2008年09月30日
迷走
見るも無残なサッカーをしていると、人伝に聞いていた。12チーム中10位という順位からも、チームが迷走していることは想像できた。とはいえ、都の西北、名門早稲田だ。ほんの少し、ボタンをかけ違えているだけだと思っていた。 先週末、はるばる茨城・古河サッカー場まで、関東大学サッカーの試合を見に行った。そこで目にした早大のふがいなさは、想像をはるかに超えていた。 とにかく、何をやっても上手くいかないのだ。ルーズボールの追いかけっこに勝てず、空中戦にも勝てず、1対1の勝負にも勝てない。ボールをキープできるのは、FW渡邉千真(4年・国見)だけ。その他の選手は、ちょっと身体を寄せられるといとも簡単にボールを失う。華麗なパスサッカーが伝統のはずだが、パスは2本とつながらない。 パスが駄目ならとドリブルを始めても、ドリブルをしているうちにタッチラインを割ってしまう有り様。ロングボールを蹴ろうとしても、蹴るまでに時間がかかるうえに足元はおぼつかなく、近くの誰かに当ててしまう。さすがにそれは言い過ぎだろうと思われるかもしれないが、残念ながら、これがまったく言いすぎではないのだ。 せめて闘争心が見えれば救いようがあるのだが、これも見えない。ピッチに響く声は対戦相手の国士大の選手のものばかり。ときおり半ば自棄になって「切りかえて」と叫ぶ選手がいるが、切りかえる前に現状をとことん反省したほうがよさそうだ。 今季から就任した今井敏明監督の無策ぶりも、またひどい。前半を最悪の出来で終えていながら、ハーフタイムに選手交代や配置変更はなし。後半19分にやっと動いたが、配球役のMF中野遼太郎(2年・FC東京U-18)をアウトし、労働者の山中真(1年・柏U-18)を入れてしまった。セカンドボールを拾えない状況に辟易したのかもしれないが、中野を下げてしまってはボールを拾っても攻撃を組み立てることができない。 スピードスターのMF松本怜(3年・青森山田)と点取り屋のFW皆川翔太(2年・ヴェルディY)がベンチに控えていながら、両者の投入は80分と87分。2点を追っているチームではなく、リードしているチームの時間稼ぎのような交代だ。しかも、3枚の交代はそれぞれ同じポジションの選手を取り替えただけ。意図やメッセージのようなものを汲み取ることはできなかった。 試合終了後、会場の外で帰りのバスを待っていると、おそろしく不機嫌な顔をした早大の選手が出てきた。近くにいた人が「あ、ガットゥーゾ」と口走ったところから推測するに、おそらく“闘犬”松本征也(4年・浜名)だ。前期終盤から後期序盤のちょっぴり調子が良かった時期の中心選手だが、メンバーをコロコロ変えるチームにあって、最近はベンチを温めている。 この日にいたっては、自分の出番がないうえに、同タイプの1年生には出番が与えられた。フレッシュな選手を起用することで閉塞感が漂う状況を打破したいという気持ちは、第三者にはよく分かる。だが、最上級生であり、選手にまず“戦う”ことを要求する今井サッカーの象徴的存在であり、一時は不動のレギュラーだった人間を、ここまで簡単に干していいものだろうか。 もう一人の松本、松本怜は左サイドハーフのMF菅田恭介(3年・多々良学園)に代わって投入されたわけだが、その際にベンチからは「そのまま、そのまま」と声が飛んでいた。松本怜は指示の通り左サイドに入ったが、本来の居場所は右。案の定、ファーストタッチとなるドリブルでピッチを左から右へと横断すると、右サイドハーフのMF幸田一亮(2年・横浜FM・Y)とポジションを入れ替える。これもまた、ベンチの求心力のなさを象徴するシーンのひとつだ。 ボタンのかけ違いといったかわいらしい話ではなく、すべての歯車が狂っていた早大。時間を掛けての肉体改造、意識改革がおそらく必要であり、秋季リーグ戦の間にチームを立て直すことは難しい。伝統のパスサッカーを展開する“美しい”集団を心身両面で“強い”集団に仕立てあげようとしたところ、アイデンティティーを失った“弱い”集団ができ上がったとは皮肉なものだが、チームが日々変化する生き物であるということの、何よりの証拠かもしれない。
posted by jjc_skentaro |22:55 |
大学サッカー |
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