2009年05月24日

東浜だけ、ではない。

 東都大学野球の春季リーグは、雨にたたられながらも順調に日程を消化し、最終週の東洋大-亜大戦を残すのみとなった。亜大・中田亮二(4年・明徳義塾)、東洋大・林崎遼(3年・東洋大姫路)、中大・澤村拓一(3年・佐野日大)ら“リーグの主役”たちの順当な活躍も光ったが、ルーキーの台頭が目立ったシーズンであった。


 その筆頭は昨春のセンバツV右腕、亜大・東浜巨(沖縄尚学)だろう。神宮デビューとなった第3週の中大1回戦で澤村に投げ勝ち完封勝利を収めると、第5週の国学大戦でも1回戦と2回戦を完封。第6週の対立正大1回戦でも完投勝利を収め、亜大がここまでに挙げた7勝のうち4勝を稼いでいる。打ち気にはやる打者に90km/h台の遅球を投じたかと思いきや、打ち気のない打者からはど真ん中の直球でストライクを取るなど、ルーキーらしからぬ度胸と投球術で名門のエースにのぼりつめた。同じく亜大では、高田知季(岡山理大付)が9番・三塁でここまでの全9試合に先発し、5犠打を記録するなど攻守に堅実なプレーでチームを支えている。


 また、春の優勝投手である東浜に対し、夏の優勝投手である青学大・福島由登(大阪桐蔭)も実力を見せた。立正大との第5週2回戦、6回からマウンドに上がると4回を9奪三振無失点の好投。垣ヶ原達也(2年・帝京)、石井裕大(2年・青森山田)ら好投手が揃うチームの中でさほど出番は多くなかったが、青学大の今春最終戦となった第7週の国学大3回戦でも最後を任されるなど首脳陣の期待は大きい。


 中大では高校時代の東浜の同僚、西銘生悟が遊撃のレギュラーに定着し、中堅手・土居慎司(3年・今治西)の故障で本来は遊撃の遠藤一星(3年・駒場学園)が外野に回った穴を埋めた。中大ではこの他にも、捕手の飯田大祐(常総学院)、内野手の上嶋健司(常葉菊川)と島田隼人(常総学院)、外野手の広瀬公秀(関東一)らが継続的にベンチ入りし、終盤には途中出場が主ながら実戦経験も積んだ。


 入れ替え戦行きが決まった立正大学も、1年生の長谷川秀輝(青森山田)と高橋翔也(日大三)が2人でショートのボジションを務めあげ、東浜や西銘とともにセンバツVを達成した金城圭右がDHや代打で出番を得た。また投手では、191㎝の長身右腕、出雲伊織(静岡学園)がエース格に成長した。国学大では、谷内亮太(金沢西)、村上直也(近大高専)の両内野手が、経験豊富な辻寛人(4年・駒大苫小牧)、澤田昇吾(3年・金沢)と激しいレギュラー争いを展開。外野手の伊藤康孝(中京大中京)は俊足を生かし、終盤には1番打者に定着した。


 秋季リーグ戦の頃には、ひと夏を越えてさらにたくましくなった彼らの姿が見られるだろう。酒井嵩裕(常葉菊川-亜大)、佐藤翔太(東洋大姫路-東洋大)ら今春は出場機会に恵まれなかったルーキーの飛躍にも期待だ。

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2009年05月19日

銀は金より強し!?

 残すところ2週となった東都大学野球の春季リーグで、亜大の好調ぶりが目立っている。亜大にとっての開幕週となった第2週の青学大戦こそ勝ち点を逃したが、第3週・中大戦の1回戦を東浜巨(1年・沖縄尚学)の好投で取ると波に乗った。中大、国学大、立正大をいずれも2連勝で撃破し、第6週が終了した現時点で首位。最終週の東洋大との対決で勝ち点を奪えば、実に5季ぶりの優勝を手にすることとなる。



 今季の開幕前、亜大の評価はさほど高いものではなかった。岩本貴裕(現広島)、岩見優輝(現大阪ガス)、鶴川将吾(現パナソニック)ら昨年の創部50周年を祝うべく集められた黄金世代が今春に卒業。入学まもない東浜がエースになったことが物語るように、タレント力は大幅に低下した。



 この点は、昨夏の甲子園を制した大阪桐蔭に似ている。中田翔(現日本ハム)を筆頭に丸山貴司(現青学大)、山口祥継(現法大)ら下級生時からレギュラーを張る黄金世代が卒業し、前年からのレギュラーは浅村栄斗(現西武)ひとりだけ。その浅村でさえ、前年は背番号2桁で8番を打っていた選手だ。勝負に強いか弱いかはまた別問題だが、少なくとも前年に比べるとずいぶん小粒な顔ぶれだった。

 ところが、この“谷間の世代になることが濃厚な世代”とでも呼ぶべきメンバーは、先輩が成し得なかった全国制覇を達成する。それも、偶然が重なった結果たどりついた優勝ではなく、夢半ばで散った黄金世代の後輩だからこそ成し得た優勝だった。



 まず第一に、前年を反面教師としたのか、野球が非常に手堅かった。右翼手兼投手の奥村翔悟(現関大)がマウンドに上るときは、点差があってもエースの福島由登(現青学大)が外野に残り、奥村の調子が悪いとすぐに福島がマウンドに戻った。攻撃面でも、常葉菊川との決勝戦に象徴されるように、試合の大勢が決まったあとも犠打を多用した。選手たちのプレーも手堅く、核弾頭の浅村や主将の森川真雄(現同志社大)はスタンドに放りこむ力を有していながら、出塁に徹しては左右に打ち分けた。

 第二に、前年はレギュラーの大半が3年生であったため、残ったメンバーの中に変な実力差や経験値の差がなかった。浅村、森川、福島、奥村、萩原圭悟(現関学大)、清水翔太(現・龍谷大)らはみな、前年は脇役からバックアップあたりに位置していた選手だ。つなぎ役の清水が打率.750を記録するなど、スーパースターがいない一方で一定の力量を持った選手を多く抱えていた。



 今年の亜大も、この“手堅さ”と“地味な粒揃い”がウリだ。5-1で勝利した12日の対立正大1回戦が象徴的であり、東浜の調子がいまひとつの中、4回に2点を先制すると7回から9回にかけて手堅く1点ずつを積み重ねる。本来は内野手ながら左翼からの好返球を見せた加嶋健志郎(3年・新田)、大根切りで3塁走者を迎え入れたブルーノ平田(3年・八王子)、不調の東浜を好リードした下舘大輔(2年・一関学院)ら仕事人の渋い働きぶりも光った。



 きらびやかな黄金の陰に隠れていた渋く光るいぶし銀は、隠れて力を蓄えていた時間のぶんだけ、金よりも強いのかもしれない。

posted by Pooh |04:08 | 大学野球2009 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2009年05月07日

リ・リ・リ、リ?

  ■リ・リ・リ■

 5月1日(金)から5月6日(水)にかけて「第58回 黒鷲旗 全日本男女選抜バレーボール大会」が大阪府立体育会館で行われ、男子はパナソニックが2年連続9度目、女子は東レが5年ぶり3度目の優勝を果たした。

 東レはこれでV・プレミアリーグとの2冠達成である。今季開幕前は荒木絵里香のセリエA挑戦や主将・向井久子の勇退などで戦力ダウンが懸念されたが、結果的には昨年(リーグ優勝&黒鷲8強)を上回る成績を残した。エースとして獅子奮迅の働きをした張越紅、新主将としてチームをまとめた芝田安希らの活躍もさることながら、木村沙織(サオリ)、宮田由佳里(ユカリ)、濱口華菜里(カナリ)のリ・トリオの活躍が光った。


  ■3=2+2!?■

 東レの強さの理由のひとつに、木村の存在が挙げられる。6人制バレーにおいてウイングスパイカー(以下WS)に割ける枠は基本的に3であり、多くのチームが「攻撃的WS2枚+守備的WS1枚」、もしくは「攻撃的WS1枚+守備的WS2枚」という形をとる。Vリーグのチームでは、「谷口雅美&アルベス・タチアーナ+位田愛」でWSを組むJTが前者であるし、「ロンドン・シンディ+岡野知子&細田絵理」のデンソーや「フォフィーニャ・アナパウラ+高橋みゆき&内田暁子」で組んだときのNECが後者である。

 木村は今季のリーグ戦で日本人選手1位(リーグ全体の7位)の475得点をマークした。これは谷口や栗原恵(パイオニア)ら他チームの攻撃的WSを上回る数字である。その一方で、サーブレシーブ受数は位田に次ぐリーグ2位、成功率も10位(WSでは4位)にランクインしており、岡野や細田ら守備的WSよりも高い数字をマークしている。

 つまり、他チームが「3=1+2」か「3=2+1」かのどちらかである中で、東レは木村の存在により「3=2+2」の状態だった。どちらかといえば攻撃的、どちらかといえば守備的といった選手が多い中で、サーブレシーブの要でありながら得点源としても活躍する姿は、文字通りの“攻守の要”であった。


  ■サーブ&ブロックのチームだが、ディグにも強さ■

 次に評価すべきは、新人センターの宮田とリベロの濱口である。宮田は開幕当初、高校時代からのチームメイトである同期の築地保奈美とのレギュラー争いでやや劣勢だったが、課題のブロックで7本のシャットアウトを見せた2月15日の久光製薬戦あたりからぐいぐいと調子を上げ、シーズン終盤には完全に一本立ちした。リーグ戦の中で進歩を遂げたブロックとアタックも高いレベルにあるが、特筆すべきはセンター選手でありながらレシーブがうまい点である。宮田が後衛にいるときは前衛にブロックが期待できない西脇万里子がいるためボールがよく抜けてくるのだが、その抜けたボールにいい反応を見せた。

  また濱口は、サーブレシーブ成功率では佐野優子(久光製薬)や成田郁久美(NEC)らに及ばなかったが、ブロックフォローでチームを支えた。東レというチームは、若さと高さを生かしたサーブ&ブロックを掲げる一方でレシーブに強さを見せるチームであり、それを地味に支えたのが宮田と濱口だった。


  ■トリオはカルテットへ?■

 ちなみに東レには今春、黄金時代の新たな担い手になりそうな選手が3名加入した。小平花織(東海大三)、峯村沙紀(九州文化学園)、田代佳奈美(古川学園高校)である。今年度の全日本候補に選出された峯村と172cmの大型セッター・田代に注目が集まるが、身長169㎝ながら最高到達点3m弱の小平のプレーも一見の価値あり。サオリ、ユカリ、カナリときて、次に飛び出すのはカオリかもしれない。

posted by Pooh |23:56 | バレーボール | コメント(4) | トラックバック(0)
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2009年05月02日

6人のショート、3年目の春

 プロ入り3年目、レギュラー2年目を迎えた坂本勇人(巨人)が、イキのいいプレーを見せている。開幕戦こそ覇気がなく途中交代となったが、その後はグングン調子を上げ、23試合を終えた時点で打率.367をマーク。いまひとつ波にのれないチームの中では出色のパフォーマンスだ。


 光星学院高出身の坂本は、06年9月の高校生ドラフトで巨人に“ハズレ1位”指名を受けた。巨人が最初に指名したのは、同じ右投右打の大型遊撃手、堂上直倫(愛工大名電)。堂上は抽選の結果、兄・剛裕も所属する中日に入団すると1年目は二軍で62試合に出場、昨季は3試合ながら1軍も経験した。福留孝介のつけていた背番号1を継ぐなど球団の期待も大きく、3年目の飛躍に期待がかかる。


 同じく堂上の抽選に敗れた阪神も、“ショートを獲れなかったからショートを獲る”というシンプルな論理で、右投右打の大型ショート・野原将志(長崎日大高)を指名した。この野原も1軍での実績こそないが、ファームでは過去2年間、三塁のレギュラーとして起用されている。おそらく首脳陣の中には、鳥谷敬との大型三遊間が近未来の青写真として描かれているだろう。


 セ3強にそれぞれ1位指名されたこの3人は、ちなみに、06年の高校選抜アメリカ遠征メンバーに選ばれていない。その遠征メンバーには右投右打の大型遊撃手が3人帯同していた。優勝校・早稲田実の4番を務めた後藤貴司、駒大苫小牧の田中将大(現楽天)から本塁打を放った林崎遼(東洋大姫路)、大舞台で打率6割&2本塁打を記録した宇高幸治(今治西)である。


 卒業後、斎藤らとともに早大に進んだ後藤は、2年間の控え生活を経て今季からレギュラーを張る。宇高も卒業後は早大に進学し、1年時から守備固めで出番を得ると、2年時からは三塁のレギュラーに定着した。昨年は春・秋ともにベストナインに輝き、今季は開幕から5番を任されている。林崎は抜群の身体能力を持ちながらボールを持たせると不器用なところがあり、東洋大進学後も外野を守って下位を打っていたが、今季は中軸を打ち、守備も内野に戻ってきた。先日の国学院大とのリーグ戦では、1回戦で3安打3打点、2回戦で2安打4打点と、ついにその素質が開花しつつある。


 大学に進んだ者、プロの門を叩いた者。ショートを守り続けている者、他のポジションに移った者。現在地はさまざまだが、“佑ちゃん・マー君世代”の6人のショートが、それぞれの場所で3年目の春を戦っている。

posted by Pooh |12:19 | 大学野球2009 | コメント(5) | トラックバック(0)
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