2011年03月06日

ポスト遠藤と長友のサブ

 Jリーグが開幕した。
 仕事が忙しく、ニュース番組のハイライトと翌日の新聞で結果をおさえるのが精いっぱいだと思うが、代表の指揮官が若手の登用に積極的な人になったので、若手の台頭を楽しみに見ていこうと思う。

 アジア杯の日本代表を見ていて、人材難を感じたのはパッサータイプのボランチと左サイドバック(SB)だ。

 パッサータイプのボランチは、遠藤保仁と中村憲剛のおかげでこの4~5年はまったく人材難を感じなかったが、両者とも80年生まれで今年31歳。2014年には両方いない気がする。
 ポスト遠藤の1番手は、アジア杯のメンバーにも選出されていた柏木陽介ということになるのだろうか。ただ、彼は、遠藤とはタイプが違う。遠藤は基本的にボールより後ろにいるが、柏木はボールを追い越していく。第2ボランチとトップ下のできる選手として、今後も代表には招集され続けるだろうが、遠藤の正統派後継者ではない。山田直輝も同様だ。
 あまりしっかりと見たことのない選手だが、茨田陽生は柏木よりは遠藤に近い気がする。ただ、彼は所属チームでは2列目で起用されることが多く、ボランチとして経験値を積んでいくのが難しいかもしれない。
 個人的に期待しているのは、筑波大学から横浜Mに加入した森谷賢太郎だ。この選手の“止める・蹴る”の精度は、すでに国内トップクラスであろう。同い年の永木亮太が昨年、大学に在籍しながら強化指定選手として湘南でプレーしたが、永木があれだけできたのだから、森谷も攻撃面は十分に通用すると思われる。

 左SBは、長友が不動の存在としているが、彼がいないとき(あるいは右や1列前で使いたいとき)に安心してポジションを任せられる選手が必要だ。
 小宮山尊信はなかなかいい選手だと思うが、右利きだしそんなに若くない。安田理大、酒井高徳、流通経済大学の比嘉祐介あたりも右利きだ。清水の太田宏介、専修大学から千葉に入った藤本修司に期待したい。

posted by POOH |00:04 | 代表サッカー・J | コメント(3) | トラックバック(0)
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2011年01月30日

オシムとザッケローニと城福浩 ~4年越しの変則4バック~

 昨夜のアジアカップ決勝、後半10分過ぎ。
 サイドMFの藤本淳吾に代えてストッパーの岩政大樹が投入されたとき、そして、3バックへ移行するのではなくポジションを1つずつズラして4-2-3-1をキープすることが分かったとき、4年前のアジアカップ準決勝、サウジアラビア戦を思い出した。

        *        *        *

 今大会の日本代表は、闘莉王や栗原勇蔵、槙野智章ら実力派のストッパーを多く故障で欠いたが、4年前のチームも闘莉王と水本裕貴を故障で欠き、最終ライン中央部は中澤佑二と門外漢の阿部勇樹がコンビを組んでいた。

 さほどスピードのないこのコンビは、グループリーグ(GL)からスピード系FWやカウンター攻撃にもろさを見せており、それまでの4試合で完封はゼロ。GL第1戦(vsカタール、△1-1)ではセバスチャンに翻弄され、GL第2戦(vsUAE、○3-1)ではスルーパス1本で裏を取られ、あっけなく失点していた。
 
 サウジの先発2トップは、ともに100mを11秒前後で走るであろうマレクとヤセル。試合開始直後から、彼らのスピードと身体能力の前に、肝を冷やす場面が続いた。
 そして前半35分、ヤセルに先制点を奪われ(セットプレーからだったが)、1-1の後半2分にはマレクのヘディングで再度勝ちこされる。6分後に2-2に追いつくも、その6分後、マレクの鋭い切り返しに中澤と阿部がついていけず、3点目を献上。その後、佐藤寿人、羽生直剛、矢野貴章と攻撃的なカードを切って反撃を試みるも一歩及ばず、2-3で負けた。

        *        *        *

 ベンチには、本職のCBである坪井慶介が控えていた。
 スピードのある坪井を入れて、3バックにすべきだった――という意見も多かった。個人的には、その意見の前半は当たっていて、後半は違う気がした。

 マレクとヤセルのスピードに対応できるCBは、坪井しかいなかったと思う(伊野波雅彦もベンチにいたが、当時の彼はボランチの選手で、センターバックの経験といえば五輪予選で3バックの真ん中を務めているくらいだった)。ただ、3バックにしてしまうと、中盤を1枚減らさなければならない。中村俊輔、遠藤保仁、中村憲剛が同時起用され、ただでさえ鈴木啓太に過度な負担がかかっていた中盤をさらに1枚削ってしまうと、坪井を入れて最終ラインの弾力性をアップさせても、肝心のセカンドボールが拾えない。

 坪井を入れて、かつ3バックにしない手はつまり、左右非対称の4バックだ。坪井をセンターバックに入れ、阿部を左にスライド、左DFの駒野友一を左MFに上げて、中盤のテクニシャン3枚のうち1枚を削る。そんな“3バックの雰囲気を持つ4バック”への移行を、オシムにしてほしかったのだが、オシムは意外と無策だった。

 4年前の大会は、横パスばかりで迫力のない攻撃も、カウンターとセットプレーから簡単に失点する守備も、すべてが残念だった印象があるが、オシムの選手交代が上手くないことが個人的には一番残念だった。

        *        *        *

 それから4年後、同じ大会で、オシムほどシステムオタクっぽいところがなく、オシムほど日本人選手のことを知らないはずのザッケローニが、オシムに打ってほしかった一手を打ってくれた。
 ザッケローニはオシムのために戦ったわけではないが、 「日本の指揮官は勝負師ではない」と暗につきつけられた日から4年、ちょっとしたリベンジを果たしてくれた気がした。
 
 もっとも、今野と長友の場所を動かしてゲームを動かしたため、なぜか城福浩が指揮を執っているような感覚に一瞬、陥ったのだが。

posted by Pooh |20:48 | 代表サッカー・J | コメント(0) | トラックバック(0)
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2010年12月12日

川崎山脈の世代交代

 寺田周平と佐原秀樹が現役引退を発表した。
 若い頃から“年不相応”に落ち着いていた寺田、甘いマスクで茶髪が似合う佐原。2人とも外見的に加齢をあまり感じさせない選手だったから、引退と聞いたときにはちょっと早い気がした。ただ、あらためて名鑑で調べてみると、寺田は35歳で佐原は32歳。どちらもヒザの故障に悩まされ、今季のリーグ戦出場は10試合程度だったし、妥当といえば妥当な決断かもしれない。

 川崎をJ屈指の強豪に押し上げたのは、強固なセンターラインの存在だ。前線のジュニーニョ、中盤の中村憲剛、そして自陣ゴール前を固める長身DF陣。187cmの箕輪義信、189cmの寺田、183cmの伊藤宏樹で構成され、ベンチに184cmの佐原と182cmの井川祐輔が控えた“川崎山脈”は、文字通り難攻不落だった。だが、箕輪はすでにチームを去り、このたび寺田と佐原が引退。これにて山脈も解体といったところか。

 ただ、このチームは世代交代が抜群にうまい。強豪への階段をのぼっていた頃、レギュラークラスの多くが選手として旬の時期を迎えており、勢いはそう長く続かないと思っていたが、鄭大世、谷口博之、田坂祐介、横山知伸といった若い選手をうまく戦力に取り込むことで、今野章、長橋康弘、久野智昭、我那覇和樹らJ1昇格の立役者が引退・移籍しても戦力を維持。強豪と目されるようになってからは、山岸智(現広島)や小宮山尊信ら主力級の加入も目立ち、エレベータークラブにならずJ1上位をキープしている。

 当然、“新山脈候補”もしっかり確保しており、昨季から主戦CBとして起用されている菊地光将(85年生まれ)以外にも、広州アジア大会Vメンバーの薗田淳、實藤友紀(ともに89年生まれ)がいる。菊地が182cm、薗田が181cm、實藤が178cmと身長は旧山脈に劣るが、いずれも身体能力が高く、守備範囲と瞬発力は旧山脈より上。現代サッカーの主流である4バック向きの山脈とも言える。

 数年後にはさすがの憲剛とジュニーニョもフル稼働が難しくなり(ちなみに、今季体力的な衰えを露呈した鹿島の小笠原満男とマルキーニョスは、憲剛とジュニーニョよりそれぞれ1歳ずつ年上だ)、前線の刷新がマストとなるわけで、後ろの世代交代はそれまでに完了させておきたいところ。若き3人を伊藤と井川が支える新山脈で、どこまでできるか。来季は川崎がこれからも強豪であり続けるための、大事な年なのかもしれない。

posted by Pooh |00:42 | 代表サッカー・J | コメント(1) | トラックバック(0)
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2009年08月30日

スタジアム観戦記⑥(7回目未定)

 30日(日)、等々力で川崎vs清水の試合を観戦してきた(諸事情により後半開始直後まで)。

 スタメンはこんな感じ。
[川崎↓]
      川島
 森  菊地 伊藤 村上
    谷口 寺田
 田坂      憲剛
    矢島 ジュニ

 出場停止が明けた森が右SBに復帰した。前節は久木野がこのポジションに入り、なかなか活きのいいプレーを見せたが、守備面や連係の面では本職に及ばぬか。久木野と同じく前節にスタメン起用された田坂は、この日も右で先発。前節はボランチだった憲剛は2列目(この日は左)に戻り、寺田がアンカーに入った。トップにはテセ(鄭大世)ではなく矢島が起用された。リザーフはGK相澤、DF井川、MF横山、養父、山岸、FWレナチーニョ、テセ。


    ヨンセン 岡崎
 枝村      兵働
    本田 伊東
太田 岩下 青山 市川
      海人
                  [清水↑]

 このところの好調を支えるメンバーが並んだ。左SBにストッパーもできる太田、ボランチはともに守備力の高い本田拓也と伊東、2列目にはボランチ経験のある枝村と兵働、トップは守備も献身的なヨンセンと岡崎という、いかにも全員でしっかりと守備のできそうな顔ぶれである。リザーフはGK西部、DF児玉、高木純平、MF山本真希、マルコス・パウロ、藤本、FW長沢。レギュラークラスがベンチにも揃うが、一発で試合を決め得るのは藤本(と山本真)のFKくらいか。ドリブラーの永井、あるいは快足ルーキーの木島あたりがが本来は控えていてほしいところだ。


 試合を最後まで見ていないので戦評的なことは言えないが、気になった点をつれづれなるままにいくつか。

 川崎の2列目は右に田坂、左に憲剛という初期設定だったのだが、憲剛は絞り気味のポジションを取るため、対面の市川を放してしまう。15分すぎには攻め上がってきた市川にフリーで強烈なミドルを打たれ、これを受けて川崎ベンチは2列目の左右を入れ替えた。憲剛はサイドアタッカータイプではないから、絞り気味のポジションを取るのは構わないのだが、何タイプであろうとサイドハーフが対面のサイドバックをケアするのは当然のこと。代表でも4-4-2のときはここに入る可能性があり、強豪国にはスプリント力と攻撃センスのあるSBがいることが多いわけで、気をつけてほしいなと思う。もちろん、市川は村上がつかまえて兵働はボランチで見る、という決まり事だったなら話は別だが、おそらくそうではないと思われる。


 そうそう、川崎といえば、数年前まではいわゆる川崎山脈がゴール前にそびえていた。187cmの箕輪、189cmの寺田、183cmの伊藤が3バックのレギュラーで、ベンチには184cmの佐原と182cmの井川。このうち、箕輪と佐原はチームを去り、寺田はボランチ起用が多くなった。現在では伊藤もしくは井川が、ボランチからコンバートされたスピードのある菊地とコンビを組んでいる。


 ストッパーとボランチでは、“抜かれたら終わり”のストッパーによりスピードが必要だが、大柄な選手が少ない日本では、大きい選手がバックをやらされ俊敏な選手は中盤(から前)で育てられる傾向があるように感じる。岡田JAPANに呼ばれたセンターバックを見ても、中澤、(ブラジル出身だが)闘莉王、岩政、寺田、高木和道、槙野と“日本人=小柄で俊敏”とのイメージからは離れた選手が多い。もちろん、ゴール前で空中戦に負けることは失点を意味するのだから、身体は大きいほうがいい。ただ、スピード勝負に負けて裏を取られることも失点を意味するわけで、スピードもあったほうがいいわけだ。


 空中戦に負けることとスピード勝負に負けることの危険性は同じくらいだと思うが、Jで気をつけたいのはスピードだ。俊敏な選手は中盤から前で育てられる傾向があるから、どのチームにも1人や2人、ウイングもできそうな快足日本人FWを抱えている。鹿島は興梠、浦和は田中達也と原口、大宮は石原、千葉は深井、マリノスは坂田、新潟は矢野貴章、清水は岡崎、名古屋は玉田と杉本、京都は林、神戸は大久保と茂木、広島は佐藤寿人。FC東京とジュビロには平山、前田とファーストトップ系の日本人FWがいるが、代わりに外国人が速い(カボレとイ・グノ)。となると、○○山脈と名のつくようなCBではスピード勝負に負けてしまうことになる。デカくて速いストッパーがいれば一番いいのだが、そんな選手はそう多くない。4バックで話をするなら、片方のストッパーにはデカい選手を置くにしても、他方にはスピードのある選手を使いたい。


 そうなってくると、中盤で育ってきた俊敏な選手――で且つ、タッパや身体能力があって空中戦でもそんなに簡単に負けない選手――のストッパー起用がひとつの手になる。それが川崎では菊地であり、鹿島では伊野波であり、FC東京では今野であり、大宮では片岡、ややタイプは異なるが大分では森重だ。川崎、鹿島、東京といった決してDF不足ではないチームでボランチ出身の選手がストッパー起用されているのは、こういった理由ではないだろうか、と菊地を見ながら思ったのである。大そうに考えすぎている気がしないでもないのだが。


 それでは、このへんで。

posted by Pooh |23:54 | 代表サッカー・J | コメント(0) | トラックバック(0)
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2009年07月20日

スタジアム観戦記①(2回目未定)

 18日(土)、生まれて初めてJ1の試合を観戦してきた。カードは横浜F・マリノスvsアルビレックス新潟(日産スタジアム、19:04キックオフ)。

 ちなみにスタメンはこんな感じ。
[マリノス↓]
       飯倉
天野 栗原 中澤 田中
    小椋 松田
水沼    山瀬   兵藤
       渡辺

 坂田と狩野が外れ、水沼と小椋が入った。以前にテレビで見たときは4-3-3に近かったと思うが、この日は4-2-3-1だった。2列目の3人の並びはあくまでも初期設定で、流れの中でポジションは激しく入れ替わる。田中の出場停止で前節先発した天野が、この試合も引き続き右サイドバックで先発。春先は丁東浩がこのポジションによく入っていたが、現在の評価は天野が上らしい。出停明けの田中は、入れ替わるように出停となった小宮山のところに入った。

ペドロ    大島     矢野
        松下  酒井
            本間
中野 永田 千葉 内田
       北野
                  [アルビ↑]

 試合開始5分、マイ観戦ノートに「4-4-3」と書き、ひとりで勝手に驚く。よくよく数え直すと、どうやら矢野を中盤とトップで2回数えていたらしい、というのは冗談、ではない。マルシオ・リシャルデスと千代反田が累積警告で出場停止も、布陣はいつも通りの4-3-3。酒井と千葉がそれぞれマルシオと千代反田のところにそのまま入った。マルシオがケガか何かで不在だった4月の京都戦では松尾がバックに入って内田が中盤に入ったが、この日の内田は本来の右にいた。


 ここまでスタメンについて詳しく書いたのはわけがある。その後はアウェーとは思えぬ新潟サポーターの応援に目と心を奪われて、ほとんど試合を見ていないのである。
 
   jjc_skentaro-101457.jpg


   
jjc_skentaro-101458.jpg


 アウェーでこれだけの質と量なのだから、ホームでは……と考えると、夏休み中にでもビッグスワンに行きたくなる。俺たちのオオシ~オーオーゲットゴール♪


 一応、試合について書いておくと、新潟が前半に矢野のゴールで先制するも、後半開始直後に投入されたばかりの坂田が同点弾をあげる。その後は両者決め手を欠き、1-1のドローに終わった。

 新潟は後半、完全に足が止まった。マルシオ不在に加えて松下が不調のため中盤でボールを失うことが多く、失ったボールを取り返すのに時間と労力を使ってしまった格好だ。自慢の3トップも、ペドロ・ジュニオールは独善的なプレーで小椋や天野の粘り強い対応の前にボール逸を繰り返し、大島はポストプレーこそ秀逸も中澤や栗原の上からヘディングをすることはできなかった。

 いっそ右から田中、矢野、川又(ジウトン)の走力系3トップにして、引いてカウンターに徹すればおもしろかったと思うが、独力で決定的な仕事をし得るペドロは、不調とはいえ替えるのが難しかったか。せめてペドロをトップに残してもよかったが、どちらにしても、自陣でのセットプレーの際にマリノスの長身選手と競り合ってくれる大島を変えるのは難しい。中盤に長身の純マーカスを入れて、そのぶんトップの高さを削る2枚替えなら平均身長は落ちなかったが。

 マリノスは後半、足が止まった新潟を自陣に押し込んだが、決勝点が奪えなかった。うまい選手がいて、高い選手がいて、ハードワークもできていて、交代選手(坂田、金根煥、長谷川アーリアジャスール)も効いていて、単品で見るとどれもしっかりしているのに、単品と単品の良さをかけ合わせるコンダクターがいなかった印象。これはこの試合に限った話ではなく、近年のマリノスが未解決にしてきた部分だけに、仕方ないといえば仕方なく、深刻と言えば深刻か。狩野を1列下げるのは難しいし……俊輔ボランチはありだったかもしれない。



それでは、いつになるか分からない第2回をお楽しみに。


posted by Pooh |23:59 | 代表サッカー・J | コメント(0) | トラックバック(0)
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2008年07月30日

4-2-3-1で臨むのか

 “長友(佑都)は安田(理大)に代わって入ります”

 
  あるいは、そのような実況中継が流れていたのかもしれない。だが、友人たちとスポーツバーで観戦していたため、実況の声は全く聞こえなかった。だから、アップを終えた背番号5が画面に映ったとき、てっきり彼は本田圭佑に代わって入るものだと思った。

 
 確かに、本田圭は長友と入れ替わるようにピッチを去る。しかし、それは長友との交代ではなく、同時にピッチに送り込まれた岡崎慎司との交代であった。安田のポジションに長友が、本田圭のポジションに岡崎が、それぞれそのまま入ったのである。

 
 
 反町康治監督は、4-2-3-1システムで北京五輪に挑む決意を固めたようだ。最後のテストと位置付けられるこの2試合を通じて、4-1-4-1や4-4-1-1に見えた時間帯も若干あったが、頑固なまでに4-2-3-1をキープ。3バックや1トップ2シャドーなど、相手に合わせて布陣を変えることを好む指揮官が、である。

 
 だが、18人の顔ぶれを見渡すと、4-2-3-1で本選を戦い抜くのはいささか困難に思える。“3”の両翼を担う人材が不足しているのだ。この2試合を見る限り、アウトサイドは本田圭と香川真司の先発が濃厚。3人目のサイドアタッカーには、FW登録の岡崎が控えるようだ。岡崎は豊富な運動量を誇り、所属する清水エスパルスでも中盤(トップ下)で起用されることが多い。だが、アウトサイドを任せるのはやや無理がある。

 
 岡崎には正確無比なクロスボールも、切れ味鋭いドリブルも、オーバーラップを促すタメもない。彼はサイドから上がったボールに合わせる選手であり、サイドからボールを上げる選手ではないのだ。試合終盤に、運動量を増やすべく本田圭に代えてピッチに送り出すのは可能である。だが、本田圭が負傷や出場停止の際に、岡崎にその代役は務まらない。4-2-3-1の中で、彼がフィットするポジションは“3”の真ん中。昨日、谷口博之が務めていた役割である。

 
 3人目のサイドアタッカーとなるべき存在は、岡崎ではなく、DFながら抜群の攻撃センスを持つ安田である。3人目のサイドアタッカーとして計算が立つからこそ、反町監督は安田をメンバーに加えたのではないか。そうでなければ、内田篤人と長友に加え細貝萌や森重真人も対応可能なサイドバックは供給過多であり、梅崎司と水野晃樹を競わせておいて両者落選とした人選も不可解になる。

 
 
 4-2-3-1にこだわるのであれば、安田を1列前で試運転させておいてほしかった。安田をそこで使う気がないのであれば、中盤ダイヤモンドの4-4-2――底に本田拓也、右に梶山陽平、左に本田圭、頂点に香川もしくは谷口――なども試しておくべきではなかったのだろうか。


 
 それとも、敵を欺くには味方から、手の内をすべて見せる必要はないということか。

posted by Pooh |14:16 | 代表サッカー・J | コメント(14) | トラックバック(1)
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