2007年02月05日

Jクラブ総括2006~清水エスパルス編~

日韓共催ワールドカップに沸いた2002年、それは清水にとって暗黒時代への突入を告げる年でもあった。森岡、三都主、市川、戸田といったワールドカップ組を擁しながらもワールドカップ終了後の2ndステージを12位という不本意な成績で終えると、その後のシーズンでも2桁順位を抜け出せずじまい。クラブ生え抜きの監督・長谷川健太を招聘し立て直しを図った2005年も一向に成績は改善されず、あわや降格かという屈辱を味わった。

その一方で、長谷川監督に率いられた清水は、若手を積極的に起用することで成績と反比例するように着実な成長を遂げていった。それが顕著に出たのがその年に行なわれた天皇杯で、青山、枝村、兵働などの若い力が台頭し、準優勝という好成績を残した。暗黒時代の中に僅かな光が差し込んだ。

そして2006年、清水は3年にも及んだ暗黒時代からとうとう脱出した。シーズンを通じて安定した成績を残し、シーズン前に掲げていたトリプル5(5位以内・勝ち点50以上・50得点以上)のすべてを達成した。

その原動力が、浦和に次いでリーグ2位の失点数の少なさにあることは明白だろう。GK西部、山西、高木、青山、市川の5人を不動のスタメンとし、青山が怪我で戦列を離れていた時期には森岡、斉藤といったベテランがしっかりとその穴を埋め、ディフェンス陣に大きな破綻をきたすことが無かった。さらに見逃せないのが前線、中盤のディフェンスの意識の高さで、前線2人が前から積極的にディフェンスを行い、中盤4人がフラットなラインを形成することで相手を網にかける熟練された組織的なディフェンスを披露した。

熟練されたその組織力は、攻撃においても大いに力を発揮した。兵働、藤本のレフティーコンビがサイドでタメを作り、山西、市川がそれを追い越していく。常にサイドで数的優位を作ることでサイド攻撃に厚みを持たせ、チョ・ジェジン、マルキーニョス、枝村、兵働、藤本らがゴールに絡んでいった。また組織にこだわり過ぎると攻撃に融通が利かなくなるケースもまま発生しまうが、マルキーニョスが持ちすぎとも思えるほど自ら積極的に仕掛けていくことで攻撃にアクセントが生まれ、状況に応じたフレキシブルな攻撃を可能にした。

個々の選手の成長ぶりも見逃せない。青山は年代別代表を飛び越えA代表にも招集され、枝村も攻撃型ボランチとして9得点を挙げる活躍を見せ、全試合出場を果たした。2年目の兵働は終盤病気で戦列を離れてしまったものの横浜F.マリノス戦での試合終了間際での決勝ゴールなど要所要所で重要な役割を果たし、1年目からレギュラーの座を手にした藤本は横浜F・マリノス戦で見せた圧巻のロングシュート&FK、川崎戦でのハットトリックなど終盤に強烈なインパクトを残し、新人王の座をも手にした。同じく1年目の矢島もガンバ戦でシジクレイとのボディコンタクトに競り勝ち、シジクレイをぶっちぎってゴールを挙げるというこれまた強烈なインパクトを残した。

ただ、個々の成長の影、特にU-21代表にも選出された枝村の活躍の影には伊東の存在があったことは言うまでもない。ややもすると前掛かりになってしまい、ピンチを招く可能性のある枝村のスペースを卓越した危機察知能力で埋め、ピンチを事前に防ぐだけでなく、若手がひしめく中盤にあって精神的支柱としての役割も果たした。また全試合にスタメン出場しており、長谷川監督も「あれだけ潰しているのにイエローの枚数が少ないのはすごい」と語るように絶大な信頼を寄せ、清水にとって絶対に欠かせない1つのピースになっている。

絶対に欠かせないピースと言えば、サポーターの存在が挙げられる。浦和のホームでの強さは既に知るところだが、清水もサンバ隊が織り成す楽器と「オーレ、オーレ、オレオレ!」というどこか懐かしさを感じさせるチャントを背に受け、ホーム10連勝&8試合連続完封の戦績が示すようにホームで圧倒的な強さを誇っている。

さて、2007年シーズンに目を向けてみると、マルキーニョスが契約が折り合わずに退団し、森岡、斉藤といったベテラン勢も出場機会を求め、移籍を決断した。しかしその一方でガンバで昨シーズン不遇を味わったフェルナンジーニョを獲得すると、セレッソからは2年越しのラブコールが実り、西澤を獲得。さらに手薄なサイドにはFC東京から戸田を、京都から児玉を獲得することで層を厚くした。兵働、藤本と2年連続で「当たり」を引いている大卒は駒沢大学から即戦力の呼び声の高い原、廣井を獲得し、十分に満足のいく補強を行なった。

戦力的に見ても、どれかしらのタイトルを狙える力は十分に備わっている。昨シーズンの快進撃をフロックにしてしまわないためにも、タイトル獲得という確かな形を残してもらいたいものである。それこそが、新たな黄金時代形成への第一歩となるだろう。

posted by 犬太 |22:33 | Jクラブ総括2006 | コメント(5) | トラックバック(0)
みんトピに投稿 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

トラックバックURL
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/jleagecolumn/tb_ping/102
この記事に対するコメント一覧
(事務局では、サービス全体の雰囲気醸成の為、全コメントをフィルター/目視チェックし、削除等しております。見逃し等も有りますので、ご不快な思いをされた場合は、事務局宛 support@plus-blog.sportsnavi.com にご意見頂けると幸いです。)
Re:Jクラブ総括2006~清水エスパルス編~

ベテランから若手にこれだけ上手く切り替われたことに驚きを覚えます。
長谷川監督の力量だけでなく、スカウティングや育成の面でも優れてるんでしょうかね。

posted by potato | 2007-02-06 10:48

Re:Jクラブ総括2006~清水エスパルス編~

どういう布陣になるのか?今から楽しみです。健太監督は、就任当初から3トップがやりたいはずだと勝手に思ってます。ベテランが抜けたのは寂しいですが、サッカーを見つめる厳しい目が、清水の最大の武器かもしれません。昨年のテルは出色の出来だったと思います。サッカーを良く知ってるなと思ってみてました。かつてはマラドーナと言われた男の渋い動きに感動すら覚えます。

posted by モーリー | 2007-02-06 20:39

Re:Jクラブ総括2006~清水エスパルス編~

potatoさん>
フロントが長谷川監督に全幅の信頼を置いていることが若手の積極起用につながっていますよね。そして毎年有力な大卒選手を引っ張ってこれるスカウトの能力も躍進につながったのでしょうね。

モーリーさん>
3トップはなかなか楽しみですね!伊東は昨年のデキはベストイレブンに値するものだと思っていましたが・・以前の攻撃的ボランチから現在の守備的ボランチに至るまで幅広い活躍を見せていますね。

posted by 犬太 | 2007-02-07 11:11

Re:Jクラブ総括2006~清水エスパルス編~

  こんにちは、あきら@です。またお邪魔します。

 ケガ人や移籍などの事情はあったとはいえ、ここ最近、メンバーはいいけれど結果はいまいち。そんな状況が続いていたエスパルスでしたね。

 2006シーズンは長谷川監督(こちらもケンタさんではありませんか!)とフロントとが、しっかりとお互いを理解できたシーズンだったと思います。

 失点の少なさは、守備形態がしっかり作られたことを証明するものと思います(攻撃できる時間が長く、強力な個の力で守っているレッズよりも、もしかするとうまく作られた守備組織かも)。

 補強も育成も、チームとしてのサッカーもうまくいっているエスパルスのチーム状況。レッズサポな私ですが、このチームは2007シーズン、連覇を妨害しにくる厄介な存在になりそう、と考えています。

posted by あきら@ | 2007-02-07 21:32

Re:Jクラブ総括2006~清水エスパルス編~

あきら@さん>
言われてみれば長谷川監督もケンタさんですね(笑)まあ私の方が後付けですが・・それはともかく、こと組織力に関して言えば間違いなくJリーグの中で3本の指に入るのでは、と思っています。新戦力が上手く噛み合えば昨シーズン以上の成績も見えてきそうですね。

posted by 犬太 | 2007-02-07 23:20

コメントする