2006年11月25日
浦和レッズvsヴァンフォーレ甲府~大勝の中における、山田暢久の存在。~
ホーム・埼玉スタジアムでは今シーズン負け知らずの浦和レッズ。だが、ヴァンフォーレ甲府とはアウェーでの対戦時に、引き分けという結果に終わっている。その時は甲府のスタイルである次から次へと人が湧き出てくる運動量に満ちたサッカーへの対処に苦労していた。 一方のアウェー・甲府は右サイドを支える杉山を出場停止で欠くことになってしまった。対峙するのは日本代表の三都主ということで、甲府としてはいかにして浦和の左サイドを封じるかが鍵となる。 ホームの大声援(アウェーでもだが)を受ける浦和は、立ち上がりから波状攻撃を仕掛ける。敵陣右サイドでボールをカットした鈴木がクロスを送り三都主が後方にボールをそらすと、ポンテがダイレクトでシュート。これはGK阿部の好守に阻まれる。そしてCKからワシントンがヘッドを放つもこれはクロスバーを越えてしまう。 甲府も負けていない。持ち前の運動量を存分に活かし、度々浦和ゴールに迫っていく。しかしどうしても最後の赤い壁を突破することが出来ず、決定機を作るまでには至らない。 15分を過ぎると、サポーターの熱が点火したかのように、試合は徐々に激しさを増していく。それが悪い方向に出てしまったのは、甲府だった。2列目から飛び出したポンテを秋本が倒してしまうと、この試合2枚目となるイエローカードをもらい、前半で退場してしまう。絶体絶命の甲府だったが、ワシントンが蹴ったPKを阿部が見事に読み切り、難を逃れる。そしてその直後に得たFKで藤田がポスト直撃の強烈なシュートを放つ。これで嫌な流れを断ち切ったかに思えた。 しかし、「一難去ってまた一難」とはよく言ったもので、山田の飛び出しに対して今度はアライールがペナルティエリア内で倒してしまい、再びPKを与えてしまう。この場面、ベンチから三都主が蹴るようにという指示があったそうだが、ストライカーとしてのプライドか、はたまたFWとしてのプライドか、ワシントンが再びボールをセットする。そして自分自身に対するプライドか、止められた1本目とまったく同じ場所に蹴ったが、なんとこれも阿部にキャッチされてしまう。「意地になって同じ方へ蹴ってくるだろうと思っていたら、その通りだった」と試合後に語った阿部の読み勝ちだった。 もしかしたら、ワシントンの2連続でのPK失敗は、チームに悪影響をもたらすものになっていたかもしれない。だが、今の浦和にはこの悪い状況を打破するだけのメンタリティーがあった。 後半開始から僅か1分、右サイドから中に切れ込んだ山田の左足でのクロスにワシントンが頭で合わせ、遂に待望の先制点を奪った。山岸が「今までワシントンの力で何試合も助けられてきたと思うし、あれで逆にいい意味でまとまれた」と語ったが、ワシントンを取り囲む輪の大きさがそれを表していた。 こうなると試合は完全に浦和ペースになっていく。ワシントンが執拗なマークに遭う背後で、ポンテ、山田のツーシャドーが水を得た魚のように自由自在に動き回ってボールに絡むことでチャンスを作り、自身も積極的にゴールを狙う。そして64分、左サイドでボールを受けた山田が軽く2人を抜き去ると、そのまま中へ切れ込む。さらに詰めてきたDFを鮮やかなステップでかわすと、右足でコントロールされたシュートを放ち、見事なゴール。その4分後にはまたしてもワシントンがCKを頭で合わせ、あっという間に3-0とし、試合を決めて見せた。 その後10人ながら甲府もチャンスを作るが、どうしてもゴールが奪えず、結局3-0のまま試合は終了。浦和が優勝に王手をかけた。 試合を振り返るとワシントンの独り舞台と言った感じだが、この試合で最も輝きを放っていたのはキャプテンの山田だったと思う。2点目のゴールも去ることながら1点目のワシントンのゴールを演出したピンポイントクロス、遅攻になりがちな浦和の攻撃にアクセントを与えた裏への飛び出し、そして効果的なドリブル・・・一時期はベンチを温める事も多かった山田だが、ここにきてチームにとって絶対に必要不可欠な選手になった。 この試合を見せられると浦和の優勝は堅い、と言いたいところだが、次の対戦相手はガンバ大阪戦、川崎フロンターレ戦で大逆転劇を演じたFC東京である。さらに浦和はアウェーでのFC東京との対戦成績は2勝1分5敗と苦手にしている。前回対戦時の4-0という結果はリセットしたほうがいいかもしれない。果たして明日、味スタは「浦和劇場」へと化すのか、それとも三度「東京劇場」が見られるのか──
posted by 犬太 |20:56 |
Jリーグマッチコラム |
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