2006年08月29日
前田遼一~覚醒の時を迎えた天才~
現在の日本人のFW像を見てみると、大きく分けて3つのタイプに分類される。 1.前線で体を張れるポストプレイヤータイプ・・・ジェフ千葉の巻、川崎フロンターレの我那覇、アルビレックス新潟の矢野など。 2.裏への飛び出しなど一瞬のスピードでゴールを奪うセカンドストライカータイプ・・・サンフレッチェ広島の佐藤、グルノーブルの大黒、大分トリニータの松橋など。 3.ドリブルなど個人の力で局面を打開でき、チャンスメーカーにもなりうるタイプ・・・浦和レッズの田中、名古屋グランパスエイトの玉田など。 しかし、世界には前記の3つのタイプに加えて、もうひとつのタイプがある。それは、引退したベルカンプ、レアル・マドリードのラウールに代表される特筆すべきスピードやパワー、高さこそさしたるものはないが、抜群のポジショニングとテクニックでゴールを奪うタイプの選手である。彼らのプレイスタイルの特徴としては、2列目に下がってゲームメイクができる点にある。 そして、日本にようやくこのタイプのFWが現れた。 前田遼一──彼はアジアユースで大会MVPを獲得するなど、早くから頭角を現した選手だ。それがトルシエの目に留まりA代表候補に選出されるなど、将来の代表のエース候補として嘱望された。 しかし、その評価とは裏腹に、肝心の結果がついてこない時期が続いた。その原因として挙げられるのが、度重なる怪我と、テクニシャンタイプのFWを持つ監督が共通して持つ悩みであった。 それは、果たしてアイツはMFなのか?FWなのか?という悩みである。 今まさにレアル・マドリードのラウールが抱えている悩みであると言えよう。2列目でもそれなりの仕事ができるため、チーム事情に合わせた使われ方をされやすく、言ってみれば、"器用貧乏"な選手に陥りやすいのである。前田も一時期はMFとして使われた時期があり、その間はなかなか結果を残すことができなかった。 それと、テクニシャンタイプのFWは前線で体を張る役割が求められる1トップタイプのプレイヤーではない。山本監督が今シーズン採用していた4-2-3-1の1トップでは前線からのディフェンスやボールをキープする役割が求められ、ゴール前で抜群のテクニックを発揮する彼の持ち味を発揮できずじまいだった。 しかし、監督がアジウソンに変わったことで、彼は本来の輝きを取り戻した。 アジウソンが監督に就任して以降、順調なペースでゴールを重ねている。アジウソンは前田に対して、「常にゴールを狙える位置にいろ」と指示していて、今までのトップ下気味のFWから点を取るエースストライカーとしての役割へと変貌を遂げている。そしてこの間行なわれた、"日本版クラシコ"対鹿島戦でも、1ゴール1アシストと存在感を示した。そのテクニシャンぶりは健在で、西のゴールをアシストしたアウトサイドでのスルーパスは惚れ惚れするものだった。 残念ながら新生日本代表にはまだ選出されていないが、今後前田がゴールを量産していけば、必ずやオシムの御眼鏡に叶うことだろう。「悲運の天才」と呼ばれた男が花開く日は、そう遠くないはずだ。
posted by 犬太(ケンタ) |18:56 |
Jリーグプレイヤーズコラム |
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