2008年08月21日
一様に頭を丸めた高校球児の“夏”が、今年もまた、大甲子園で華やかに開催された。その決勝戦から3日後、年齢も経歴も風貌もバラバラなジャナ専野球部の“夏”が、東京郊外の東綾瀬公園野球場でひっそりと始まった。
2年生にとっては“最後の夏”となる東京都専門学校軟式野球選手権。我らがジャナ専は2回戦からの登場である。帰省、法事等で数人を欠き、初戦に臨む選手はジャスト9人。三塁ベースコーチは監督が務め、一塁ベースコーチには打順が遠い選手が入る。守備面も、本来は二塁手の主将・鶴田成秀(2年)がマスクを被り、普段は外野を守る斎藤悠哉(1年)が空いた二塁に入る苦しい布陣。近ごろ流行りのポリバレントなどではなく、ぶっつけ本番の玉突きパッチワークである。
劣勢が予想されたが、試合はジャナ専のペースで進む。玉突きとは無縁、いつもと同じ場所に立った岡一男(2年)の好投で攻撃への流れを作ると、毎回のように得点機を迎える。ところが、肝心の一本が出ず、移り気な野球の神様のご機嫌を損ねてしまう。4回表の守り、1死3塁で相手打者が放った打球は右翼への飛球。右翼手の山田隼哉(2年)のバックホームは、きれいなワンバウンドを描き鶴田のミットへ。鶴田はしっかりとランナーにタッチしたように見えたが、悲しいかな、主審の腕は横に開く。
しかし、ジャナ専も簡単には引き下がらない。6回裏、この日、走攻守に冴えを見せていた奥住達也(2年)が出塁しチャンスメーク。進塁打、四球、三盗でチャンスを拡大すると、内野ゴロの間に奥住が同点のホームを踏む。星野ジャパンに手取り足取り教えてあげたいほどのスモールベースボールで、試合は振り出しへ。続く7回表の守り、2死からの安打性の打球を遊撃手・杉山大士(1年)が鮮やかにさばくと、いよいよ流れはジャナ専のものである。
7回裏の攻撃は、この日8番に入った主砲の岡から。最高の打順を最終回に用意するあたり、ナインの必死のプレーに神様も心を動かされたか。岡が左中間を深く破る三塁打でサヨナラ機を演出すると、1死後、鶴田がショートゴロを叩きつけ、岡をホームに迎え入れた。
立秋を過ぎ、朝晩はめっきり涼しくなった今日この頃。23日は処暑、耳をすませば秋の足音が聞こえそうなものだが、彼らの耳に響くのは仲間のハートビート。全力少年たちが紡ぐひと夏の夢物語は、まだ終わらない。
posted by jjc_skentaro |20:14 |
ジャナ専 |
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2008年08月20日
熱戦が繰り広げられた夏の高校野球が幕を閉じ、はや2日。昨夏の甲子園を沸かせた由規(佐藤由規)が、神宮球場で行われたイースタンリーグ・対巨人戦の先発マウンドに上がった。
昨夏、由規は仙台育英(宮城)の主戦として聖地に登場。初戦の智弁和歌山(和歌山)戦で、強力打線を相手に17奪三振の完投勝利を収める。2回戦の智弁学園(奈良)戦では、史上最速となる球速155km/hをマーク。中田翔なき夏の甲子園で、主役を張った。
あの夏から、ちょうど1年。厳しい言い方だが、技術面における進歩はない。左肩の開きが早く、右打者の内角に威力あるボールを投げられない悪癖は直っていない。スライダーの曲がりも相変わらず大きすぎ、けん制やフィールディングにも課題を残す。
一方、精神面ではひと回り大きくなったようだ。脇谷亮太、矢野謙次ら実力者が並ぶ巨人打線に対し、140km/h台後半の直球を軸に真っ向勝負。6回表に星孝典にソロ本塁打を喫するが、動揺した様子はなく、後続を冷静に打ち取る。結局、8イニングを投げ、失点はその1点のみ。崩れだすと止まらなかった高校時代と比べ、ぐっと逞しくなった。
力投した彼を、チームメイトも見殺しにはしなかった。門倉健の好投の前に敗色濃厚だった8回裏、一昨年春に甲子園を沸かせた川端慎吾が四球で突破口をひらく。由規の代打・ウィルソンが内野安打でつなぐと、これまた甲子園の星である上田剛史に逆転2点タイムリーが飛び出した。
何度か1軍昇格の噂が立ちながら、2軍での登板が続く由規。今日の投球を見る限りでは、昇格は厳しいと言わざるを得ない。高校時代同様に、ボールになるスライダーを見極められ、直球を狙い打たれる光景が目に浮かぶ。
とはいえ、直球で勝負できる投手はいまや絶滅危惧種であり、由規にかかる期待は大きい。村中恭平、増渕竜義と高卒の本格派投手を、荒々しさを残したまま1軍戦力に組み込んだヤクルト。第3作の出荷が待ち遠しいものだ。
posted by jjc_skentaro |20:19 |
プロ野球 |
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2008年08月16日
佐賀北の2番打者、井手和馬(現・亜大)の打球が、センター前にポトリと落ちる。2塁走者の馬場崎俊也(現・立命大)が足を絡ませながら、最後は倒れこむようにホームイン。全国制覇を目指した東の横綱が、伏兵の粘りに屈した瞬間だった。
そう、帝京は“東の”横綱だった。
西の横綱は、中田翔(現・北海道日本ハム)を擁する大阪桐蔭であった。中田の他にも、山口祥継(現・法大)、堀拓真(現・明大)、丸山貴司(現・青学大)ら、2年時からレギュラーを張る逸材がズラリ。圧倒的な個の力を見せつけて、大阪大会の決勝まで順当に勝ち上がる。
だが、甲子園を懸けた大一番では、植松優友(現・千葉ロッテ)を中心に束となってかかってきた金光大阪に惜敗を喫する。3点ビハインドの最終回、きらびやかなタレント軍団は、ユニホームを真っ黒にして反撃を試みる。だが、お尻に火がつくのが少し遅かった。全国制覇の最有力は、予定よりも1ヶ月ほど早く夏休みを迎えた。
高校野球ファンが落胆したタレント集団の予選敗退は、しかし、後輩たちにとっては最高の教材だったようだ。
黄金世代が卒業した今年のチームの魅力は、昨年とは対照的な泥臭い全員野球。昨年は二塁手を争っていた浅村栄斗(3年)と森川真雄(3年)がその象徴だ。ともにスタンドに放り込む力を有しているが、浅村は出塁に徹し、森川は左右に打ち分ける。守備では二遊間を組み、戦術的にも精神的にもチームの中心だ。
福島由登(3年)が先発し、右翼手の奥村翔馬(3年)が救援、福島が再び登板するというパターンも、ここにきてすっかり確立。外野で一休みした福島が気持ちあらたにマウンドへ上がるのは、相手チームにとっては脅威である。奥村の不調による苦肉の策の感もあったが、その奥村も、報徳学園戦で逆転劇を呼び込む好リリーフを披露。苦肉の策は、勝利の方程式へと昇華した。
“粘りの”あるいは“逆転の”といった枕詞がついてまわる報徳学園に対し、お株を奪う粘り勝ち。勝負強さは、いよいよ本物だ。黄金世代が届かなかった真紅の優勝旗まで、あと2つ。
posted by jjc_skentaro |13:51 |
高校野球 |
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2008年08月10日
8/6(水)から8/9(土)にかけて、日本シンクロチャレンジカップが東京辰巳国際水泳場で開催された。
神秘的な旋律が流れ始め、8人の選手がひらりとプールに飛び込む。激しさと美しさ、大胆と繊細。色彩の異なる糸を織り込んだプログラムを、8人の力で紡ぎあげる。豊富な練習量に裏打ちされた動きは一糸乱れず、スポーツというよりはひとつの芸術だ。
球技や武道と異なり、対戦相手はいない。演技の間は、自分たちの演技にすべての観客の目が集まる。ひざがほんの少し曲がっているのも、位置がわずかにずれているのも、一目瞭然。文字通り、頭のてっぺんから足のつま先まで神経を張り詰めなければならない。
審判は技術担当と芸術性担当が各5人ずつ、計10人。20の厳しい視線が、演技に対して注がれる。水は濁りなく透き通り、水中での動きも手に取るように分かる。また、水面に顔を出したとき、彼女たちは笑顔を見せるのだが、作り笑顔はいとも簡単に見抜かれてしまう。思い通りの演技ができていないときは、無理に口角を引き上げたような笑顔になり、目が笑っていないのだ。まったく、何から何まで、ごまかしが利かない。
演技を終えスタンドに現れた彼女たちは、揃いのジャージをきちんと着こなし、黒い髪をきれいに結びあげていた。身体は逆三角形に絞り込まれ、立ち姿さえも凛としている。「出るんです、普段の生活というか、プールの外での態度が。プールの中だけ、試合の日だけきちんとしようと思っても、絶対にできません」とは、ある高校生選手のコメント。マーメイドになるためには、毎日が修行だ。
posted by jjc_skentaro |01:15 |
シンクロ |
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2008年08月03日
36回目を数える全日本リトルシニア野球選手権大会が、神宮球場を中心に開催されている。3日(日)の準々決勝第1試合では、ともに関東連盟に所属する江戸川中央と調布が対戦。江戸川中央が4-3で接戦に勝利し、準決勝進出を決めた。
いくつかの火山が、噴火寸前だった。
3番打者の中川勇希君(新小岩中2年)に2本の2点タイムリーが飛び出し、4-0と試合の主導権を握っていた江戸川中央。しかし、6回表の守りでミスが相次ぐ。
先頭打者の緩いゴロを、三塁手の小河諒君(西葛西中2年)がお手玉。小河君は続く三塁ゴロもファンブルしてしまい、ベンチへと退く。2死無走者のところが無死1・2塁となり、投手の江川吉明君(八木ヶ谷中3年)も落胆を隠せない。ストレートの四球を、次打者に与えてしまった。
無死満塁となり、調布の4番打者が放った飛球はライトヘ。タッチアップした三塁走者を刺すべく、右翼手の鈴木友貴君(立石中2年)から二塁手の木内準祥君(深川三中2年)へとボールが渡る。しかし、木内君は本塁への送球をためらう。やや遅れて本塁のバックアップに向かっていた江川君が、ちょうど捕手の前を横切ってしまったのだ。ボールを目で追っている限り、江川君の動きは視界に入らず、木内君の躊躇の理由は分からない。ベンチから、スタンドから、「投げろよ」と声が飛ぶ。
続く打者には初球をセンター前に運ばれ、再び満塁のピンチを背負う。6番打者の打球はショートへのゴロ。6-4-3とボールが転送されたが、打者走者の猛然としたヘッドスライディングに一塁塁審は手を横に開く。リードは2点に縮まり、なおも2死1・3塁。ここで調布は1塁走者を走らせた。
捕手の中平達志君(松江一中3年)は1塁走者を仕留めにかかる。だが、ボールは2塁ベースを遥かに越え、3塁走者が悠々と生還。リードは1点差になり、スタンドで応援する部員の声にも、心なしか、苛立ちともどかしさが混じりはじめる。グラウンドの選手も、ベンチも、スタンドも、みんなフラストレーションをため込んでいた。同点に追い付かれようものなら、いくつかの火山が噴火したことであろう。
だが、このピンチをショートゴロでなんとか切り抜けると、最終回の7回は三者凡退に抑え1点差で逃げ切る。右翼手の鈴木君がウイニングボールをつかんだ瞬間には、ベンチから控え選手が一斉に飛び出した。交代を命じられた小河君も、「投げろよ」と言われた木内君も、木内君を責めた選手も、一緒になって準決勝進出を喜んだ。困ったものだと頭を掻いていた監督も、しっかりしろよと嘆いていた父親たちの顔にも、満面の笑みが広がる。
接戦を通して強まった絆を武器に、準決勝へ挑む。
posted by jjc_skentaro |10:42 |
少年野球 |
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