2008年05月06日

黒鷲旗を終えて

取材相手の都合により、予定していた仕事が急遽、繰り上がってしまい、
後ろ髪を引かれつつ慌てて帰京しました。
ということで黒鷲旗は準々決勝までしかライブ観戦できず、
残りはGAORAでの録画にて確認しました。

観戦された皆様、参加されたチームや運営の皆様、暑い中、お疲れ様でした。

さて、今大会、何試合かを観戦して目に付いたのは、
セッターがトスアップをする位置の変化です。
パナソニックや東レはVプレミアリーグ同様、相手のサーブが強力な際は、
サーブカットを真上に上げて失点を防ぐという戦略を取っていたように見受けられます。
パナソニックのセッター、大竹選手も
アタックライン付近から速いトスを上げる練習を積んできたであろうことは、
その試合運びを見ていても確認できました。

トスアップする位置をアタックライン付近に設定すれば、
それだけ起点がコート後方になりますから、
バックアタックへのトスは距離が近くなります。
近ければ、スピードアップすることも可能です。

決勝はもちろんですが、大会を通じてパナソニックのフォンテレス選手、
今井選手のバックアタックへの入り方が速く、
相手のブロックが対応しきれていなかった印象を受けました。
フォンテレス選手のパイプ攻撃の速さにはVリーグの最中から定評がありましたが、
それに加え、今井選手のライトからの攻撃も速い。
今井選手ははセンター出身のせいか、短い助走と、
体を大きく開かないコンパクトなフォームで、
ライトからバックアタックが打てる稀有な選手だと感じました。
こうして後衛からでも速い攻撃が可能な選手が在籍するチームにとって、
トスアップする位置を下げることは決してネガティブな発想ではないのですね。

…と考えると、木内選手、西尾選手という「速いパイプを得意とする選手」を擁していた堺も、
レセプションに対する意識を変えることで、
もっとこの2人を生かす戦いができたのではないかと感じます。
準決勝の堺は、レセプションが相手コートに
ダイレクトで返ってしまう場面が目立ちましたので、ふとそんな風に思いました。

それにしてもパナソニック対NECの決勝は見ごたえのある試合でしたね。
第3セットからのNECの粘りも素晴らしかったです。

パナソニックの黒鷲旗優勝は10年ぶりだそうです。
最後まで1人で上げ続けた大竹選手の涙が印象的でした。
そういえば8年前、シドニー五輪予選を控え、
今年と同じように全日本選手が不在だった黒鷲旗では、
パナソニックは準優勝に終わっています。
今大会の大竹選手と同じように、初めて主戦セッターとしてトスを上げ、
最終的には決勝で敗れてしまった牛尾選手が、当時のエース宮崎選手に
「牛尾のせいで準優勝になったんじゃない。決勝まで来られたのは牛尾のおかげなんだ」
と言われ、試合後も延々と涙を流していたことをふと思い出しました。

ビーチに転向した牛尾選手にも、今日のニュースや試合内容は届いているでしょうか。

バレーの世界では黒鷲旗終了が年度終わりになります。
来年度のスタートを楽しみに待ちたいと思います。

posted by 市川忍 |20:17 | コメント(2) | トラックバック(0)
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この記事に対するコメント一覧
黒鷲旗を終えて

フェリッペのパイプや平行は、高くて早いまさにブラジル代表の様なコンビだとリーグの時に感じてたんですが、今日、テレビで見たコンビは、岩田選手がセッターの時ほどの平行トスの速さを感じませんでした。大竹選手とのコンビは最後まであわなかったんですかね??テレビ観戦ゆえ、決勝しか見れませんでしたので、大会通してどうだったのかわかりませんが。

パイプも、フェリッペが欲しいところより低く感じました。だから、ブロックに捕まってたのかなぁと。それでも強引にねじ伏せてしまってるのが、さすがやと思いました。

>>木内選手、西尾選手という「速いパイプを得意とする選手」を擁していた堺も、


と書いておられますが、個人的には彼らのコンビをパイプと思ったことはなかったんですが。決勝の川村選手が、少しパイプっぽいアタックを打ってたと思います。去年は詳しく見て無いのでわかりませんが、パナソニックはフェッリペの速くて高い平行、パイプが、結果的にパナソニックのブロック力を高めたのではと思いました。恐らく普段紅白戦とかの練習で慣れたんではと推測してます。

相手の両サイドにすばやく2枚で対応できてるあたりに。それにしても、なぜ日本の男子バレーは未だに世界標準からかけ離れたバレーをするのでしょうか?かろうじて、パナソニックが追い求めてるように思えましたが。NECの二段の恐ろしい程高いトス、NECに限らず大抵のチームが、昔からバレーが変わってないですよね。個人の能力に依存しすぎてるというか。

パナソニックの優勝で、少しは他のチームが追い求めてくれるといいのですが。まぁフェリッペが残留しなかったら、パナソニックも元の山本に高いトスあげるバレーに逆戻りしそうな気がします。

だらだらと書いてすいません。ただ、記事があったので反応してしまいました。ではでは。

posted by Gravitis | 2008-05-07 03:58

黒鷲旗を終えて

Gravitisさん、こんにちは。
日本は個人の能力に頼るバレーをしているとのご指摘ですが、「戦略ありき」の考え方は、選手層の薄い日本では、首脳陣の自己満足で終わってしまう恐れもあります。

個の能力を生かしつつ、世界に近づける練習方法を編み出すこと。
そして、「戦略ありき」と「能力ありき」のどちらか一方に偏り過ぎない、バランス感覚が大事なのかもしれませんね。

何度かこのブログでも書かせていただきましたが、個の能力を生かしながら、世界標準にも近づけようとしていたのがパナソニックの今季の戦いだったように感じています。

posted by 市川忍 | 2008-05-12 19:37

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