2008年09月21日

 9/21(日)、夢の島競技場で「プレナスなでしこリーグ」第14節、日テレ・ベレーザ-TASAKIペルーレの一戦が行われた。首位を走るベレーザが怒涛のゴールラッシュを見せ、5-0で快勝。リーグ4連覇へ向けて、また一歩前進した。



 雨が降りしきるピッチに、ベレーザの選手が登場する。MF澤穂希をはじめ、FW大野忍、DF近賀ゆかりら北京五輪で活躍した顔ぶれがズラリと並ぶ。その中に、お姉さんたちのボール遊びに混ぜてもらった腕白坊主のような選手が、ひとり。


 少年のような少女の名は、岩渕真奈。ベレーザの下部組織であるメニーナに籍を置く、15歳のFWである。身長は153cm。小柄な選手はつい姿を見失ってしまうものだが、あまりに小さいので逆に目立つ。負けん気の強そうなキリッとした顔立ちは、失礼ながら、浦和レッズの日本代表FW田中達也にそっくりだ。


 岩渕のポジションは、田中が先日の代表戦で務めあげた4-2-3-1システムのトップ下。中盤に下がってボールを受け、ターンして前を向き、サイドにボールを出し、ゴール前に詰める。この難易度の高い一連の作業を、弱冠15歳のファンタジスタはいとも簡単にやってのける。MFともFWともつかない難しいポジションだが、彼女にとっては組み立てにもフィニッシュにも絡める楽しいポジションか。


 称賛すべき点は多々あるが、特に素晴らしいのはボールの受け方だ。パスをもらう前に首を四方に振り、どの方角に広いスペースがあるかを確認したうえで、そちらに進みやすいようにボールをトラップする。広いスペースがある方にボールを置くため、ターンした後の加速は非常にスムーズ。また、パスを受ける前に状況を把握しているため、その後のプレー選択も正確かつ迅速だ。


 濡れたピッチとプレスの応酬により、ベテラン選手もボールのコントロールに苦しむなかで、岩渕はヒールパスやダイレクトボレー、ループシュートなどを次々と披露する。前半20分に先制点を決めると完全に“ノリ”始め、4-0の後半18分にお役御免となるまで、澤や大野の存在感がかすむほどの輝きを放ち続けた。


 ベンチへと退く岩渕には、TASAKIサポーターからも惜しみのない大きな拍手が送られた。灰色の雲に覆われた空から光が射すことはとうとう最後までなかったが、サポーターは見たのだ。ピッチの上に、鮮やかな虹を。

posted by Pooh |23:49 | 女子サッカー | コメント(1) | トラックバック(1)
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2008年09月17日

足りない1ピース

 東都大学野球秋季リーグの第3節2回戦が17日(水)、神宮球場で行われた。第1試合では、2点を先制した中大が日大の反撃を継投でかわし、2-1で辛勝。通算成績を1勝1分けとし、勝ち点獲得に王手をかけた。



 1塁側の中大ベンチから、高橋善正監督が顔を出す。主審からボールを受け取ると、ゆっくりとマウンドへ。バッテリーと言葉を交わすと、ブルペンへ向かって手まねき。手まねきの先にいたのは、左投手の入江慶亮(1年・浜田)だった。


 この日の中大の先発は、山崎雄飛(2年・芝浦工大)。1部昇格にも大きく貢献した主戦格の本格派右腕である。序盤は力みからボールがばらついたが、回を追うごとに無駄な力が抜け、制球が安定。三塁手・志田卓也(2年・静岡市立)らバックの好守にも盛りたてられ、7回まで中大打線を零封する。


 迎えた8回、1死から9番・冨田光紀(3年・前橋商)に内野安打を許す。体力的にも精神的にも十分な余裕が感じられたが、左打者の1番・赤嶺慎(3年・沖縄商学)を打席に迎え、思い切りのいい高橋監督は入江への継投を決断した。


 春季リーグ戦では出番なしに終わった入江だが、この秋は開幕カードの立正大戦で好投し、指揮官の信頼をつかむ。前日の1回戦でも3イニングを無失点と好救援を披露していた。だが、経験値が絶対的に不足しているだけに、この場面での登板は荷が重い。赤嶺に安打を許し、1死1・3塁と傷口を広げたところでマウンドを降りた。


 3番手に告げられたのは渡邊洋平(1年・日大東北)。本来は山崎と先発2本柱を形成する存在だが、自身の不調と澤村拓一(2年・佐野日大)の好調により救援にまわっている。無安打無得点を達成した入れ替え戦の頃と比べると、直球の威力も制球もいまひとつ。だが、キレのあるスライダーを多投し、反撃をスクイズの1点に抑え込む。そのまま9回も続投し、1点差の勝利を手繰り寄せた。


 必死の継投で逃げ切った中大だが、気になるのは美馬学(4年・藤代)の状態である。今春の2部リーグで獅子奮迅の働きを見せMVPを獲得した守護神は、入れ替え戦での怪我が長引き、いまだ登板なし。いつもなら“美馬健”となる核弾頭の美馬健太(3年・北照)の名前が“美馬”と表示されているところを見ると、ベンチにも入っていないのだろう。


 誰が投げても試合を壊さない先発陣と、捕手・鮫島哲新(2年・鹿児島工)を中心とした固い守り、そして1部の投手の力量に苦しんでいる打線。これらを考慮すると、当然1-0、2-1といったスコアが勝ちパターンになる。この日は幸いにもリードが2点あったが、1点も与えられない場面も今後出てくるであろう。今春、リードした状況で8度マウンドに上がり、1度も同点を許さなかった美馬学は勝利を仕上げる最後の1ピース。“出したら、負けない”背番号18の復帰が待たれる。

posted by Pooh |17:52 | 大学野球2008 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2008年09月13日

位田が“全日本”入り

  10月1日(水)~10月7日(火)にかけてタイで行われる、バレーボールの第1回アジアカップ女子大会。若手主体の全日本メンバーに、位田愛(JT)が選出された。

 

 位田は“いんでん”と読む。奈良時代の律令制度において、位階に応じて五位以上の有位者に給与された田地を位田(いでん)と呼んだ。平家が滅亡した瀬戸内海周辺に平家と音が近い清家姓が多く見られ、奥州藤原氏が栄えた東北地方に佐藤や斎藤など藤がつく苗字が多いことを考えると、彼女の出身地である三重・四日市市周辺はあるいは位田の遺称地かもしれない。

 
 バレーボールの名門、津商業高校出身。“ビーチの妖精”と呼ばれ、今を時めく浅尾美和は同校の2年先輩にあたる。浅尾が代々木の観衆を虜にした03年の春高バレーの2年後、浅尾と同じ津商業のエースとして代々木を沸かせたのが位田だ。ちなみに、2人の身長はほぼ一緒。愛くるしい顔立ちも共通項だ。

 
 
 
 浅尾は卒業後にビーチバレーへと転向したが、位田はインドアのJTマーヴェラス入り。若手の起用に積極的な寺廻太監督の下で、1年目から出番を与えられた。身長は173cm。ウイングスパイカーとしては、日本人選手の中でも小柄な部類に入る。垂直跳びの数値も高くなく、身体能力には恵まれない。だが、それを補って余りある武器が3つある。

 
 ひとつは守備力。本人も得意なプレーにあげるサーブカットは正確で、スパイクへの反応も鋭い。ふたつ目はサーブ。ゆっくりとしたフローターサーブだが、一球ごとに狙い目や曲げ方を微妙に変化させる。強烈なジャンプサーブではないため、サービスエースになることは少ない。だが、相手のレシーブを高い確率で乱す。

 
 そして最後に、底抜けに明るい性格だ。得点が入るたびに手をたたき、笑顔でコートを駆け回る。得点後に描く円の半径は、他の選手より一回り大きい。彼女がコートに登場すると、会場の雰囲気までもが一瞬にしてパッと明るくなる。コートに咲く、一輪のひまわり。そんな表現も決してオーバーではない。

 
 
 
 JT入社以来、レギュラー奪取には至らないものの、順調な成長を見せてきた位田。だが、昨季はやや伸び悩んだ。身長の低さに起因する、ブロックの弱さ。後衛での起用の際にはそれほど目立たなかった弱点が、前衛でも使われるようになったことで露呈する。チームの不調も重なり、代名詞である笑顔が消えてしまう試合も多かった。

 
 しかし、シーズンの最後を飾る黒鷲旗で意地を見せる。準決勝の武富士バンブー戦、ミスが目立つJTは2セットを先取される。だが、途中出場の位田が攻守に躍動し、敗色濃厚な雰囲気を一掃。チームは第3セットからの3セットを連取し、大逆転勝利を収めた。翌日の決勝戦で、位田は主将の高木理江を押しのけ先発出場。もがき苦しんだ今季が決して足踏みではなかったことを、自らの力で証明した。

 
 
 
 今回選出されたメンバーは、“全日本”という響きからほど遠い。県代表として国体に出場するチームの主力や、戦いを終えたばかりの五輪戦士は招集されていない。所属チームでもレギュラーをつかんでいない若手が大半、ふがいない試合内容に終始することも十分に予想できる。

 
 だが、たとえ惨敗であっても、国際舞台の経験は成長を促す触媒となる。躍動の1年目、我慢の2年目を経て、飛躍の3年目。水田が広がる国で位田が何をつかむのか、非常に楽しみだ。

posted by Pooh |03:36 | バレーボール | コメント(1) | トラックバック(0)
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2008年09月06日

“いつも通り”の強さ

 東都大学野球の秋季リーグ戦が、6日(土)に開幕した。オープニングゲームとなった東洋大-青学大の一戦は、延長10回に内野安打で勝ち越した東洋大が4-3で青学大に勝利。4季連続の完全優勝へ向けて、白星スタートを飾った。

 

 一塁側の東洋大応援団から、ため息が漏れる。延長10回表、1死満塁のサヨナラ機に6番・中倉裕人(4年・PL学園)は浅いレフトフライ。3塁走者の瀧本聖也(2年・静岡商)は俊足だが、タッチアップを諦める。尚も2死満塁と好機は続くが、打線は下位へ。パンパンに膨れ上がった期待という名の風船が、またたく間にしぼんでいく。


 7番・小島脩平(3年・桐生一)の代打に告げられたのは、柘植宏介(4年・明秀日立)。内野の守備固めを主な役回りとするバイプレーヤーである。柘植が積極果敢に初球をたたくと、高いバウンドのゴロがショートへ飛ぶ。これが内野安打となり、東洋大は勝ち越しに成功した。


 勝利を収めた東洋大だが、試合内容はお世辞にもほめられるものではない。3点を先制したものの、先発の乾真大(2年・東洋大姫路)は不調で3回途中降板。救援した鹿沼圭佑(2年・桐生一)の制球の甘さに二塁手の小島の失策が重なり、簡単に同点を許す。3番から6番に並ぶ長距離砲は4人で2安打。中盤以降、好機でことごとく三振やポップフライに倒れた。


 だが、結果として負けなかった。ここに東洋大の強さがある。拍子抜けするほどあっさりと失点を喫する投手陣だが、敗戦を意味する決勝点だけは意地でも与えない。自慢の大砲4人が扇風機と化していても、適材適所で代打や代走を送り込み、彼らの粘っこさとスピードでしたたかに得点を奪う。その代わり、脇役たちの小細工が効かない日には、長距離砲の破壊力で相手を沈めるのだ。


 内容の悪さを取り上げ、4連覇に黄信号とする見方もできる。だが、3連覇の原動力である“試合が終わったときに、勝っている”勝負強さに陰りはない。4季連続完全優勝に向けて、視界は良好だ。

posted by Pooh |20:14 | 大学野球2008 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2008年09月05日

中大に注目

 東都大学野球の秋季リーグ戦が明日開幕する。この春に2部で優勝を飾り、入れ替え戦で駒大を破って1部に昇格した中大に注目したい。


 投手陣には本格派が揃う。1年時からエース格の山崎雄飛(2年・芝浦工大)と、入れ替え戦で無安打無得点を達成した渡邊洋平(1年・日大東北)が先発2本柱。直球にボリューム感のある澤村拓一(2年・佐野日大)、身長195cmの中村尚史(3年・武蔵工大付)がつなぎ、守護神の美馬学(4年・藤代)が最後を締める。この投手陣をリードするのは、鮫島哲新(2年・鹿児島工)。一昨年夏の甲子園を沸かせた、スケールの大きな司令塔である。


 打線に目を移す。アグレッシブなプレーを見せる美馬健太(3年・北海)、小技の利く土居慎司(2年・今治西)がチャンスメーカー。主将の堀大樹(4年・佐賀商)、1年生ながら春に本塁打3発を放った井上晴哉(1年・崇徳)、右方向に打球が伸びる鮫島が並ぶ中軸は強力だ。


 下位はやや流動的だが、本来は中軸の岡山真澄(3年・桐光学園)、打撃センスのある村山雄輝(3年・桐光学園)、俊足の杉沼慶(1年・秋田中央)、内外野をこなす久保田亮平(2年・静岡)、攻守に小回りが利く遠藤一星(2年・駒場学園)、シュアな志田卓也(2年・静岡市立)らが揃う。相手投手の左右や調子によって組み換えが可能であり、固定されていないことはむしろ強み。一発長打の奥貴之(3年・佐賀商)、外野守備に定評のある村山優也(2年・水戸商)ら質の高いメンバーがベンチに控え、選手層も厚い。


 弱点は、投手陣が“右傾化”していること。東洋大や亜大の左打者を抑えるためにも、継投にアクセントをつけるためにも、左が1枚は欲しいところだ。豊田克己(3年・清水東)、入江慶亮(1年・浜田)あたりが候補になる。打線では、井上、岡山ら一発長打型と、土居、杉沼ら小柄な俊足軽打タイプに大きく2分されてしまう点が気がかり。一発長打型の選手ところでは得意の機動力が使いづらく、俊足軽打型の選手には打席での怖さがない。美馬健に加え、バランスのとれた選手がもう1人スタメンに必要だ。


 少し数が多すぎるほど選手の名前を出したが、名前の後ろの括弧の中を見てほしい。4年生は主将の堀と美馬学のみ、非常に若いチームなのだ。とりわけ、先発2本柱の山崎と渡邊、捕手の鮫島、4番の井上といった幹の部分は2年生以下である。黄金時代を謳歌している東洋大と亜大は4年生への依存度が高く、来年は戦力ダウンが必至。それだけに、中大は今秋1部に残留すれば、来年以降は優勝争いに絡むことが十分可能になる。昨年に若いメンバーで優勝争いに絡んだ駒大が今春に2部落ちするなど、戦国東都の戦いは甘いものではない。甘いものではないが、期待はふくらむ。

posted by Pooh |18:24 | 大学野球2008 | コメント(0) | トラックバック(0)
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