2008年03月24日

Vプレミアリーグ男子大会雑感 《予選終了》

皆様、こんにちは。

昨日でVプレミア・リーグのレギュラーラウンドが終了しました。

勝ち抜いた4チームに関しては、またいずれ触れることにして、
まずはファイナル進出を逃したチームについて、
その理由をわたしなりに考えてみたいと思います。

昨年、4強入りを果たした際の戦いぶりを思い返すと、
豊田合成の生命線はセンター攻撃だと考えるのが妥当だと思います。
実際、今季、アタック決定率第一位に輝いた川浦選手のスパイク打数は、
ミドルブロッカーとしては異例の300打数を超えています。
これはチーム内における「センターの役割」の大きさを
象徴している数字だと考えられます。

わたしは特定のチームを見るときに、よく
「もし自分が対戦相手だったら」という考え方をします。
仮にわたしが豊田合成の対戦相手だとしたら、まずは、
そのセンター攻撃を封じるために何が最も必要かと考えるでしょう。
当然のことながら、クイックを使えないよう、
強いサーブでレセプションを崩すことを、
どのチームも真っ先に実践することと思います。

盛重選手、甲斐選手のいずれかを強いサーブでねらい、
レセプションを崩すことで、第一の目的である
センター攻撃を封じることができます。
同時に、サーブで執拗にねらうことによって、
両レフトに精神的なプレッシャーを与えることもできます。
強いサーブを受けて体勢を崩されたあとに、
とっさに助走に入ってスパイクを打つのは非常に難しいプレーです。
そう考えると、サーブでねらって体勢を崩せば、
彼らが得意とする速い攻撃も封じる効果もあります。

こうしてレフトの決定力を下げ、
どちらか一方でもコートから退けることができれば、
勝利は俄然、近くなります。
以前、アタッカーは運命共同体だと書きましたが、
今シーズンの戦いを見た限り、豊田合成と対戦するチームは、
この2人を同時にコートに立たせないよう、
自分たちにとって「有利な状況」を作り出すために
様々な手を打っていたように感じました。
豊田合成のレフト陣の中では、この2人の守備力、攻撃力が
やはり、ずば抜けているからです。

……などと考えながら大阪に向ったのですが、
前節は川浦選手に代わり丸山選手が、
盛重選手に代わり井上選手、高橋和人選手が出場して活躍していました。
選手交代が良い方へ働いた結果ですね。

ちなみに豊田合成を例に上げたのは、こうして上に書いたような
「相手のサーブ戦略」によって苦しい立場に立たされる試合と、
逆に自分たちのサーブ戦略がうまく行き、優位に立つ試合の、
「優劣の波」が最も顕著に現れていたチームだと感じたからです。

センター攻撃やコンビネーションを機能させないため、
強いサーブや癖のあるジャンプフローターサーブで崩そうと考えるのは
今やバレーの定石となっています。
「特定の選手をサーブでねらう」という戦い方も、
近年の男子バレーではスタンダードとなっている戦略で、
どのチームも実現を目指して戦っていたと思います。

ではなぜ勝者と敗者に分かれるのでしょうか。

記者会見に出席すると、首脳陣や選手がよく
「自分たちのバレーができた」とか
「自分たちのバレーができなくて負けた」などというコメントを残します。
そもそも、皆が指す「自分たちのバレー」というのが、
練習を積み重ねて作り上げる「チーム戦略」だとわたしはとらえています。
サーブの他にも攻撃の戦略、ブロックの戦略など、
各チームごとに目指していた「自分たちの戦い方」があります。

ただし、豊田合成を含む下位の4チームは故障者による戦力ダウンや、
計算していた選手の不調など、さまざまな理由で、
その「戦略」を実行できず、やむなく敗れる試合が多かったように感じました。
(中には戦略があっても、その通りに動くための「個々の技術力」が足りないと感じるチームもありましたが)

「戦略」という方針がしっかりと確立し、選手の意思統一が徹底しているチームは、
試合を見ている段階で「どうやって戦おうとしているのか」という
チームの「志」が戦いぶりに現れてきます。

選手はただプレーをしているだけで、試合中は何も語りませんが、
その意思が試合展開に「物語」として浮かび上がってくるのです。

強いチームほど、その「物語」は色濃く、はっきり出ているように思います。

ちなみに全日本インカレで連覇を続けていたときの筑波大男子バレー部は
「相手チームの精神的支柱である選手から先につぶす」という戦略を貫いていました。
「つぶす」と言うと言葉は乱暴ですが、上に書いたようにサーブでねらってストレスを与え、
ブロックでマークし、スパイクの決定力を下げ、最終的にはベンチへ追いやるという意味で、
選手や首脳陣の間ではよく使われている言葉です。

誰を標的にしているのかは見ていて即座にわかりましたし、
その徹底ぶりは、ねらわれた選手に同情したくなるほど容赦ないものでした。

以前、「手持ちのカードが多いほうが攻撃する側にとっては有利だ」という意見を書きましたが、
逆の立場から考えれば、そのカードを減らすためにサーブでねらったり、
ブロックでマークしたり、様々な作戦を仕掛けていくのも重要な戦略のひとつだと思います。

4強入りを果たせずに敗れたチームは、当然、
できなかった理由をこれから分析して、練習プランに生かし、
来季の開幕に備えることになることと思います。

来季の開幕まで、どんな方法でチームを強化してくるのか、
その「変化」を見るのも楽しみのひとつです。

金曜日からは今シーズンの集大成ともいえるべき戦いが始まります。
勝負の見所はいろいろとあるのですが、選手個人では
パナソニックのリベロ、永野選手と、東レ、阿部選手、
堺の石島選手、サントリーの越川選手に注目したいと考えています。

皆様も観戦、楽しんでください。

posted by 市川忍 |11:47 | コメント(1) | トラックバック(0)
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