2010年12月19日
田中賢介、森本稀哲、稲葉篤紀という日本ハムの1~3番は、90年代後半の横浜の1~3番(石井琢朗、波留敏夫、鈴木尚典)によく似ていると思っていた。
3割前後の打率と2ケタ盗塁が計算できる左打ちの賢介。ネアカのムードメーカーで、1番では淡白さが目立つが2番で使うと献身的なつなぎを見せる右打ちの稀哲。球界屈指の中距離打者にして、長打力も兼ね備える左打ちの稲葉。こうして書き出してみると、ますます横浜のトリオに似ている。売り出した頃は1・2番の並びが逆だった点も一緒だ。
その中から、貴重なつなぎ役である稀哲が抜けた。稀哲はここ3年、死球による骨折でシーズン中に戦線を離脱しているのだが、日本ハムはそのたびに代役探しに苦労した。捕手の鶴岡慎也の打順を上げたり、代走の切り札である紺田敏正、村田和哉を起用したりしてきたが、これといった代役は見つからず、稀哲の復帰を待つハメになった。数か月の戦線離脱でも一大事だった選手が、チームを去ったわけで、しかも、代役候補の中で最も計算の立つ紺田は巨人に出してしまっている。
横浜の場合も、つなぎ役の波留が故障離脱→完全復帰の前に中日移籍となりトリオ解体となったが、すい星のように現れた金城龍彦が2番に定着、事無きを得た。日本ハムにも金城のような選手が現れてほしいものだが、このチームの若手は右打ち=スラッガータイプ(陽岱鋼、中田翔、鵜久森淳志、市川卓)、左打ち=俊足軽打タイプ(村田、加藤政義、中島卓也)ときれいに分かれている。賢介と稲葉の間に入るのだから、右打ちかスイッチがいいわけで、スモールボールを武器とする以上、俊足軽打タイプがいいわけだが、両方に該当するのは19歳の杉谷拳士くらいだ。
アマNo.1野手、伊志嶺翔大を本当に必要としていたのは、このチームかもしれない。もっとも、彼を確実に獲ろうと思えば一本釣りするしかないわけで、斎藤佑樹は獲れなかったわけだが。
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2009年07月29日
28日(火)、神宮球場でプロ野球を観戦してきた。カードはヤクルトvs広島(18時プレイボール)。
ちなみにスタメンはこんな感じ。
[先攻・広島]
(4)東出
(8)赤松
(9)天谷
(3)栗原
(5)マクレーン
(7)フィリップス
(6)梵
(2)石原
(1)前田健
いかにも広島らしい、東出系と新井系が半々の打線。正統派の中距離打者はいない。東出系は守備走塁、新井系は長打力で貢献といきたいところだが、マクレーンもフィリップスもたいして打たない。特にフィリップスは、守備面でのマイナスをチャラにするだけの打棒を発揮できておらず、これなら廣瀬と末永の両中距離打者をプラトーンで使う方がおもしろい。梵や石原の打率もひどいが、センターラインは簡単にはいじりたくはないだろう。
[後攻・ヤクルト]
(8)青木
(4)田中浩
(7)福地
(3)デントナ
(9)ガイエル
(5)宮本
(2)相川
(6)川島慶
(1)石川
非常にいい打線だと思う。メンバーはとりたてて素晴らしいと思わないが、並びがいい。
1番は俊足好打、2番は自己犠牲の権化、クリーンナップはスラッガー、6・7番は一発長打、下位は安パイ…そんな分かりやすい打線のほうが見ていてスカッとはするかもしれないが、その手の打線でシーズンを勝ち抜くのは難しい。打線というのは文字通り線であるから、誰が監督でどう並べても勝てるようなメンツでない限りは、どこから始まっても攻撃が形になる――つまり、「出る→つなぐ→返す」形ができる――のが好ましいわけで、この打線はそれができる。
1番に3番も打てる青木、3番に1・2番タイプの福地、5番に一発屋のようで選球眼と走力があるガイエル、6番に2番も打てる宮本、7番に捕手にしては打撃のいい相川、8番に1番も打てる川島が配置されており、「出る→つなぐ→返す」形が1~4番以外に、2~4(5)番、5~7番、8~1番にもある“循環する打線”だ。どこからでも点がとれるし、誰か1人にとんでもない負担がかかったりもしない。青木が4タコ、5タコでも、隠れ1番があと2、3人いるわけだから。このあたりが強さの秘訣だと思う。
さて、スタメンについてここまだクドクドと語ったのは、諸事情により5回までしか試合を観戦できなかったからである。それにしても、平日のビジターにこれだけのファンが集まるとは、広島は熱い。夢熱く燃やせ心弾ませて~緑の芝生を走れ!東出♪
佐賀に7年住んだ者にとって、緒方や末永が在籍しており、かつては河野や兵動や若林もいた広島は、なんとなく応援したくなるチームである。石原の手当に実松、フィリップスのところに迎、代走の切り札に野中信吾、左の代打に佐藤吉宏なんていかがだろうか。そうそうそうそう、そういえば確か、この人も佐賀で、元広島だ。
それでは、いつになるか分からない第3回をお楽しみに。
posted by Kentaro Suzuki |00:54 |
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2009年04月04日
WBC優勝の余韻を残したまま、プロ野球のペナントレースが始まった。WBCで侍JAPANを世界一に導いた原辰徳監督は米国から帰国後、今度は日本一を目指し、1番・亀井義行&2番・鈴木尚広という新機軸を打ち出した。高橋由伸からレギュラーを奪うと日本代表にも選出された亀井、昨季終盤にレギュラーをつかむと3割30盗塁をマークした鈴木。スピード豊かでフレッシュな新1・2番はいかにも魅力的だが、果たしてこれが原監督の理想の形なのかと考えると疑問符が付く。
パンチのある亀井と昨年に1番で結果を残した鈴木のコンビは、1・2番というよりはダブル1番、いわゆるツートップである。1番が出塁して2番が送る古典的な形で勝負するのではなく、1番が出塁すればカウントを整えてエンドラン、1番が凡退すれば2番が1番に変身、そしていつでも入れ替え可能という掴みにくさで勝負する。機動力野球を伝統とする西武では監督が替われどダブル1番を置くスタイルは変わらず、森祇晶政権時は辻発彦&平野謙、東尾修政権時は松井稼頭夫&大友進、そして現在は片岡易之&栗山巧がこの役割を担っている。
ところが原監督は、ツートップの使い手ではない。第1次政権時に清水崇行&仁志敏久のダブル1番に挑んだが、清水は最多安打に輝く一方で仁志が輝きを失い、トータルとしては失敗に終わる。それに懲りたのか第2次政権では強打者だが右打ちとつなぎに長けた谷佳知を2番に起用、高橋由とのコンビは“隠れクリーンナップ”ではあったが決してダブル1番ではなかった。鈴木は仁志に比べるとクセのない選手だが、谷のように相手の嫌がることをプレーのファーストチョイスに置くようなタイプでもない。一度は懲りたダブル1番に、なぜまた挑むのか。答えは“セカンド隠し”である。
巨人は昨季終盤、左打者の脇谷亮太、両打ちの木村拓也、右打者の寺内崇幸の3選手を2番・セカンドで併用した。激しいレギュラー争いの中から調子のいい選手を起用した、と表現すれば聞こえはいいが、つまるところ固定できなかったのである。西武との日本シリーズでは王手をかけて迎えた第6戦で、右投手には脇谷、左投手には木村のセオリーを崩して寺内を起用するも、この寺内が全く機能せず打線は寸断。この試合に敗れると続く第7戦も落とし、日本一を逃したのだ。
攻守ともに確実性に欠ける脇谷、今年37歳の木村、経験値が絶対的に不足している寺内と、どの選手も優勝を目指すチームの絶対的な2番打者には物足りない。打順をやり繰りしてセカンドの選手を8番に回せればスリープラトンでもいいのだが、そこは坂本勇人の定位置だ。他球団や外国から即戦力の2番セカンドを持ってきてしまうと、昨季からの“若手を実戦の中で成長させる”流れを切ることになる。選手層が厚いようで意外と選択肢が限られている中、原監督がセカンドに抜擢したのは3人とは異質のアルフォンゾだった。クリーンナップと7・8番がほぼ決まりである以上、アルフォンゾの行きつく先は6番であり、昨季6番を打った亀井が1番へ、1番の鈴木が空いた2番へスライド。玉突きが収まったとき、新1・2番が誕生していたのだ。
とはいえ、成長著しく自信もみなぎる亀井&鈴木のダブル1番は、それなりに計算が立つ。問題はアルフォンゾが使い物にならなかった場合で、この35歳のベネズエラ人以外に強打型のセカンドはいないため、打線の見直しを余儀なくされる。気がつけば谷がセンターを守っており、鈴木がセカンドキャンバスの横にいたりしなければいいのだが、はてさて。
posted by Pooh |02:23 |
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2009年03月19日
原辰徳監督率いる侍JAPANは18日の韓国戦に敗れ、19日のキューバ戦に準決勝進出を懸けることとなった。先日のキューバ戦の直後に松坂大輔が、再びキューバと対戦する可能性が十分にあるなかで、逆球は意図的であったと正直にバラしてしまったのはあまりに痛いが、たとえキューバを撃破しても、その先にさらなる難敵が待ち受ける。
連覇への最大の難敵となるのは、準決勝進出を一番乗りで決めたベネズエラであろう。世界ランキングは15位と、米国やプエルトリコ、ドミニカ共和国に比べると前評判は高くなかったが、プエルトリコに次ぐメジャーリーガー産出国であるだけに個人能力は高い。とりわけ打線の破壊力はすさまじく、ここまで6試合で10本塁打を記録。ボビー・アブレイユ(昨季のヤンキースの3番打者。20本塁打100打点に22盗塁をマーク)、ミゲル・カブレラ(昨季のア・リーグ本塁打王)、マグリオ・オルドネス(07年、イチローに競り勝って首位打者獲得)のクリーンアップは強力だ。
投手陣もフェリック・ヘルナンデス(2年前、松坂とイチローの米初対決が注目されたレッドソックス-マリナーズ戦で見事なピッチングを見せ、2人を脇役においやってしまった、あの投手)がエースとして君臨し、クローザーにはK-ロッドことフランシスコ・ロドリゲス(昨季はメッツでなんと62セーブをマーク)が控える。米ナンバー1左腕と称されるヨハン・サンタナの出場辞退は痛いが、2試合でK-ロッドを8回から投入するなど必死の継投でカバー。守備面での衰えが目立っていた捕手のラモン・ヘルナンデスもホームベースを一人で死守している。
イバン・ロドリゲスとヤディア・モリーナ、さらにはナ・リーグ新人王のジオバニー・ソトのポジションがかぶってしまったプエルトリコのようなポジション別戦力不均衡もなく(捕手王国プエルトリコとしては、その戦力均衡こそが自慢なのかもしれないが)、強打の二塁手ホゼ・ロペスや変化球への対応がうまいメルヴィン・モーラら脇役陣もなかなかの顔ぶれ。日本のトップクラスの投手をカモにするアレックス・カブレラ(オリックス)やアレックス・ラミレス(巨人)が代表のダの字にもかからない野球大国を叩かないことには金メダルはない。もちろん、キューバを倒すことが先決だが。
posted by Pooh |00:56 |
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2009年02月24日
千葉ロッテが日本一に輝いた2005年、4番を務めたサブローが「つなぎの」4番として話題になった。ベニー・アグバヤニ、李承燁、里崎智也ら長距離砲を差し置いて4番に抜擢されたサブローは、俊足で右方向に打つのがうまく、体型も華奢な核弾頭タイプ。松中信彦(ソフトバンク)、アレックス・カブレラ(当時西武)、フェルナンド・セギノール(当時日本ハム)ら他チームの「勝負を決める」4番に比べると、実績もサイズも知名度も、何から何まで一回り「小粒な」4番であった。
だが、サブローが「つなぎの」4番だったかというと、疑問符が付く。名門・PL学園高から94年にドラフト1位で入団したように本来はスター選手であり、性格も目立ちたがり屋。おいしい場面で強い球(直球)を強く打ち返すことが大好きな選手である。その年の阪神との日本シリーズでは、2度あった無死1・2塁の好機で2度とも凡飛を打ち上げた。2度とも5番の里崎に長打が飛び出し、事なきを得たわけだが、決して「つなぎの」4番ではなかった。
さて、第2回のWBCに挑む日本代表の原辰徳監督は、どうやら4番に稲葉篤紀を据えることを決めたようである。9年連続2桁本塁打、ベストナイン4度の稲葉は所属する日本ハムでも4番を任されることが多い選手だが、これこそまさに「つなぎの」4番である。
原監督はイチローを1番ではなく3番で起用する意向を持っている。圧倒的な打撃技術を持つイチローは、第1回WBCでも1番と3番の両方で機能したように、打順がどこであっても結果を残す。だが彼は、塁に出たあとは、脚力を武器にダイヤモンドを駆ける完全な1番打者である。ゆえに、イチローの次の打者は(たとえ4番打者であっても)2番的な要素を持っておくことが望ましい。
稲葉は左打ちで走力も標準以上、左投手に対しても踏み込んで一・二塁間にゴロを打つことができ、日本ハムでも韋駄天・田中賢介と何度もヒットエンドランを決めている。「勝負を決める」4番なら他にも候補がいるが、3番・イチローを生かす「つなぎの」4番には彼が適役である。すなわち、1番・青木宣親、2番・中島裕之…という初期配置は半分はダミー。イチロー、稲葉の3・4番が隠れ1・2番、下位に並ぶ福留孝介や小笠原道大が隠れクリーンナップ――と打順を2つずつずらしてみると、もうひとつの打順ができあがる。
posted by Pooh |13:04 |
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2008年08月20日
熱戦が繰り広げられた夏の高校野球が幕を閉じ、はや2日。昨夏の甲子園を沸かせた由規(佐藤由規)が、神宮球場で行われたイースタンリーグ・対巨人戦の先発マウンドに上がった。
昨夏、由規は仙台育英(宮城)の主戦として聖地に登場。初戦の智弁和歌山(和歌山)戦で、強力打線を相手に17奪三振の完投勝利を収める。2回戦の智弁学園(奈良)戦では、史上最速となる球速155km/hをマーク。中田翔なき夏の甲子園で、主役を張った。
あの夏から、ちょうど1年。厳しい言い方だが、技術面における進歩はない。左肩の開きが早く、右打者の内角に威力あるボールを投げられない悪癖は直っていない。スライダーの曲がりも相変わらず大きすぎ、けん制やフィールディングにも課題を残す。
一方、精神面ではひと回り大きくなったようだ。脇谷亮太、矢野謙次ら実力者が並ぶ巨人打線に対し、140km/h台後半の直球を軸に真っ向勝負。6回表に星孝典にソロ本塁打を喫するが、動揺した様子はなく、後続を冷静に打ち取る。結局、8イニングを投げ、失点はその1点のみ。崩れだすと止まらなかった高校時代と比べ、ぐっと逞しくなった。
力投した彼を、チームメイトも見殺しにはしなかった。門倉健の好投の前に敗色濃厚だった8回裏、一昨年春に甲子園を沸かせた川端慎吾が四球で突破口をひらく。由規の代打・ウィルソンが内野安打でつなぐと、これまた甲子園の星である上田剛史に逆転2点タイムリーが飛び出した。
何度か1軍昇格の噂が立ちながら、2軍での登板が続く由規。今日の投球を見る限りでは、昇格は厳しいと言わざるを得ない。高校時代同様に、ボールになるスライダーを見極められ、直球を狙い打たれる光景が目に浮かぶ。
とはいえ、直球で勝負できる投手はいまや絶滅危惧種であり、由規にかかる期待は大きい。村中恭平、増渕竜義と高卒の本格派投手を、荒々しさを残したまま1軍戦力に組み込んだヤクルト。第3作の出荷が待ち遠しいものだ。
posted by Kentaro Suzuki |20:19 |
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