2009年09月04日

Stop the TOYO

 東都大学野球の秋季リーグ戦が、あす5日(土)に開幕する。今春に戦前の専修大学以来の5連覇を達成した東洋大学の黄金時代は続くのか、はたまだどこかが止めるのか。各大学の注目ポイントを挙げたい。

【東洋大学】“ヨンフレッチェ”にルーキーが食い込むか 

 主将で捕手の大野奨太(現日本ハム)、エースの上野大樹(現ロッテ)、4番の十九浦拓哉(現セガサミー)ら黄金世代が卒業し戦力ダウンが懸念された今春も、終わってみれば優勝。流れが悪くても勝ちきる勝負強さは健在であり、今秋も優勝争いの中心的存在になるだろう。

 注目は、大型ルーキーの佐藤翔太(東洋大姫路)が、乾真大(3年・東洋大姫路)、鹿沼圭佑(3年・桐生一)、内山拓哉(2年・浦和学院)、藤岡貴大(2年・桐生一)の4本柱に食い込めるかどうか。乾が1回戦に先発、藤岡が2回戦に先発、鹿沼と内山がリリーフにスタンバイという形は非常に強固で、この春は4人で11試合103イニングをカバーしてしまった。

 戦力拮抗の戦国東都では、大差のついた試合での“お試しデビュー”も可能性は低く、実力で割って入るしかない。亜細亜大学・東浜巨(沖縄尚学)、青山学院大学・福島由登(大阪桐蔭)と昨年の甲子園を沸かせた右腕がはやくも活躍しているだけに、佐藤の姿も神宮で見たいものだ。


【青山学院大学】“日替わり固定打線”でどこまで点を取れるか 

 青学大の打線はいわば、“日替わり固定打線”だ。前日は4番を打っていた選手が下位に回るなど打順は流動的だが、打順が動くだけで顔ぶれは変わらない。よほどのことがない限り、先発の可能性があるのは10人(加守田隆介=4年・青森山田、小池翔大=3年・常総学院、長島一成=4年・修徳、木野学=2年・PL学園、丸山貴司=2年・大阪桐蔭、篠塚宜政=2年・桐蔭学園、政野寛明=2年・桐光学園、下水流昴=3年・横浜、広滝航=3年・清峰、奥平聡一郎=3年・PL学園)だけだ。

 面白いのは、この10人の中には一塁と三塁を守る長島、内野ならどこでもございの丸山、内外野に対応可能な広滝、DHだが捕手もできる加守田などマルチロールが多く、広滝や下水流などは何番でも打てるため、誰を外すことも可能な点だ。また、昨春あたりから同じメンバーでやってきているため、誰をどう並べても打者と走者の間で連係が効く。日替わり打線の競争意識や流動性と、固定打線の連係の良さを持ち合わせている“日替わり固定打線”で、東都の好投手に立ち向かう。


【亜細亜大学】 ツートップに誰を据えるか

 春は3番の中田亮二(4年・明徳義塾)が打率.357、4番の中原恵司(4年、武蔵工大二)が3本塁打、5番の加嶋健志郎(3年、新田)が打率.375と中軸は揃って結果を出したが、1、2番の石井大輔(4年、成立学園)、小野紘明(3年、中京)がともに打率2割前後と精彩を欠いた。石井、小野ともに実力者だけに、この2人が本調子なら何も変える必要はないが、春のような状態のときに誰を据えるかがカギになる。

 候補としては、春は下位を打った左打ちの捕手、下舘大輔(2年、一関学院)を推す。打率は決して高くないが、セーフティバントを試みたり、球数を投げさせてみたり、凡打の内容に捕手らしい嫌らしさがある。脚力もそこそこあり、2番にハマれば面白いかもしれない。週ベ増刊号の2009秋季リーグ展望号では「1番・中田案」があると紹介されているが、それをすると3番に加嶋を上げ、さらに「1番・中田」を生かすべく8番あたりに石井を置かざるを得ず、5~6番あたりが非常に手薄になる。田中一徳(3年・日大三)、本間篤史(3年・駒大苫小牧)、酒井嵩裕(1年・常葉菊川)あたりが覚醒しないと難しいだろう。


【中央大学】鮫島の出来次第

 このチームは、基本的に打てない。2部で優勝した08年春も勝ちゲームの大半は守り勝ちで、さほど打てていなかった。そこからレベルの高い1部に上がってきて、ポイントゲッターの堀太樹(現三菱重工長崎)が卒業し、チャンスメイカーの土居慎司(3年・今治西)がケガで長期離脱したのだから、なおさら打てない。勝ちパターンはロースコアに限られる。

 幸いにも、投手陣には他大学がうらやむような本格派が揃う。大学野球界の顔の一人でもある澤村拓一(3年・佐野日大)、キレでは澤村を上回り二枚看板を形成する山崎雄飛(3年・芝浦工大)、昨春の入れ替え戦でルーキーながら無安打無得点を達成した渡邊洋平(2年、日大東北)、195cmの長身から投げおろす中村尚史(4年、武蔵工大付)、春に救援で10イニング無失点の上松英一郎(3年・酒田南)、さらに鍵谷陽平(1年・北海)も台頭してきた。

 となれば、キーマンは捕手の鮫島哲新(3年・鹿児島工)だ。この投手陣を操り、失点を0にできるか。東洋大・佐藤貴穂(3年・春日部共栄)、青学大・小池という2人の同級生捕手に大学ジャパンの正妻の座争いで負けた悔しさを晴らす活躍を期待したいところだ。まだ、5番打者としても、4番の井上晴哉(2年、崇徳)が他大学に勝負してもらえるために奮起が必要だ。


【国学院大学】とことん、相手の嫌がる野球を

 春は打率も得点数もリーグ最下位であり、中大以上に打てない。ここも投手陣はそこそこ失点が計算が立つため、スモールボールを展開するのがベストだろう。春も渡邉貴美男(3年・文星芸大付)、澤田昇吾(3年・金沢)、辻寛人(4年・駒大苫小牧)ら“うるさ型”の選手を並べてスモールボールをしたが、中軸には一発長打の選手を置いてしまうなど徹底度がまだ足りない。坂井貴大(1年、日大鶴ヶ丘)のように脚があって小回りの利く選手は少々力不足でも積極的に使い、とにかく相手の嫌がることをしていく必要がある。

 投手陣も、彗星のように現れた高木京介(2年・星稜)、春に安定感のある粘り強い投球を見せた奥村和久(3年・旭川大)と埜口卓哉(3年・つくば秀英)、エース格の村松伸哉(3年・光星学院)と左右2枚ずつ揃えるが、2試合に分けるのではなく一戦必勝で4枚を総スタンバイしていくことになるだろう。

【立正大学】2番ショートは誰

 黒葛原祥(4年・横浜)、神野達哉(4年・埼玉栄)、近藤亮介(4年・大宮西)、赤堀大智(4年・掛川西)、越前一樹(3年・横浜)……と経験のある選手を並べていくと、2番・ショートが最後に空く。春は早見龍成(3年・平塚学園)でスタートし、中盤は長谷川秀樹(1年・青森山田)、終盤は高橋翔也(1年・日大三)がショートを務め、このうち高橋は3割代後半の打率を残したが、どの選手も守備の安定感に欠いた。

 この秋は上地俊樹(1年・浦添商)が背番号をゲットしており、彼があの広い守備範囲を生かしてショートに収まれば、黒葛原との1・2番コンビ、二遊間コンビはチームのひとつのウリになる。先に実績を残した長谷川、高橋を差し置いてスタメンに定着できるか注目だ。

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2009年08月06日

第37回日米大学野球選手権大会レビュー

*以下の文章は、日本ジャーナリスト専門学校WEBスポーツ紙「ジャナスポ」に掲載された「座談会 第37回日米大学野球選手権大会レビュー」(企画・編集:管理人)です。宣伝ですが、ジャナスポの関東大学サッカーコーナーは、マッチレポートからジャナスポ選定ベスト11まで充実しておりますので、ぜひ一度ご覧ください。



 7月12日(日)から16日(木)にかけて行われ、日本代表が米国代表を3勝2敗で下した第37回日米大学野球選手権大会。今回は、この大会の第2戦(東京ドーム)と第5戦(神宮球場)を生観戦したAMと大学野球フリークを自負するKの3人が、大会を振り返りつつ、今秋以降の大学野球界を展望する。



ハンカチ王子は伸び悩み
K:第2戦と第5戦を生で見て、日本チームの印象はどうだった?
A:バッテリーが来年の世界大学選手権を見据えて3年生以下の選手中心だった一方で、野手は4年生が多くて、少し中途半端な感じがした。
M:同感。今のベストメンバーでもなければ、完全に来年用のチームでもなくて、4年生ってことで選考から漏れたピッチャー、キャッチャーは少しかわいそうな気がする。
K:アメリカの選手と比べて、体つきは差があった?
A:アメリカのほうも1、2年生主体の若いチームで、体も想像していたほど大きくはなかったね。ピッチャーで1人、すごいデカい選手がいたけど、あとは日本選手と同じくらい。
K:試合運びのうまさはどちらが上に感じた?
M:日本もアメリカも試合運びは下手。ピッチャーの交代が多かったのもあるけど、とにかく試合が長くて。
A:長かった、長かった。2アウトから四死球でランナーが出て、そこから何点も入って、ピッチャーが代わって、と。
K:2人が見た2試合はどちらも斎藤(佑樹、早大3年)君が日本の先発だったけど。
M:率直に言うと、印象は良くない。完全に伸び悩んでいるな、と。
A:高校のときのほうがよかったのかなと。
K:具体的にはどのへんに物足りなさが?
A:特に5戦目はフォアボールが多かったね。アウトをリズムよくとっているときに、ポンと出しちゃって、そのランナーが帰ってきて。高校のときの落ち着いたピッチングからは程遠い姿だった。
M:三振をバタバタ取るわけでもないのに、打たせてとることもできない感じで。バックも守りづらいと思う。
A:もしアメリカが彼に注目していたなら、この大会で評価を下げたのは間違いないかな。


左投手の台頭が待ち遠しい
K:同じ早大の大石(達也、3年)君はどう? 早大の応武(篤良)監督は、運動神経と野球センスを生かしてショートで育てたいみたいだけど。
M:良かったね。球も速くて、度胸もあって。
A:試合を見ていた感じでは、斎藤君よりよかったと思う。150km/hを超える球をバンバン投げてたし、三振が欲しい場面で三振を取れていたし。大石株は上がったんじゃないかな。
K:なるほど。ただ、来年の世界大学選手権を考えると、大石君みたいな選手がもう1枚必要かなと思うんだけど。先発が崩れ始める6~7回のピンチを1人目で止めて、左ピッチャーを挟んで、最後の9回をもう1人で締める感じ。
M:確かに。今回は大石君を中盤に出して、最後に菅野(智之、東海大2年)君を使っていたけど、3年生以下で他に候補っている?
K:ボールに勢いがあるのは明大の森田(貴之、2年)君、中大の山崎(雄飛、3年)君、国学大の村松(伸哉、3年)君。あと、連投が利く選手となると、鹿沼(圭佑、東洋大3年)君とかね。
A:今回選ばれたメンバーでは、野村(祐輔、明大2年)君もリリーフでいけそう。
M:斎藤君より野村君のほうがキレてるね、間違いなく。
K:ただ、右投手は駒が揃っているから、誰をどこに配置してもそこそこは通用する気はするね。心配なのは左投手。今回は乾(真大、東洋大3年)君と中後(悠平、近大2年)君がメンバーに入っていたけど、もう少し人数がほしい。
A:今の4年生にわりといいピッチャーが多いんだよね。慶大の中林(伸陽、慶大)君とか。
K:そうそう、古川(秀一、日本文理大)君とか藤原(正典、立命大) 君とかね。
M:来年までに誰が伸びてくるかな。
K:地方の大学はちょっと分からないけど、垣ヶ原(達也、青学大2年)君は高校時代に比べてたくましくなったと思う。ただ、これだけ右のいいピッチャーがいるわけだから、今回は4年生でも左を選んで、左右を交互に投げさせる練習はしといてもよかったと個人的には思う。
A:あと、メンバー構成は来年を見据えた感じだったけど、投げる順番が決まっている感じで、次に誰が出てくるかだいたい分かった。だから、継投の練習にはなっていないかな。まぁ、ファンの二神(一人、法大4年)君を生で見れなかったのが悔しいだけだけど。


扇の要に誰を据える?
K:捕手に移ろうか。小池(翔太、青学大3年)君と佐藤(貴穂、東洋大3年)君はどうだった?
A:正直、キャッチャーは印象に残ってない。存在感がなかったといえばなかったし、無難にまとめていたといえばまとめていたのかもしれない。
K:5試合で計26失点したけど、ピッチャーが投げにくそうな感じは?
A:うーん。急造バッテリーだから、さすがに相性ピッタリというわけではなかったけど、相性が悪いというよりは純粋にピッチャーの調子が悪かったと思う。
M:佐藤君って、チームで正捕手になったのは今年からだよね?
K:そう。昨年までは大野(奨太、現日本ハム)君がいて、代打でときどき出てくるくらいだった。そういう意味では伸びシロがあるから、1年後にはもっとよくなっているかもしれない。肩やフットワークはもともといいし。
M:でもキャッチャーって経験が大事じゃない?
K:そう。経験が浅いから、鼻が利かない部分がある。その点は小池君が上で、常総学院でも青学大でも下級生のときからマスクをかぶっているから、「ここは2点までなら取られて大丈夫」とか「マウンドに行ってピッチャーに一息つかせたほうがいい」とか、感覚的に分かっている感じがする。ただ、その能力は、現時点では鮫島(哲新、中大3年)君が一番あると思う。
A:ああ、鮫島君もこの学年か。確かに、伏線を張りながら9回をコーディネートする力は鮫島君のほうがあるかもしれない。佐藤君のその能力はあと1年で伸びるのかな?
K:分からない。あと1年、東都でマスクをかぶれば、間違いなく経験値は増えるけど、東洋大ってあんまり細かい野球をしないから。
A:5連覇しているけど、試合巧者ではないと。
K:うん。相手に真正面からぶつかって、がっぷり四つに組んで、終盤に個人能力の高さと選手層の厚さで寄り切る感じ。結構簡単に失点するし、チャンスでダブルプレーとか三球三振になることも多い。だけど、空振りばかりしていたバッターが最後にホームランを打ったり、ランナーを出したピッチャーが決勝点だけは与えなかったりして、結果的に勝つのね。
A:じゃあ、日本がスモールな野球をしたいなら、東洋勢は中心に据えないほうがいいかもね。
K:かもね。ただ、逆に言うと、内容はどうあれ最後には勝ちきる癖がついているから、真剣勝負の試合では頼りになると思う。
M:なるほどね。あと、キャッチャーで来年までに伸びそうな子はいるの? 今回、1次候補には広陵で野村君の球を受けていた小林(誠司、同大2年)君が入っていたけど。
K早大の杉山(翔大、1年)君がおもしろい。1番を打つこともあるくらい走力や積極性があって、ガッツもある。早大は今年、細山田(武史、現横浜)君が抜けて、誰を正捕手にするか注目されていたけど、結局はルーキーの彼がほぼずっと出ていた。白川(英聖、3年)君、市丸(大介、2年)君と甲子園優勝キャッチャーがいる中で使われんだから、応武監督の期待も大きいと思うよ。


中軸の勝負強さに物足りなさ
K:野手で目立ったのは?
A中田(亮二、亜大4年)君の不振が目立った。4番にチャンスが回ってくることが多かったんだけど、そこで三振することが多くて。
K:彼は普段、亜大では3番を打っていて、1死2塁で“最悪、セカンドゴロでランナーを進めますよ”というスタンスで打席に入ることが多いから、ポイントゲッター役は難しかったのかもしれない。体型に似合わず3番タイプのアベレージヒッターだし。
A:高校時代のいいイメージが強いぶん、ちょっとガッカリしたというか。ただ、人気はすごかった。“おかわりー”とか“中村ノリ”とか、みんな思い思いに有名選手に重ねていて、最終戦になるとみんな“ブーちゃん”って呼んでいた。そうそう、私の後ろの席にアメリカ人の男性がいて、場内アナウンスで中田君が紹介されているときに「ヒー イズ ベーブ・ルース」って言ってた。でも、ルースのようには打てなかったね。
M:中田君に限らず、三振が多すぎるよ。毎試合10個前後してるもん。
K:そんなに長打を打てるチームじゃないのに、こんなに三振してたらダメだと思うんだけど、アメリカのピッチャーがバットにも当たらない球を投げてた?
M:いや、そうとは思わないけど。加藤(政義、九州国際大4年)君とか、しっかりスイングができている選手はバットに当たってたし。加藤君はきちんと自分のプレーができていた感じがする。
A:あと、トップバッターの亀谷(信吾、法大4年)君がよかったかな。
K:確かに、大会を通じてよくヒットを打ってるね。春のリーグ戦の好調をそのまま持ち込んだ感じ。ただ、法大もビッグな野球をするチームだから、亀谷君も四死球でコンスタントに塁に出るタイプの1番打者じゃないね。打線に勢いをつけるタイプ。
A:確かに。でも今回は、亀谷君、伊志嶺(翔大、東海大3年)君の1、2番は及第点だと思う。中軸がチャンスに打てなかった。中原(恵司、亜大4年)君はまずまずだったけど、中田君が良くなかったし……
M:キャプテンの荒木(貴裕、近大4年)君も良くなかった。最後は3番から下位に打順を落とされてたし。
K:荒木君は職人タイプだから、3番でショートは少し荷が重かったかもしれない。内野は宇高(幸治、早大3年)君、原(寛信、早大3年)君、林(裕也、駒大4年)君と昨年に結果を残したメンバーがこの春にいまひとつで、メンバーに入らなかったんだよね。そのぶん荒木君に負担がかかった気がする。


秋はみんなで神宮に
K:こうやってポジション別に振り返ると、どのポジションもやや中途半端な感じがするね。
A:そう。来年を見据えているようで、完全には割り切れていなくて。選考基準も能力で選んだのか現在の調子で選んだのかちょっと分からないし。
K:「秋季リーグはこの選手を見に行きたい」と思った選手はいた?
A:うーん。プレーを見た選手はだいたい分かったから、むしろ観戦した日に出なかった選手を見たいかな。個人的には、二神君。法大の試合に行きたい。秋も強いよね?
K:たぶん強いと思うよ。打撃は水ものってよく言うけど、あのチームの打撃、水ものじゃないもん。春のリーグ戦、12試合で65得点でしょ。4割打者も2人いたし。ピッチャーも春はケガで満足に働けなかった加賀美(希昇、3年)君と武内(久士、4年)君が戻ってくるから。
A:早大や明大が法大に春秋連覇をさせまいと必死になるだろうし。斎藤君、大石君、福井(優也、3年)君、松下(建太、4年)君と揃う早大の投手陣に、法大打線がどこまで通用するのかも見たい。
M:私も生で見れなかった東浜(巨、亜大1年)君を見たいな。昨年の春の選抜から応援してるし。
A:Kは応援している大学とか選手とかいるの?
K:昨年からずっと見ている中大かな。今回のメンバーにも選ばれた沢村(拓一、3年)君、リリーフ候補のところで名前をあげた山崎君の2枚看板は強烈だし、キャッチャーが鮫島君でしょ。どんどん強くなっているから、常総学院の島田(隼斗)君とか鹿児島工業の内村(尚弘)君とか、常葉菊川の上嶋(健司)君とか1年生もいい選手が入ってきたし。沖縄商学で東浜君とチームメイトだった西銘(生悟)君はもうレギュラーに定着したし。
M:そうなんだ。二遊間は3年生以下が林崎(遼、東洋大3年)君だけだったから、若い選手が出てくるといいね。
A:法大は六大学で亜大と中大は東都だけど、どちらも神宮だから、秋はみんなで通おう。
M:そうね。世界大学選手権への秘密兵器を探しながら。

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2009年06月28日

アノナツノカガヤキ

 日本時間11日、米大リーグのドラフト会議で、05、06年夏の甲子園を沸かせた北海道・駒大苫小牧高卒の外野手、鷲谷修也(わしや・なおや)がワシントン・ナショナルズに14巡目(全体の412番目)で指名された。 

              ◆     ◇     ◆ 

 12日付の日刊スポーツによると、鷲谷は高校を卒業後、日本の志望大学(筑波大)の受験に失敗したため、07年にカリフォルニア州のデザート短大へ入学した。外資系商社マンを目指しており、短大では語学や金融を学んでいたが、大学リーグでのプレーがスカウトの目に留まる。4球団から契約金の提示があり、昨年のドラフトでもナ軍から42巡目指名を受けていたが、その際は大学残留を優先させ断っていたとのこと。

 引き続き日刊スポーツによると、08年に故郷の北海道にしばらく戻った際に複数の関係者からメジャー挑戦の激励を受けたことで、野球の情熱が再燃する。「いつかは将大(田中=楽天)と勝負したい」という夢も芽生え、「甘い世界ではないけど、ナショナルズもずっと見てくれて恩返しがしたかった」ため、4年制大学への編入プランも取りやめ、再びドラフト指名を待っていたとのことである。
 
 鷲谷は「パワーもレベルアップしたいけど、アメリカ人と互角には難しい。それより自分の生きる道のスピードを生かしたい」(日刊)「球団から評価されているのはスピードと守備」(共同)などと語っており、俊足好打タイプの選手としてメジャーを目指すことになりそうだ。
 
              ◆     ◇     ◆

 さて、総じて“マー君は同級生も凄い”との報道のされ方をした(ちなみに今のはサンケイスポーツ)鷲谷の指名だが、ニュースを知った管理人の第一印象は「え、あの鷲谷が!?」であった。

 決して悪い選手ではない。身長180cmと日本人としては恵まれた体格をしており、何より身体能力が高い。高校2年だった05年夏の時点で、甲子園でのシートノックを見る限り、50㍍を6秒少々で走り、遠投で110㍍を投げる力があっただろう。06年夏の青森山田戦で好投手・野田雄大(現日大)から本塁打を放ったことが示すように、ツボにハマればスタンドに持っていく力もあった。12日付のサンケイスポーツによると、「筋トレで体重は6㌔増え」たとのことだから、当時よりもさらにたくましくなっているかもしれない。

 しかし、身体能力に恵まれている一方で、ボールを持たせると少し不器用なところがあった。甲子園通算は11試合で.226と高くなく、打順も下位が定位置。サウスポーが相手となれば、スタメンから外れることや代打を出されるもしばしばあった。チームメイトとの比較でも、左のスラッガーとしては3番を打っていた中澤竜也(りゅうや=現国学大)、外野手としては主将を務めていた本間篤史(現亜大)の方が総合力で上回っていた。06年夏の大会後の高校選抜アメリカ遠征メンバーにも、駒大苫小牧からは田中に加えて、中澤と本間が選ばれている。

              ◆     ◇     ◆

 しかし、その両者は思いのほか伸び悩んでいる。本間は大学入学直後に背番号を手にしたが、学年が上がるにつれて出番は少なくなり、3年生となった今春のリーグ戦の出場は代打の1試合のみだった。中澤は、亜大ほど選手層が厚くない国学大にあって本間よりは出場機会を得ているが、こちらもレギュラーを確保するには至っていない。ベースボールの国のドラフト14巡目と野球の国の強豪大学準レギュラーのどちらが上かを比較するのは難しいが、野球人として先にひとつの結果を残したのは鷲谷だと言えるだろう。

 「鷲谷がメジャーに指名されたのだから、中澤や本間はもっとできる」は、鷲谷の努力に対して失礼であるし、中澤と本間の頑張りに対して無神経すぎると思う。同時に、あの夏の中澤の2つのアーチ(①青森山田戦の敗色濃厚な9回に、インローのボールをカットするように振り払って右翼席まで持って行った奇跡の同点弾②決勝再試合の9回に、早稲田実・斎藤佑樹から放ったセンターへの意地の2ラン)と本間の体型に似合わぬ走攻守(とりわけ、左中間や右中間への打球を回り込んで止め、すばやく二塁に返球してワンヒット止める中堅守備)を見てしまった手前、そう思わずにはいられないのも事実である。

 “ハンカチ世代”は、おしなべて順調に成長している。田中、前田健太(広島)、大嶺祐太(ロッテ)、坂本勇人(巨人)らがプロ野球界に活力を与え、斎藤、乾真大(東洋大)、林崎遼(同)、鮫島哲新(中大)、小池翔大(青学大)らが大学野球界をにぎわせている。だからこそ、その中に中澤や本間の名前があがってこないのはさびしい。

 幸いにというべきか、彼らの大学生活はあと1年半ある。鷲谷のニュースを刺激に、あの夏の輝きをもう一度見せてほしいものだ。いつまでたっても“あの夏の”と言う人間の存在が、一番のプレッシャーになることは百も承知なのだが。

posted by Pooh |16:12 | 大学野球2009 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2009年06月14日

この強さ、本物かも。

 第58回全日本大学野球選手権の決勝戦が14日(日)、神宮球場で行われた。東京六大学の春の王者、法大が富士大(北東北大学代表)に5-1で逆転勝ちし、1995年以来14年ぶり8度目の大学日本一に輝いた。 


 12試合で65得点を記録した攻撃野球で、春の六大学を制した法大。この日のスタメンにも、リーグ戦で打率4割超の松本雅俊(4年・関西)や亀谷信吾(4年・中京大中京)、10打点を記録した佐々木陽(3年・作新学院)、2本塁打を放った今井諒(3年・履正社)らスラッガーが並んだ。


 ところが富士大の先発、守安玲緒(4年・菊華)の緩急自在の投球の前に、自慢の打線が沈黙する。ヒットは初回に多木裕史(1年・坂出)が放ったきり2本目が生まれず、スコアボードにも0が刻まれる。逆に5回裏には富士大に先制点を与え、劣勢に回った。


 ここで力を発揮したのが、ベンチを温めていたバイプレーヤーたちだった。8回表、先頭の亀田健人(3年・智弁和歌山)が出塁すると、金光興二監督は今井に代えて喜多薫(4年・伝習館)を打席に送り出す。喜多が初球で送りバントを決め、8番・石川修平(4年・小山西)の死球で1死1・2塁となると、今度は土井翔平(1年・智弁学園)を代打に告げる。土井は内野安打でしぶとくつなぎ、続く亀谷の犠飛で同点に追いついた。


 さらに9回表、無死から多木、松本が出塁しながら5番・佐々木が初球のバントをファウルすると、すかさず大八木誠也(3年・平安)に代える。富士大の極端なバントシフトを見た大八木はバスターで無人の二遊間を抜き、ついに1点を勝ち越す。その後も喜多の内野ゴロや途中出場の成田恭佑(3年・東北)のタイムリー二塁打などで畳みかけ、さらに3点を追加する。6回からマウンドに上がった二神一人(4年・高知)がその裏を締め、栄冠を手にした。


 主力打者のバットから快音が聞かれなくとも、途中出場の選手の渋い働きで、終わってみれば5得点を記録。投手陣も実力者の加賀美希昇(3年・桐蔭学園)、武内久士(4年・徳島城東)が故障等で登録を外れるなか、三上朋也(2年・県岐阜商)が5回1失点でしのぎ、二神へとつないだ。得意の展開に持ち込めなくとも、多少の故障者が出ても、最後までグラつくことがなかった法大。春のリーグ戦Vは早大の不振がアシストになった感もあったが、この強さは本物かもしれない。

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2009年06月07日

“追試合格”は誰?

 第58回の全日本大学野球選手権大会が、9日(火)より神宮球場と東京ドームで開催される。北海道から九州まで、全国26連盟の春の王者が集まる“大学野球日本一決定戦”として注目される大会だが、今回は、7月に日本で行われる日米大学野球選手権の日本代表候補選出の場としても注目される。


 全日本大学野球連盟は4日、日米大学野球に出場する代表候補選手42人を発表している。大学球界の顔である斎藤佑樹(早大③・早実)をはじめ、投手では野村祐輔(明大②・広陵)、澤村拓一(中大③・佐野日大)、東浜巨(亜大①・沖縄尚学)ら、野手では昨年の世界大学選手権メンバーの中田亮二(亜大④・明徳義塾)や荒木貴裕(近大④・帝京三)らが順当に選出された。


 東京六大学で春の主役となった二神一人(法大④・高知)らが選から漏れているが、これは、全日本選手権に出場する大学の投手は大会での投球内容を評価して追加招集することが決定しているため。二神や鹿沼圭佑(東洋大③・桐生一)あたりの招集は有力で、4日に発表されたメンバーに左腕が少なかったことを考えると、乾真大(東洋大③・東洋大姫路)、山内晴貴(九共大④・沖縄水産)、古川秀一(日本文理大④・清峰)らも絡んでくるだろう。藤原正典(立命大④・県岐阜商)、中林伸陽(慶大④・慶応)、櫻田裕太郎(八戸大④・横浜)ら好左腕が候補から外れただけに、この大会に出場するサウスポーには期待がかかる。


 野手は投手と違って追加が“明文化”されていないが、昨年もこの大会の直後、大会での活躍が光った横田崇幸(東海大-鷺宮製作所)と中倉裕人(東洋大-住友金属鹿島)が世界選手権の候補合宿に追加招集されている。岩本貴裕(亜大-広島)、柴田講平(国際武道大-阪神)、松本啓二朗(早大-横浜)と世界選手権のレギュラーがそっくり抜けた外野などは特に手薄な感があり、藤川俊介(近大④・広陵)や坂井貴文(東洋大③・春日部共栄)ら実力者が力を発揮すればお呼びがかかるだろう。宇高幸治(早大③・今治西)が選外となった三塁も同様だ。


 野球のインカレであり、ドラフトの見本市であり、日本代表選考の追試の場でもある大会の火ぶたは、9日9時に東海大海洋学部-松山大(神宮)、白鷗大-高岡法科大(東京D)の対決で切って落とされる。

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2009年05月24日

東浜だけ、ではない。

 東都大学野球の春季リーグは、雨にたたられながらも順調に日程を消化し、最終週の東洋大-亜大戦を残すのみとなった。亜大・中田亮二(4年・明徳義塾)、東洋大・林崎遼(3年・東洋大姫路)、中大・澤村拓一(3年・佐野日大)ら“リーグの主役”たちの順当な活躍も光ったが、ルーキーの台頭が目立ったシーズンであった。


 その筆頭は昨春のセンバツV右腕、亜大・東浜巨(沖縄尚学)だろう。神宮デビューとなった第3週の中大1回戦で澤村に投げ勝ち完封勝利を収めると、第5週の国学大戦でも1回戦と2回戦を完封。第6週の対立正大1回戦でも完投勝利を収め、亜大がここまでに挙げた7勝のうち4勝を稼いでいる。打ち気にはやる打者に90km/h台の遅球を投じたかと思いきや、打ち気のない打者からはど真ん中の直球でストライクを取るなど、ルーキーらしからぬ度胸と投球術で名門のエースにのぼりつめた。同じく亜大では、高田知季(岡山理大付)が9番・三塁でここまでの全9試合に先発し、5犠打を記録するなど攻守に堅実なプレーでチームを支えている。


 また、春の優勝投手である東浜に対し、夏の優勝投手である青学大・福島由登(大阪桐蔭)も実力を見せた。立正大との第5週2回戦、6回からマウンドに上がると4回を9奪三振無失点の好投。垣ヶ原達也(2年・帝京)、石井裕大(2年・青森山田)ら好投手が揃うチームの中でさほど出番は多くなかったが、青学大の今春最終戦となった第7週の国学大3回戦でも最後を任されるなど首脳陣の期待は大きい。


 中大では高校時代の東浜の同僚、西銘生悟が遊撃のレギュラーに定着し、中堅手・土居慎司(3年・今治西)の故障で本来は遊撃の遠藤一星(3年・駒場学園)が外野に回った穴を埋めた。中大ではこの他にも、捕手の飯田大祐(常総学院)、内野手の上嶋健司(常葉菊川)と島田隼人(常総学院)、外野手の広瀬公秀(関東一)らが継続的にベンチ入りし、終盤には途中出場が主ながら実戦経験も積んだ。


 入れ替え戦行きが決まった立正大学も、1年生の長谷川秀輝(青森山田)と高橋翔也(日大三)が2人でショートのボジションを務めあげ、東浜や西銘とともにセンバツVを達成した金城圭右がDHや代打で出番を得た。また投手では、191㎝の長身右腕、出雲伊織(静岡学園)がエース格に成長した。国学大では、谷内亮太(金沢西)、村上直也(近大高専)の両内野手が、経験豊富な辻寛人(4年・駒大苫小牧)、澤田昇吾(3年・金沢)と激しいレギュラー争いを展開。外野手の伊藤康孝(中京大中京)は俊足を生かし、終盤には1番打者に定着した。


 秋季リーグ戦の頃には、ひと夏を越えてさらにたくましくなった彼らの姿が見られるだろう。酒井嵩裕(常葉菊川-亜大)、佐藤翔太(東洋大姫路-東洋大)ら今春は出場機会に恵まれなかったルーキーの飛躍にも期待だ。

posted by Pooh |10:59 | 大学野球2009 | コメント(7) | トラックバック(0)
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2009年05月19日

銀は金より強し!?

 残すところ2週となった東都大学野球の春季リーグで、亜大の好調ぶりが目立っている。亜大にとっての開幕週となった第2週の青学大戦こそ勝ち点を逃したが、第3週・中大戦の1回戦を東浜巨(1年・沖縄尚学)の好投で取ると波に乗った。中大、国学大、立正大をいずれも2連勝で撃破し、第6週が終了した現時点で首位。最終週の東洋大との対決で勝ち点を奪えば、実に5季ぶりの優勝を手にすることとなる。



 今季の開幕前、亜大の評価はさほど高いものではなかった。岩本貴裕(現広島)、岩見優輝(現大阪ガス)、鶴川将吾(現パナソニック)ら昨年の創部50周年を祝うべく集められた黄金世代が今春に卒業。入学まもない東浜がエースになったことが物語るように、タレント力は大幅に低下した。



 この点は、昨夏の甲子園を制した大阪桐蔭に似ている。中田翔(現日本ハム)を筆頭に丸山貴司(現青学大)、山口祥継(現法大)ら下級生時からレギュラーを張る黄金世代が卒業し、前年からのレギュラーは浅村栄斗(現西武)ひとりだけ。その浅村でさえ、前年は背番号2桁で8番を打っていた選手だ。勝負に強いか弱いかはまた別問題だが、少なくとも前年に比べるとずいぶん小粒な顔ぶれだった。

 ところが、この“谷間の世代になることが濃厚な世代”とでも呼ぶべきメンバーは、先輩が成し得なかった全国制覇を達成する。それも、偶然が重なった結果たどりついた優勝ではなく、夢半ばで散った黄金世代の後輩だからこそ成し得た優勝だった。



 まず第一に、前年を反面教師としたのか、野球が非常に手堅かった。右翼手兼投手の奥村翔悟(現関大)がマウンドに上るときは、点差があってもエースの福島由登(現青学大)が外野に残り、奥村の調子が悪いとすぐに福島がマウンドに戻った。攻撃面でも、常葉菊川との決勝戦に象徴されるように、試合の大勢が決まったあとも犠打を多用した。選手たちのプレーも手堅く、核弾頭の浅村や主将の森川真雄(現同志社大)はスタンドに放りこむ力を有していながら、出塁に徹しては左右に打ち分けた。

 第二に、前年はレギュラーの大半が3年生であったため、残ったメンバーの中に変な実力差や経験値の差がなかった。浅村、森川、福島、奥村、萩原圭悟(現関学大)、清水翔太(現・龍谷大)らはみな、前年は脇役からバックアップあたりに位置していた選手だ。つなぎ役の清水が打率.750を記録するなど、スーパースターがいない一方で一定の力量を持った選手を多く抱えていた。



 今年の亜大も、この“手堅さ”と“地味な粒揃い”がウリだ。5-1で勝利した12日の対立正大1回戦が象徴的であり、東浜の調子がいまひとつの中、4回に2点を先制すると7回から9回にかけて手堅く1点ずつを積み重ねる。本来は内野手ながら左翼からの好返球を見せた加嶋健志郎(3年・新田)、大根切りで3塁走者を迎え入れたブルーノ平田(3年・八王子)、不調の東浜を好リードした下舘大輔(2年・一関学院)ら仕事人の渋い働きぶりも光った。



 きらびやかな黄金の陰に隠れていた渋く光るいぶし銀は、隠れて力を蓄えていた時間のぶんだけ、金よりも強いのかもしれない。

posted by Pooh |04:08 | 大学野球2009 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2009年05月02日

6人のショート、3年目の春

 プロ入り3年目、レギュラー2年目を迎えた坂本勇人(巨人)が、イキのいいプレーを見せている。開幕戦こそ覇気がなく途中交代となったが、その後はグングン調子を上げ、23試合を終えた時点で打率.367をマーク。いまひとつ波にのれないチームの中では出色のパフォーマンスだ。


 光星学院高出身の坂本は、06年9月の高校生ドラフトで巨人に“ハズレ1位”指名を受けた。巨人が最初に指名したのは、同じ右投右打の大型遊撃手、堂上直倫(愛工大名電)。堂上は抽選の結果、兄・剛裕も所属する中日に入団すると1年目は二軍で62試合に出場、昨季は3試合ながら1軍も経験した。福留孝介のつけていた背番号1を継ぐなど球団の期待も大きく、3年目の飛躍に期待がかかる。


 同じく堂上の抽選に敗れた阪神も、“ショートを獲れなかったからショートを獲る”というシンプルな論理で、右投右打の大型ショート・野原将志(長崎日大高)を指名した。この野原も1軍での実績こそないが、ファームでは過去2年間、三塁のレギュラーとして起用されている。おそらく首脳陣の中には、鳥谷敬との大型三遊間が近未来の青写真として描かれているだろう。


 セ3強にそれぞれ1位指名されたこの3人は、ちなみに、06年の高校選抜アメリカ遠征メンバーに選ばれていない。その遠征メンバーには右投右打の大型遊撃手が3人帯同していた。優勝校・早稲田実の4番を務めた後藤貴司、駒大苫小牧の田中将大(現楽天)から本塁打を放った林崎遼(東洋大姫路)、大舞台で打率6割&2本塁打を記録した宇高幸治(今治西)である。


 卒業後、斎藤らとともに早大に進んだ後藤は、2年間の控え生活を経て今季からレギュラーを張る。宇高も卒業後は早大に進学し、1年時から守備固めで出番を得ると、2年時からは三塁のレギュラーに定着した。昨年は春・秋ともにベストナインに輝き、今季は開幕から5番を任されている。林崎は抜群の身体能力を持ちながらボールを持たせると不器用なところがあり、東洋大進学後も外野を守って下位を打っていたが、今季は中軸を打ち、守備も内野に戻ってきた。先日の国学院大とのリーグ戦では、1回戦で3安打3打点、2回戦で2安打4打点と、ついにその素質が開花しつつある。


 大学に進んだ者、プロの門を叩いた者。ショートを守り続けている者、他のポジションに移った者。現在地はさまざまだが、“佑ちゃん・マー君世代”の6人のショートが、それぞれの場所で3年目の春を戦っている。

posted by Pooh |12:19 | 大学野球2009 | コメント(5) | トラックバック(0)
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2009年04月07日

ビッグかスモールか

 東都大学野球の春季リーグ戦が7日(火)、開幕した。オープニングゲームとなった東洋大学(昨秋1位)-青山学院大学(昨秋5位)の一戦は、延長10回、規定により1-1の引き分け。5連覇を目指す王者にとっては、不安の船出となった。


 昨秋の開幕戦とよく似た試合だった。対戦カードも同じならば、延長にもつれこむ熱戦となったのも同じ。東洋大が乾真大(3年・東洋大姫路)から鹿沼圭佑(3年・桐生一)へと継投したのも、青学大・垣ヶ原達也(2年・帝京)が粘りの投球を見せたのも同じ。思いきりよくバットを振る東洋大、バントや盗塁を絡めて攻める青学大という好対照のチームカラーも変わっていない。唯一の違いは、昨秋の開幕戦は東洋大が勝利を収めたのに対し、この日は引き分けに終わったことだ。


 戦国東都を4連覇中の東洋大だが、スキのない完璧な野球を展開しているわけではない。守りの局面では無駄な四死球や失策、攻撃では凡飛が目につき、ゲーム運びはむしろ下手な部類だ。ただ、打線が非常に強力で、力のある選手が徹底的にバットを振ってくる。“三振か長打か”タイプの選手が多く、好投手に対面すると扇風機の展覧会と化すのだが、9イニングにわたってフルスイングを敢行すれば数本は外野の頭を越える。流れを引き寄せるのがうまい野球ではなく、流れが悪くても打ち勝つ野球なのだ。


 そのスタイルは今季も変わらないが、3番から6番に並んでいた大野奨太(現日本ハム)ら長距離砲カルテットが卒業し、顔ぶれはずいぶんと変わった。中軸には昨秋まで代打要員だった佐藤貴穂(3年・春日部共栄)や都築司(4年・浦和学院)、下位を打ってきた林崎遼(3年・東洋大姫路)らが並んでいる。坂井貴文(3年・春日部共栄)、佐藤、都築、林崎の“新カルテット”はこの試合、4人でボテボテの内野安打2本に終わり、外野の頭を越す打球は生まれなかった。ビッグボールで打ち勝つことは、今季は難しいかもしれない。


 この試合における東洋大唯一の得点となった5回の1点は、東洋大らしからぬスモールボールで奪ったものだった。前の回の青学大の攻撃を3人で片づけると、先頭の7番・鈴木大地(2年・桐蔭学園)が死球で出塁する。犠打と進塁打で走者を三進させた後、主将の1番・小島脩平(4年・桐生一)がファウルで粘った末に一・二塁間を渋く抜いた。ポリシーの域にあるビッグボールを完全に捨てる必要もないが、大砲の破壊力が昨年ほどではない今、スモールボールをエッセンスとして混ぜるのも悪くない。高橋昭雄監督の決断やいかに。

posted by Pooh |21:54 | 大学野球2009 | コメント(1) | トラックバック(0)
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