2009年06月30日

東京戦での活躍はほどほどに

*以下の文章は、日本ジャーナリスト専門学校WEBスポーツ紙「ジャナスポ」に掲載された管理人の文章を、加筆・修正したものです。ジャナスポはbjリーグと東京アパッチを応援しています。


 6月15日、bjリーグ・東京アパッチの岩佐潤がリーグの「エクスパンションドラフト」(以下ED)にて、新規参入チームの京都ハンナリーズの指名を受けた。ドラフト指名はあくまでも仮保有権の移行にすぎないが、岩佐は自身のブログ「J-FIVE」にて「評価をしてもらったという事で喜ばしい事で、(中略) とても寂しいですけど、結果をだし続けて行くことが恩返しだと思っているので、これからも応援お願いします」と語っており、京都への移籍が濃厚だ。


 bjリーグには2種類のドラフトがある。ひとつは、プロ野球のドラフト同様、各チームが順番に新人選手を指名していく「新人・育成ドラフト会議」(新人ドラフトと育成ドラフトは別物だが、ここでは説明を簡潔にするべくひとくくりにしておく)。もうひとつが、新規参入チームの戦力確保のために行われるEDだ。EDではまず、既存のチームが新規参入チームから指名されたくない選手を「プロテクト」として確保する(プロテクト可能な選手の数である“プロテクト基準値”は、直近2年のチーム成績に応じて設定される)。その後、各チームのプロテクトから漏れた選手から数名を、新規参入チームが指名するのだ。


 今回、東京のプロテクト基準値は3であり、チームはこの3枠を使って、看板選手の青木康平、3Pシューターの城宝匡史、複数のポジションをこなす副主将の仲摩純平を囲った。もちろん、高い守備力と冷静な状況判断に定評のある岩佐もプロテクトしたい選手であったが、基準値を超えた人数をプロテクトすると、新人ドラフトでの指名順を後ろにされてしまう(結果的に東京は新人ドラフトで選手を指名しなかったが)。また、プロテクトした選手とは上級の契約を結ばなければならず、あまりに多くの選手を囲うことは経営を圧迫することになる。


 ジョー・ブライアントHCが「潤はプレータイムが少なくても、常に黙々と練習に取り組み、準備を整えていてくれる」とたびたび語っているように、自由奔放な選手が多いチームにあって、常に飄々としている岩佐の存在は貴重だった。今季もリーグ中盤、出番に恵まれない時期が続いたが、レギュラー陣に疲労の色が見え始めた終盤に出場機会を得ると、期待に応える働きを見せる。4月5日の新潟アルビレックスBB戦で新潟の好ガード・竹野明倫を密着マークで抑え込み、同11日の富山グラウジーズ戦では終了間際に試合を決める3Pを沈め、同25日の埼玉ブロンコス戦では13分の出場で4得点2アシストを記録。「プレーオフ4」ファイナルの琉球ゴールデンキングス戦では、青木やジョン・ハンフリーらエース格が精彩を欠くなか、狙い澄ました3Pを3発決めた。優勝には届かなかったが、デミオン・ベーカーが試合中に負傷、城宝ら3選手が5ファウルで退場という展開の中でクロスゲームに持ちこめたのは、岩佐の活躍が大きかった。


 その岩佐を失うのは痛く、岩佐自身もファイナルの直後には「また1からやり直しです。また同じメンバーでチャンピオン狙いたいです」とブログにつづっただけに、「東京アパッチを離れる事、ブースターの皆さんに試合毎に逢えなくなること、家族に試合をなかなか観せてあげれなくなること、お世話になってる人に逢えなくなることはとても寂しい」とのことだが、実力を評価されての移籍はまさに「喜ばしい事」。仲摩が自身の公式サイト「JumpeiNakama.net」で「毎年チームメートは変わるけどそれは仕方ない事なんで、対戦相手として再会するのが楽しみ」と語っているとおり、若いチームの軸として躍動する姿を見せてほしいものだ。もちろん、東京戦での活躍は、ほどほどに……

posted by Kentaro Suzuki |23:15 | バスケットボール(6) | コメント(0) | トラックバック(0)
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2009年06月28日

アノナツノカガヤキ

 日本時間11日、米大リーグのドラフト会議で、05、06年夏の甲子園を沸かせた北海道・駒大苫小牧高卒の外野手、鷲谷修也(わしや・なおや)がワシントン・ナショナルズに14巡目(全体の412番目)で指名された。 

              ◆     ◇     ◆ 

 12日付の日刊スポーツによると、鷲谷は高校を卒業後、日本の志望大学(筑波大)の受験に失敗したため、07年にカリフォルニア州のデザート短大へ入学した。外資系商社マンを目指しており、短大では語学や金融を学んでいたが、大学リーグでのプレーがスカウトの目に留まる。4球団から契約金の提示があり、昨年のドラフトでもナ軍から42巡目指名を受けていたが、その際は大学残留を優先させ断っていたとのこと。

 引き続き日刊スポーツによると、08年に故郷の北海道にしばらく戻った際に複数の関係者からメジャー挑戦の激励を受けたことで、野球の情熱が再燃する。「いつかは将大(田中=楽天)と勝負したい」という夢も芽生え、「甘い世界ではないけど、ナショナルズもずっと見てくれて恩返しがしたかった」ため、4年制大学への編入プランも取りやめ、再びドラフト指名を待っていたとのことである。
 
 鷲谷は「パワーもレベルアップしたいけど、アメリカ人と互角には難しい。それより自分の生きる道のスピードを生かしたい」(日刊)「球団から評価されているのはスピードと守備」(共同)などと語っており、俊足好打タイプの選手としてメジャーを目指すことになりそうだ。
 
              ◆     ◇     ◆

 さて、総じて“マー君は同級生も凄い”との報道のされ方をした(ちなみに今のはサンケイスポーツ)鷲谷の指名だが、ニュースを知った管理人の第一印象は「え、あの鷲谷が!?」であった。

 決して悪い選手ではない。身長180cmと日本人としては恵まれた体格をしており、何より身体能力が高い。高校2年だった05年夏の時点で、甲子園でのシートノックを見る限り、50㍍を6秒少々で走り、遠投で110㍍を投げる力があっただろう。06年夏の青森山田戦で好投手・野田雄大(現日大)から本塁打を放ったことが示すように、ツボにハマればスタンドに持っていく力もあった。12日付のサンケイスポーツによると、「筋トレで体重は6㌔増え」たとのことだから、当時よりもさらにたくましくなっているかもしれない。

 しかし、身体能力に恵まれている一方で、ボールを持たせると少し不器用なところがあった。甲子園通算は11試合で.226と高くなく、打順も下位が定位置。サウスポーが相手となれば、スタメンから外れることや代打を出されるもしばしばあった。チームメイトとの比較でも、左のスラッガーとしては3番を打っていた中澤竜也(りゅうや=現国学大)、外野手としては主将を務めていた本間篤史(現亜大)の方が総合力で上回っていた。06年夏の大会後の高校選抜アメリカ遠征メンバーにも、駒大苫小牧からは田中に加えて、中澤と本間が選ばれている。

              ◆     ◇     ◆

 しかし、その両者は思いのほか伸び悩んでいる。本間は大学入学直後に背番号を手にしたが、学年が上がるにつれて出番は少なくなり、3年生となった今春のリーグ戦の出場は代打の1試合のみだった。中澤は、亜大ほど選手層が厚くない国学大にあって本間よりは出場機会を得ているが、こちらもレギュラーを確保するには至っていない。ベースボールの国のドラフト14巡目と野球の国の強豪大学準レギュラーのどちらが上かを比較するのは難しいが、野球人として先にひとつの結果を残したのは鷲谷だと言えるだろう。

 「鷲谷がメジャーに指名されたのだから、中澤や本間はもっとできる」は、鷲谷の努力に対して失礼であるし、中澤と本間の頑張りに対して無神経すぎると思う。同時に、あの夏の中澤の2つのアーチ(①青森山田戦の敗色濃厚な9回に、インローのボールをカットするように振り払って右翼席まで持って行った奇跡の同点弾②決勝再試合の9回に、早稲田実・斎藤佑樹から放ったセンターへの意地の2ラン)と本間の体型に似合わぬ走攻守(とりわけ、左中間や右中間への打球を回り込んで止め、すばやく二塁に返球してワンヒット止める中堅守備)を見てしまった手前、そう思わずにはいられないのも事実である。

 “ハンカチ世代”は、おしなべて順調に成長している。田中、前田健太(広島)、大嶺祐太(ロッテ)、坂本勇人(巨人)らがプロ野球界に活力を与え、斎藤、乾真大(東洋大)、林崎遼(同)、鮫島哲新(中大)、小池翔大(青学大)らが大学野球界をにぎわせている。だからこそ、その中に中澤や本間の名前があがってこないのはさびしい。

 幸いにというべきか、彼らの大学生活はあと1年半ある。鷲谷のニュースを刺激に、あの夏の輝きをもう一度見せてほしいものだ。いつまでたっても“あの夏の”と言う人間の存在が、一番のプレッシャーになることは百も承知なのだが。

posted by Kentaro Suzuki |16:12 | 大学野球2009(7) | コメント(0) | トラックバック(0)
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2009年06月21日

休み年!? そんなの関係ねぇ

 五輪競技において、五輪の翌年が“休み年”になることは珍しくない。4年に一度の五輪に照準を合わせた選手の引退や休養、不振、あるいは燃え尽き現象等により、競技のレベルが一時的に落ちるのだ。


 アテネ五輪後の05年も、柔道では谷亮子が出産のために休暇に入り、7連覇がかかっていた世界選手権を欠場する。シンクロナイズドスイミングでは立花美哉と武田美保が五輪を最後に引退し、日本チームのメンバーがガラリと変わった。競泳でも北島康介が大会にこそ出続けていたが、日本選手権で3位に甘んじるなど低迷期に入る。あらゆる競技でこの“休み年”現象は見られるのだが、とりわけ競泳や陸上などは勝負がタイムで決するだけに、この一時的なレベルダウンが起きると球技等よりも目立つ。大会が行われても、選手もいなければ記録も出ない、盛り上がりに欠けたものになってしまったりする。


 事実、6月上旬の競泳のジャパンオープンは、北島が休養、中村礼子や柴田亜衣が引退した中で行われ、3日間を通して日本新記録がゼロだった(水着の問題もあったが)。その一方で、競泳と並ぶ“タイム系”である陸上が、五輪翌年らしからぬ盛り上がりを見せている。北京五輪の400㍍リレーメンバーの朝原宣治は昨年限りで引退し、末續慎吾も休養中、現役続行を決断したハードラーの為末大もひざに痛みを抱えるなど“休み年になる要素”は十分にあるのだが、400㍍リレーメンバーの高平慎士、塚原直貴の“富士通コンビ”が五輪の流れをもってきたような好調を春先から維持し、短距離界を力強く牽引。そして、福島千里と高橋萌木子のライバル対決が盛り上がりをさらにヒートアップさせている。


 福島と高橋はともに1988年生まれの同級生で、高校時代は高橋の方が速く、今は福島がややリードしている。茶髪で華奢な福島は、腕を横に振るような走法。一方の高橋は黒髪で筋肉質、腕は前後に振る。福島はスタートからの加速のスムーズさに定評があり、高橋は後半の追い込みが18番。ほんわか、おっとりの福島に対し、走った直後にもしっかりとした口調でレースを分析する高橋と、あらゆる点で対照的だ。


 この2人が、今季は織田記念の100m、静岡国際の200m、大阪国際グランプリ陸上の100mと3戦続けて0秒01差の戦いをくり広げ(福島が3勝)、今月7日の記録会では福島が11秒24の100m日本新をマーク。高橋もやや後方で世界選手権参加標準記録Bを破る11秒32でゴールしており、それまでの自己記録(11秒54)も大きく更新した。


 そのノリノリの2人が、25日(木)から28日(日)にかけて広島・広島広域公園陸上競技場で行われる日本選手権の100mと200mで激突する。“休み年”もどこ吹く風の若きエースのライバル対決に注目だ。

posted by Kentaro Suzuki |12:38 | 陸上競技(5) | コメント(0) | トラックバック(0)
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2009年06月14日

この強さ、本物かも。

 第58回全日本大学野球選手権の決勝戦が14日(日)、神宮球場で行われた。東京六大学の春の王者、法大が富士大(北東北大学代表)に5-1で逆転勝ちし、1995年以来14年ぶり8度目の大学日本一に輝いた。 


 12試合で65得点を記録した攻撃野球で、春の六大学を制した法大。この日のスタメンにも、リーグ戦で打率4割超の松本雅俊(4年・関西)や亀谷信吾(4年・中京大中京)、10打点を記録した佐々木陽(3年・作新学院)、2本塁打を放った今井諒(3年・履正社)らスラッガーが並んだ。


 ところが富士大の先発、守安玲緒(4年・菊華)の緩急自在の投球の前に、自慢の打線が沈黙する。ヒットは初回に多木裕史(1年・坂出)が放ったきり2本目が生まれず、スコアボードにも0が刻まれる。逆に5回裏には富士大に先制点を与え、劣勢に回った。


 ここで力を発揮したのが、ベンチを温めていたバイプレーヤーたちだった。8回表、先頭の亀田健人(3年・智弁和歌山)が出塁すると、金光興二監督は今井に代えて喜多薫(4年・伝習館)を打席に送り出す。喜多が初球で送りバントを決め、8番・石川修平(4年・小山西)の死球で1死1・2塁となると、今度は土井翔平(1年・智弁学園)を代打に告げる。土井は内野安打でしぶとくつなぎ、続く亀谷の犠飛で同点に追いついた。


 さらに9回表、無死から多木、松本が出塁しながら5番・佐々木が初球のバントをファウルすると、すかさず大八木誠也(3年・平安)に代える。富士大の極端なバントシフトを見た大八木はバスターで無人の二遊間を抜き、ついに1点を勝ち越す。その後も喜多の内野ゴロや途中出場の成田恭佑(3年・東北)のタイムリー二塁打などで畳みかけ、さらに3点を追加する。6回からマウンドに上がった二神一人(4年・高知)がその裏を締め、栄冠を手にした。


 主力打者のバットから快音が聞かれなくとも、途中出場の選手の渋い働きで、終わってみれば5得点を記録。投手陣も実力者の加賀美希昇(3年・桐蔭学園)、武内久士(4年・徳島城東)が故障等で登録を外れるなか、三上朋也(2年・県岐阜商)が5回1失点でしのぎ、二神へとつないだ。得意の展開に持ち込めなくとも、多少の故障者が出ても、最後までグラつくことがなかった法大。春のリーグ戦Vは早大の不振がアシストになった感もあったが、この強さは本物かもしれない。

posted by Kentaro Suzuki |22:06 | 大学野球2009(7) | コメント(0) | トラックバック(0)
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2009年06月07日

“追試合格”は誰?

 第58回の全日本大学野球選手権大会が、9日(火)より神宮球場と東京ドームで開催される。北海道から九州まで、全国26連盟の春の王者が集まる“大学野球日本一決定戦”として注目される大会だが、今回は、7月に日本で行われる日米大学野球選手権の日本代表候補選出の場としても注目される。


 全日本大学野球連盟は4日、日米大学野球に出場する代表候補選手42人を発表している。大学球界の顔である斎藤佑樹(早大③・早実)をはじめ、投手では野村祐輔(明大②・広陵)、澤村拓一(中大③・佐野日大)、東浜巨(亜大①・沖縄尚学)ら、野手では昨年の世界大学選手権メンバーの中田亮二(亜大④・明徳義塾)や荒木貴裕(近大④・帝京三)らが順当に選出された。


 東京六大学で春の主役となった二神一人(法大④・高知)らが選から漏れているが、これは、全日本選手権に出場する大学の投手は大会での投球内容を評価して追加招集することが決定しているため。二神や鹿沼圭佑(東洋大③・桐生一)あたりの招集は有力で、4日に発表されたメンバーに左腕が少なかったことを考えると、乾真大(東洋大③・東洋大姫路)、山内晴貴(九共大④・沖縄水産)、古川秀一(日本文理大④・清峰)らも絡んでくるだろう。藤原正典(立命大④・県岐阜商)、中林伸陽(慶大④・慶応)、櫻田裕太郎(八戸大④・横浜)ら好左腕が候補から外れただけに、この大会に出場するサウスポーには期待がかかる。


 野手は投手と違って追加が“明文化”されていないが、昨年もこの大会の直後、大会での活躍が光った横田崇幸(東海大-鷺宮製作所)と中倉裕人(東洋大-住友金属鹿島)が世界選手権の候補合宿に追加招集されている。岩本貴裕(亜大-広島)、柴田講平(国際武道大-阪神)、松本啓二朗(早大-横浜)と世界選手権のレギュラーがそっくり抜けた外野などは特に手薄な感があり、藤川俊介(近大④・広陵)や坂井貴文(東洋大③・春日部共栄)ら実力者が力を発揮すればお呼びがかかるだろう。宇高幸治(早大③・今治西)が選外となった三塁も同様だ。


 野球のインカレであり、ドラフトの見本市であり、日本代表選考の追試の場でもある大会の火ぶたは、9日9時に東海大海洋学部-松山大(神宮)、白鷗大-高岡法科大(東京D)の対決で切って落とされる。

posted by Kentaro Suzuki |21:45 | 大学野球2009(7) | コメント(0) | トラックバック(0)
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