2006年10月09日

三浦淳宏~「男」は義務を果たせるか。~

「J2降格について自分に責任を凄く感じていたし、チームを見捨ててJ1チームに移籍することはこのまま男として絶対にできなかった」

これが、ワールドカップ出場を狙えるだけの実力を持ちながら、J2降格が決まっているヴィッセル神戸に残留した理由について聞かれた時の彼の答えだ。

思えば、彼のサッカー人生には常に何らかのターニングポイントが存在した。横浜フリューゲルスの合併・消滅、東京ヴェルディ1969時代後半における代表に選出されながらもクラブで出場機会に恵まれないジレンマ、そしてヴィッセル神戸でのJ2降格・・・

その中でも、ヴィッセル神戸のJ2降格はクラブにとって、そして何より三浦自身にとってショッキングな出来事と言えるだろう。なぜなら、ワールドカップはその翌年に迫っていたからだ。

「J2のクラブに在籍していると代表に召集されない」これは、ある種暗黙の了解のようなものだ。実際、ジーコ監督時の日本代表でJ2から招集された選手はサンフレッチェ広島のGK下田ただ1人である。三浦自身はJ2からの代表入りを目指していたが、現実的に見てそれは厳しいものだった。

三浦は横浜F・マリノスに加入した1999年に代表に初選出されると、その後も代表に定着。東京ヴェルディに移籍し、日本代表がトルシエ体制からジーコ体制になった後もコンスタントに召集され続けた。当時左サイドバックでの守備を不安視されていた三都主に替わって出場することも多く、また複数のポジションをこなせることから貴重なバックアッパーとして重宝されていた。

そして控えという立場でも決して腐らずに練習に取り組む姿はチームメイトからの尊敬・信頼を集め、アジア最終予選アウェーでのバーレーン戦前にレギュラー組とサブ組の間で衝突が起こった時も、「試合に出たい。だからこそ出てる人間には、しっかりやってほしい。おれはW杯に行きたい。だからこのチームのためにできることをやろうって心から思っている。もっと必死にやろうよ」と自身の想いを打ち明けチームの雰囲気を変えたように、チームの精神的支柱としての役割も担った。

そして日本代表はアウェーでバーレーンに勝利し、その後北朝鮮に勝利したことでワールドカップ出場を決めた。三浦が目標であるワールドカップ出場がついに手に届くところまで来た。

しかし、ワールドカップ出場を決めた2005年に、所属クラブのJ2降格というまさに「天国から地獄」を味わった。三浦にはJ1のクラブに移籍するという選択もあったはずだ。彼ほどの選手をJ1のクラブが放っておく訳もなく、三浦の故郷・大分にある大分トリニータへの移籍の噂も挙がっていた。

それでも、三浦はヴィッセル神戸に残留することを決めた。チームキャプテンとしての責任、そして「男」としての責任が三浦をヴィッセル神戸に引き留めた。

そしてJ2で迎えた今シーズン、横浜FC、柏レイソルとともに激しい昇格争いを繰り広げている中で、キャプテンとしてチームを鼓舞し続けている。世界でも限られた選手しか蹴ることのできない「無回転シュート」の精度も健在で、特に先日の鳥栖戦でのゴールは早くも語り草となっている。「男として」ヴィッセル神戸に残った三浦淳宏。そんな彼の雄姿をJ1で見ることができる日は、そう遠くはないはずだ。

三浦がJ2で戦っているさなかに行なわれた2006年ドイツワールドカップ、日本代表はグループリーグで早々と敗退した。その中の敗因として、レギュラー組とサブ組の確執、選手の孤立などが囁かれた。これを聞いた時に真っ先に浮かんだことは「このメンバーの中に三浦がいれば・・・」ということだった。

posted by 犬太(ケンタ) |21:58 | Jリーグプレイヤーズコラム | コメント(4) | トラックバック(2)
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2006-10-12 12:27 | 続きを読む
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2007-06-05 02:20 | 続きを読む
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Re:三浦淳宏~「男」は義務を果たせるか。~

大分はいつでもアツを待ってるよ~
バックアッパーと思うけど、、大分の力になってくれたら心から歓迎する!!

posted by 烏 | 2006-10-10 09:03

ドイツになく、神戸にあったもの。

あきら@です、こんにちは。またお邪魔します。

 ヴィッセル神戸、いいですねえ。バクスター監督のチーム作り、素晴らしいものがあると思います。確か、かつて広島でも実績を出しましたね。彼もまた、日本人向きの監督なのかもしれません。

 お嬢さんの看病、ということで休職・離日しましたね。今は家族に専念してもらって、また神戸に、ひいてはJ全体にその力をまた貸して欲しいと思っています。

 そして彼がチームを作るのに、三浦アツさんの存在は大きかったことでしょうね。彼の姿を見て、選手が自分たちで良い方向に向いていった。そういう面は確かにあると思います。アツさんの最大の武器は、「プロフェッショナリズム」でしょうか(持っているようで実は持っていない、という選手は多い気が・・・)。

 義務であること。
 試合に出るからには、出られない選手に恥ずかしくない試合をする(出られて当然、なんて驕りを持たない)。
 出る出ないに関わらず、試合のように練習に臨む(出られないから、と手を抜かない)。
 不遇のときも、良識ある行動をする(こういうとき、練習や私生活でだらしなくなる選手は多い)。
 まあ、他にもあげれば沢山ありますが、こういったことを、当然のこととして責任感を持って取り組む。こういうアツさんの存在は、バクスター監督にとっても、ありがたかったのではないでしょうか。

 前日本代表監督も、「代表選手のプロフェッショナリズムの欠如」を指摘していました。彼がヒデさんを信頼していた理由も納得がいきます。

 監督の選手選出や起用、采配を別問題にすれば、敗退の原因は代表選手の能力以上に、「姿勢」にあったと思います。

 いつも出場できるから、と緩慢な試合をしていた選手。決定機を逃してもヘラヘラしているFW。どうせベンチだから、と練習に手を抜く控え選手。かつて起こった「キャバクラ」騒動。

 子供の頃からレギュラーだったメンバーゆえ、レギュラーであるありがたみを理解することも、そうでないときのモチベーション維持も難しかったのでしょう。

 ヒデさんが絶えず説いていた、チームへの「姿勢」。同じ内容の話でも、中心人物のヒデさんではなく、控えが多いアツさんなら、選手を納得させられたかもしれません。

 話を戻して、神戸。結果を出していた監督が代わり(もちろんこれは、誰のせいでもありませんが)、チームには少々の動揺があることでしょう(でも、何とかなっているか)。こういうときにこそ、アツさんが真価を発揮すると思います。

 アツさんの武器、能力は他にもあります。でも失礼を承知で書けば、やがては彼の最大の武器である「プロフェッショナリズム」が、何の評価もされなくなって欲しい、とも思っています。

 そのときが、J全体がそれを当然のものと考えるようになったとき。つまり、Jリーグが「本物」になったとき。そう思うのです。

 長々と失礼しました、ではまた。

posted by あきら@ | 2006-10-10 21:02

Re:三浦淳宏~「男」は義務を果たせるか。~

こいつは男の中の男だ。今の代表に欠けてるプロとしての意識があるすばらしい男だ。今の日本人はただ出たいっていうだけでプロとして自覚が足りない。ジーコのときなんか最終メンバー入りした中でそういう意識をもってプレーしてたのは中田だけだった。(小野、稲本はプレー時間がすくなすぎた)控えのやつらなんて自分が控えであるのはやっぱり嫌だとか、海外組みがきただけでスタメンからおろされるのは嫌だなど、誰も三浦のような発言をしたやつがいない。しかもそいつらは今やスタメンになってプレーしてるが世界との差がはっきりみてとれる。やはりJでプレーしてるやつはプロとしての自覚がない。だから平気で点をとることが仕事だの自分の役割を果たすだのいえるのだと思う。そういった点からして三浦というのは本当に心強い選手だと思う。こういう選手がいるチームは本当に強くなる。

posted by ナスリ | 2006-10-11 00:25

Re:三浦淳宏~「男」は義務を果たせるか。~

「プロフェッショナリズム」この言葉に当てはまる選手が少なくなったことは事実だと言わざるを得ないですね。カズ、ラモス、柱谷、中山・・・彼らのように「プロフェッショナリズム」を持った選手が1人でも多く出てきてもらいたいですよね。

posted by 犬太 | 2006-10-12 01:24

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