2008年10月04日
東京六大学野球秋季リーグ戦は、4日(土)に神宮球場で第4週の1回戦が行われた。第1試合、明治大学-法政大学の一戦は、野村祐輔(1年・広陵)の好投で明大が3-0の勝利。勝ち点獲得に王手をかけた。
スタンドを埋めた観衆から、どよめきが起こる。明大の先発メンバーの中に、小道順平(3年・二松学舎大付)と荒木郁也(2年・日大三)の名前がない。
今春のリーグ戦における両者の活躍は、記憶に新しい。小道は佐々木大輔(4年・日大三)の故障を受け4番に入ると、代役にとどまらぬ働きを見せ、佐々木の復帰後も4番の座を掌握する。首位打者こそ数厘差で逃したものの、15試合で19安打10打点をマーク。積極的な走塁や守備でもチームを引っ張った。
荒木は開幕カードで3番・遊撃に抜擢されると、50mを5秒7で走るスピードを攻守に生かし、レギュラーの座をつかむ。早稲田大学との1回戦では、9回裏に値千金の逆転サヨナラ2ラン。リーグ終盤は打順を1番に上げ、核弾頭として優勝に大きな貢献を果たした。
その2人の調子が、この秋はなかなか上がらない。慶応大学に連敗を喫した先週の2試合で、小道は無安打に終わる。荒木は安打を2本放ったが、失策をするなど本来の動きではなかった。しびれを切らした善波達也監督は、チームの軸である2人を先発から外したのだ。
小道に代わって3番を務めた山口将司(2年・春日部共栄)は安打2本を放ったが、いずれもセーフティバントによるもの。バントを警戒された第4打席は、あっさりと凡飛に倒れた。荒木に代わって遊撃に入った西山市郎(4年・明徳義塾)は守備こそ堅実だったが、好機にスクイズを失敗。代役は代役止まりだったと、言わざるをえない。
すでに慶大戦で勝ち点を落としている明大にとっては、再来週の早大戦がカギとなる。ここで勝ち点を落とせば、連覇は十中八九、無理だ。大学野球界屈指のタレント集団である早大を破るには、当然、相応のタレントが必要。“飛車角”が本来の位置に戻っていないと、戦いは厳しいものとなる。
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2008年09月17日
東都大学野球秋季リーグの第3節2回戦が17日(水)、神宮球場で行われた。第1試合では、2点を先制した中大が日大の反撃を継投でかわし、2-1で辛勝。通算成績を1勝1分けとし、勝ち点獲得に王手をかけた。
1塁側の中大ベンチから、高橋善正監督が顔を出す。主審からボールを受け取ると、ゆっくりとマウンドへ。バッテリーと言葉を交わすと、ブルペンへ向かって手まねき。手まねきの先にいたのは、左投手の入江慶亮(1年・浜田)だった。
この日の中大の先発は、山崎雄飛(2年・芝浦工大)。1部昇格にも大きく貢献した主戦格の本格派右腕である。序盤は力みからボールがばらついたが、回を追うごとに無駄な力が抜け、制球が安定。三塁手・志田卓也(2年・静岡市立)らバックの好守にも盛りたてられ、7回まで中大打線を零封する。
迎えた8回、1死から9番・冨田光紀(3年・前橋商)に内野安打を許す。体力的にも精神的にも十分な余裕が感じられたが、左打者の1番・赤嶺慎(3年・沖縄商学)を打席に迎え、思い切りのいい高橋監督は入江への継投を決断した。
春季リーグ戦では出番なしに終わった入江だが、この秋は開幕カードの立正大戦で好投し、指揮官の信頼をつかむ。前日の1回戦でも3イニングを無失点と好救援を披露していた。だが、経験値が絶対的に不足しているだけに、この場面での登板は荷が重い。赤嶺に安打を許し、1死1・3塁と傷口を広げたところでマウンドを降りた。
3番手に告げられたのは渡邊洋平(1年・日大東北)。本来は山崎と先発2本柱を形成する存在だが、自身の不調と澤村拓一(2年・佐野日大)の好調により救援にまわっている。無安打無得点を達成した入れ替え戦の頃と比べると、直球の威力も制球もいまひとつ。だが、キレのあるスライダーを多投し、反撃をスクイズの1点に抑え込む。そのまま9回も続投し、1点差の勝利を手繰り寄せた。
必死の継投で逃げ切った中大だが、気になるのは美馬学(4年・藤代)の状態である。今春の2部リーグで獅子奮迅の働きを見せMVPを獲得した守護神は、入れ替え戦での怪我が長引き、いまだ登板なし。いつもなら“美馬健”となる核弾頭の美馬健太(3年・北照)の名前が“美馬”と表示されているところを見ると、ベンチにも入っていないのだろう。
誰が投げても試合を壊さない先発陣と、捕手・鮫島哲新(2年・鹿児島工)を中心とした固い守り、そして1部の投手の力量に苦しんでいる打線。これらを考慮すると、当然1-0、2-1といったスコアが勝ちパターンになる。この日は幸いにもリードが2点あったが、1点も与えられない場面も今後出てくるであろう。今春、リードした状況で8度マウンドに上がり、1度も同点を許さなかった美馬学は勝利を仕上げる最後の1ピース。“出したら、負けない”背番号18の復帰が待たれる。
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2008年09月06日
東都大学野球の秋季リーグ戦が、6日(土)に開幕した。オープニングゲームとなった東洋大-青学大の一戦は、延長10回に内野安打で勝ち越した東洋大が4-3で青学大に勝利。4季連続の完全優勝へ向けて、白星スタートを飾った。
一塁側の東洋大応援団から、ため息が漏れる。延長10回表、1死満塁のサヨナラ機に6番・中倉裕人(4年・PL学園)は浅いレフトフライ。3塁走者の瀧本聖也(2年・静岡商)は俊足だが、タッチアップを諦める。尚も2死満塁と好機は続くが、打線は下位へ。パンパンに膨れ上がった期待という名の風船が、またたく間にしぼんでいく。
7番・小島脩平(3年・桐生一)の代打に告げられたのは、柘植宏介(4年・明秀日立)。内野の守備固めを主な役回りとするバイプレーヤーである。柘植が積極果敢に初球をたたくと、高いバウンドのゴロがショートへ飛ぶ。これが内野安打となり、東洋大は勝ち越しに成功した。
勝利を収めた東洋大だが、試合内容はお世辞にもほめられるものではない。3点を先制したものの、先発の乾真大(2年・東洋大姫路)は不調で3回途中降板。救援した鹿沼圭佑(2年・桐生一)の制球の甘さに二塁手の小島の失策が重なり、簡単に同点を許す。3番から6番に並ぶ長距離砲は4人で2安打。中盤以降、好機でことごとく三振やポップフライに倒れた。
だが、結果として負けなかった。ここに東洋大の強さがある。拍子抜けするほどあっさりと失点を喫する投手陣だが、敗戦を意味する決勝点だけは意地でも与えない。自慢の大砲4人が扇風機と化していても、適材適所で代打や代走を送り込み、彼らの粘っこさとスピードでしたたかに得点を奪う。その代わり、脇役たちの小細工が効かない日には、長距離砲の破壊力で相手を沈めるのだ。
内容の悪さを取り上げ、4連覇に黄信号とする見方もできる。だが、3連覇の原動力である“試合が終わったときに、勝っている”勝負強さに陰りはない。4季連続完全優勝に向けて、視界は良好だ。
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2008年09月05日
東都大学野球の秋季リーグ戦が明日開幕する。この春に2部で優勝を飾り、入れ替え戦で駒大を破って1部に昇格した中大に注目したい。
投手陣には本格派が揃う。1年時からエース格の山崎雄飛(2年・芝浦工大)と、入れ替え戦で無安打無得点を達成した渡邊洋平(1年・日大東北)が先発2本柱。直球にボリューム感のある澤村拓一(2年・佐野日大)、身長195cmの中村尚史(3年・武蔵工大付)がつなぎ、守護神の美馬学(4年・藤代)が最後を締める。この投手陣をリードするのは、鮫島哲新(2年・鹿児島工)。一昨年夏の甲子園を沸かせた、スケールの大きな司令塔である。
打線に目を移す。アグレッシブなプレーを見せる美馬健太(3年・北海)、小技の利く土居慎司(2年・今治西)がチャンスメーカー。主将の堀大樹(4年・佐賀商)、1年生ながら春に本塁打3発を放った井上晴哉(1年・崇徳)、右方向に打球が伸びる鮫島が並ぶ中軸は強力だ。
下位はやや流動的だが、本来は中軸の岡山真澄(3年・桐光学園)、打撃センスのある村山雄輝(3年・桐光学園)、俊足の杉沼慶(1年・秋田中央)、内外野をこなす久保田亮平(2年・静岡)、攻守に小回りが利く遠藤一星(2年・駒場学園)、シュアな志田卓也(2年・静岡市立)らが揃う。相手投手の左右や調子によって組み換えが可能であり、固定されていないことはむしろ強み。一発長打の奥貴之(3年・佐賀商)、外野守備に定評のある村山優也(2年・水戸商)ら質の高いメンバーがベンチに控え、選手層も厚い。
弱点は、投手陣が“右傾化”していること。東洋大や亜大の左打者を抑えるためにも、継投にアクセントをつけるためにも、左が1枚は欲しいところだ。豊田克己(3年・清水東)、入江慶亮(1年・浜田)あたりが候補になる。打線では、井上、岡山ら一発長打型と、土居、杉沼ら小柄な俊足軽打タイプに大きく2分されてしまう点が気がかり。一発長打型の選手ところでは得意の機動力が使いづらく、俊足軽打型の選手には打席での怖さがない。美馬健に加え、バランスのとれた選手がもう1人スタメンに必要だ。
少し数が多すぎるほど選手の名前を出したが、名前の後ろの括弧の中を見てほしい。4年生は主将の堀と美馬学のみ、非常に若いチームなのだ。とりわけ、先発2本柱の山崎と渡邊、捕手の鮫島、4番の井上といった幹の部分は2年生以下である。黄金時代を謳歌している東洋大と亜大は4年生への依存度が高く、来年は戦力ダウンが必至。それだけに、中大は今秋1部に残留すれば、来年以降は優勝争いに絡むことが十分可能になる。昨年に若いメンバーで優勝争いに絡んだ駒大が今春に2部落ちするなど、戦国東都の戦いは甘いものではない。甘いものではないが、期待はふくらむ。
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2008年06月14日
14日(土)、神宮球場で全日本大学野球選手権の準決勝2試合が行われた。第1試合では、東海大学が明治大学に7-17で逆転勝ち。明日の決勝へ駒を進めた。
この回4人目の投手である近藤健太(2年・倉敷商)が、この回19人目の打者となる石井大祐(4年・東海大山形)を三振に仕留める。1時間近くにわたった長い攻撃が、やっと終わった。
佐々木大輔(4年・日大三)の本塁打などで、初回に3点を先制した明大。3回にも3点を追加し、試合を優位に進めていた。だが、5回裏に大きな落とし穴が待ち受けていた。
4回まで無失点の江柄子裕樹(4年・つくば秀英)が東海大打線につかまり、3点を失ったところで交代を告げられる。エースの岩田慎司(4年・東邦)がマウンドに上がったが、流れを止められない。5番・近藤恭平(3年・市岐阜商)に本塁打を浴びるなど、1死も取れずに降板。3番手の野村祐輔(1年・広陵)も6番・横田崇幸(4年・東北)に本塁打を喫するなど炎上する。この回だけで10本の安打を許し、5つの四死球を与え、16点を失った。
明大にとっては、悪夢のようなイニングだった。そして、その悪夢は、まぎれもなく明大の慢心の産物だった。
4回裏、江柄子は連打を浴び1死1・2塁のピンチを迎えている。だが、このときブルペンは無人だった。岩田や野村が投球練習のピッチを上げたのは、5回裏に江柄子が完全に崩れてから。肩が出来上がらないままマウンドへ上がり、火に油を注ぐ格好となった。
また、3回から4回にかけては攻撃の局面でも多くのミスを犯した。3回表、1死3塁から佐藤政仁(4年・青森山田)がスクイズバントを転がすが、走者はスタートを切っておらず本塁で封殺される。4回表には、無死で中軸に打順が回っていながら、小林雄斗(4年・新田)が単独盗塁に失敗。また、走者が打球に当たってしまい守備妨害を取られる場面もあった。
5回裏の猛攻は、東海大の集中力と攻撃力の賜物だ。だが、明大の気の緩みがそれを誘発したのも、また事実である。
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2008年06月10日
大学野球の日本一を決める全日本大学野球選手権が開幕した。神宮球場で行われた上武大学-九州共立大学の一戦は、上武大が8-3で逆転勝ち。シード校が登場する2回戦へと駒を進めた。
前のイニングと同じ光景が、目の前に繰り広げられていた。隣で観戦していた初老の男性は、「同じミスを繰り返しおって。頭を使って野球をやらんかい」とあきれかえっている。両大学あわせて19安打・11得点の乱打戦となったこの試合。勝敗を分けたのは試合中の情報収集力である。
1回裏、九共大は2番から5番にかけての4連打で2点を先制。3回にも得点圏に走者を進める。一方の上武大は初回から3回までの攻撃が三者凡退。試合の主導権は、一見すると九共大にあった。
ところが、4回表に2点ビハインドの上武大が試合をひっくり返す。核弾頭の目黒聡(4年・東海大相模)がレフト前ヒットで突破口を切り開き、4番・前田憲麻(2年・九州学院)の内野ゴロの間に生還。さらに2死から下位打線に4連打が飛び出し、一挙に5点をもぎとった。
上武大は続く5回にも2死から3点をあげる。4回にレフト前タイムリーヒットを打った松井雅人(3年・桐生一)に再びレフト前タイムリーが飛び出し、右中間三塁打を放った宮下恵太(4年・甲府工)がまたしてもセカンドの頭上をやぶった。冒頭の男性の発言は、これを受けたものである。
松井はミートポイントを後方に置き、ボールを引きつてけて逆方向へ持っていくのを得意の形としている。宮下はヘッドが遠回りするため、アウトコースのボールの方が素直にバットが出る。これらの特徴は1打席目で十分につかむことができたはずだが、気持ちよくアウトを重ねていた九共大バッテリーは見落としていたようだ。
一方の上武大は、打順が1回りする間に九共大バッテリーの傾向をつかんでいた。投手の山内晴貴(3年・沖縄水産)は制球力に難があり、ボールが先行すると直球を置きにくる。サインに首を振った後のボールもほとんど直球だ。4回から5回に集めた9本のヒットは、打者有利のカウントで直球を狙い撃ちしたものが大半だった。
異なるリーグの大学と戦う全日本選手権。データが少ない中で、試合中に生の情報をどれだけ集めることができるかが、今後の試合でもポイントになりそうだ。
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2008年06月09日
8日(日)、神宮球場では東都大学野球1部・2部入れ替え戦の2回戦が行われた。1回戦を落とした中央大学が、渡邊洋平(1年・日大東北)の好投もあり駒澤大学に快勝。対戦成績は1勝1敗の五分となり、決着は9日(月)の3回戦に持ち込まれることになった。
7回表、1死2塁。2点をリードする中大が追加点のチャンスを迎えていた。打席に核弾頭の美馬健太(3年・北海)が入ったところで、1塁側の駒大ベンチが突如騒がしくなる。勝負の行方を決めてしまう3点目を、なんとしても阻止したい駒大。当然ながら、外野手は前進してバックホームに備える。ところが、右翼手の屋宜尊世(4年・沖縄尚学)の守備位置はフェンスの手前。これを見たベンチが、慌てて前進の指示を出していたのだった。
このシーンに象徴されるように、駒大のプレーはどこか集中力を欠いていた。
2回表、先発投手の坂口智行(4年・盈進)は4番・井上晴哉(1年・崇徳)をカウント2-1と追いこむ。しかし、肝心の勝負球が甘く入り左翼線への二塁打となる。続く5番・鮫島哲新(2年・鹿児島工業)への初球、またしても不用意なボールが真ん中へ。鮫島はこれを逃さず右翼線に運び、駒大は1点を先制された。
その後2死3塁となり、8番・杉沼慶(1年・秋田中央)を打席に迎える。その3球目、杉沼は一塁線へセーフティバントを転がす。小技を積極的に仕掛ける中大のチームカラー、8番という打順、そして杉沼が初球に見せたバントの構え。セーフティバントは十分に予測可能だった。しかし、慌ててマウンドを下りてきた坂口は、1塁に投げようとした際に足が絡まり、尻もちをついてしまう。3塁走者が生還し、中大に貴重な2点目が入った。
4回表の守りでは、一塁手の前原一慶(3年・岩国商)が捕手からの牽制球を捕り損ね、一塁走者を二進させてしまう。5回表には、俊足の一塁走者・土居慎司(2年・今治西)に対して1球も牽制球を投げず、いとも簡単に盗塁を決められた。
守備でこれほどミスを重ねては、攻撃へのいい流れはできない。切れ味抜群のスライダーをテンポよく投げ込む渡邊の前に、打線は沈黙。攻略の糸口もつかめないまま、気がつけばノーヒットノーランを喫していた。
1回戦を制した心の余裕が、悪い形となって出てしまった駒大。3回戦には再度気を引き締めて挑むであろうが、流れは完全に中大のものである。昨秋の好成績でつかんだ自信を胸に、1部優勝を目指した今春。だが、最後に待つのは最悪のシナリオか。
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2008年05月28日
東京六大学野球春季リーグ戦は、27日(火)に神宮球場で第7週の3回戦が行われた。優勝に王手をかけていた明治大学は、6-0で法政大学に快勝。この結果、最終週の早慶戦を残して明大の優勝が決まった。
選手交代を告げるアナウンスが球場に流れる。ブルペンで投球練習をしていた背番号11が、ゆっくりとマウンドへ向かう。法政大学の拙守につけこみ、6回までに4点をリードした明治大学。先発の野村祐輔(1年・広陵)の投球には、まだまだ十分な余裕があった。だが、善波達也監督はエースの岩田慎司(4年・東邦)を7回表のマウンドに送り出した。
今春のリーグ戦13試合目の登板となる岩田。肩で呼吸をするなど、疲労が色濃く感じられる。直球も伸びを欠くが、カーブとスライダーをうまく使い3イニングを無失点。8季ぶりとなる歓喜の瞬間を、しっかりと手繰り寄せた。
岩田は昨年までの3年間でわずか1勝。1学年上に久米勇紀(現ソフトバンク)や古川祐樹(現巨人)ら逸材が揃っていたため、登板の機会に恵まれなかった。ところが、最上級生として迎えた今春、潜在能力を開花させる。第2週から第3週にかけては、22イニング連続無失点を記録。チームの投球回数の半分以上を1人で投げ4勝をマークするなど、大黒柱として一本立ちした。
岩田の活躍に引っ張られ、多くの選手が台頭した。3年間で1度も登板がなかった江柄子裕樹(4年・つくば秀英)は、2回戦の先発を任され3勝を記録。切れ味鋭いシュートを軸とした投球には、米大リーグのドジャースが熱視線を送っている。昨夏の甲子園を沸かせた野村は、投げるたびに評価を上げ、岩田・江柄子とともに3本柱を形成。優勝がかかった今日の大一番では先発を任され、安定感あふれる投球を見せた。
その他にも大越遼介(3年・日大三)、柴田章吾(1年・愛工大名電)、隈部智也(1年・熊本工業)の左腕トリオや大型右腕の近藤健太(2年・倉敷工)が短いイニングながら神宮のマウンドを経験。昨季の実績がある宮田隼(4年・鵡川)や西嶋一記(2年・横浜)がベンチにも入れないほど、投手陣が充実していた。
すべての大学から勝ち点を奪った明大だが、すんなりと2連勝したのは東京大学戦のみ。立教大学と戦った第5週にいたっては、4回戦まで勝負がもつれこんだ。優勝までの道のりは長く、険しかった。だが、長く険しい道のりを走り終えたとき、多士済済の投手王国がそこには誕生していた。
posted by Pooh |22:37 |
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2008年05月21日
佑ちゃんとマー君。甲子園に2人のヒーローが生まれた夏から、もうすぐ2年が経つ。
早稲田大学に進学した佑ちゃんは、1年目から春と秋のリーグ戦のベストナインを獲得。昨年の日米大学野球の日本代表に選ばれるなど、すでに大学野球界の顔となっている。一方、東北楽天ゴールデンイーグルスに入団したマー君は、2桁勝利をマークし、新人王に輝いた。夏の話題を“ふたり占め”した欲張りな両雄は、世代のトップを走り続けている。
あの夏も、それ以降も、2人が放つ光は強すぎて、なかなか他の選手にはスポットライトがあたらない。だが、2人の後をひたひたと追い続けている3人目のヒーローがいる。
2年前の夏、きれいな紫色のユニホームの学校が甲子園に爽やかな風を吹かせた。鹿児島代表・鹿児島工業。その中心に、鮫島哲新という選手がいた。4番打者・捕手・主将とまさにチームの大黒柱。ミットが流れない正確なキャッチング、大胆さと繊細さを兼ね備えたリード、グラウンド全体を見渡した的確な指示、チャンスに滅法強いバッティング。攻守両面でチームを力強く牽引し、ベスト4の原動力となった。
卒業後、鮫島は中央大学に進学。1年目から正捕手の座を獲得し、打順も中軸。今年からは阿部慎之助がつけていた背番号10を背負っている。キャッチングでは、ワンバウンドになる変化球への対応に磨きがかかった。後逸する光景はほとんど見られない。また、リード面では、審判の癖をうまく利用できるようになっている。投手のリズムを生み出す、テンポのいい返球も健在だ。
鹿児島工の旋風が止まった試合で、佑ちゃんに4打数無安打3三振と完全に抑えられた鮫島。「まずは1部にあがって(中大は現在東都2部)、神宮大会で斎藤と対決したい」とことあるたびに語っており、ライバル意識は相当に持っているようだ。第2集団の先頭から、先頭集団へ。“ハンカチ世代”3人目のヒーローに注目だ。
posted by Pooh |18:27 |
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2008年05月21日
東京六大学春季リーグ戦は5月5日(月)に神宮球場で第4週の2回戦が行われた。早稲田大学-立教大学の一戦は、序盤で大量リードを奪った早大が8-0で快勝し2連勝。勝ち点1を獲得した。
「ショート!ショート!」。飛球が上空に放物線を描くたびに、一際大きな声が球場に響き渡る。声の主は、泉尚徳(4年・国士館)。早稲田大の左翼手である。
泉は2年生の秋に5番打者を務めあげ、優勝に大きく貢献。ベストナインを獲得するなど順風満帆に見えたが、その後伸び悩む。昨年は1年生の原寛信(現2年・桐蔭学園)に一塁手の座を奪われ、準レギュラーに降格する。今春、レギュラーに返り咲いたものの打順は下位。ポジションも本職の一塁ではなく外野である。
「5番・一塁」から「8番・左翼」へ。現在置かれている立場は、決して満足できるものではないだろう。しかし、泉の野球に対する姿勢は打順が何番でも、ポジションがどこであっても変わらない。一塁ベースから1球ごとに大きな声を投手に掛けていた泉は、居場所を左翼に移して、今日も大声を張り上げている。
7回表、その泉の代打に生島大輔(4年・大阪桐蔭)が告げられる。走攻守の3拍子が揃い、1年生の春から出番を与えられたが、レギュラーをつかめぬまま最終学年を迎えている。その生島は3球目の甘い球をとらえ、センター前に運ぶ。序盤で大差がついてしまい緊張感が失われてしまった試合の中で、限られた機会に高い集中力を見せた。
その裏、川畑依啓(4年・桑名)が左翼の守備に就く。スタメンに名を連ねることは少ない川畑だが、攻守に堅実なバイプレーヤーとして應武篤良監督に重宝されている。二浪して一般入試で早大の門をたたき、甲子園の星達に混じってベンチ入りを勝ち取った苦労人。171㎝と小柄だが、その背中が語るものは大きい。
主将の上本博紀(4年・広陵)、捕手の細山田武史(4年・鹿児島城西)、スラッガーの松本啓二朗(4年・千葉経大附)らドラフト候補を多数擁する早大。彼らに華やかな色のライトが当たる陰で、泉が、生島が、川畑が、ひっそりと、しかし懸命に最後の春を戦っている。
posted by Pooh |13:26 |
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