2009年11月11日
5カ月ほど前の話になるが、バレーボールのV・プレミアリーグに所属するトヨタ車体クインシーズの高橋翠(みどり)が現役を引退した。一昨年の夏に結婚したときは、その秋から始まる07‐08シーズンをラストシーズンにするかと思われたが、翌08‐09シーズンも不動のレギュラーとして元気にプレー。この感じならばもう1、2年続けるだろうと勝手に思っていた矢先の引退発表だったから、勝手に少し驚いた。
高橋は、「かおる姫」こと菅山かおるとどこか似ていたと勝手に思う。古川商業高校(現・古川学園高校)出身、いわゆるドリーム・ガールズの一員だったこと。大柄ではないが身体能力が高く、小粒でもピリリと辛かったこと。センスがあるのか器用なのか、2つ以上のポジションを高いレベルでこなせたこと。長きにわたって、強豪とは言えないチームの顔だったこと。所属チームで背番号が5番だったこと。柳本晶一政権時に全日本に召集されたこと。顔つきも違えば利き手も逆なのだが、共通点が多かったように思う。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
高橋抜きで新シーズンを迎えるトヨタ車体は、なかなか魅力的なスカッドを作り上げた。船崎恵視のサブが事実上不在だったセッターには、セッター王国JTマーヴェラスから長身の河村聖子が加入。高橋が昨季に務めたセンターには、チャレンジリーグ(2部)に降格した日立佐和から実力者の田原(旧姓飯田)香理を加えた。サイドはエースの都築有美子と進境著しい今西郁瑠に加え、堀崎智恵美、服部鮎弥、移籍の眞恵子(←デンソーエアリービーズ)とサブも充実し、先日には大砲レナタ・コロンボが昨季に続き加入することも発表されている。
菅山が一昨季まで所属していたJTもまた、不況で規模を縮小するチームが多い中にあって、大型補強でチームを強化した。アウトサイドには韓国で「100年に1人の逸材」とされているキム・ヨンギョンが加わり、センターにも山本愛(←久光製薬スプリングス)、石川友紀(←武富士バンブー=廃部)と代表クラスが加入。「ジダネス&パボネス」ではないが、これらスター選手の力と、位田愛、井上琴絵ら生え抜きの力がかみ合えば、8位に沈んだ昨季の悔しさを優勝という形で晴らすことも十分に可能であると見る。
その一方で、どちらのチームもあと1枚足りないのも事実である。トヨタ車体は田原の対角のセンターに経験の少ない選手を使わざるをえず、JTはサーブレシーブを担当するウイングスパイカー位田、リベロ井上が故障やスランプに陥ったときに保険となる存在がいない。位田、井上の前にレギュラーを務めていた高木理江、小酒翔子がいることにはいるが、サマーリーグの決勝を見る限り、この中堅2人が守備面で若い2人と同じ働きをできる感じはしない。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
まもなく09‐10シーズンのVリーグが始まる。「高橋(or菅山)? そういえばいたねぇ」と半年後に思えるのか「高橋(or菅山)がいれば……」と思うことになるのか。高橋の引退により、ますますレナタと都築への負担が大きくなりそうな車体。代表選手が多く、チームづくりが遅れるJT。なんとなく後者になりそうな気はする。
posted by Pooh |23:06 |
バレーボール |
コメント(2) |
トラックバック(0)
2009年09月14日
【NECレッドロケッツ】
杉山祥子、内藤香菜子、井野亜季子といったベテラン勢や移籍組がベンチ入りしなかった点は他チームも同じだが、このチームが徹底しているのは、ベンチ入りした選手の中でも経験の少ない選手から試合に出したこと。秋山美幸、内田暁子らレギュラークラスが時間限定だった一方で、新人の八幡美樹、松浦寛子はほぼフル出場だ。
おかげで昨日はチャレンジリーグ(2部)のKUROBEに1セットを先取され、きょうは久光製薬にストレート負けを喫した。リーグの開幕が近づいてきているだけに、いつまでもオープン戦モードなのはいかがなものか、と思わぬでもないが、ここで思い出されるのは昨年の年末の皇后杯からの流れ。高橋みゆき、成田郁久美といった大御所級は“お休み”させ、杉山祥子、秋山らレギュラー級もスタメンから外して(要するにきょうのようなメンバーで)皇后杯に挑んだチームは、ファイナルラウンド1回戦で嘉悦大学にアップセットを食らい、敗退する。シーズンの途中(皇后杯は1レグと2レグの間に行われる)にこんなメンバーでこんな試合をしなくとも、とそのときは思ったが、なぜかチームは2レグで快走したのだ。
リーグ戦にはガッツリとメンバーをかためて挑むが、それ以外のトーナメント等は若手の成長の機会――。このチームはこういうスタンスなのかもしれない。
試合内容についての言及がJTに比べて少ないのは……
貼っても貼っても落ちてくる横断幕にWサオリ(有田沙織と高崎紗緒梨)が苦戦しており、有田沙織の大ファンでもある私は、試合そっちのけでこちらを見ていた(しまいには手伝った)のである。
大人の男の人でも届かないところに手が届いていたWサオリ。どちらもケガが多いが、その高さを今度は試合で見せてほしい。
同じ頃、逆サイドではJTの西山慶樹が苦戦中。
【久光製薬スプリングス】
狩野舞子、石田瑞穂、佐野優子が全日本でおらず、ベテランの先野久美子、大村加奈子、狩野美雪、小山修加が不出場だったが、完成度の高さを他チームに見せつけた。
大卒3年目の平井香菜子は、この大会の主将も任され、この日のNEC戦ではスパイク決定率が66%を記録。観客席からは「“サマーレベル”じゃない」等の声も聞こえており、先野と大村が加わってもセンターの一角を占めそうだ。高卒2年目のリベロ座安琴希は、脚力を生かしてボールを次々と拾い、大会のMVPに選出された。同級生で同ポジションの井上琴絵(JT)が全日本入りを果たしたが、この大会を見る限り、この座安が井上に劣っている感じはしない。
座安と同期の石井美樹も好パフォーマンスを見せた。レシーブがいい選手なのだが、単に落とさないだけでなく、一定のリズムでセッターにボールを返せる。サーブレシーブの安定感はすでに国内屈指であり。ブロックフォローやつなぎのプレーも堅実だ。筒井視穂子の守備とサーブも好印象を受けた。
このままのメンバーでも、戦力低下のパイオニアや穴の大きいJTには勝てるだろう。さらに先述の狩野舞、佐野らが戻ってくるのだから、これは打倒東レの一番手になりそうだ。
試合後の記念撮影。監督が代わり、選手が大幅に入れ替わったため、もう少しギクシャクしていると予想していたが、仲のよさそうなチームだ。おそらく、先野、大村、原桂子ら百戦錬磨のベテランたちが明るいキャラクターであるのが大きいだろう。
手前の①が石井。まだ19歳だが、ベテランのような落ち着いたプレーをする。右の②古藤千鶴も、はやくもチームになじんでいた。
posted by Pooh |00:34 |
バレーボール |
コメント(0) |
トラックバック(0)
2009年09月13日
バレーボールの「2009V・サマーリーグ〈決勝リーグ〉」を観戦しに、藤沢まで行ってきた。
最近は学校のサークル「ジャナスポ」での関東大学サッカーの取材活動が多く、きょうは観戦を楽しもうと思って行ったため、特にメモ等は取っていないのだが、チーム別にちょこちょこと気付いたことを書いておこうと思う。チーム別といっても、この決勝に進出したチームのうち、選手の名前等をきちんと把握しているのは女子のJT、NEC、久光製薬の3チームであるから、その3チームぶんしか書けないのであるが。
【JTマーヴェラス】
この日はチャレンジリーグ(2部)のKUBOBEアクアフェアリーズとの対決であり、ストレートで勝つには勝ったのだが、内容が悪すぎる。とにかくミスが多く、サーブミスが西山由樹の5本を筆頭にチームで10本を数えるなど、自らのミスで1セットぶんに相当する26点をKUBOBEに与えてしまった。
ここまでミスが多いとなると、これは意識の問題ではなくスキルの問題である。“しっかりやらなきゃ(=しっかりやればできるんだ)”と当人たちは思っているかもしれないが、しっかりできなくなってしまっているのではないか。サーブレシーブにしても、2段トスにしても、JTの中堅選手より2試合目の久光の若い選手(石井美樹、座安琴希あたり)のほうが丁寧で、上手だった。
特に気になるのは、レシーブの際にボールに対して身体がクッションになっていない点だ。もう一歩、足が動けば――あるいは、もう少し腰を落とせば――身体でボールの勢いを受け止めることができ、優しく易しいボールをセッターに返すことができるのだが、最後のところを手だけで行ってしまう。だから、ちょっと強かったりちょっと不規則だったりするボールには簡単にはじかれるし、偶然セッターに返ってもリズムが優しくない。久光の石井あたりは、つねに同じリズムでセッターに返すことができるのだが。
あと、相手が格下チームだったからかもしれないが、このチームは相手を見てバレーボールをやっていない。夏場に練習してきたことを実戦の中で出したいのか、どこに上げるか決めていたようなトスアップが遠藤りつこも河合由貴も多いし、どこに打つか決めていたようなアタックが位田愛も川原麻実も多い。プレーの判断基準が、「この状況で何がベストか」ではなく、「自分が何を出したいか」になっているのだ。竹下佳江やキム・ヨンギョンといった全日本組・移籍組が合流すればタレント力は上がるが、きょうのような“決め打ちバレー”では、戦力拮抗のリーグ戦で白星を重ねるのは難しいだろう。
竹下、ヨンギョン、谷口雅美、山本愛、坂下麻衣子を欠いてはいるが、同様に全日本組とベテランが不在だった久光は上質のプレーを見せていた。このメンバーであの内容はさびしい。
小酒翔子(手前)と遠藤(奥)。小酒は井上琴絵を差し置いてリベロで出場したが、これといったアピールはできなかった。遠藤は大会の敢闘賞を獲得。昨日のプレーを見ていないためなんとも言えないが、昨年に比べるとフィジカルコンディションもよさそうで、気持ちも吹っ切れている感がある。
高木理江(⑧)と位田(⑮)。きょうは対角を組んだが、ヨンギョンと谷口が加われば、アウトサイドの残り1枠を2人で競う格好になるだろう。JTは、センターやオポジットの選手のレシーブの能力や意識が東レのようには高くないため、守備的なアウトサイドの選手が崩れると致命傷になる。この2人の頑張りが大切だ。
かなり長くなってしまったので、ここで一度投稿して、NECと久光については次の記事で書こうと思う。
posted by Pooh |22:00 |
バレーボール |
コメント(2) |
トラックバック(0)
2009年08月21日
「FIVBワールドグランプリ2009」決勝ラウンドの第2日を東京体育館で観戦してきた。
【第1試合】○オランダ(世界ランク15位)3―2●ドイツ(世界ランク12位)
昨日に白星発進したチーム同士の対決は、フルセットの末、世界ランクでは下回るオランダが勝利した。レフトから、ライトから、バックからとフリールが打ちまくり、決めまくったのがオランダの勝因だと思うが、第1セット序盤のさりげないブロム投入が効いていた。
第1セット、つながりそうなボールがコートに落ちることが続き7-14と劣勢となったオランダは、レフトのスタエレンス・ハイーネをアウトしブロムを入れる。身長194cm、最高到達点316cmと大型のハイーネに比べ、ブロムは身長178cm、最高到達点305cmと小柄だが、俊敏性があり、守備力とキレではハイーネを上回る。強烈なジャンプサーブも装備しており、日本の選手でいうとトヨタ車体の都築有美子に近い。
投入された直後から、センターのフールマンの2段トスを器用に打ち切ってブロックアウトを取るなど技巧を発揮し、レシーブでも奮闘。序盤のビハインドが大きく、このセットを取ることはできなかったが、彼女の投入でバランスがよくなったチームは、第2、第3セットを連取した。終盤はややバテたが、彼女が入ったことで負担が軽減されたレフトのスタム、ライトのフリールがここぞとばかりに奮起した。
全日本女子の真鍋政義監督は岡野(弘子)のピンチサーバー、濱口(華里菜)のピンチレシーバーなど予め出すと決めていた感じの交代が多く、男子の植田辰也監督は「ダメだから代えちゃう」といった感じの交代が多いが、チーム(あるいは選手)が崩れる前に、そっとバランスのとれた選手を投入するような采配がもう少しあってもいいように思った。
【第2試合】●中国(世界ランク5位)0―3○ブラジル(世界ランク1位)
ブラジルが2セットを取って迎えた第3セットの終盤、敗色濃厚な中国が意地を見せ、ブラジルは25-26、26-27と二度にわたってセットポイントを握られた。この二度の場面でセッターのダニ・リンスはレフトエースのナタリアへシンプルなトスを上げ、ナタリアのパワフルなスパイクでブラジルはピンチを脱し勝利するわけだが、印象的だったのは二度ともレフトエースのスパイクに対し中国のブロックが1枚だったことだ。
セット終盤のデュースの場面となれば、ブラジルといえども難しいことはそうできない。サーレをしっかりセッターに返し、セッターはエースにシンプルなトスを上げ、あとはエースが決めることを祈りつつブロックフォローをするだけだ。にもかかわらず、中国はレフトへのスパイクにブロックが1枚しかつけなかった。シェイラのバックライトや、センターのクイック、ブロードが気になったのだろう。
デュースの末に負けたりすると、どうしてもエースで負けた感じがするが、クライマックスまでにどれだけエース以外を使って伏線を張ってきたかが勝負を分けていたりする。この日のブラジルがよかったとは思わないが、よくないなりにコート上のメンバーで試合をコーディネートできるのは強いと思う。
【第3試合】●日本(世界ランク6位)1―3○ロシア(世界ランク8位)
第1試合には上写真のような状態だったスタンドが、日本の試合になるとビッシリと埋まった(注:同じチケットで3試合観戦できる)。ジャニーズ人気というものはすごい。
スタンドは8割方ジャニオタ、これじゃバレーボール観戦にならんわ――と思わないこともないが、大ファンの濱口の全日本ユニ姿が見たくて生観戦した自分だってミーハーだと思う。沙織(木村)や舞子(狩野)じゃないぶん、マニアっぽいかもしれないけど。Vリーグの試合では埋まらない東京体育館が3階席の隅っこまで埋まっているのは事実であって、ジャニ目当てでもお金を払ってバレーボールを見に来ている人がいるのだから、その人たちがVの試合を見に来るような流れを作ることを考えなければいけないのだと思う。物分かりがいいフリをしているだけかもしれないが。
試合はといえば、日本の選手はえらくお疲れモードで、サーブレシーブはボロボロ、トスはめちゃくちゃ、おかげでアタックはチョン当てという惨状だった。これだけ世界を転戦しているのだから疲れるなというのも無理だが、柳本(晶一)政権下からお馴染みのメンバーがドヨーンとしているのを見ると、内田(暁子)とか石田(瑞穂)とか都築とか、イキのいい選手のハツラツとしたプレーを見たくなる。石田は今回のメンバーに登録されているだけに、なおさら。あ、山口舞が長いプレータイムを与えられたのはよかったと思う。
セット間に練習する濱口(奥⑲)と岡野(手前⑦)。濱口はピンチレシーバーで入ってレシーブをミスするなどまだ少し緊張しているようだし、岡野は竹下以上にベテランだが、経験のわりにリーダーシップに欠ける佐野と竹下に代えてこの2人を送り込めば、雰囲気は多少よくなると思う。できれば、セッターには河合(由貴)や冨永(こよみ)、リベロには井上琴絵を思い切って試してほしいが。
庄司(夕起、奥⑩)と井上香織(手前④)。年齢的には、大村(加奈子)と多治見(麻子)ではなく、この2人が北京のサブセンターでよかったと思う。そして今頃は、石川(友紀)あたりをガッツリ使う時期なのだと思う。2年ずつくらい遅れている気がする、たぶんだけど。
posted by Pooh |00:44 |
バレーボール |
コメント(2) |
トラックバック(0)
2009年08月16日
少し古い話になるが、女子バレーボールワールドグランプリ大阪大会最終日・日本vsロシア戦をバイト先のTVで見た。
坂下(麻衣子、JT)に代わって出場した狩野舞子(久光製薬)が13得点の活躍を見せ、日本はロシアに勝利。若返りを図っているロシアに竹下(佳江、JT)や佐野(優子、久光製薬)を使って勝っても喜べないが、この大阪大会での2人のマイコの活躍は、明るい材料だったと思う。
攻撃オンリーの坂下と、オールラウンドな狩野。タイプが違うだけに比べづらいが、3回以内に相手コートにボールを返す競技の性質を考えると、レシーブもつなぎもできる狩野が上か。マイコとマイコを対決させるなら、沙織(木村、東レ)に沙織(有田、NEC)、メグ(栗原恵、パイオニア)にレグ(都築有美子、トヨタ車体)を当てたいところだ。都築は、なぜ呼ばれないのか事情は分からないが、北京のチームに入れても高橋(みゆき、元NEC)からレギュラーを奪ったように思う。
そういえば、都築と同い年で都築同様に攻守両面で活躍できる吉澤(智恵、元武富士)のスペインリーグ移籍が決まったもよう。その元武富士勢だが、リベロの今村(直美)はルーマニアリーグ、セッターの原(桂子)は久光、センターの内藤(香菜子)はNEC、石川(友紀)はJT、アウトサイドの澤畠(文子)と服部(安佑香)は上尾、砂田(遥)はPFU、石田(瑞穂)は久光とレギュラークラスはほぼ移籍先が決まった感じだ。チーム全体移籍は叶わなかったが、石川や石田のような若いタレントが、廃部により競技をやめることにならず、とりあえずホッとしている。うまい選手は受け皿があった、ワーイワーイ――で喜んでいては何も変わらないと分かってはいるのだが。
ただ、内藤がNEC、石川がJTとなると、成長著しい竹内(沙耶歌、NEC)や西山由樹(JT)はベンチ暮らしになる。不況によるチーム数減で若手の成長の機会が少なくなってしまう(石川と西山由は石川のほうが年下だが、選手として成長途中にあるのは西山由だ)のは残念だ。その中で出番をつかんでこそ本物なのかもしれないが、使われているうちに一人前になる宮田(由佳里、東レ)のようなパターンもあると思うのだが。
そんなこんなで、話が試合から完全に外れたところで第2回終了。夏休みはスタジアム巡りと写真の勉強に重点を置いているので、きちんとした記事が書けていません。もし楽しみにされている方がいたら、申し訳ありません。
posted by Pooh |01:27 |
バレーボール |
コメント(1) |
トラックバック(0)
2009年07月07日
7月1日、バレーボールのV・プレミアリーグに所属するJTマーヴェラスが、公式HPにて石原昭久新監督(元武富士バンブー)の就任と山本愛(元久光製薬スプリングス)の加入、位田愛の新主将就任を発表した。不況の余波から活動を休止・縮小させるチームがあることも影響し、リーグ全体的に選手や監督の出入りが非常に激しい今オフだが、その中でもJTの動きの激しさは目立っている。
公式HPでの発表はまだだが、5月中旬には韓国で「100年に1人の逸材」と称されるキム・ヨンギョンの加入が報じられ、その一方で、5月末日をもって寺廻太監督、坂本将康コーチが退任。セカンドセッターとして活躍してきた河村聖子、全日本でもお馴染みの長身センター・宝来麻紀子らの退団も同時に発表された。そして今回の、新監督・新戦力・新主将の発表である。チームの顔である竹下佳江と谷口雅美は健在だが、チームは大きく生まれ変わることになる。
◇ ◇ ◇
山本の加入は戦力面において大きなプラスとなる。JTは06-07シーズンのリーグ準V以降、07-08シーズンは8位、08-09シーズンは9位と低迷しているが、その要因のひとつに、全日本の主将も務めた江藤直美の勇退でセンターが弱体化したことが挙げられる。センターの打数が少ないため、守備がファーストタスクである位田らに攻撃面でも大きな負担が掛かり、また勝負所では決して大砲ではない谷口に2枚、3枚とブロックがついてしまっていた。センターの打数と決定力がアップすればアウトサイドの負担は目に見えて減るだけに、アウトサイド偏重のアンバランス改善に向けて実力派ミドルの加入は頼もしい。宝来の退団により、センターはレギュラーとして1シーズンを戦い抜いた経験のない選手ばかりとなっていただけに、否が応でも山本への期待は増す。
また、位田の主将就任はチームのメンタルの面で大きな意味を持つ。06-07シーズンの準Vは、他チームからJTに加入してきた江藤、宝来、谷口、竹下、菅山かおるらが揃って選手としての円熟期を迎えたところでつかみとったものだった。そのチームから江藤が抜け、菅山が抜け、宝来が抜け、竹下と谷口も三十代に突入した。その一方で、位田をはじめ西山由樹、井上琴絵、河合由貴、川原麻美ら20歳前後の新しい芽が、“期待の若手”から“チームの命運を握る選手”への階段を少しずつ上っている。その百戦錬磨のベテラン集団から若きタレント集団への世代交代まっただ中での主将交代は、“若い選手がチームを引っ張るべき”とのメッセージ。位田個人の現在地だけを考えるとやや時期尚早な感もあるが、チームの新陳代謝を考えると適切なタイミングだったとも言える。
その過渡期にあるチームの新監督となった石原は、昨季まで指揮をとった武富士で、石川友紀、石田瑞穂、服部安佑香ら才能ある若手一本立ちさせては中堅・ベテランを融合した好チームをつくりあげた実績がある。才能ある若手を豊富に抱えるJTの監督にはうってつけの人材であり、その手腕に期待がかかる。
◇ ◇ ◇
新戦力・山本愛、新主将・位田愛、そして新監督もAkihisa IshiharaでAI。やや無理があるうえに毛利元就とも直江兼続ともつかぬが、3本の矢ならぬ3つのアイを軸に、新シーズンへ向かう。
posted by Pooh |03:23 |
バレーボール |
コメント(0) |
トラックバック(0)
2009年06月03日
5月27日(水)、バレーボールのⅤリーグ女子2部に所属する日立佐和リヴァーレの公式HP上で、今季限りで退団する選手が発表された。主将の黒羽桂子をはじめ、ベテランセンターの飯田香理、攻守の要として活躍してきた井西彩乃、全日本の常連である板橋恵と嶋田美樹……。1部から2部への降格が決まったこともあり、チームの顔と呼べる選手の名前がズラリと並んだ。来季は1年での1部復帰を目指すことになるが、チームは大幅に若返ることになる。
若返るチームの軸となるのは、2人の若きエースだ。1987年生まれの城美鈴は07-08シーズン、アウトサイドの4~5番手にすぎなかったが、夏場にグンと力をつけ、今季はリーグ戦全27試合に出場した。サーブ受数とアタック打数の両方でチームトップとなるなど170㎝の小柄な体で攻守の要として活躍し、とりわけ助っ人のヌネス・シダルカの戦線離脱以降は勝負の懸かったアタックを打ち続けた。細川麻美(パイオニア)、位田愛(JT)ら背番号15の若手アウトサイドが台頭した今リーグ戦だったが、前年からの伸び率という点では、昨季の時点で準レギュラーだった両者を上回った。
1989年生まれの江畑幸子はルーキーイヤーの今季、故障でリーグ前半を欠場したが、年明けから途中出場で出番を得る。城、高島成美の両レフトの充実により先発の座はまわってこなかったが、3月14日のパイオニア戦で14打数6得点、15日のJT戦で42打数12得点、21日の武富士戦では21打数9得点とリーグのラスト3戦で攻撃力を強くアピール。今季は井上琴絵(JT)、澁澤夏美(NEC)、鈴木裕子(デンソー)と背番号20のルーキーがインパクトを残したシーズンでもあったが、身長174cmにして最高到達点300cmという江畑のパワーも、ひとつのインパクトであった。
この2人が出色のパフォーマンスを見せたのが、4月上旬に行われたチャレンジマッチ(1部・2部入れ替え戦)だ。竹下佳江、谷口雅美、宝来麻紀子ら百戦錬磨のベテラン戦士を擁するJTに果敢に立ち向かい、城が57打数25得点(決定率43.9%)、第1セット途中からコートに入った江畑も57打数23得点(決定率40.4%)をマークする。選手の質量で一枚上回るJTの前に敗れ2部降格が決まったが、試合内容は今季一番。とりわけレフト対角に入った両エース奮起は来季への期待を抱かせた。
今季に実績をつくった城はもちろんのこと、高島の退社により江畑も来季はスタメン起用が有力だ。板橋、黒羽の両セッターの勇退で新人の松浦麻琴がトスを上げる可能性が高いだけになおさら、この両レフトの出来が1部復帰へのカギを握る。
posted by Pooh |23:59 |
バレーボール |
コメント(2) |
トラックバック(0)
2009年05月07日
■リ・リ・リ■
5月1日(金)から5月6日(水)にかけて「第58回 黒鷲旗 全日本男女選抜バレーボール大会」が大阪府立体育会館で行われ、男子はパナソニックが2年連続9度目、女子は東レが5年ぶり3度目の優勝を果たした。
東レはこれでV・プレミアリーグとの2冠達成である。今季開幕前は荒木絵里香のセリエA挑戦や主将・向井久子の勇退などで戦力ダウンが懸念されたが、結果的には昨年(リーグ優勝&黒鷲8強)を上回る成績を残した。エースとして獅子奮迅の働きをした張越紅、新主将としてチームをまとめた芝田安希らの活躍もさることながら、木村沙織(サオリ)、宮田由佳里(ユカリ)、濱口華菜里(カナリ)のリ・トリオの活躍が光った。
■3=2+2!?■
東レの強さの理由のひとつに、木村の存在が挙げられる。6人制バレーにおいてウイングスパイカー(以下WS)に割ける枠は基本的に3であり、多くのチームが「攻撃的WS2枚+守備的WS1枚」、もしくは「攻撃的WS1枚+守備的WS2枚」という形をとる。Vリーグのチームでは、「谷口雅美&アルベス・タチアーナ+位田愛」でWSを組むJTが前者であるし、「ロンドン・シンディ+岡野知子&細田絵理」のデンソーや「フォフィーニャ・アナパウラ+高橋みゆき&内田暁子」で組んだときのNECが後者である。
木村は今季のリーグ戦で日本人選手1位(リーグ全体の7位)の475得点をマークした。これは谷口や栗原恵(パイオニア)ら他チームの攻撃的WSを上回る数字である。その一方で、サーブレシーブ受数は位田に次ぐリーグ2位、成功率も10位(WSでは4位)にランクインしており、岡野や細田ら守備的WSよりも高い数字をマークしている。
つまり、他チームが「3=1+2」か「3=2+1」かのどちらかである中で、東レは木村の存在により「3=2+2」の状態だった。どちらかといえば攻撃的、どちらかといえば守備的といった選手が多い中で、サーブレシーブの要でありながら得点源としても活躍する姿は、文字通りの“攻守の要”であった。
■サーブ&ブロックのチームだが、ディグにも強さ■
次に評価すべきは、新人センターの宮田とリベロの濱口である。宮田は開幕当初、高校時代からのチームメイトである同期の築地保奈美とのレギュラー争いでやや劣勢だったが、課題のブロックで7本のシャットアウトを見せた2月15日の久光製薬戦あたりからぐいぐいと調子を上げ、シーズン終盤には完全に一本立ちした。リーグ戦の中で進歩を遂げたブロックとアタックも高いレベルにあるが、特筆すべきはセンター選手でありながらレシーブがうまい点である。宮田が後衛にいるときは前衛にブロックが期待できない西脇万里子がいるためボールがよく抜けてくるのだが、その抜けたボールにいい反応を見せた。
また濱口は、サーブレシーブ成功率では佐野優子(久光製薬)や成田郁久美(NEC)らに及ばなかったが、ブロックフォローでチームを支えた。東レというチームは、若さと高さを生かしたサーブ&ブロックを掲げる一方でレシーブに強さを見せるチームであり、それを地味に支えたのが宮田と濱口だった。
■トリオはカルテットへ?■
ちなみに東レには今春、黄金時代の新たな担い手になりそうな選手が3名加入した。小平花織(東海大三)、峯村沙紀(九州文化学園)、田代佳奈美(古川学園高校)である。今年度の全日本候補に選出された峯村と172cmの大型セッター・田代に注目が集まるが、身長169㎝ながら最高到達点3m弱の小平のプレーも一見の価値あり。サオリ、ユカリ、カナリときて、次に飛び出すのはカオリかもしれない。
posted by Pooh |23:56 |
バレーボール |
コメント(4) |
トラックバック(0)
2009年03月25日
09年バレーボール全日本女子メンバー。
大学や高校の選手はほとんど生で見たことがないので、
Vリーガーの中で考えてみました。
≪セッター≫
○横山雅美(よこやま・まさみ) デンソー 今年28歳
170cm・57kg 最高到達点285cm
日本人セッターとしては高さがあり、落ち着きもある。
年齢的に伸びシロは大きくないが、これからが円熟期とも。
○橋本直子(はしもと・なおこ) 久光製薬 今年24歳
172cm・64kg 最高到達点288cm
多士済済のアタッカー陣を操る若きセッター。
左利きを生かしたツーアタックは強烈。
○秋山美幸(あきやま・みゆき) NEC 今年25歳
163cm・60kg 最高到達点290cm
ハンドリングのいい、新生NECの司令塔。
小柄だが最高到達点は3m近い。
△船崎恵視(ふなさき・めぐみ) トヨタ車体 今年32歳
164cm・53kg 最高到達点283cm
すでにベテランの域だが、プレーは若い。
チームではアタッカーをうまく操縦しており、サーブもいい。
△中道瞳(なかみち・ひとみ) 東レ 今年24歳
159cm・53kg 最高到達点264cm
ベテランのような渋いトス回しを見せる職人セッター。
もうすこし身長があればいいのだが。
≪センター≫
◎荒木絵里香(あらき・えりか) 東レ/ベルガモ 今年24歳
186cm・75kg 最高到達点301cm
押しも押されもせぬ日本の大黒柱。
イタリアでさらにたくましくなっていることを期待。
○井上香織(いのうえ・かおり) デンソー 今年27歳
182cm・60kg 最高到達点296cm
柳本政権時は招集がかからなかったが
ブロックが魅力の痩身ミドル。
○杉山祥子(すぎやま・さちこ) NEC 今年30歳
184cm・66kg 最高到達点310cm
ベテランの域にさしかかるも、ブロードは健在。
豊富な国際経験も若返るチームの中で貴重。
○山本愛(やまもと・あい) 久光製薬 今年27歳
184cm・68kg 最高到達点310cm
まだ完全ではないが、センターの層を考えるといずれ呼びそう。
ならば早めにメンバーに加えておきたい。
○庄司夕起(しょうじ・ゆき) パイオニア 今年28歳
182cm・66kg 最高到達点311cm
今季は不調だったが、最高到達点311cmと高さがあり、
トスアップも可能な万能センター。
○高橋翠(たかはし・みどり) トヨタ車体 今年29歳
172cm・66kg 最高到達点293cm
抜群のバレーセンスは輝く場所を選ばず。
センターでもライトでもツーセッターの一角でも。
○卜部里菜(うらべ・りな) 岡山 今年18歳
170cm・60kg 最高到達点295cm
昨年の春高を沸かせた技巧派センター。
センターでもいいが、ライトで見たい。
△山口舞(やまぐち・まい) 岡山 今年26歳
176cm・68kg 最高到達点298cm
高さの不足をスピードで補うセンター。
守備力が高く、後衛でも存在感を発揮する。
≪サイド≫
◎栗原恵(くりはら・めぐみ) パイオニア 今年24歳
186cm・68kg 最高到達点310cm
2段トスを打ち切れる数少ない選手。
パフォーマンスのムラがなくなれば真のエースに。
◎木村沙織(きむら・さおり) 東レ 今年23歳
184cm・68kg 最高到達点298cm
守ってよし、攻めてよしの万能型。
鉄人のイメージはないが、大きなケガをしないのも魅力。
◎有田沙織(ありた・さおり) NEC 今年25歳
180cm・70kg 最高到達点305cm
元祖サオリ。パワフルなアタックときれいなブロック、
丁寧なトスも装備する高性能サウスポー。
◎都築有美子(つづき・ゆみこ) トヨタ車体 今年26歳
175cm・62kg 最高到達点293cm
躍進・車体の大エース。華奢だがパワフルでサーブは強烈。
守備力も高く一気に全日本のレギュラーになる可能性も。
◎狩野舞子(かのう・まいこ) 久光製薬 今年21歳
186cm・68kg 最高到達点304cm
サーブレシーブもこなす器用な大型選手。
故障グセがあるのが玉にキズ。
○小山修加(おやま・しゅうか) 久光製薬 今年29歳
182cm・65kg 最高到達点315cm
大山加奈が万全でないなら、この人の出番。
守備力や安定感に不安はあるが、破壊力は国内随一。
○谷口雅美(たにぐち・まさみ) JT 今年33歳
177cm・62kg 最高到達点302cm
今さら呼ぶ選手でもない気がするが、30歳をすぎてから
進化する向上心や土壇場での勝負強さは若手のいい見本。
○細川麻美(ほそかわ・まみ) パイオニア 今年24歳
176cm・60kg 最高到達点305cm
ジャンプ力を生かしたライト側からのアタックと
いかにもとりにくそうなサーブが魅力。守備力がほしい。
△今西郁瑠(いまにし・かおる) トヨタ車体 今年25歳
179cm・75kg 最高到達点290cm
坂下麻衣子(JT)、若浦貴子(岡山)との比較で優勢。
パワー型だが守備力もまずまず。
△石田瑞穂(いしだ・みずほ) 武富士 今年21歳
174cm・67kg 最高到達点301cm
外国人不在のチームの中でアタックを打ち続け成長。
174cmだが最高到達点は3mを超える。
△位田愛(いんでん・あい) JT 今年22歳
173cm・63kg 最高到達点292cm
一瞬で流れをかえる爽やかなアタッカー。
守備力はあるが、高さやパワーがもう少しほしいところ。
△芝田安希(しばた・あき) 東レ・今年28歳
177cm・67kg 最高到達点298cm
ヤングアローズの新主将。ライトからの
パワフルなアタックが売りで、つなぎもまずまず。
△細田絵理(ほそだ・えり) デンソー 今年25歳
175cm・66kg 最高到達点287cm
昨季は出色の出来だったが、今季はやや伸び悩み。
守備力とインナーへのスパイクがセールスポイント。
≪リベロ≫
◎佐野優子(さの・ゆうこ) 久光製薬 今年30歳
158cm・54kg 最高到達点260cm
今季のサーブレシーブランクは断トツ1位。
拾うことに関してはやはり国内トップ。
◎成田郁久美(なりた・いくみ) NEC 今年33歳
173cm・68kg 最高到達点299cm
リベロとして以上に、コート内の監督としての働きが光る。
ピンチサーバー兼レシーバーで使ってもおもしろい。
◎濱口華菜里(はまぐち・かなり) 東レ 今年24歳
167cm・59kg 最高到達点280cm
ブロックフォローや声かけなど、数字に表れにくい部分での
貢献が光るリベロ。笑顔も魅力。
△井上琴絵(いのうえ・ことえ) JT 今年18歳
161cm・53kg 最高到達点285cm
1年目からレギュラーを獲得したヤングリベロ。
アタックライン付近からのジャンプトスは必見。
ここまでで30人。ちょっと多いですね。
◎と○の選手が合わせて21人ですから、
ここに△から数人を加えましょう。
サイドの○の選手が小山、谷口、細川と攻撃型ばかりなので
位田と細田を加えましょうか。これで23人ですね。
期待の都築が車体から1人になってしまうので
セッターの船崎も呼びましょう。
将来性に期待の井上琴絵も加えて、25人。
ご意見お待ちしております。
posted by Pooh |01:38 |
バレーボール |
コメント(2) |
トラックバック(0)
2009年01月22日
■降格だけは避けたい…■
バレーボールのVリーグ女子は来季から、1部にあたるプレミアリーグのチーム数が10から8へと減ることが決定している。例年は下位2チームが2部上位チームとの入れ替え戦に回り、たいていはそこで勝利を収め1部に残留するのだが、今季終了後には少なくとも2チームが降格の憂き目に遭う。
なんとしても降格は避けたいとの思いから、オフの各チームの補強は例年以上に力の入ったものだった。北京五輪で銀メダルに輝いたアメリカ代表からは2枚看板のトム・ローガン(久光製薬)とハニーフ・タイーバ(パイオニア)が来日し、日本戦に活躍することで有名なコロンボ・レナタ(トヨタ車体)、2年前に久光製薬を王者へと導いたフォフィーニャ・アナパウラ(NEC)の両ブラジル人もやってきた。4年に一度の五輪が終了し選手が環境を変えやすいタイミングだったこともあるが、今季のVリーグのコートには世界トップクラスの選手が多く立っている。
■コンビは一日にして成らず■
とはいえ、コンビが肝のこの競技、優良助っ人の獲得がすぐにはチーム力のアップにつながらない。事実、11月にシーズンが開幕してみると、スタートダッシュをかけたのはメンバーに変動がなかったチームだった。外国人選手も代表戦士もおらず、夏場に日本人選手だけでじっくりと熟成をすすめた武富士と岡山が開幕3連勝を飾り、主力の顔ぶれにまったく変化がなかったデンソーが1レグを8勝1敗で駆け抜けた。
一方でレフトエースのレナタが加入したトヨタ車体はレフトの今西郁瑠をライトに、ライトの高橋翠をセンターにまわした玉突きコンバートが落ち着くのに時間を要し、1レグは2勝7敗に終わる。スーパーエース、ハニーフの加入で栗原恵の守備面での負担が増えたパイオニアも不安定な戦いに終始し、連勝と連敗を繰り返した。フォフィーニャの加入の他にもセッター2枚の引退、主力の出遅れ等を抱えたNECも1レグは5勝4敗と波にのれず、序盤戦ではオフに動かなかったチームが上位を占めた。
■2巡目の対戦、変わる風向き■
ところが、2レグに入ると風向きが変わる。首位をひた走っていたデンソーは先週末の2連戦をともにストレート負けで落とした。18日(日)の武富士戦はセッターの横山雅美が負傷により出場できず、セッター経験の浅い新人の鈴木裕子がトスを上げたため仕方ないとしても、17日(土)のパイオニア戦は栗原&ハニーフの強打の前になすすべなく完敗を喫した。1レグを勝ち越して終えた武富士と岡山も、2レグはここまでそれぞれ1勝3敗、2勝3敗と負けが込んでいる。固定メンバーで戦うということは、コンビの熟成がすすめやすい反面、相手チームにつかまりやすい危険性もはらんでいる。
■親会社の不況もなんのその■
対照的に、新布陣がフィットせずスタートでコケたチームは次々と調子を上げてきた。1レグで2勝しかできなかったトヨタ車体は年末の皇后杯制覇で自信をつかみ、2レグはここまで3試合で2勝。レナタ&都築有美子のレフト対角はリーグ屈指の破壊力を有し、不慣れなセンターに挑戦中の高橋も10日(土)のJT戦で5つのブロックを奪うなどパフォーマンスを上げている。
パイオニアは先週末の2連戦に2連勝、とりわけ18日(日)のJT戦では栗原がアタック決定率50%(17/34)、ハニーフが41.5%(27/65)と自慢の大砲が爆発しての勝利だった。職人・江口理代が引退した穴が懸念されたライトも、先発・細川麻美-救援・冨永こよみという若い2人の継投でカバー。日本代表の両センター(庄司夕起と多治見麻子)は健在で、どこからでも点が取れる魅力的な攻撃型チームができつつある。
そして、完全に波にのったのがNECである。2レグに入って4戦4勝、うち3戦はストレート勝ちと勢いが止まらない。新人(昨季は内定選手として出ていたため実質2年目)の内田暁子が大車輪の働きを見せ、国際大会で衰えを披露した高橋みゆきも国内ではまだまだトップクラス。大貫美奈子、内山みなみの引退で心配されたセッターも、青山学院大で内田の1年先輩にあたる秋山友美が落ち着いたトスワークを見せている。ここにきてエース格のサウスポー有田沙織が故障から復活してきており、この選手が万全になれば勢いはさらに加速するだろう。
■いざ、中盤戦の天王山■
今週末の24日(土)には東京体育館でデンソーとNECの首位決戦が行われる。Vリーグはレギュラーラウンドの上位4チームによるファイナルラウンドで1位を決めるため、レギュラーラウンド1位にそれほど意味はないのだが、中盤に差し掛かったリーグ戦のひとつの大一番であることは間違いない。京都・清水寺の森清範貫主は08年を象徴する漢字として“変”を揮毫したわけだが、混戦のリーグを抜け出すのは“不変”の代表格デンソーと“変”の代表格NECのどちらであろうか。
posted by Pooh |00:18 |
バレーボール |
コメント(6) |
トラックバック(1)