創造のLIBERO

ホットココアのようなBVB

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 クラブ内での権力闘争の果てに、契約通りの続投を懇願したトーマス・トゥヘルは野に放たれ、職を辞することも覚悟したスヴェン・ミスリンタートは今も仕事を続けている。 非の打ち所のない素晴らしい戦績の裏側では、何もかもが空中分解してしまいそうな危うい状況が続いていた。  ハンス・ヨアヒム・ヴァツケCEOの“疲れ果てた”という言葉は、その意味するところは違えども昨シーズンにおける私の心情と重なり──── ────叫べども誰にも届くことのない心の嘆きそのものだった。

 これがドルトムント……? すっかり変わり果ててしまったチームは、まるでサッカーを楽しむことを忘れてしまったように振る舞う。 若返りを図ったチームは、以前のように互いを活かし合って勢いと相乗効果をもたらすチームワークを見せることなく、ボタンを掛け違えたようなそれぞれの実力を十分に活かしきれないままの荒削りな個の追及を選んだ。

それは後に、実力が一流であるとの評価を受けることになるウスマン・デンベレがバルセロナへ移籍する為の足掛かりにはなったものの、その経緯は決して手放しで喜べるものにはならなかった。

────ただ結果だけが付いてくれば良い。  それはそうだと自分を納得させて、決して心が躍ることのない試合を眺める日々が続いた。 そうしている内にいつしか気持ちが冷め切って、ドルトムントの試合を見ることさえ負担に感じるようになっていった。

 「────良かった。まだここには熱がある」  気がつけば、ユルゲン・クロップの率いるリヴァプールの試合で心を温めている。 結局のところ、ドルトムントではなくクロップのサッカーを愛していただけだったのか──── そんなことを自問自答しながら、非論理的で間違いだらけの────内から溢れ出る情熱のみを注いだスポナビブログさえ書く気力を失った。

 香川真司の活躍が嬉しくても、それが先へ繋がることのないぬか喜びなのではないかと臆病になる日々。 いつ使い捨てにされるか分からない起用法の中で、それは小さな希望の灯にはなれども、決して大きく暖かな暖炉になることはない。 何より、上手く行っているようでほとんど面白味のないサッカーにとても気持ちが付いて行かなくなってしまっていた。

真司が出場することが分かれば、文字通り真司だけを見ていた。

「今までが良すぎたのだ」  そう思うことにして、これが現実なのだと受け止めざるを得なかった。 疲れ果てて擦り切れた私の心はシーズン終了後に真司が移籍することを望んだが、現実はまた思いもよらない方向へと進んで行くことになった。

 ────トーマス・トゥヘルの解任と、ペーター・ボシュの指揮官就任発表。 クラブ内や選手たちからトゥヘルへの批判が出てきたことに驚いたのと、正直に言えば少しばかりの喜びを感じた。 私が不快に思っていたものは、決して一人で感じ続けていたものではなかったのだと思えたからだった。

現地における多くのドルトムントサポーターの評価と私自身のチームへの評価はその時点で乖離していて、確かに結果を残している点のみを考えれば批判をするわけにもいかず、後は好みの問題だと諦めていた。

────だから、このまま私の知っているドルトムントは跡形もなく消えていくのだと思っていた。

その流れに待ったをかけたのは他でもないこれまでのドルトムントを築き上げて来たヴァツケCEOとミヒャエル・ツォルクSD、そしてラインハルト・ラウバル会長だった。 彼らの選択が功を奏するかどうかは誰にも分からないが、結果として私は今も香川の所属しているドルトムントを応援し続けている。 少なくとも一人のドルトムントファンを、経営陣は繋ぎ止めることに成功したのだった。

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ホットココアのようなBVB

はじめまして。共感しきりです。
トゥヘル一年目のドルトムントはスペクタクラーでしたのにね。
ボシュ監督下の香川選手も、そんなに重用されてる感じは
しないのですが、どうなんでしょうか??
(カメラが揺れるので、飛ばし飛ばしでしか観てないんです)
アイデアがあり、チームでワークできる香川を中心にして
他のメンバーを構成するぐらいでも充分面白いだろう、と
思うほどに私は香川を高評価してるんですが‥。

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