2007年03月14日
人々の感情の引き出しを増やす、障害レースのススメ。
私がこれまで競馬を見て来た中で、特に印象深いシーンがある。それは2001年、中山グランドジャンプに出走したランドが1度は落馬したものの再騎乗し、競争を中止することなく走り切ったというシーンだ。最後まで諦めない姿勢に、ゴール時にはスタンドから拍手が沸き起こり、中山競馬場は暖かい雰囲気に包まれていた。 上記の例が示すように、障害には平地とは違ったファン心理を垣間見ることが出来る。例えば上記のシーンでは、「障害」という馬だけでなく人の人生にも付随してくる部分で落馬(=挫折)したが、それでも諦めずにゴールを目指した。そしてそれが、ゴール時の拍手と馬券の存在を忘れさせてくれるような暖かい雰囲気を作り出した。「オグリキャップが頑張る姿を見て私も頑張ろうと思った」という人がいたように、障害レースでも「目の前にそびえる障害を飛び越え、それにつまずいてもめげずに頑張る姿を見て私も頑張ろうと思った」という感情を人々から引き出す可能性があるのだ。 もうひとつ、障害レース時に発生するファン心理から見た面白い感情としてはレースを通じての応援スタイルにある。平地では「差せ!」とか「そのまま」といった言葉が浮かぶだろうが、これが障害となると、まず「落ちるな!」という大前提の感情がファンの中に出現する。先週の阪神スプリングジャンプSでも、コウエイトライが最後の障害を越えた後にバランスを崩すと、ウインズから一斉に「落ちるな!」という感情が声となって発生していた。なんとか持ちこたえると、今度はウインズ全体が安堵感に包まれ、皆がホッと旨を撫で下ろしていた。 障害レースは見ていて非常に面白いと思う。それでも、年間総レース数は約130程度で、障害G1の中山大障害がメインではなく10Rに組み込まれているように世間一般の注目度は低い。現在競馬界では「ディープ後」にぽっかりと空いてしまった空洞を埋めるための努力がなされているが、競馬という枠組みの中にあって、一般の人達がイメージする競馬とはまた違った魅力を持つ「障害レース」の存在異議を、今1度掘り起こしてみるのも1つの手ではないだろうか。
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posted by 犬太 |18:33 |
競馬コラム |
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