2008年05月28日
東京六大学野球春季リーグ戦は、27日(火)に神宮球場で第7週の3回戦が行われた。優勝に王手をかけていた明治大学は、6-0で法政大学に快勝。この結果、最終週の早慶戦を残して明大の優勝が決まった。
選手交代を告げるアナウンスが球場に流れる。ブルペンで投球練習をしていた背番号11が、ゆっくりとマウンドへ向かう。法政大学の拙守につけこみ、6回までに4点をリードした明治大学。先発の野村祐輔(1年・広陵)の投球には、まだまだ十分な余裕があった。だが、善波達也監督はエースの岩田慎司(4年・東邦)を7回表のマウンドに送り出した。
今春のリーグ戦13試合目の登板となる岩田。肩で呼吸をするなど、疲労が色濃く感じられる。直球も伸びを欠くが、カーブとスライダーをうまく使い3イニングを無失点。8季ぶりとなる歓喜の瞬間を、しっかりと手繰り寄せた。
岩田は昨年までの3年間でわずか1勝。1学年上に久米勇紀(現ソフトバンク)や古川祐樹(現巨人)ら逸材が揃っていたため、登板の機会に恵まれなかった。ところが、最上級生として迎えた今春、潜在能力を開花させる。第2週から第3週にかけては、22イニング連続無失点を記録。チームの投球回数の半分以上を1人で投げ4勝をマークするなど、大黒柱として一本立ちした。
岩田の活躍に引っ張られ、多くの選手が台頭した。3年間で1度も登板がなかった江柄子裕樹(4年・つくば秀英)は、2回戦の先発を任され3勝を記録。切れ味鋭いシュートを軸とした投球には、米大リーグのドジャースが熱視線を送っている。昨夏の甲子園を沸かせた野村は、投げるたびに評価を上げ、岩田・江柄子とともに3本柱を形成。優勝がかかった今日の大一番では先発を任され、安定感あふれる投球を見せた。
その他にも大越遼介(3年・日大三)、柴田章吾(1年・愛工大名電)、隈部智也(1年・熊本工業)の左腕トリオや大型右腕の近藤健太(2年・倉敷工)が短いイニングながら神宮のマウンドを経験。昨季の実績がある宮田隼(4年・鵡川)や西嶋一記(2年・横浜)がベンチにも入れないほど、投手陣が充実していた。
すべての大学から勝ち点を奪った明大だが、すんなりと2連勝したのは東京大学戦のみ。立教大学と戦った第5週にいたっては、4回戦まで勝負がもつれこんだ。優勝までの道のりは長く、険しかった。だが、長く険しい道のりを走り終えたとき、多士済済の投手王国がそこには誕生していた。
posted by jjc_skentaro |22:37 |
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2008年05月27日
5月17日から25日にかけて行われた、バレーボールの世界最終予選。日本は6勝1敗の3位で戦い終え、五輪切符を手にした。
お茶の間にお馴染みの顔ぶれが並んでいた。セッターに主将の竹下佳江。レフトに栗原恵と高橋みゆきの両エースが入り、センターは杉山祥子と荒木絵里香。リベロは佐野優子。ライト(セッター対角)はもちろん、木村沙織だった。
木村は高校3年生だった2003年に全日本デビュー。翌04年、アテネ五輪の世界最終予選で日本の出場権獲得に大きく貢献し、18歳で五輪に出場する。その後も07年のアジア選手権でベストサーバー賞に輝くなど順調に成長。いまや全日本に欠かせない選手となっている。
大友愛が突然第一線を退いた(先日復帰を表明)06年以降、日本のライトは木村がひとりで守ってきた。21歳の若さで、体力的・技術的に高いものが要求されるポジションを務めあげているのは立派の一語である。だが、もう一人の沙織を日本のライトに推すバレーボールファンも多いのではないだろうか。
有田沙織。NECレッドロケッツに所属するウイングスパイカーである。高校時代は栗原・大山加奈とともに3羽ガラスと呼ばれ、2人とともに02年の全日本に選出。04年には五輪の代表候補に名を連ね、06年から08年の全日本にも招集されている。センターの選手のようなきれいなブロックと、セッターも務まる正確なトスアップ。加えてサウスポーであり、ライト選手の理想形との呼び声も高い。
有田の難点は故障がちなところである。04年は五輪メンバーの座をほぼ手中にしながら、バックアタックの着地に失敗し左ひざの靭帯を断裂。一昨年、昨年の全日本も怪我や貧血で参加を見送った。今回も世界最終予選の候補に名を連ねたが、直前合宿への参加を辞退。五輪への出場は厳しいと言わざるを得ない。
チームの結束、あるいはコンビの熟成を考えたとき、切符をもぎとった12人で五輪を戦うのが自然な流れになる。ただ、データ全盛の時代にあって、予選と全く同じメンバーで本番に挑むのは必ずしも得策ではない。北京五輪の開幕は8月8日。データのないサウスポーが、最後の一枠にすべりこむ。そんなシナリオが、あってもおかしくない。
posted by jjc_skentaro |20:12 |
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2008年05月24日
神宮球場で六大学野球の試合を見る予定だった。チケット売り場の手前で、今日の天気予報を思い出す。「午前中は曇り、昼からは雨、降水確率80%」。雨で濡れるのは構わないが、雨で試合が中止になるとチケット代がもったいない。どうせなら雨が降っても中止にならない競技をという消極的な理由で、来た道を少し引き返し、国立競技場に入った。
陸上競技の関東インカレ・3日目の競技が行われていた。トラックでは女子10000m競歩が始まるところだ。ひとまずスタンドの空いている席に座ると、ピストルが鳴る。運動不足の人間のジョギングよりも速いであろうスピードで、選手が歩き始める。
先頭集団が目の前を通り過ぎようとしたときだった。「ゆみえファイトォーッ!!」。大音声が耳をつんざく。驚いて辺りを見渡すと、後方に筑波大学の部員が十数名座っていた。「ゆみえ」というチームメイトが先頭集団の中を走っているのだろう。
納得してレースに目を戻した瞬間、第二声があがった。「かなみファイトォーッ!!」。どうやらもう一人、「かなみ」という選手が出場しているようだ。途中で新聞を読み始めた私を尻目に、十数人の応援団は2人が前を通るたびに声を振り絞った。その回数、2人×25周で50回。1時間近いレースの間、彼らは声援を送り続けた。
まだ雨は落ちてこないが、雲の色が灰色になってきたので、屋根の下へ移動する。周りに座っているのは中央大学の部員だ。彼らの応援も迫力がある。チームメイトが走っている間、声を出し続けるのだ。400mハードルでは1分少々、800mでは2分前後、200mでは30秒弱、ろくに息もつかない。レースが終わったあとは、走り終えた選手のような呼吸をしている。そうだ、彼らは選手とともに走っているのだ。
バックスタンドでは各大学が横断幕を掲げ、ノボリを立て、そろいのジャージを着て、ときには人文字を作りながらチームメイトに勇気と元気を与えている。走幅跳が行われる時間にはホームスタンド最前列に幾重もの人垣ができ、3000m障害が始まると水郷の近くに新たな音源ができる。彼らの熱に水を差すのをためらっているのか、心配された雨はまだ降らない。
3000m障害決勝の2組目が始まる4時30分頃、やっと水滴が天から落ちてきた。今まで溜めていたぶんもと言わんばかりに、一気に大降りになる。最終競技まで待ってくれないあたり、神様は意地悪だ。だが、「昼からは雨」という予報に反して、よくここまで天気が持ってくれたものだ。
ひとりの選手を、部員全員が全身全霊をかけて応援する。身体はスタンドに座っていても、心は選手とひとつになって走る。そんな熱気が天に伝わり、雨を降らすのを躊躇させた。あまりに非科学的な話だ。あまりに非科学的だが、それを否定できない自分がここにいるのだ。
posted by jjc_skentaro |21:00 |
陸上競技 |
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2008年05月21日
佑ちゃんとマー君。甲子園に2人のヒーローが生まれた夏から、もうすぐ2年が経つ。
早稲田大学に進学した佑ちゃんは、1年目から春と秋のリーグ戦のベストナインを獲得。昨年の日米大学野球の日本代表に選ばれるなど、すでに大学野球界の顔となっている。一方、東北楽天ゴールデンイーグルスに入団したマー君は、2桁勝利をマークし、新人王に輝いた。夏の話題を“ふたり占め”した欲張りな両雄は、世代のトップを走り続けている。
あの夏も、それ以降も、2人が放つ光は強すぎて、なかなか他の選手にはスポットライトがあたらない。だが、2人の後をひたひたと追い続けている3人目のヒーローがいる。
2年前の夏、きれいな紫色のユニホームの学校が甲子園に爽やかな風を吹かせた。鹿児島代表・鹿児島工業。その中心に、鮫島哲新という選手がいた。4番打者・捕手・主将とまさにチームの大黒柱。ミットが流れない正確なキャッチング、大胆さと繊細さを兼ね備えたリード、グラウンド全体を見渡した的確な指示、チャンスに滅法強いバッティング。攻守両面でチームを力強く牽引し、ベスト4の原動力となった。
卒業後、鮫島は中央大学に進学。1年目から正捕手の座を獲得し、打順も中軸。今年からは阿部慎之助がつけていた背番号10を背負っている。キャッチングでは、ワンバウンドになる変化球への対応に磨きがかかった。後逸する光景はほとんど見られない。また、リード面では、審判の癖をうまく利用できるようになっている。投手のリズムを生み出す、テンポのいい返球も健在だ。
鹿児島工の旋風が止まった試合で、佑ちゃんに4打数無安打3三振と完全に抑えられた鮫島。「まずは1部にあがって(中大は現在東都2部)、神宮大会で斎藤と対決したい」とことあるたびに語っており、ライバル意識は相当に持っているようだ。第2集団の先頭から、先頭集団へ。“ハンカチ世代”3人目のヒーローに注目だ。
posted by jjc_skentaro |18:27 |
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2008年05月21日
東京六大学春季リーグ戦は5月5日(月)に神宮球場で第4週の2回戦が行われた。早稲田大学-立教大学の一戦は、序盤で大量リードを奪った早大が8-0で快勝し2連勝。勝ち点1を獲得した。
「ショート!ショート!」。飛球が上空に放物線を描くたびに、一際大きな声が球場に響き渡る。声の主は、泉尚徳(4年・国士館)。早稲田大の左翼手である。
泉は2年生の秋に5番打者を務めあげ、優勝に大きく貢献。ベストナインを獲得するなど順風満帆に見えたが、その後伸び悩む。昨年は1年生の原寛信(現2年・桐蔭学園)に一塁手の座を奪われ、準レギュラーに降格する。今春、レギュラーに返り咲いたものの打順は下位。ポジションも本職の一塁ではなく外野である。
「5番・一塁」から「8番・左翼」へ。現在置かれている立場は、決して満足できるものではないだろう。しかし、泉の野球に対する姿勢は打順が何番でも、ポジションがどこであっても変わらない。一塁ベースから1球ごとに大きな声を投手に掛けていた泉は、居場所を左翼に移して、今日も大声を張り上げている。
7回表、その泉の代打に生島大輔(4年・大阪桐蔭)が告げられる。走攻守の3拍子が揃い、1年生の春から出番を与えられたが、レギュラーをつかめぬまま最終学年を迎えている。その生島は3球目の甘い球をとらえ、センター前に運ぶ。序盤で大差がついてしまい緊張感が失われてしまった試合の中で、限られた機会に高い集中力を見せた。
その裏、川畑依啓(4年・桑名)が左翼の守備に就く。スタメンに名を連ねることは少ない川畑だが、攻守に堅実なバイプレーヤーとして應武篤良監督に重宝されている。二浪して一般入試で早大の門をたたき、甲子園の星達に混じってベンチ入りを勝ち取った苦労人。171㎝と小柄だが、その背中が語るものは大きい。
主将の上本博紀(4年・広陵)、捕手の細山田武史(4年・鹿児島城西)、スラッガーの松本啓二朗(4年・千葉経大附)らドラフト候補を多数擁する早大。彼らに華やかな色のライトが当たる陰で、泉が、生島が、川畑が、ひっそりと、しかし懸命に最後の春を戦っている。
posted by jjc_skentaro |13:26 |
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