2009年05月19日

銀は金より強し!?

 残すところ2週となった東都大学野球の春季リーグで、亜大の好調ぶりが目立っている。亜大にとっての開幕週となった第2週の青学大戦こそ勝ち点を逃したが、第3週・中大戦の1回戦を東浜巨(1年・沖縄尚学)の好投で取ると波に乗った。中大、国学大、立正大をいずれも2連勝で撃破し、第6週が終了した現時点で首位。最終週の東洋大との対決で勝ち点を奪えば、実に5季ぶりの優勝を手にすることとなる。



 今季の開幕前、亜大の評価はさほど高いものではなかった。岩本貴裕(現広島)、岩見優輝(現大阪ガス)、鶴川将吾(現パナソニック)ら昨年の創部50周年を祝うべく集められた黄金世代が今春に卒業。入学まもない東浜がエースになったことが物語るように、タレント力は大幅に低下した。



 この点は、昨夏の甲子園を制した大阪桐蔭に似ている。中田翔(現日本ハム)を筆頭に丸山貴司(現青学大)、山口祥継(現法大)ら下級生時からレギュラーを張る黄金世代が卒業し、前年からのレギュラーは浅村栄斗(現西武)ひとりだけ。その浅村でさえ、前年は背番号2桁で8番を打っていた選手だ。勝負に強いか弱いかはまた別問題だが、少なくとも前年に比べるとずいぶん小粒な顔ぶれだった。

 ところが、この“谷間の世代になることが濃厚な世代”とでも呼ぶべきメンバーは、先輩が成し得なかった全国制覇を達成する。それも、偶然が重なった結果たどりついた優勝ではなく、夢半ばで散った黄金世代の後輩だからこそ成し得た優勝だった。



 まず第一に、前年を反面教師としたのか、野球が非常に手堅かった。右翼手兼投手の奥村翔悟(現関大)がマウンドに上るときは、点差があってもエースの福島由登(現青学大)が外野に残り、奥村の調子が悪いとすぐに福島がマウンドに戻った。攻撃面でも、常葉菊川との決勝戦に象徴されるように、試合の大勢が決まったあとも犠打を多用した。選手たちのプレーも手堅く、核弾頭の浅村や主将の森川真雄(現同志社大)はスタンドに放りこむ力を有していながら、出塁に徹しては左右に打ち分けた。

 第二に、前年はレギュラーの大半が3年生であったため、残ったメンバーの中に変な実力差や経験値の差がなかった。浅村、森川、福島、奥村、萩原圭悟(現関学大)、清水翔太(現・龍谷大)らはみな、前年は脇役からバックアップあたりに位置していた選手だ。つなぎ役の清水が打率.750を記録するなど、スーパースターがいない一方で一定の力量を持った選手を多く抱えていた。



 今年の亜大も、この“手堅さ”と“地味な粒揃い”がウリだ。5-1で勝利した12日の対立正大1回戦が象徴的であり、東浜の調子がいまひとつの中、4回に2点を先制すると7回から9回にかけて手堅く1点ずつを積み重ねる。本来は内野手ながら左翼からの好返球を見せた加嶋健志郎(3年・新田)、大根切りで3塁走者を迎え入れたブルーノ平田(3年・八王子)、不調の東浜を好リードした下舘大輔(2年・一関学院)ら仕事人の渋い働きぶりも光った。



 きらびやかな黄金の陰に隠れていた渋く光るいぶし銀は、隠れて力を蓄えていた時間のぶんだけ、金よりも強いのかもしれない。

posted by Pooh |04:08 | 大学野球2009 | コメント(0) | トラックバック(0)
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