2010年03月31日
突然ですが、このたび、当ブログを閉鎖することにしました。
ここ数カ月、ずっと考えていたことです。
記者であるわたしは、やはり「記事」という仕事の中に、
自分が吸収したものをすべて発揮すべきではないかと思います。
たとえ直接に文章にならなくても、その記事を書くための企画作りなど
土台に生かすべきではないか。
行間とか、表現方法とか、一文字一句に込めるべきではないか。
その考えがブログを続けている間により一層強くなりました。
特にVリーグの話題、試合の速報などは一般誌では需要がないため、
ブログで書く機会が多かった気がしますが、だとすればなおさら、
まずは国内リーグの話題を書く場所、速報を書く場所を探すために奔走することが先決です。
となると、「記事にできなかったことを書く」ブログの存在自体が、
すでに自分の仕事に対する言い訳になってしまっている気がします。
同時に以前、「記事とブログを書き分ける」と豪語しておきながら、
やはり自分の中で、うまく線引ができずに釈然としないことも何度もありました。
念のため申し上げますが、他の同業者の方々のブログを批判しているわけではありません。
「わたしには困難である」という意味です。
ただ、このブログを始めたおかげで自分の主観と客観(だと思っていたこと)の違いや、
他のかたの考え方、自分の中で大事なものの優先順位、
自分の苦手な分野など、さまざまなことに気づきました。
自分にとっては有意義な経験となりました。
2年間という短い期間ではありましたが、ご愛読いただきありがとうございました。
すべてのコメントをありがたく拝読しました。
特に男子バレーが北京オリンピックに出場したときの皆さまの喜びの声は、
「これだけ男子バレーを好きな人がいるのだ」と、苦しいときの心の支えとなりました。
本当にありがとうございました。
これからも日本のバレーの発展を第一に考え、筆を取っていきたいと考えています。
今度はどこかの媒体でお会いできることを楽しみにしています。
心よりの感謝を込めて。
2010年3月31日
市川忍
posted by 市川忍 |23:42 |
近頃思うこと |
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2010年03月09日
4強争いがもつれています。
残り4試合で枠は2つ。
16勝8敗の堺を13勝11敗が豊田合成、
12勝12敗のJTとサントリーが追っています。
今週末、堺が一勝すれば一抜けということに。
目が離せません。
3月13~14日
東レ、サントリー、パナソニック、豊田合成は交野市立総合体育館で。
大分三好、JT、堺、FC東京は別府市立総合体育館と日田市総合体育館で。
勝敗はもちろんセット率もかかわってくる大事な試合。
注目したいと思います。
さて、先日Vチャレンジリーグを見に行った際に、
プレミアとチャレンジの差はなんだろうと考えました。
いちばん大きな差はブロックの戦術だと思います。
基本をリード、勝負どころでコミットを使うチームが多いプレミアに比べ
チャレンジはほとんどがコミットです。
そういったチームを相手にするとなれば、おのずと攻め方も変わってきます。
前々節、つくばユナイテッドが富士通に敗れましたが
チャレンジの中では(身長的に)高いブロックを誇るつくばが
富士通のセッター、北沢選手のトスに翻弄されていました。
逆に、つくばは大型セッターの王選手が、サイドを中心のバレーで対抗。
ところが、読みで勝った富士通のブロックがその攻撃を阻み
最後、競り勝ったという印象を受けました。
セッターの配球が極めて大きなカギを握るのは、プレミアと同じですが
コミットで1枚になる確率が高いであろう相手ブロックを考えると
そこで確実に決められる技術を持ったアタッカーを要するチームが
チャレンジでは強いのではないかと思います。
そして、逆に考えれば1枚ブロックで決めることに慣れているアタッカーが
チームが昇格し、プレミアで戦うことになると、
リードブロックでスパイクの邪魔をしようと手を出してくるシステムに
なかなか対応できず、決定力を落とすことになります。
そんな「システムの差」に個々の選手が慣れていないのも
FC東京が苦戦している要因のひとつだと考えられます。
今シーズンの結果をチームと各個人がどう受け止めるかという点で
わたしは来シーズンこそ彼らの真価が問われるのではないかと感じました。
ちなみに、わたしはチャレンジリーグを見る際に一度、頭の中をリセットするようにしています。
プレミアや国際大会では当たり前だと思っていること…
アタッカー1人に対してブロック1枚ならアタッカーが断然有利。
ラリーポイント制では3~4点差を追いつくのが難しい。
そんな概念が必ずしも正しいとは言い切れないからです。
個人の能力のせいでしょうか、1枚ブロックでも捕まるアタッカーは多いですし
逆に1枚でもプレッシャーをかけ、ポイントを取るブロッカーもいます。
ですから、サーブ権を持っていないチームのほうが、
得点が取れるチャンスだという定説も一旦、忘れなければいけません。
ラリーが多く、となると、ラリーでの決定力の高いチームが有利です。
おのずとラリー中のクイックや、コンビ攻撃も必要になります。
セッターにとってはとても重要な勉強の場になると感じています。
上に名前を出したつくばの王選手。
まだそのチャレンジの戦い方に慣れていない印象を受けました。
彼の場合も今季の経験をどう生かすか。注目したいと思います。
さて、チャレンジの順位決定戦も気になりますね。
どちらのリーグにもごひいきのチームがあるファンにとって
セミファイナルと入れ替え戦が重なる日程もつらいと思います。
わたしも体がふたつ欲しいです。
ではまた。
posted by 市川忍 |18:00 |
試合の感想 |
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2010年03月06日
先日、自分が書いた覚えのない記事に、自分の名前が署名され
全国の書店に出回るという気味の悪い出来事を経験しました。
出版社から依頼され、取材相手に会ったのが1月下旬。
発売は3月の予定なので、詳しいことは追って連絡すると言われ
その日は担当編集者と現場で別れました。
しかし、待っても待っても連絡は来ません。
2月下旬、「さすがにそろそろ締め切りを決めてもらわないと」と思っていた矢先
そのときの取材がすでに記事になり、発売されていることを知りました。
もちろん、わたしは一文字たりとも記事を書いていません。
自分が書いていないものが、書いたことになっている。
真実を伝えるのが記者の使命なのに、これでは
そもそも最初の段階から読者に嘘をついていることになります。
背筋が凍るような出来事でした。
やっと連絡が取れた担当者の説明によると
発売日が急きょ、早まった。
わたしに電話をしたがつながらなかった。
そこで自分で録音テープを聞き、記事にした。
それらすべての経緯を、忙しさのあまり、わたしに伝え忘れていた。
とのこと。
早まったという締め切りまでは2日もあったのに
留守電へのメッセージもなく、メールもなく
簡単に連絡を取ることをあきらめる。
それでいて、球団の原稿チェックは済んでいる。
到底、納得のできる説明ではありませんでした。
そもそも、わたしが記事に署名を入れるのは
目立ちたいからとか、有名になりたいからではありません。
自分の記事に責任を持ちたい、
それくらいの覚悟を持って仕事をしたいからです。
ペンというのは、ときには凶器にもなります。
人さまの人生を描くということは、それくらいの思いで取り組むべき
責任重大なことなのだと思います。
記事の種類や雑誌の読者層によって文章のスタイルを変えることはあっても、
その気持ちだけは、記事を書くときにいつも変わらずに心にとどめてきました。
ところが、その担当者の認識は違うようでした。
でなければ自分が書いた記事に他人の署名を入れ
しかもそんなに大事なことを、勝手に筆者にされたわたしに
言い忘れるなどあり得ないからです。
価値観とか、仕事に対する認識の違いは
育った環境によって変わってきます。
その担当者だけの責任ではないのかもしれませんが
自分の考えるモラルとはあまりにもかけ離れているので面喰ってしまいました。
こんな風に勝手に名前を入れて記事が作れる事実を考えると
ニュースのねつ造など、出版社側の作為で簡単にできることになってしまいます。
だからこそ、メディアにはモラルが必要なのではないでしょうか。
一人一人が「ぜったいに譲れない境界線」のようなものを
心にしっかりと持っていないと、習慣に流されて感覚はマヒしていきます。
わたしはこれからも、自分の中のモラルに忠実に生きていくしかありません。
未だ、わたしは、その「わたしが書いたという記事」を目にしていません。
掲載紙も届きませんし、その後、編集部からは何の連絡もありません。
本当に怖いです。
そして、インタビューを受けていただきながらも
記事が書けなかった取材相手に対しては
申し訳ない気持ちと残念な思いでいっぱいです。
いつかどこかでまた記事を書かせていただきたいと思います。
posted by 市川忍 |00:14 |
ライター業のあれこれ |
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2010年03月01日
皆様、こんにちは。
ジンさん、こにゃとんパパさん、usakoさん、SONさん、
コメントありがとうございます。
まずusakoさんのコメントにあった代表の戦略ですが。
(有意義な提言をありがとうございます)
富士フィルムが得意としていたバレーボールが、
はたして現在、世界のトップをねらえる戦術なのかと考えると、
これについてのわたしの考え方はNOです。
たとえばコンビバレーや機動力バレーは
1対1でマークしてくるコミットブロックに対しては効果的です。
富士が強かった時代、もしくは日本が強かった時代はコミットが主流でした。
富士が強かったのは、そういったブロックを交わす
攻撃力に長けていたせいもあると思います。
アジアの対戦国は今でもほとんどがこのコミットブロックを採用しています。
ですから対アジアという面でもある程度は有効であると思います。
ところが近代バレーはリードブロックが主流です。
世界ランク上位国などの、リードブロックで、
なおかつ手が長く、たとえトスの行方に合わせて跳んでも
十分にアタッカーの邪魔ができるようなチームを相手にしたときに
動いて跳ぶために到達点が低くなる移動攻撃が有効かどうか。
たとえブロックとブロックの間に移動しても
もしくはクイックとの時間差で飛んでも
相手のブロッカーの手が届いてしまう危険があります。
わたしにはあまり効果的だとは思えません。
近年のVリーグは欧米に比べて高さがない分
バンチリードや、あらかじめ戦術通りに位置取りを決めて跳ぶ
スプレッドやデディケードといったリードブロックでも、
時間差や移動攻撃が決まるケースもあります。
こうして世界のトップを目指す戦い方と、アジアや国内で勝つ戦い方、
相手の体格だけではなく、戦術を見ても
必然的に変わってくる、変えるものだと感じています。
と考えると、代表が機動力よりもパワーと高さを重視するのは
世界のバレーの流れなのかなぁという気がします。
もちろん両方を兼ね備えた選手がいればそれに越したことはありません。
では現代表はどうでしょうか。
アジアで勝つ段階はすでに終わっていて、
世界のトップを目指すチーム作りをすべきだとわたしは感じています。
ただ、そこで疑問がわきますよね?
現在の全日本が目指しているスピードバレーはどうなのか?
世界のトップを目指す戦略なのか?
植田監督は「世界に勝つためにはスピード」だとおっしゃっていますし
そのために清水選手と福沢選手をチームの中心と考えていることが
さまざまなインタビューや起用方法からも伝わってきます。
昨年の世界選手権のアジア予選を見た当時、わたしも
このチームのスピードには大きな可能性があると感じていました。
しかし、それは「いつもスピードある攻撃が使える」ということを前提とした
「限られた可能性」に思えるのです。
いつもいつも得意な攻撃ができるとは限りません。
では、できなかったときにどうするか。
ブロックに囲まれても決められる、どんなトスでも打ち切れる
そんな能力と精神力のあるアタッカーが必要になります。
となるとスピードだけで選手を選ぶのはとても危険です。
そして、こちらの攻撃を分析されたあと、
次にどんな手を打つのかという部分では
北京五輪以降、チーム全体の成長は未だ感じられません。
それが、わたしが代表に抱える最も大きな不安要素です。
その辺りを今シーズンはどうするのか。
試合がないので確認しづらいのですが
なんとか注目していきたいと思います。
posted by 市川忍 |00:14 |
戦略、戦術、コーチング |
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2010年02月15日
皆さま、こんにちは。
先週末の東京大会では7位と8位のFC東京、大分三好が
ともに3勝目を挙げるという試合を見ることができました。
どちらのチームも「こういうバレーをすれば勝てる」という
勢いのある姿が見られましたが、それを何試合も続けることができるか否かが
今、下位にいる2チームと上位チームとの差のように思えます。
両チームの来週以降の戦いにも注目したいと思います。
2日間で印象に残ったのは堺のセッター、今村選手です。
これまでも内定選手らしからぬ安定したプレーを見せていましたが
日曜日の試合途中、西尾選手に代わりオポジットのポジションに
本来はレフトである木内選手が入った場面がありました。
木内選手はオポジットでも練習をしているのかな、
どうするのかなと思って見ていると
何本かライトから攻撃をしたあと、木内選手がライトから、
中央に素早く走り込んで時間差を決めました。
ああ、そうかこの手があったか、そうだよなと目が覚めました。
木内選手には機動力という武器があったことを思い出させてくれたプレーでした。
あとで今村選手に「自分のアイデアですか」と尋ねると
「木内さんからもかき回して行こうと声をかけられたので」と。
今村選手の冷静な視点、そして代わって出た選手がそれぞれ
「自分の持ち味を生かそう」としている気持ち、
あれだけ故障者が多い中でも
チームが好調である理由を現すプレーだったように感じます。
さて、前回の記事にもさまざまなご意見をありがとうございました。
いただいたコメントにあったように、近代バレーは情報戦も戦いの一部です。
試合が始まる前の準備が極めて大切な競技であることは確かです。
アナリストの存在がクローズアップされる機会も増えました。
現時点で、日本のVリーグおよび代表チームに関わるアナリストは
大きくわけて以下のような仕事をしていると考えられます。
①まずは試合経過のオペレーション。
これは試合を見ながらパソコンに結果を打ち込み、同時に
ビデオ撮影もする作業のことを言います。
②次に、そのオペレーションの結果を数値化すること。
よく聞く「効果率」とか「レセプションのAカット率」などは
こうして結果を数値化することで出てくる数字です。
対戦相手の分、そして、同時に自分たちのチームのデータも必要になります。
③その数値化したデータ結果を検証し、
次の戦いに必要な資料を選ぶ作業。
④最後に、そうやって膨大な量の資料の中から選ばれたデータをもとに
次の試合ではいかに戦うかと選手に戦術を伝授する作業です。
ちなみに、ここまでの工程はリーグ中、
試合を戦う際に必要な準備作業だと思ってください。
アナリストのキャリアやスキルによってデータ算出のスピードに違いはありますが
近年ではおそらくどのチームも同じ分析ソフトを使用していると思われますので
出てくる資料の種類には大きな差はないと思います。
ここで重要なのが③と④です。
各ローテーションごとの、それぞれのポジションからのスパイク決定率や
配球率、そしてレセプションがAカットだった場合、
Aよりやや劣るAダッシュだった場合、Bカットだった場合等、
すべての状況でのセッターの配球など、出てくる資料は膨大な量になります。
その中からどれが自分たちのチームに必要なのかを見極め
試合前には選手が混乱しないよう、要点をまとめて指示を出し
試合中はその展開によって、わかりやすく、簡潔に
選手に対してアドバイスができるかどうかが大切です。
とにかく「わかりやすく」「簡潔」であることがポイントです。
この作業の中で、どこまでを監督がやるべきなのか。
どこまでがコーチの仕事なのか。
どこまでをアナリストの仕事とみなすのかは各監督&チームによって違います。
④までをアナリストが担うチームもあれば、
アナリストはあくまでオペレーションのみで
その他を監督とコーチが受け持つチームもあります。
後者のほうが多いかもしれません。
そして、各役割の分担配分というのは、線引がとても難しいとわたしは思います。
いずれにせよ、それそれのチームの方針ですので、
「これが正解だ」と決めることはできません。
昨年度の全日本男子の場合は、そのほとんどを監督が担っていましたので
負担が大きいという見方もできるでしょう。
もう少し、手放して、専門家に任せてもいい気がしますが
ただし、その専門家であるアナリストがどんなに資料を用意しようと、
コーチがどんなアドバイスをしようと
それに耳を傾けるか、傾けないかは監督次第です。
2008年北京五輪での全日本に、そういったスタッフ間の意思の疎通が
あったようには、わたしには見受けられませんでした。
確かな戦術があるときの選手の戦い方には、自信というか
安心感のようなものを感じることができます。
五輪直前の最終予選での全日本チームには
試合中も、試合後のコメントひとつにも
そういった「落ち着き」が見られました。
五輪本戦という大舞台だったから浮足立ったのも事実でしょうが
「こうすれば勝てる」という自信があれば、たとえ初めての五輪出場でも
その緊張感を少しは緩和できたのではないかと感じます。
さて、Vプレミアリーグも佳境に入ってきます。
とても楽しみです。
皆さまもお風邪など召しませんように、試合観戦を楽しんでください。
posted by 市川忍 |20:55 |
戦略、戦術、コーチング |
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2010年02月11日
皆さま、こんにちは。
いつもたくさんのコメントをありがとうございます。
さて前回の記事に寄せられた別府さんのご質問に対して。
今日はわたしなりの意見を書かせていただきたいと思います。
> なので、よろしければ具体的に采配の何がいけなかったのかを教え
> ていただけませんでしょうか?
まず、チームには
戦略 → わたしたちはこう戦うのだというチームの核のようなもの
と
戦術 → 相手の出方や自チームの状態によって、臨機応変に対応するもの
が必要だとわたしは思っています。
戦略のほうは、どんなチームを目指すのか、長い合宿や
何度かの対外試合の中で、ある程度、長い目で見て、我慢をして
選手とチームを育て、作り上げていくものだと思っています。
いわば持久力を必要とするものです。
そして戦術のほうは、自分たちが築き上げた戦略を軸に
対戦相手の戦略や戦術に対し、柔軟な姿勢で臨むものだと思います。
こちらは瞬発力の必要なものです。
その両者を統括するのか監督の役割だと感じています。
北京五輪の出場権を獲得したときの全日本(最終予選時)には
確固たる戦略がありました。
朝長選手を軸に、石島選手、越川選手、荻野選手といったアウトサイドプレーヤーを
彼らのコンディションや、対戦相手によって使い分け
大事なときには山本選手が決めるという「勝利パターン」ができていたと思います。
そして出場権を獲得して、北京へ向かいました。
ただ、そこからの戦いは疑問の残るものでした。
いちばんは、その「今まで勝利を収めてきた戦略」を
早々と諦めたことです。
時間をかけて築いていたことを簡単に翻したとわたしは受け止めています。
同時に、ヨーロッパの高いチームに対し
トスの緩やかな朝長選手をスタメンで使ったこと。
特に初戦のイタリアはリードブロックシステムのチームですので、
セオリーで考えれば、サイドへのトスが速い宇佐美選手のほうが
ブロックシステムを崩すためには有利です。
ところが朝長選手をスタメンで使い、リードをされて初めて
宇佐美選手に切り替えるという采配を選びました。
そしてセッターだけではなく、その他のアタッカーに関しても
とにかく交代が多かったですよね。
もちろん選手交代を否定しているわけではありません。
ただ、我慢して築き上げてきた戦略、本来ならば
信じなければいけない選手のことは早々に見切りをつけ、
反対に、臨機応変に対応しなければいけなかった戦術面に関しては
最後まで瞬発力を見せることなく終わってしまったと感じています。
その「我慢するところ」と「切り替えるところ」のピントがずれていたのが
北京で1勝もできなかった要因ではないでしょうか。
よくオリンピックに出場した人は
「緊張することも想定内で、緊張した上でのパフォーマンスでも
相手に勝てる、記録が出せるだけの準備をしなければいけない」と言います。
男子バレーがオリンピックに出場するのは16年ぶりでした。
荻野選手以外の選手にとっては初めての舞台。
緊張して当たり前です。
選手が緊張することを想定して、先に手を打てるくらいの冷静さが
五輪で戦う指揮官に求められる、最も大切な資質だとわたしは思います。
> あと、ものすごくくだらない質問なのですが、センターの選手が後衛
> に回ったときバックアタックをするのは不可能なのでしょうか?本当
> にアホな質問ですみません。
打つことは可能ですが、チームの戦略として必要かどうかの選択肢だと思います。
たとえば現Vリーグのチームでは、ほぼすべてのサイドアタッカーが
後衛にいるときにもバックアタックで攻撃に参加します。
最近ではパイプ攻撃という、中央からバックアタックを打つチームが多いですが
それ以外にも、スーパーエースポジションの選手は
後衛に回った際にライトからバックアタックを打ちます。
となると、前衛に2人(セッターが前衛の場合)~3人のアタッカー。
そして後衛にも1人~2人(セッターが前衛の場合)のアタッカー。
常に相手のブロッカー3人より多い4名以上のアタッカーが
攻撃に入るスタンバイをしているので
そんな中でミドルブロッカーの選手があえて、バックアタックを打つ必要がないのです。
このあたりのブロックとアタッカーの関係については過去記事をご覧ください。
こちら
こうしてミドルブロッカーの選手がバックアタックを打つ戦術は
日本では少なくなっているのだと思います。
もちろん、サイド後衛の選手よりも決定力があれば後衛で攻撃に参加することも可能ですが
クイックを中心に練習を積んでいるミドルブロッカーと
サイドアタッカーを比較したときに、サイドアタッカーのほうが
後衛からのバックアタックに適していると判断するチームが多いせいではないでしょうか。
ただ、それも現時点でのセオリーであるだけで
将来はどんなふうに変化するかわかりません。
バレーの戦略、戦術は常に進歩していて、変化していて
本当に奥が深く、勉強を怠るとすぐに置いていかれてしまいます。
だからこそ楽しいのかもしれませんね。
…という説明でおわかりいただけるでしょうか。
ではまた。
posted by 市川忍 |01:40 |
戦略、戦術、コーチング |
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2010年01月24日
皆さま、こんにちは。
いつも多くの関心をありがとうございます。
なかなかお返事を書けずすみません。
コメントはひとつひとつ、すべて読ませていただいています。
ありがとうございます。
さて、今回は先日のチャレンジリーグ観戦のときに感じたこと、
そして以前からいろいろと考えていたことを書きたいと思います。
まずは少しサッカーの話から。
わたしの自宅の最寄り駅前のバスロータリーは
一本一本の柱にヴェルディの小旗が取り付けられています。
もともと練習場が近いことや
東京ヴェルディの前身が川崎ヴェルディ ヴェルディ川崎だったこともあり
ちょうど東京と川崎の境目にあるわたしの自宅付近は
昔からヴェルディのホームというムードが強かった気がします。
ヴェルディのジャージを着たジュニア(ユース?)の子供が
電車に乗って練習場に通っていたり、やはり電車の中で、
ヴェルディのTシャツを着たサポーターらしき人もよく見かけます。
しかし、この駅から電車でほんの5分ほどの土地では
その風景が一変します。
今度は駅の周辺でFC東京の小旗がはためいているのです。
同様に近年、車で10分ほどの近所に
フロンターレ川崎 川崎フロンターレの練習グラウンドが移転してきました。
家の前の道路をフロンターレのバスが通ったり
至る所で選手の顔写真入りポスターも見かけるようになりました。
こうなるとわたしの住んでいる土地はどこのチームのホームなのか、
よくわからないというのが最近の正直な気持ちです。
当然、チーム側はポスターの掲示や旗の設置など
細かくルールを指導されていて、それを守っているのでしょうが
住んでいるほうとしては、市で分けられようと、路線で分けられようと
そんなことはあまり関係なく、大まかに「うちの近所」になるわけです。
前置きが長くなりましたが、「ホーム」というのはチーム側の意識はもちろんですが
それよりも、むしろサポーターを含めた地域住民がどう感じるかが
とても重要な「制度」なのではないかと感じました。
どれだけそのチームや選手を身近に感じることができるか。
そのためにチームは地域活動(市民祭りなどのイベント)に参加したり
キッズスクールを開いたりして、「身近なもの」になろうと努力します。
さて、では先日、ホームゲームに足を運んだヴェルディのケースはどうでしょうか。
体育館にはスタッフジャンパーを着たボランティアのかたがたくさんいて、
会場案内も、お客様への対応も、統制が取れていたと感じます。
体育館は駅の目の前ですし、体育館に入った場所にはスタッフが1名いて
土足禁止であること、そして自分の靴を入れるビニール袋の置き場所も
すぐに分かり、スムーズに会場に入ることができました。
そういった「運営」に関しては、成功だと思います。
ただ、ヴェルディが今後も立川などの「都下」をホームとして活動するならば
プレミアリーグでのFC東京や、同じチャレンジリーグの警視庁が、
それぞれ、どうやって住み分けをするのか。
そんな疑問が頭をかすめました。
関東以外のかたは分かりにくいかもしれませんが
サッカー同様にバレーのヴェルディもFC東京も
極めて近い圏内で「地域密着」を掲げているように見えるのです。
競技人口が多いサッカーに比べ、バレーはスポンサーにしても、
サポーターにしても、バレー教室の対象者にしても、
クラブ同士で少ないパイを奪い合う結果にもなりかねません。
その辺りのチームの「運営に対する展望」を
今後はぜひ取材して行きたいと考えています。
皆さまは自分の住んでいる土地が何かの競技のホームだということを
普段の生活で意識しますか?
また意識するとしたら、どんなときでしょうか?
ではまた。
posted by 市川忍 |23:48 |
バレーボールの未来 |
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2010年01月17日
皆さま、こんにちは。
今週はチャレンジリーグを見に行ってきました。
何年ぶりか…思い出せないほど久しぶりです。
当時はまだ2部リーグとか、V1などと呼んでいた気もします。
場所は立川泉体育館。
つくばユナイテッド対トヨタ自動車、
ヴェルディ対警視庁の試合を観戦しました。
注目したかったのは、つくばユナイテッド・サンガイア。
加藤陽一選手が入ってどんなチームになっているかという点です。
それとヴェルディのホームゲームということで、
その運営やお客さんの入りなどについてもいろいろと観察してきました。
ホームゲームについては、また次の機会に触れることにして。
つくばユナイテッドの試合は…
セッターの岩田岳大選手とMBの石川健選手のコンビが
とてもよく練習を積んでいるなぁという印象を受けました。
試合前に見た成績表の石川選手のアタック決定率が、なんと94.4%。
いくらまだ2試合しか戦っていないとはいえ
そして1部に比べ対戦チームのブロックが、
システム化されていないことが予想されるチャレンジとはいえ
この数字は驚異的です。18打数17決定ですから。
試合を見て、その決定力の高さを実感しました。
A、B、Cのクイックに加え縦のBクイック、
ブロックを避けるためのターン打ちに、タイミングを外しての軟打、
一人時間差と、とにかく攻撃の手が多い印象でした。
途中からトヨタ自動車も石川選手に2枚ブロックで対応するのですが
それでも封じることができず…。
高い数字を残している理由がわかりました。
そして加藤選手。
攻撃面ではまだまだ本調子とはいえませんが、ブロックやレシーブ、
そして相手のコートの誰もいないところに打つフェイント気味のスパイクなど
彼らしいプレーも見ることができました。
これからもっと状態は上がってくるのではないでしょうか。
ちなみにつくばユナイテッドは試合当日の朝、
貸切バスでつくば市を出たそうです。
会場に着いて、十分な練習の時間もないまま試合。
開催地に前々日入りし、前日には会場練習の時間も与えられている
1部リーグ時代とは大きく環境が違います。
それでも加藤選手は
「大変ですけど、そのバスを借りるお金も、みんな自分たちで稼いだお金。
そう思うと経費は大切に使わなきゃいけないって痛感してます」と語っていました。
上に書いた石川選手も普段はパートナー企業であるスポーツ店で
販売の仕事をしているそうです。そのアルバイトが週に3日。
そしてチームサンガイア(子供たち)と家庭婦人のバレー教室の講師が週に3日。
そういった地道な活動がすべてチームの収益につながっています。
以前、加藤選手の記事をスポーツナビで書かせていただいたとき
冒頭に松田CEOのコメントを使用させていただきました。
「バレーで食べられる人を日本に増やしたい」
実際に「バレーだけではライター業が成り立っていない」わたしも
その言葉を実現することの大変さを痛感しています。
しかし、理想は掲げ続けないと実現しません。
そんなことを思い起こさせてくれるチャレンジ観戦でした。
これからもつくばユナイテッドの動向には注目していきます。
posted by 市川忍 |20:43 |
試合の感想 |
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2010年01月08日
まず今回の記事のタイトルを見て、
過去の私のさまざまな記事を読んでくださっているかたは
なんだ、市川らしくないじゃないか
と首をかしげるかもしれません。
以前からスーパーエース不要論を唱えてきましたが
もちろん、それは「スーパーエース」という
試合の勝敗を一人で握るような責任重大な役割や
たった一人のアタッカーに得点力を頼る戦術では
日本は欧米諸国に勝てないという意味であって
でも、当然ながら、やはりセッター対角に入る、
前後衛ライトからの決定力が高い選手は絶対に必要です。
…と思ってバレー界を見回してみると…。
そういう選手って少ないんですね。今さらですが。
JTには直弘選手というSAがいらっしゃいますし
パナソニックには山本選手、清水選手。
ただし現Vプレミアリーグのチームの中で
日本人選手をSAのレギュラーとして起用するチームは
パナソニックとFCしかありません。
全日本経験のある直弘選手を擁するJTもそうですが、
セッター対角に外国人選手を置くチームが多いせいか
大学時代はSAだったけれど、企業に入ってからは出番がなく
レフトプレーヤーに転向したり芽の出ないまま引退してしまったり…と。
もはやSAは絶滅危惧種だなぁ…と昨年の全日本の合宿や
Vリーグの試合を見て感じていました。
長身セッターについても同じことがいえますが
高校、大学、企業などの各チームが
「勝利至上主義」だけで選手のポジションを決めると
世界に通用する選手は育ちにくくなります。
なんとか広い視野を持って選手を育てていただきたいと思います。
(外国人選手の招へいが少ないチャレンジリーグのほうが、
そういう日本人アタッカーを育てやすいのかもしれませんね。
今後はチャレンジからSA召集!などということが起こり得るかもしれません)
そして、逆に考えると…
もし「全日本にどうしても入りたい」という、今はウィングスパイカーや
ミドルブロッカーとして登録されている選手がいたら
ライトからの攻撃力に磨きをかけて、なおかつ
2段トスを打つ技術をアップすれば、
おのずと代表チームから必要とされる選手になれるのではないかと感じました。
なぜそんなことを思いついたかというと、ここ数日、
新春イベントやら契約更改、自主トレ、新人選手の入寮と
さまざまなプロ野球選手と接する機会がありました。
自分が「こうありたい」という意図を持ってプレースタイルを変えていく、
チームにおいて生き残るために「売り」を探して行くことを
当たり前のようにやっている選手がとても多いことにいつも驚かされます。
バレー界にも、チーム事情で行う転向ではなく
そんな風に長期的なビジョンを持って
自分を変えていく選手が現れてほしいというひとつの願いを抱きました。
さて、最後になりましたが新しき年のご挨拶をさせてください。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
2010年がバレー界にとって、そして皆さまにとって良い一年でありますように。
posted by 市川忍 |00:41 |
バレーボールの未来 |
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2009年12月30日
皆さま、こんにちは。
早いもので今年も残すところ、あと2日となりました。
まだまだ微力であるわたしの記事に、今年も
高い関心を寄せてくださり、本当にありがとうございました。
わたしにとっての2009年は…
16年ぶりにオリンピック出場を決めた2008年に比べると
静かで落ち着いた1年だったような気がします。
そのせいか、じっくりと、国内リーグの再生と人気復活について
取材し、考えることができました。
NECと武富士の休部は、決して忘れてはいけない出来事です。
その取材によって得た知識、情報、関係者の思いなどは
今後のバレー界のため、きちんと書き記したいと考えています。
さて、1年を振り返り、わたしの選んだベストゲームは
国際大会ではワールドリーグ東京大会、日本対ブルガリア戦。
国内大会では1月の天皇杯決勝、東レ対パナソニック戦でしょうか。
先日の天皇杯(こちらは12月開催の)記事にも書きましたが
「チームとしてやりたいことが明確で、その戦略通りに選手が動けている」試合は
本当に見ていて楽しいですね。
また来年もワクワクするような試合を期待しています。
ではまた。
皆さま、どうぞ、よいお正月をお迎えください。
posted by 市川忍 |09:00 |
近頃思うこと |
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