進化・発展を目指している。 ヴァンフォーレ甲府というクラブはフロント、首脳陣ともに素晴らしいものを持っている。となると、今後の課題は自クラブ選手の育成だろうか。現在の主力選手はほとんどが前クラブで出場機会に恵まれずに移籍してきた選手であり、自クラブで育成した選手はそう多くない。これまでは経営の状況から難しい面があったのだろうが、J1に定着し、さらにタイトルを狙っていくともなれば有望な若手選手を発掘し、育成することが求められる。 もちろん、それはあくまで理想に基づいた話である。現実的に考えると、既に退団が決定しているバレーの穴を埋める作業は容易ではなく、今シーズンも降格候補の1チームであることは間違いない。J1残留を果たすには、オフの補強が1つの大きな鍵となってくるだろう。
posted by 犬太 |22:54 |
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