2008年03月30日

男子セミファイナル3日目

こんな結果が待っていたとは驚きでした。

1~3位までが2勝1敗で並んでの、最後はセット率の差。
「1セット取れば2位以上が確定」とわかっていたサントリーに対し、
もう「勝つしか望みはない」と腹をくくっていた東レ。
その精神状態の差が出たのでしょうか。

それにしても、東レのディフェンスが素晴らしかったです。
越川選手のスパイクの、クロスのコースに必ずいる田辺選手。
ワンタッチボールへの反応の速さ。

ブロックの形がきれいなので、真後ろに抜けることが少ない。
記者席がいっぱいだったため観客席の上のほうから試合を観戦したのですが、
富松選手のブロックの動きの速さ、形の美しさに改めて感心しました。

そういえば東レの阿部選手のトスですが、
予選ラウンドまで徹底してレアンドロ選手に集めていたものの、
セミに入ってからはセンター、レフトと相手のブロックを見て散らしていました。
予選でのレアンドロ選手中心のトス回しは、
実は大掛かりな「伏線」だったとか?
真相は来週、はっきりしそうですね。

山本選手が好調なパナソニック相手に、
どんな戦略で臨んでくるのか楽しみです。

posted by 市川忍 |23:18 | コメント(4) | トラックバック(0)
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2008年03月29日

男子セミファイナル1日目

皆様、おはようごさいます。
いつもアクセスありがとうございます。

昨日は有明コロシアムでセミファイナルを観戦しました。

2試合を見て、最も印象に残ったのは宇佐美選手のプレーでした。
1セット、序盤でフェリッペ選手のパイプ攻撃を積極的に使い、
ブロックに中央を意識させたあと、今度はサイドの攻撃を増やします。
レフトのフィリッペ選手、ライトの山本選手へのトスにもスピードがあって、
手薄になっていたブロックの前から攻撃を仕掛ける場面が多かったように思います。
そして、相手ブロックの意識がサイドに向くと、
今度はセンターのクイックを多用、先を見据えた配球をしていたように感じます。

それにしても、第1セット、セットポイントで
白沢選手のクイックを使ったのには、とても驚きました。

3セット目、4セット目は山本選手にマークを増やした東レが奪い返しますが、
第5セットもフィリッペ選手の速い攻撃や森田選手のクイックなど、
レセプションが返らなくても2段トスにせず、
スピードのあるトスを上げようと心がけている様子が見えました。
(その、苦しい体勢から上げたトスが乱れて
第3、4セットは劣勢になりましたが、
「安易に2段トスを上げない」という意識は感じました)

さて、今日は緒戦で勝った者同士、敗れた者同士の対戦です。
各チーム、緒戦のデータを分析して今日の試合に臨んでくると思いますので、
どんな対策を練っているか注目したいと思います。

取り急ぎ、緒戦の印象でした。

ではまた。

posted by 市川忍 |08:58 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2008年03月27日

V・プレミアリーグ男子雑感 《予選終了②》

皆様、こんにちは。
プロ野球が開幕し、午後6時からテレビに張り付きつつ、そのあと、
録画した他のチームの試合を見るという毎日が始まりました。
(もちろん球場に行くこともありますが)

セミファイナルについて、軽々しく「観戦、楽しんでください」
などと書いてしまいましたが、テレビ放映がないとは!?
てっきり放映するものだとばかり思っていました。

セミファイナル終了後、試合内容についてはできるだけ詳しくアップしたいと思います。

Mさんのおっしゃるように、
サントリーはセミファイナルを視野に入れた戦いをしてきましたね。
ホームゲームゆえに思い切って主力を休ませることができなかったパナソニック、
堺(土曜日の1試合)、東レに対し、選手の疲労度という面では
サントリーがやや「有利」かもしれません。

ただし選手によっては「試合に出続けたほうがコンディションがいい」と言う人もいるので、
前節の試合内容が本番にどんな風に影響するのか(影響しないのか)注目してみたいと思います。

さて、前回は豊田合成について書かせていただきましたが、今回はJTです。

今季のJTの敗因は、サイド中心の単調な攻撃にあったとわたしは感じています。

そこで、数字的な裏づけができないかと記録を見てみると……。

レセプションの成功率は8チーム中2位と、高い数字です。

ところがセンター陣の打数がトータルで465本と、
他のチームに比べて極めて少ないのです。

比較すると
レセプション成功率1位の東レのセンター総打数は501本(107セット)、
3位の大分三好は526本(104セット)です。
豊田合成はレセプション成功率が最下位ながら
センター陣が525本(110セット)のスパイクを放っています。

センターのクイックが少ない上に、
JTはパイプ攻撃も少ないチームだという印象を、
今シーズンは抱いていました。
実際、パイプ攻撃の中心と考えられるパンテレイ選手と徳元選手の
バックアタック打数を見ると、パンテレイ選手が167に対し徳元選手は10。
これは、徳元選手が後衛にいるローテーションであれば、
ブロッカーが「パイプ攻撃を警戒する必要ナシ」と判断できる数字です。

これらの数字からも、JTの攻撃がサイドに偏っていたことがわかります。

本来ならレセプションの成功率が高ければ高いほど、
多彩な攻撃が展開できるはずなのですが、JTの場合は、
その「守備力というチームの長所」を生かしきれなかったと言えるかもしれません。

以前、リーグ期間中はどのチームも同じ条件の中で練習をし、
課題を修正していかなければならないと書きました。

故障者に関しては致し方ないにしろ、JTがどの程度、
自分たちの敗因を把握していたのか、
前半戦から終盤にかけての戦いに
あまり変化が見られなかったことを考えると、少々気にかかります。

最近ではデータによる自己分析を練習に取り入れるチームが増えています。
各ローテーションごとの決定率、効果率などを分析し、
それを参考に練習方法を考えているそうです。
優勝経験こそありませんが、一昨年までのJTは相手が最も嫌がる、
ミスの少ない堅実なバレーをするチームでした。
ディフェンス力の高さはリーグ随一だと思いますので、
攻撃面の課題と向き合い、それを克服すれば
悲願の優勝も叶うはずだとわたしは考えています。

ここで言うまでもなく、すでに課題は分析済みで
来季に向けて動き出していることでしょうが。

自己分析といえば、2007年度の全日本男子は、
山本隆弘選手がレフト、石島雄介選手がライトにいるローテーションでの
サイドアウト率が低く、連続失点が多いというデータを受けて、
そのローテでのスパイク決定率のアップを目指して練習していました。
山本選手がレフトからセンターに切り込んで時間差を打ったり、
石島選手は個人練習でライトからスパイクを打つときのフォームを改造し、
決定率を上げるといった方法で、弱点の克服に努めていました。

結果、昨年度の試合を見る限り、
2名ともスパイクの幅は広がったとわたしは感じています。
単純に、選手のプレーの幅が広がるというのは、
見ていて楽しいものだと思いますし、
克服しようという「意思」はこうしてプレーに現れてくると考えます。

わたしは記者という立場から、数字も含めて試合内容を分析し、
上記のような意見にたどり着きましたが、
試合を見ていたJTファンのかたは2年連続で予選敗退した原因を
どうとらえているのでしょうか。

posted by 市川忍 |00:19 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2008年03月24日

Vプレミアリーグ男子大会雑感 《予選終了》

皆様、こんにちは。

昨日でVプレミア・リーグのレギュラーラウンドが終了しました。

勝ち抜いた4チームに関しては、またいずれ触れることにして、
まずはファイナル進出を逃したチームについて、
その理由をわたしなりに考えてみたいと思います。

昨年、4強入りを果たした際の戦いぶりを思い返すと、
豊田合成の生命線はセンター攻撃だと考えるのが妥当だと思います。
実際、今季、アタック決定率第一位に輝いた川浦選手のスパイク打数は、
ミドルブロッカーとしては異例の300打数を超えています。
これはチーム内における「センターの役割」の大きさを
象徴している数字だと考えられます。

わたしは特定のチームを見るときに、よく
「もし自分が対戦相手だったら」という考え方をします。
仮にわたしが豊田合成の対戦相手だとしたら、まずは、
そのセンター攻撃を封じるために何が最も必要かと考えるでしょう。
当然のことながら、クイックを使えないよう、
強いサーブでレセプションを崩すことを、
どのチームも真っ先に実践することと思います。

盛重選手、甲斐選手のいずれかを強いサーブでねらい、
レセプションを崩すことで、第一の目的である
センター攻撃を封じることができます。
同時に、サーブで執拗にねらうことによって、
両レフトに精神的なプレッシャーを与えることもできます。
強いサーブを受けて体勢を崩されたあとに、
とっさに助走に入ってスパイクを打つのは非常に難しいプレーです。
そう考えると、サーブでねらって体勢を崩せば、
彼らが得意とする速い攻撃も封じる効果もあります。

こうしてレフトの決定力を下げ、
どちらか一方でもコートから退けることができれば、
勝利は俄然、近くなります。
以前、アタッカーは運命共同体だと書きましたが、
今シーズンの戦いを見た限り、豊田合成と対戦するチームは、
この2人を同時にコートに立たせないよう、
自分たちにとって「有利な状況」を作り出すために
様々な手を打っていたように感じました。
豊田合成のレフト陣の中では、この2人の守備力、攻撃力が
やはり、ずば抜けているからです。

……などと考えながら大阪に向ったのですが、
前節は川浦選手に代わり丸山選手が、
盛重選手に代わり井上選手、高橋和人選手が出場して活躍していました。
選手交代が良い方へ働いた結果ですね。

ちなみに豊田合成を例に上げたのは、こうして上に書いたような
「相手のサーブ戦略」によって苦しい立場に立たされる試合と、
逆に自分たちのサーブ戦略がうまく行き、優位に立つ試合の、
「優劣の波」が最も顕著に現れていたチームだと感じたからです。

センター攻撃やコンビネーションを機能させないため、
強いサーブや癖のあるジャンプフローターサーブで崩そうと考えるのは
今やバレーの定石となっています。
「特定の選手をサーブでねらう」という戦い方も、
近年の男子バレーではスタンダードとなっている戦略で、
どのチームも実現を目指して戦っていたと思います。

ではなぜ勝者と敗者に分かれるのでしょうか。

記者会見に出席すると、首脳陣や選手がよく
「自分たちのバレーができた」とか
「自分たちのバレーができなくて負けた」などというコメントを残します。
そもそも、皆が指す「自分たちのバレー」というのが、
練習を積み重ねて作り上げる「チーム戦略」だとわたしはとらえています。
サーブの他にも攻撃の戦略、ブロックの戦略など、
各チームごとに目指していた「自分たちの戦い方」があります。

ただし、豊田合成を含む下位の4チームは故障者による戦力ダウンや、
計算していた選手の不調など、さまざまな理由で、
その「戦略」を実行できず、やむなく敗れる試合が多かったように感じました。
(中には戦略があっても、その通りに動くための「個々の技術力」が足りないと感じるチームもありましたが)

「戦略」という方針がしっかりと確立し、選手の意思統一が徹底しているチームは、
試合を見ている段階で「どうやって戦おうとしているのか」という
チームの「志」が戦いぶりに現れてきます。

選手はただプレーをしているだけで、試合中は何も語りませんが、
その意思が試合展開に「物語」として浮かび上がってくるのです。

強いチームほど、その「物語」は色濃く、はっきり出ているように思います。

ちなみに全日本インカレで連覇を続けていたときの筑波大男子バレー部は
「相手チームの精神的支柱である選手から先につぶす」という戦略を貫いていました。
「つぶす」と言うと言葉は乱暴ですが、上に書いたようにサーブでねらってストレスを与え、
ブロックでマークし、スパイクの決定力を下げ、最終的にはベンチへ追いやるという意味で、
選手や首脳陣の間ではよく使われている言葉です。

誰を標的にしているのかは見ていて即座にわかりましたし、
その徹底ぶりは、ねらわれた選手に同情したくなるほど容赦ないものでした。

以前、「手持ちのカードが多いほうが攻撃する側にとっては有利だ」という意見を書きましたが、
逆の立場から考えれば、そのカードを減らすためにサーブでねらったり、
ブロックでマークしたり、様々な作戦を仕掛けていくのも重要な戦略のひとつだと思います。

4強入りを果たせずに敗れたチームは、当然、
できなかった理由をこれから分析して、練習プランに生かし、
来季の開幕に備えることになることと思います。

来季の開幕まで、どんな方法でチームを強化してくるのか、
その「変化」を見るのも楽しみのひとつです。

金曜日からは今シーズンの集大成ともいえるべき戦いが始まります。
勝負の見所はいろいろとあるのですが、選手個人では
パナソニックのリベロ、永野選手と、東レ、阿部選手、
堺の石島選手、サントリーの越川選手に注目したいと考えています。

皆様も観戦、楽しんでください。

posted by 市川忍 |11:47 | コメント(1) | トラックバック(0)
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2008年03月18日

男子バレー雑感 《効果率・訂正》

皆様、コメントありがとうございます。

Mさんにご指摘いただいて、間違いに気づきました。
ブロック効果率はブロック機会で割るのではなく、
「セット数で割り、セット平均の数値を出す方式を
取り入れているチームが多い」です。
アタック効果率を説明していた勢いで
ダダっと書いたため間違えてしまいました。すみません。

普段、仕事で執筆をするときは何十回も推敲を重ねるのですが、
ブログの場合はあまり読み返さないので、
こういったミスが起こりうるんですね。
以後、気をつけます。
Mさん、ありがとうございました。

それからRYOさん、どうぞお気軽にお越しください。
《組織で戦う》という記事へのレスポンスと重なりますが、
不特定多数の人の目に触れるブログだからこそ、読む人を限定せず、
多面からバレーのことを考え、語ることができると思っています。

V・プレミアリーグは終了が近づいていますが、
5月にはOQTもあります。

すべてはライブ観戦&テレビ観戦をより一層、
楽しんでもらうためのきっかけになればという気持ちからです。


取り急ぎ、訂正とお礼でした。
ではまた。

posted by 市川忍 |12:31 | コメント(2) | トラックバック(0)
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2008年03月17日

男子バレー雑感 《効果率》

皆様、こんにちは。
男子もいよいよファイナル進出のチームが決まりましたね。

さて、まずは前回、途中になっていた「効果率」のお話です。

日曜日、TVで放映された試合で、
ちょうど解説をされていた植田辰哉監督が
「効果率」についてお話ししていました。
算出方法も紹介されていましたが、
テレビ中継を見ていなかった人のために、ここでも触れたいと思います。

ここ数年、全日本を含む男子バレーを取材してきた中で、
首脳陣から頻繁に聞かれるようになったのが
「選手のプレーは決定率より効果率で判断すべきだ」という言葉でした。

わたしがいちばん最初に公式記録の決定率について疑問を抱いたのは、
数年前、「この選手はこんなにミスが多いのに、
なぜ世間的(公式記録的?)には評価が高いのだろう?」と
感じたことがきっかけでした。
ミスというのは「ミスショットでフカす」
「ネットにかける」といった単純なものから
「策のないスパイクを打ってシャットアウトをされる」という
公式記録には残らないミスも含みます。

もちろん、公式記録のB表に書かれたスパイク決定率は
重要な「目に見える評価」です。
実際、わたしも記事を書くときには、
裏付けとして必ずといっていいほど「決定率」を入れます。

ただし、決定率だけでは、その選手が
どれくらいチームの勝利に貢献したかという
「仕事ぶり」を知ることができません。
そこには「ミスの数」が入っていないからです。

そこで必要になってくるのが「効果率」です。

まずアタック効果率は、
決定本数からミス数+シャットアウトされた数を引き、
総打数で割った数字です。

そしてブロック効果率に関しては、ブロックポイント以外でも
ワンタッチを取ったらプラス○ポイント、
ブロックアウトを取られたらマイナス○ポイントなどと、
結果に応じて「加点」と「減点」で数値を出し、
ブロック機会で割るという方式で算出しているようです。
こちらは今のところ、チームによって
割り出し方に多少の違いがあるようですので、明言は避けます。

そもそもなぜ効果率に注目することが必要かというと……

たとえば30打数で15本のスパイクを決めたアタッカーがいるとすれば、
その選手の公式記録にはサイドプレーヤーとしては及第点といえる
50%の「決定率」が残ります。
しかし、万が一、決められなかった残りの15打数のうち、
約半分の7本のスパイクミスを犯していたとしたら、
その選手は7もの得点を相手に献上していることになります。
これでは貢献どころか、足を引っ張る結果になりかねません。

ところが「決定率」の算出方法では、
結果的にこのミスが無視されることになります。
記録上「ミス」の数も載りますが、決定率だけ見れば
チームに貢献したと判断されてしまいかねない数字になってしまうのです。

30打数で15得点、でも7本のミスだとすれば、
15(決定)-7(ミス)ですから、8÷30打数で27%。
効果率は27%となります。
ミスやシャットアウトされた数が0であれば、
効果率も決定率と同じ50%になりますが、
決定率と効果率に差が出るケースが多いため、
首脳陣としては、チームが独自に出した
「効果率」を見る必要が出てくるのだと思います。

ブロックに関しても、アタックと同様に効果率が重要だと考えられてます。

もちろん、ブロックポイントはチームの士気を一気に上げ、
試合の流れを変える重要なプレーです。
2点差、3点差を逆転するには欠かせない武器となるでしょう。

ただし、たとえブロックポイントが多くても、
万が一、それがシステムを乱し、
後衛の守備陣を惑わせてしまう身勝手なブロックだとしたら、
チームに貢献しているとは言い切れないからです。

そしてラリーの少ない男子バレーにおいては、
ワンタッチをとって味方のチャンスボールにするのは、
ブロックポイントに等しいくらいチームにとって大きなプレーです。
しかし公式記録では「決定本数」のみがクローズアップされ、
ワンタッチを何本取ったかという数値は出てきません。

ブロックにはチームの方針に対し、
どれくらい忠実に動けたかという「選手個人の意識」も大事になってきます。

それを判断するために、ブロック効果率が役立つのだと思います。

ブロックもアタック同様、効果率と決定本数、
どちらも高いのが理想といえるでしょう。

posted by 市川忍 |12:15 | コメント(3) | トラックバック(1)
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2008年03月13日

男子バレー雑感 《組織で戦う》

皆様、こんにちは。

そして加奈子さん、はじめまして。

加奈子さんにご指摘いただいた公式記録ですが、
あのB表からセッターの力を図り知ることは難しいかもしれません。
ただし、すべてのアタッカーの決定率が均等に高ければ、
その試合は「セッターが自軍の戦力を十分に生かして戦えた」という
試合展開が予測できるのではないかと思います。

そして「チーム状況が厳しいため、能力が発揮できていない選手は?」
というご質問ですが。

少し質問からはズレるかもしれませんが
「ワールドカップ2007」の女子大会をテレビで見ていたときに、
栗原恵選手があまりにも相手のブロックにマークされていて、
かつ、そういった「不利な状況」で打たなければならないケースが多く、
気の毒に感じた覚えがあります。
わたしは女子の取材をしないので普段、男子バレーを見ている立場から
(気楽に?)試合を見た、単なる「感想」だと受け止めてください。

高橋みゆき選手も木村沙織選手も非常に能力の高いアタッカーですが、
確か、わたしの見た試合では決定力が低かったと記憶しています。
そこで、チームとしては
栗原選手にトスを集めざるを得なかったのではないかという印象を受けました。

個人のスパイク決定率には、セッターの力量だけではなく、同じチームの
他のアタッカーの決定率の良し悪しも深く係わっているとわたしは考えています。

手持ちのカードが多ければ多いほど、
相手のブロックにとっては「警戒しなければいけない攻撃が増える」とお話しましたが、
その考えに基づくとアタッカー陣は1本の命綱でつながれている、
運命共同体だといえるかもしれません。

全日本女子の場合は3名ですが、
ここでは4名のアタッカーが攻撃に参加できる男子のチームを例に上げます。
仮に4名のアタッカーをA選手、B選手、C選手、D選手とします。

A選手の決定力が高ければ、ブロックはA選手を警戒し
B選手、C選手、D選手へのマークが薄くなります。
男子バレーにおけるブロックとアタックの関係は、
アタッカーに対し、ブロックが1枚だったり、一人が跳び遅れて、
2人のブロッカーが揃わなかったときには
圧倒的にアタッカーが有利だと考えられています。
(組織的な守備システムのために、あえて間を開ける場合は除きます)

仮にA選手に2枚のブロックをつけたとすると、
B、C、D選手という3名のアタッカーに対し、
守備側は1枚のブロックで対応しなければなりません。
3対1ですから、A選手以外のスパイクが決まる確率は高くなります。

すると今度は「B選手に決められているので、B選手をマークしよう」という風に、
攻撃の傾向に合わせて守備側はブロック戦略を変えます。
B選手をマークするようになると代わって
C選手、D選手、A選手へのマークが薄くなり、
今度はB選手以外のスパイクが決まりやすくなります。

こうしてバレーボールには1人のアタッカーに決定力があれば、相乗効果で、
他のアタッカーの決定力も上がる可能性が高くなるという特性があります。

そのため、近年の男子チームは
相手のブロッカー(3枚)より多い攻撃陣を常に揃えておきたいと考え、
バックアタックの打てるレフトプレーヤーを起用するのだと思います。

また、逆のパターンもあります。
A選手の調子が悪く、なかなかスパイクが決まらない。
ミスもするし、決定力に欠けるとなると、
相手のブロッカーは「きっとA選手には上げづらいだろう」と
セッターの心理を読みます。
そこでA選手へのマークを薄くし、A選手以外のアタッカーを警戒します。

試合状況、データ、そのアタッカーのチーム内での信頼度など、
さまざまな条件をもとにブロッカーは跳ぶ位置を絞っていくのですが、
「警戒しなければいけないポジション」の数は少ないほうが、
決断を下す際に迷いが減ります。
迷わず出した一歩のおかげで、ワンタッチを取れたり、
相手のスパイクの邪魔をすることができるので、
ブロッカーからしてみれば選択肢は少ないに越したことはありません。
その結果、今度はディフェンス側が優位に立ち、
A選手以外のアタッカーは不利な状況でスパイクを打たなければならない機会が増えます。
A選手が機能しないせいで、他のアタッカーにかかる負担が増えるのです。
こうなると攻撃陣全体が、相乗効果とは逆の
「劣勢のスパイラル」に巻き込まれます。

もちろんブロックが2枚、3枚つこうとスパイクを決められるアタッカーもいるので、
そういう秀でた能力を持つ選手を擁するチームが勝つケースもありますが、
レベルの高い戦いになればなるほど、
1人のアタッカーに頼った単調なバレーでは限界があるとわたしは感じています。

アタッカーが運命共同体であるという見方からすると、
ワールドカップ2007での全日本女子は、
栗原選手以外のアタッカーの決定力がもう少し高ければ、
栗原選手ももっと有利な状況で打てたのではないか…と感じました。

女子バレーには女子バレーの特徴があって、
一概に男子の戦略や考え方を当てはめることはできませんが、
男女関係なく、バレーというスポーツには
「組織で戦う」という意識が必要だとわたしは思います。

それから選手の「決定力」を語る上で、無視できない問題も生まれてきます。

それが「効果率」です。
ただし「効果率」について書き出すと、
すごく長くなってしまいそうなので、次回の更新まで持ち越させてください。

今週末には4強争いの行方がある程度、見えてきそうですね。
会場へ行かれる方は観戦、楽しんできてください。

posted by 市川忍 |19:32 | コメント(3) | トラックバック(0)
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2008年03月10日

V・プレミアリーグ男子大会雑感 《手持ちのカード》

皆様、こんにちは。

お返事が遅くなりましたが、Tosshiさん。
クラブの運営については、立場が違う相手からでも、
ノウハウのヒントを得ることは可能だと思います。
想像力を働かせ、アレンジを加えるなどして、
自分たちに合った方法を模索していくことが大切なのではないでしょうか。

それから「勝負」の前では、置かれた立場の違いは
度外視すべきだとわたしは思っています。

V・プレミアリーグに参戦し、
他の7チームと同じ土俵で戦うと決断した時点で、
大分三好には(2000年の堺にも)自己責任が発生しているからです。

環境を含めた試合にいたるまでのプロセスも、
試合結果も、すべてが自分の責任となります。
その道を選択したのは自分だからです。

だからこそ、そういった「並々ならぬ覚悟」を持ってリーグに参戦しているチームには、
ぜひとも健闘していただきたいし、運営が潤滑に進み、
少しでも他のチームと近い条件で試合ができることを祈っています。

ユウさん、文呼さんと同様に、わたしも、
わたしの立場でできることで貢献したいと考えています。


さて、前節の観戦雑感です。

スタメンが発表され、試合が開始して、
わたしがまず最初に注目するのはスタートローテーションです。

スタートローテーションの考え方はチームの方針によっても違いますが
そのセットで長く前衛にいることになる選手が
「攻撃の要」だとわたしはとらえています。
「スーパーエースに最も長く前衛で攻撃させたい」と考えているチームであれば、
セッターのサーブからセットをスタートさせる。
そう考えると、徳元選手のサーブからスタートするJTは、チームから
対角にいるパンテレイ選手が攻撃の中心だと期待されているのではないかと予測できます。

たとえば、東レは今田選手が前衛のレフトにいるローテーションで
セットをスタートすることが多いのですが、
今田選手がレフト、レアンドロ選手がライト、そして越谷選手が
後衛センターのパイプ攻撃に参加するローテーションが、
チームとして最も得点力のある布陣なのだろうと考えられます。

スタートローテーションが変わったときは、
そのチームが何らかの戦略の上、手を打ってきたと考えるべきでしょう。
前節の広島大会では堺、東レ、サントリーがそうでした。

成功するかしないかは別として、各チームとも、
相手のエースにどのブロッカーをぶつけるか、
推敲を重ねているように感じます。
相手のエースを封じることを優先するのか、
それともこちらの攻撃力が高いローテーションを優先するのか。
それはチームの判断だと思います。

日曜日の東レとサントリーの1戦には、
セミファイナルでの戦いを見据えた「ベンチ同士の攻防」を感じました。
この伏線が大一番での戦いにどうつながっていくのか楽しみです。

ちなみに近年では、すべてのローテーションで
レフト(越川選手のいるサントリーは後衛レフトも)、
ライト(または後衛ライト)、パイプ、クイックと
常にリベロを除いた4名の選手が攻撃に参加できるよう
メンバーを構成するチームがほとんどです。
(セッターのツーアタックやフェイントを入れると5名になりますが)

これらのチームのセッターは、常に4枚のカードを手にしているわけで、
その中から場面に応じて最も効果があると思われる
「1枚」を選んで使うことができます。
手持ちのカードが多ければ多いほど、
相手のブロックが警戒してくれるポジションは増えることになり、
当然、攻撃する側が優位に立てます。

そのうちのひとつでも決定力が落ち、攻撃としての効果がなくなれば、
1セットのうちに数度、手持ちのカードが減るローテーションが生まれてしまいます。
その分、相手のブロックの頭の中からは
「警戒しなければいけない攻撃」がひとつ消えることになります。
ブロッカーにとっては助かります。

東レがここへきて勝ち星を増やしてきたのは、今田選手が復調することで、
6つのローテーションでの決定力の差が少なくなり、
連続失点を最小限に留めているところにあるのではないかと
わたしは感じています。

posted by 市川忍 |12:15 | コメント(4) | トラックバック(0)
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2008年03月05日

男子バレー雑感 《クラブチームの戦い》

皆様、コメントありがとうございます。

勇気を出して書いてくださったかたも、ありがとうございます。
わたしもブログを始めるに当たって、かなりの勇気を振り絞ったので
お気持ちはわかります。
ぜひ、また書き込んでください。

それと前回の記事に関してコメントを寄せてくださった文呼さん。
そうですね。
大分三好は他の1部リーグのチームに比べると、過酷な条件の中で
リーグ戦を戦っているのかもしれません。

同じ地域密着型クラブチーム、堺ブレイザーズも
数年前までは、大分三好同様、前日に開催地へと移動していました。
同時に、なるべく電車ではなくバスを使う、
1人部屋ではなく2人部屋にするなどして、
遠征にかかる経費を削減していました。

ただし2002年、Vリーグで6位と低迷した年を境に、
遠征費の極端な節約を取りやめます。
現場の監督、選手から強い反発を受け、
「このままでは、長い目で見たときに、
チームのためにはならない」とクラブ側が決断したのです。
無理を続ければ、いつかは歪みが出る、と
先を見越しての判断だったそうです。

Jリーグは100年構想という理念を掲げていますが、
これは決して大げさな数字ではありません。
クラブ経営は軌道に乗るまでに非常に多くの労力と時間を要するものです。

堺ブレイザーズの初代主将を務めた市橋祐之さんが
当時、言っていた言葉が今でも印象に残っています。
「残念なのは今、自分が係わっている事業
(地域密着型スポーツクラブへの方向転換)の
結果をこの目で確かめることができないことだ」

すぐに成果が見えると期待するのは間違いで
10年、20年スパンで考えるべきプロジェクトだとわたしも感じています。

大分三好がクラブチームとしてどういったビジョンを持っているのか、
いまだ取材をさせていただいたことがないので、
現時点ではわたしにはわかりません。
いつか、じっくりとお話をうかがいたいと思っていますが、
彼らの努力がチームの未来へとつながっていくことを願います。

そういう意味では、これからも大分三好の戦い
(コート上だけではなく)には注目していきたいと思います。

PS
堺ブレイザーズのクラブ化に関する記事は
SMR(スポーツマネジメントレビュー)誌の
2007年Vol.5にて書いています。
通販でしか手に入らないかもしれませんが、興味のあるかたはぜひ。

posted by 市川忍 |21:54 | コメント(6) | トラックバック(0)
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2008年03月03日

V・プレミアリーグ男子大会雑感 《同じ条件の中で》

V・プレミアリーグの取材には移動が付き物です。
全国各地、さまざまな土地で試合が開催されるため
毎週末、家を空けることになります。

ほとんどのチームは試合開催の2日前、木曜日に開催地へ入り、
現地で練習をして土曜日を迎えます。
わたしは土曜日の朝、早く家を出て、試合が行われる土地に向かい、
日曜の夜に帰京します。
ほとんどが深夜の帰宅です。
ときには2会場を1日ずつ、掛け持ちすることもあります。

リーグが始まると、1週間が経つのが早いこと早いこと。
平日に打ち合わせやら他の取材、執筆を済ませると、
もう、あっという間に金曜日です。
荷物を解く暇もなく次の節を迎えることになります。

週末に2連戦、これを約3ヶ月続けるのは、
当然、チームにとっても厳しいスケジュールです。

リーグ中はどのチームも、丸々1日、練習できるのが
実質、週に1回か2回です。
その中で、コンディションに配慮しつつ、
いかにチームとしての課題、個人としての課題を修正できるかが、
リーグの行方に大きく係わってくるのではないでしょうか。

以前、東レアローズでコーチをしていた秋山央さんがおっしゃっていました。
「コーチに就任して真っ先に心がけたことは、
“練習時間が無限にある”という幻想を捨てることだった」と。
元岡谷工高の壬生義文監督も「同じ条件の中でいかに工夫して上達するか、
自分で考えることを生徒に教えたい」とおっしゃっていました。

条件は皆、同じ。
その中で、自分たちの課題をはっきりと把握し、
効率よく時間を使えたチームが最後に笑うような気がします。

わたしもフリーランスという仕事柄、
作業を進める際に優先順位をつける方法を用います。
締め切りが近い原稿から順番に手をつけるのはもちろんですが、
取材現場でも優先順位が大事になってきます。

体はひとつ。
でも記事にとってコメントが必要な選手が大勢いるとすれば、
この試合で「裏づけ」という生の声が最も必要な選手は誰かと考えて、
その選手から先にお話を聞くことになります。

ただし、記者会見に出席している間や、
一人の選手にお話を聞いているときに、
他の選手がバスに乗り込んでしまう場合もあるので、
希望通り、聞きたかった選手全員に聞きたかった質問をすべて聞けた
という日はおそらく1シーズンの間でも1、2回しかないでしょう。

限られた条件の中で、少しでも充実した内容の記事を書く。
それがライターの腕の見せ所だと考えています。

そのせいでしょうか、わたしは普段の生活でも驚くほどの「段取り魔」です。
どのルートで用事を済ませればいちばん時間を短縮できるかと、
仕事でもないのに、つい考えてしまいます。
銀行→スーパー→郵便局…か。
はたまたスーパー→銀行→郵便局のほうが速いかなどと、
頭の中で順序と所要時間を計算している自分がいます。

たまには時間を忘れてのんびりしたいと思うのですが、
これって職業病の一種なんでしょうね。困ったものです。


PS
コメントのお礼を書き込もうとしたところ、記事が反映されるときと、
されないときがあるみたいです。
ですので失礼ながら一括させていただきます。
みなさん、ありがとうございます。
コメント、すべて読ませていただいてます。
小太郎さんが読んでくださった記事は
「Number PLUS 全日本女子バレー完全読本」ですね。
真鍋監督と東レアローズの小林コーチに取材させていただきました。

posted by 市川忍 |18:12 | コメント(3) | トラックバック(0)
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