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伊達公子は「何故」引退したのか

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2017年9月12日、ジャパン女子オープン1回戦、伊達公子はセルビアのクリニッチに0ー6、0ー6と1ゲームも奪うことなく敗退しプロテニス人生に終止符をうちました。
ご覧になった方は多くいらっしゃるのではないかと思いますが、「伊達公子の引退スペシャル あなたの笑顔が大好きだった」を見ました。永久保存版となるでしょう。伊達公子のテニスを観戦する機会は多くなかったのですが、23歳でトップ10入りしでランキング4位に上り詰めるなどの功績と偉大さは誰もが認めるところであり、46歳のレジェンドの引退は寂しさを感じさせるところです。よくもここまで頑張ってきたと思います。この番組では当然経歴等の紹介はあったのですが、現役中では語ることのできない秘話を聞くことができるのではないかと期待していたのですが、その期待に見事に応えてくれました。いくつか紹介したいと思います。

Q1:ライジングショットは世界レベルに渡り合うためなのか、最初から自分のショットだったのか。

A:もともとフォームはおおきかったが、世界にいってからスピードについていけなくなり、より早く攻めるために小さくなっていった。

Q2:引退会見で引退後、テニスのある生活をと言っていたが具体的に何かあるか。

A:テニスが活性化して欲しいという想いがある、そのために具体的に考えていきたい。

Q3:第1キャリアはランキング4位までいったが、第2キャリアではそこまでいかなかった。そのモチベーションはどこにあったのか。

A:数字ではない、37の身体でブランクのある自分がチャンレンジすることに意味がある。その比重が大きくなり、チャレンジする自分が好きになった。

Q4:20歳代の自分に声をかけてあげるとしたら、どんな言葉か。

A:若い時は一つの負けを人生の終わりのように思ってしまう。そんなことは気にしなくては良いよ。

どれも関心のある内容なのですが、特に印象的なのはQ3です。レジェンドのモチベーションはどこにあるのかということです。日本のスポーツ選手でレジェンドといって思い浮かべるのは、サッカーでは50歳の三浦知良、野球では43歳のイチロー、そしてスキージャンプの葛西紀明45歳です。彼らに共通するイメージは努力家、徹してそれぞれの競技を研究し尽くすところ、相当な辛い試錬があるにも拘らず明るく楽しそうな振る舞いを見せているところ等でしょうか。

そして最後に私が伊達公子に最も聞きたい、どうしても知りたいことを質問してくれました。それはこれです。

Q5:どうしてやめたのか?(第1キャリア)
A:やはり疲れ果てていた。メンタル的に。当時は若かったし、いろんなものを受け入れて、コントロールする器がなかった。時代的に自分の言葉で伝える場もなかった。ブログとかなかった。かたくなに殻のなかにいた。孤独感、日本から切り離された感があった。英語も苦手、ツアーにいることが苦痛だった。テニスも勝たなくてはならいプレッシャーを受けていた。楽しくなかった。テニスが嫌いだった。テニスから離れたかった。
伊達公子が第1キャリアの引退表明をしたのが26歳のときでした。23歳でトップ10に入り、25歳でキャリアハイの世界4位となり、しかもこの年フェド杯でグラフに勝利し、WBのSFでそのグラフと激闘を演じたその年だったのです。錦織がキャリアハイのランキング4位となったのは2015年の3月、伊達公子と同じ25歳でした。26歳といえば錦織は2016年全米でマレーと激闘を制したその年に引退表明をするのと同様になります。全く考えられない超衝撃的な前代未聞の起こり得ないことが起きてしまったのです。男子と女子、時代背景等の違いはあったのかもしれませんが、信じられない頭の中が真っ白になるような出来事です。そんなことを言ったとしても起きてしまった出来事なのですから受け止めているのですが、残されたところに「何故」が過ぎります。我々ファンとしては更に上を目指せる、NO1も夢ではない頑張れという想いに包まれていました。「何故」なのかです。
この第1キャリア引退の理由を聞かされると納得感はないでもないのですが、第2キャリアのモチベーションの理由を聞かされると再び登場する「何故」です。
ここで問われる一つの命題があるように思います。「スポーツは楽しみながらやるものか」です。
スポーツを始める理由は様々だと思いますが、おそらく始めは「好きだから」「競技をすることが楽しいから」等が切っ掛けだと思います。しかし、所謂体育会系の部に加入するなど本格的に競技に取り組んだときに厳しさだとか辛さだとか、「こんなはずではなかった」とか「楽しい」といった想いは消え去ってしまった等の経験をされた方もいらしゃるのではないでしょうか。本格的に競技を始めると見えてくるものがあります。まずは練習の厳しさや苦痛です。競技に正面から向き合わなければならないのです。次に突きつけられることは自身の能力の無さです。考えてみて下さいATPやWTAのトップ100といえば全世界のテニス競技者の100位以内に入ることであり、日本でいえばトップの選手です。それ以外の競技者は皆幼少期に抱いた夢を打ち砕かれてしまうのです。それでもモチベーションを確保できるのでしょうか。もう一つは自由を剥奪されるということです。スポーツに打ち込むためには相当なる時間を制約されることになります。友達と遊びたいとか、自由奔放にやりたいことなど奪われてしまうのです。こうした中でそれでも「楽しみながらやるもの」と実感できるのか、または「楽しみながらやれ」と言うことに自信がなくなってくるのです。伊達公子の第1キャリアの引退理由を聞く限り、このような要素が入り混じているようで、彼女の人生は彼女のものであり、引退を決意したことを誰からも攻められる理由はないように思われます。しかし、ここでまた「何故」です。伊達公子は37歳で再チャレンジします。しかもモチベーションの理由は「チャレンジすることに意味がある」です。それでは第1キャリアではチャレンジしていなかったのか。そんなことは決してないはずです。これはあくまでも推測ですが、伊達公子は気付いたのではないでしょうか。チャレンジしていることの価値をです。その時の状況もあるのですがその時は気付かないのです。その価値観をです。これはスポーツだけではないと思います。過ぎ去った後に感じること。「あの時はよかった、楽しかった」です。しかも、半端な内容ではなく、時間の大半をかけて、死に物狂いで正面から向き合うことのできるもの。そんな対象などめったに出会うことはないのです。そのことに、その価値観を再認識できたのではないでしょうか。
私は「スポーツは楽しみながらやるものではない」と思っています。何故なら、厳しいから、苦しいから、逃げ出したいからこそ「スポーツは楽しい」と思っているからです。それを超えた先に見えてきます。羨ましいと思っています。全てをかけて全力を注ぎ込むものがあることをです。だからこそ応援し続けます。錦織が不調になると叩かれます。本人は精一杯やっています。しかし、叩かれます。辛いはずです。それでも頑張って欲しいと思います。何があっても頑張って欲しいと思います。杉田も西岡もダニエルも各選手の皆さまも、羨ましい限りです。頑張って欲しいと思います。

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伊達公子は「何故」引退したのか

第一キャリアの引退の時はTVで見ていても「いっぱいいっぱい」な感じを受けていたので、引退と聞いても仕方がないかなと思いました。もちろん、もったいないとも思いましたが、。

それで、引退後にテニスはしたくないと言っていたのも納得できました。だから、2000年にグラフの引退ツアーに出た時はびっくりしましたね。グラフは特別な存在だったのかなと思いました。ここで、復帰してくれたらいいのになと思ったりしましたが、この時は無かったので、2008年に復帰した時はまたびっくりしましたね。

イチロー選手や三浦選手の話が出ていたので、少し。彼らは自分がやっている競技が好きなんだと思います。好きだから上手くなりたい、強くなりたい、果てはその競技において自らを極めたい!その為には少しでも長く現役でいつ続けることが必要と考えているように思います。現役を退いても競技を楽しむ事はできますが、最高の舞台でなければ感じる事の出来ない事を彼らは求めているのでしょう。結局はただ好きという事かもしれません。「好きな事」=「仕事」という幸せな時間を長く続けたいという事かなと、想像しています。

伊達公子は「何故」引退したのか

今更ですが、コメントよろしいでしょうか。

伊達さんの第1キャリアの引退について思うことですが、松岡修造さんも当時納得がいかなかったそうですが、結局伊達さん自身のメンタルが壊れる寸前だったと思うことを考えると最悪は避けられたのかなと思っています。最悪というのは精神崩壊して自殺になってしまう可能性があったのではないかと考えられるからです。


あと第2キャリアに関していえば、元旦那さんであるミハエルクルムさんの後押しが大きかったですね。
そしてその後押しの前に、子宝に恵まれたなかったということを無視できないと思います。

伊達公子は「何故」引退したのか

今更ですが、コメントよろしいでしょうか。

伊達さんの第1キャリアの引退について思うことですが、松岡修造さんも当時納得がいかなかったそうですが、結局伊達さん自身のメンタルが壊れる寸前だったと思うことを考えると最悪は避けられたのかなと思っています。最悪というのは精神崩壊して自殺になってしまう可能性があったのではないかと考えられるからです。


あと第2キャリアに関していえば、元旦那さんであるミハエルクルムさんの後押しが大きかったですね。
そしてその後押しの前に、子宝に恵まれたなかったということを無視できないと思います。

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