2008年09月13日
巷でウワサのスゴイやつ
宇佐美貴史、16歳。 自分自身を含め、この日会場に訪れた多くの観客は、彼のプレーに注目していた。 数年前からインターネットを中心に話題になっていた。 『ガンバ(大阪)ユースにスゴイやつがいる』 『絶対に近い将来トップチームに呼ばれる』 『将来の日本サッカー界を背負っていく』 当時、高校生にもなっていない一人の“少年”に対する評価にしてはあまりにも高いものだった。そして去年、中学生ながら高円宮杯に出場し、活躍すると多くのメディアにも登場するようになる。そこまで言われる選手とは……。百聞は一見にしかずではないが、実際に自分の目で見ようと思い、初めて“一人の選手を見るため”にサッカー場を訪れた。 試合前、そこまでの期待はしていなかった。よくある“話題先行”選手なのではないか、と。実際、過大評価の選手というのは多い。彼もそのうちの一人ではないのか。その程度の気持ちで出かけた。しかし、その考えは早々に覆された。 大げさかもしれないが、入場してきたときから一人、“雰囲気”を持った選手がいた。それはガンバ大阪の10番を背負う宇佐美だった。とても高校1年生とは思えない雰囲気。それは今までのサッカー観戦では感じたことがないものだった。 中盤の左サイドに構えた宇佐美は開始早々1本のサイドチェンジを繰り出す。そのパスのスピード、コントロール、これまで大学サッカーや地域リーグを多く見てきたが、なかなかお目にかかれない代物だった。このパス1本である種の満足感を得た。まぎれもなく高校1年生の出すパスではない。しかもその後、同じようなパスを平然と通し続ける。『ガンバユースの最高傑作』は間違いなかった。 試合序盤、右足を気にするしぐさを見せ、今日はさすがにゴールは見られないかと思った矢先のフリーキック。自らボールをセットする。位置はゴール正面。ディフェンスは宇佐美の利き足に合わせるかのように宇佐美から見て左寄りにカベを作る。キーパーは当然右寄りに構える。つまり、カベを越えてくるシュートを想定したのだろう。しかし、宇佐美は味方が少し動かしたボールをキーパーの構える右側に蹴ると、そのままゴールに突き刺さり、チームに先制点をもたらす。よくテレビで見るイングランド代表のスティーブン・ジェラードのミドルシュートのような軌道のシュートだった。 後半に入っても勢いは止まらず、2ゴールを挙げハットトリックしてしまった。足を気にする素振りは何だったのか。ひさしぶりに衝撃的な選手を見た。フリーキックをすべて任され、中盤ながらハットトリック――。なにより目についたのがボールの受け方だ。まずゴールを目指すという気持ちが伝わってくるトラップは意識の高さがうかがえた。安易な言い方だがまぎれなく天才だ。しかもこれまで天才と言われてきた選手たちとは違うタイプの天才。日本に今までいないタイプの選手といっても過言ではないだろう。『守備ができない』といわれていたがこの日はディフェンスもきっちりこないしていた。『フィジカルがまだまだ』ともいわれるが、あのトラップの仕方を見せられるとこの年代でプレーするには必要ないだろう。一瞬でディフェンスを置き去りにするのだから。そもそも16歳の選手に多くは求めてはいけない。まずは長所を伸ばすべきだ。たしかに改善点は多い。もっと周りを使えたら、運動量を増やしたら、フィジカルを鍛えたら――。 途中交代するまでの70分間、しっかりと楽しませてくれた宇佐美貴史。まだまだ伸びシロはある。4年後のロンドンオリンピックが俄然楽しみになってきた。もっともその前にブレイクする可能性は高いが……。
posted by jjc_nobuyuki |21:55 |
ロンドン世代 |
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