2006年11月30日
J1昇格、フリエ劇場part2の幕開け
非常に難しい試合だった。前半途中から降り出した雨によってスリッピーな状態になったピッチコンディションに苦戦し、前半は鳥栖に主導権を握られていた。横浜のチャンスもほとんどがセットプレー絡みであり、流れの中で崩した場面はほとんどなかった。 この試合を前に2位・神戸との勝ち点差は2。得失点差で3位に位置する柏との勝ち点差も2。つまり、横浜が勝利して神戸、柏が引き分け以下に終わると、その時点で横浜のJ1昇格&J2優勝が決まる。この状況下で、平常心でプレーしろ、というのは極めて困難な作業だ。山口が「最初立ち上がりがちょっと固いなとは思った」と語ったのも当然といえば当然だろう。 だが、今シーズンの横浜には試合の中で悪い状況を良い状況に変換することができる。それを可能にするのが、もはや横浜の代名詞にもなった「ハマナチオ」とも言われる堅いディフェンスである。前線からカズ、城が労を惜しまず積極的にボールを追う。それに中盤、最終ラインが連動してディフェンス時に常に数的優位の状況を作り出し、相手の侵入を防ぐ。横浜にとっての「良い状況」というのは「数的優位の状況」と全く同義語なのだ。 その状況を作り出した横浜は、少しずつ流れを引き寄せていく。横浜の形であるサイド攻撃が徐々に機能し始め、流れの中からチャンスが生まれてくる。一方の鳥栖もユン・ジョンファン、新居を中心にゴールを狙い、互いに一進一退の攻防が続く。 横浜は68分、カズに替えてアレモンを投入する。これが、見事に当たった。交代直後に2人を抜き去り惜しいシュートを放つと、迎えた77分、ロングボールに城が頭で落とし、アレモンが懸命に足を伸ばすと、ボールはゆっくりとゴールネットへ吸い込まれていった。昨年京都パープルサンガをJ1昇格&優勝に導いた22歳のストライカーが、今度は横浜FCをJ1昇格&優勝に導こうとしている。 こうなったら横浜の勝ちパターンだ。アレモン1人を前線に残し、残り全員が自陣で守る。山口が体を張ってシュートを防いだかと思えば、全試合に出場している横浜の守護神・菅野がスーパーセーブを見せる。試合はロスタイムに入り、試合終了の時間が刻一刻と近づいてくる。 そして、試合は終わった。今シーズン8回目となるウーノ・ゼロ(1-0)での勝利。接戦をモノにする勝負強さが、極限のプレッシャーの中でも活きた。 それから2時間後、横浜の選手は移動中のバスの中で神戸が引き分け、柏が敗れるという速報を聞く。この瞬間、横浜FCのJ1昇格&優勝が決まった。誰もが歓喜に酔いしれる。ピッチ上であれだけ冷静な山口もカメラに向かって喜びを爆発させる。山口は全日空時代からの生え抜きで、今は無き横浜フリューゲルスを支えた功労者だ。1999年1月1日の横浜フリューゲルス消滅から足掛け8年となる2007年、「フリエ」がついに、J1の舞台に戻ってくる。
posted by 犬太 |17:15 |
Jリーグマッチコラム |
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