2009年06月28日

アノナツノカガヤキ

 日本時間11日、米大リーグのドラフト会議で、05、06年夏の甲子園を沸かせた北海道・駒大苫小牧高卒の外野手、鷲谷修也(わしや・なおや)がワシントン・ナショナルズに14巡目(全体の412番目)で指名された。 

              ◆     ◇     ◆ 

 12日付の日刊スポーツによると、鷲谷は高校を卒業後、日本の志望大学(筑波大)の受験に失敗したため、07年にカリフォルニア州のデザート短大へ入学した。外資系商社マンを目指しており、短大では語学や金融を学んでいたが、大学リーグでのプレーがスカウトの目に留まる。4球団から契約金の提示があり、昨年のドラフトでもナ軍から42巡目指名を受けていたが、その際は大学残留を優先させ断っていたとのこと。

 引き続き日刊スポーツによると、08年に故郷の北海道にしばらく戻った際に複数の関係者からメジャー挑戦の激励を受けたことで、野球の情熱が再燃する。「いつかは将大(田中=楽天)と勝負したい」という夢も芽生え、「甘い世界ではないけど、ナショナルズもずっと見てくれて恩返しがしたかった」ため、4年制大学への編入プランも取りやめ、再びドラフト指名を待っていたとのことである。
 
 鷲谷は「パワーもレベルアップしたいけど、アメリカ人と互角には難しい。それより自分の生きる道のスピードを生かしたい」(日刊)「球団から評価されているのはスピードと守備」(共同)などと語っており、俊足好打タイプの選手としてメジャーを目指すことになりそうだ。
 
              ◆     ◇     ◆

 さて、総じて“マー君は同級生も凄い”との報道のされ方をした(ちなみに今のはサンケイスポーツ)鷲谷の指名だが、ニュースを知った管理人の第一印象は「え、あの鷲谷が!?」であった。

 決して悪い選手ではない。身長180cmと日本人としては恵まれた体格をしており、何より身体能力が高い。高校2年だった05年夏の時点で、甲子園でのシートノックを見る限り、50㍍を6秒少々で走り、遠投で110㍍を投げる力があっただろう。06年夏の青森山田戦で好投手・野田雄大(現日大)から本塁打を放ったことが示すように、ツボにハマればスタンドに持っていく力もあった。12日付のサンケイスポーツによると、「筋トレで体重は6㌔増え」たとのことだから、当時よりもさらにたくましくなっているかもしれない。

 しかし、身体能力に恵まれている一方で、ボールを持たせると少し不器用なところがあった。甲子園通算は11試合で.226と高くなく、打順も下位が定位置。サウスポーが相手となれば、スタメンから外れることや代打を出されるもしばしばあった。チームメイトとの比較でも、左のスラッガーとしては3番を打っていた中澤竜也(りゅうや=現国学大)、外野手としては主将を務めていた本間篤史(現亜大)の方が総合力で上回っていた。06年夏の大会後の高校選抜アメリカ遠征メンバーにも、駒大苫小牧からは田中に加えて、中澤と本間が選ばれている。

              ◆     ◇     ◆

 しかし、その両者は思いのほか伸び悩んでいる。本間は大学入学直後に背番号を手にしたが、学年が上がるにつれて出番は少なくなり、3年生となった今春のリーグ戦の出場は代打の1試合のみだった。中澤は、亜大ほど選手層が厚くない国学大にあって本間よりは出場機会を得ているが、こちらもレギュラーを確保するには至っていない。ベースボールの国のドラフト14巡目と野球の国の強豪大学準レギュラーのどちらが上かを比較するのは難しいが、野球人として先にひとつの結果を残したのは鷲谷だと言えるだろう。

 「鷲谷がメジャーに指名されたのだから、中澤や本間はもっとできる」は、鷲谷の努力に対して失礼であるし、中澤と本間の頑張りに対して無神経すぎると思う。同時に、あの夏の中澤の2つのアーチ(①青森山田戦の敗色濃厚な9回に、インローのボールをカットするように振り払って右翼席まで持って行った奇跡の同点弾②決勝再試合の9回に、早稲田実・斎藤佑樹から放ったセンターへの意地の2ラン)と本間の体型に似合わぬ走攻守(とりわけ、左中間や右中間への打球を回り込んで止め、すばやく二塁に返球してワンヒット止める中堅守備)を見てしまった手前、そう思わずにはいられないのも事実である。

 “ハンカチ世代”は、おしなべて順調に成長している。田中、前田健太(広島)、大嶺祐太(ロッテ)、坂本勇人(巨人)らがプロ野球界に活力を与え、斎藤、乾真大(東洋大)、林崎遼(同)、鮫島哲新(中大)、小池翔大(青学大)らが大学野球界をにぎわせている。だからこそ、その中に中澤や本間の名前があがってこないのはさびしい。

 幸いにというべきか、彼らの大学生活はあと1年半ある。鷲谷のニュースを刺激に、あの夏の輝きをもう一度見せてほしいものだ。いつまでたっても“あの夏の”と言う人間の存在が、一番のプレッシャーになることは百も承知なのだが。

posted by Pooh |16:12 | 大学野球2009 | コメント(0) | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

トラックバックURL
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/jjc_skentaro/tb_ping/72
コメントする

「他サービスID/メールアドレス」で投稿する場合は、そのID/メールアドレスは表示されず、当サービス専用の固定のコメント投稿者ID「英数+連番」に変換され表示します。

※コメント投稿手順
(1)上記リストから希望のIDを選択する。
  例: Yahoo! JAPAN IDでコメント投稿
(2)Yahoo! JAPAN上の本人確認画面でIDとパスワードを入力する。
(3)スポーツナビ+blog側のコメント入力画面が表示される。
(4)コメント本文を記入し、投稿ボタンをクリックする。
(5)コメント投稿者IDとコメントが表示される。

詳しくは以下2ページをご覧下さい
【仕様変更】PCからのコメント投稿について
ブログ利用マニュアル「コメント投稿方法」

※コメント投稿手順
(1)上記リストからログイン/メールアドレスのどちらかを選択する。
  例: ログインしてコメント投稿
(2)plus-blogのアカウントとパスワード/メールアドレスを入力する。
(3)コメント入力画面が表示される。
(4)コメント本文を記入し、投稿ボタンをクリックする。
(5)コメント投稿者IDとコメントが表示される。

詳しくは以下2ページをご覧下さい
【仕様変更】PCからのコメント投稿について
ブログ利用マニュアル「コメント投稿方法」