2008年05月14日

《個性を生かす》

皆様、おはようございます。
なぜこんなに早い時間に更新しているかと言いますと、
西武ライオンズを見習って「アーリーワーク」を取り入れてみようかと、ふと思いつきました。

昨年までは「居残り練習」が圧倒的に多かった西武ですが、
新体制になった後は「疲労がないときに練習したほうが身につく」(大久保コーチ)
という提案などもあって、居残り練習が早出練習へと変わりました。

以前ならナイター終了後、室内練習場へ向って何時間もバットを振っていた若手選手も、
現在は全体練習の前に球場へやってきて練習しています。
(それでも試合に出られなかった数名の選手は室内練習場に向いますが)

それに影響を受けた(?)のと、
就寝前にパソコンをいじると持病の首痛に悪いと担当医師からも止められたので、
午前中にこうしてパソコンを開いてみたわけです。

いつまで続くかわかりませんが、少しの間、
午前中に執筆作業をしてみて、効果を見ようと思います。

ここ数日、上の話にも出た西武ライオンズの取材に行っていたのですが、
野球に詳しいかたならご存じのように西武は今季、ここまでダントツの1位を走っています。

昨年は26年ぶりのBクラスに低迷し、首脳陣が総入れ替えとなりました。
シーズン開幕前、わたしがいちばん懸念していたのは、
この首脳陣総入れ替えによって、選手がこれまで信頼し、
指導を仰いできたコーチ陣の顔ぶれが変わってしまうことでした。

今季、開幕から3番を打ち3割近い打率に本塁打9本、
打点31(ともにリーグ第3位)と好調な中島裕之選手に聞くと
「新監督を初め、新しいコーチ陣は今までの僕のやり方、目指すスタイルを尊重してくれて、
その中で、迷うことがあったときだけアドバイスをくれる」と話していました。

渡辺新監督は就任直後から「個性派集団を作りたい」とおっしゃっていましたが、
そういう意識が選手の育成にも生かされているのだと感じます。

数日前のコメントに「個性を生かしつつ
世界標準に近づけるのが重要ではないか」というお返事を書きました。
野球とバレーでは競技人口に差があるため選手が育つ土壌も違いますし、
団体競技でありながら、個の力が勝敗を左右する野球と、
組織力が重視されるバレーを単純に比較することはできませんが、
「個性を生かしつつ、強いチームを作ろうとしている」ライオンズの姿を見て、
改めて個性を殺さない育成とは何かと考えさせられました。

それからもうひとつ。
野球ではオフシーズンに、ハワイで行われるウィンターリーグに
若手選手を派遣する制度があります。
西武から昨年オフ、ハワイ行きを命じられた星秀和選手との雑談の中で
お聞きした話が印象的でした。
ウィンターリーグのチームには、メジャー球団からコーチが派遣されてきているそうなのですが、
星選手が驚いたのは、そのコーチ陣が
「こちらから聞きにいかない限り何も言わない」ことだったとか。
リーグが始まってだいぶ経ってから、通訳を引っ張ってコーチのもとに赴き、
やっと、そこで初めてバッティングフォームについてのアドバイスをしてもらえたそうです。
本人が切実に「変わりたい」とか「解決したい」と考えている悩みに対し、
手を差し伸べるのがメジャーのスタイルなのではないかと星選手は話していました。

さて、全日本男子は今日で堺での合宿を終え、いよいよNTC入りですね。
NTCでの練習は完全非公開なので様子を知りえませんが
堺合宿までを見た印象を、次回更新までにまとめておきたいと思います。

posted by 市川忍 | 08:55 | コメント(1) | トラックバック(0)
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2008年05月09日

本日発売の「Number」703号 にて

以下の雑誌に男子バレーボールの記事を寄稿しています。

「Number」703号
文藝春秋社より5月9日(木)発売

第2特集「生き残れ、日本バレー。」

【日本の生命線】
 荒木絵里香/杉山祥子/竹下佳江
「センターはどうあるべきか」

【エースと呼ばれて】
 栗原恵
「あの1球は逃げたのか」

【男子の鍵を握る男】
 宇佐美大輔
「司令塔は変われるのか」

バレーボール世界最終予選について「生き残れ、日本バレー」と題した
特集が組まれていますが、わたしは宇佐美大輔選手の記事を書いています。

取り急ぎご報告でした。

皆様もよい1日をお過ごしください。

posted by 市川忍 | 08:33 | コメント(6) | トラックバック(0)
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2008年05月06日

黒鷲旗を終えて

取材相手の都合により、予定していた仕事が急遽、繰り上がってしまい、
後ろ髪を引かれつつ慌てて帰京しました。
ということで黒鷲旗は準々決勝までしかライブ観戦できず、
残りはGAORAでの録画にて確認しました。

観戦された皆様、参加されたチームや運営の皆様、暑い中、お疲れ様でした。

さて、今大会、何試合かを観戦して目に付いたのは、
セッターがトスアップをする位置の変化です。
パナソニックや東レはVプレミアリーグ同様、相手のサーブが強力な際は、
サーブカットを真上に上げて失点を防ぐという戦略を取っていたように見受けられます。
パナソニックのセッター、大竹選手も
アタックライン付近から速いトスを上げる練習を積んできたであろうことは、
その試合運びを見ていても確認できました。

トスアップする位置をアタックライン付近に設定すれば、
それだけ起点がコート後方になりますから、
バックアタックへのトスは距離が近くなります。
近ければ、スピードアップすることも可能です。

決勝はもちろんですが、大会を通じてパナソニックのフォンテレス選手、
今井選手のバックアタックへの入り方が速く、
相手のブロックが対応しきれていなかった印象を受けました。
フォンテレス選手のパイプ攻撃の速さにはVリーグの最中から定評がありましたが、
それに加え、今井選手のライトからの攻撃も速い。
今井選手ははセンター出身のせいか、短い助走と、
体を大きく開かないコンパクトなフォームで、
ライトからバックアタックが打てる稀有な選手だと感じました。
こうして後衛からでも速い攻撃が可能な選手が在籍するチームにとって、
トスアップする位置を下げることは決してネガティブな発想ではないのですね。

…と考えると、木内選手、西尾選手という「速いパイプを得意とする選手」を擁していた堺も、
レセプションに対する意識を変えることで、
もっとこの2人を生かす戦いができたのではないかと感じます。
準決勝の堺は、レセプションが相手コートに
ダイレクトで返ってしまう場面が目立ちましたので、ふとそんな風に思いました。

それにしてもパナソニック対NECの決勝は見ごたえのある試合でしたね。
第3セットからのNECの粘りも素晴らしかったです。

パナソニックの黒鷲旗優勝は10年ぶりだそうです。
最後まで1人で上げ続けた大竹選手の涙が印象的でした。
そういえば8年前、シドニー五輪予選を控え、
今年と同じように全日本選手が不在だった黒鷲旗では、
パナソニックは準優勝に終わっています。
今大会の大竹選手と同じように、初めて主戦セッターとしてトスを上げ、
最終的には決勝で敗れてしまった牛尾選手が、当時のエース宮崎選手に
「牛尾のせいで準優勝になったんじゃない。決勝まで来られたのは牛尾のおかげなんだ」
と言われ、試合後も延々と涙を流していたことをふと思い出しました。

ビーチに転向した牛尾選手にも、今日のニュースや試合内容は届いているでしょうか。

バレーの世界では黒鷲旗終了が年度終わりになります。
来年度のスタートを楽しみに待ちたいと思います。

posted by 市川忍 | 20:17 | コメント(2) | トラックバック(0)
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2008年05月04日

黒鷲旗 トーナメント初戦

今日の第二試合、豊田合成対東レ戦は最終セットまでもつれる展開でした。

第4セット終盤。
合成のブロック陣が、高橋和人選手をレアンドロ選手の正面に、
ファビアノ選手を米山選手の正面に、配置しました。
セオリーであれば、高さのあるレアンドロ選手にファビアノ選手、
同じ180センチ台の米山選手に高橋選手、と考えそうなものですがベンチの指示は逆。

ファビアノ選手が米山選手のスパイクを見事、止めて合成がセットを奪いました。

これで流れは合成かな、と感じたのですが
第5セットは合成の若手選手にサーブやスパイクのミスが出て、
東レが勝利を収めました。
大事な場面でミスが出てしまうのは若さゆえの弱点なのかもしれません。
しかし、こうして悔しい思いをしてこそ、ミスをしてはいけない場面を学んだり
勝負所を見極める目を養っていくのではないでしょうか。
井上選手や高橋選手の今後に期待します。

ここ数試合、堺の大道選手を見ていても、
若い選手が実戦経験を積むことの重要性をひしひしと感じます。
大道選手はリーグ終盤、ブロックで迷いが出ているかな?と感じる場面もありましたが
この大会では実に頼もしい働きをしていると思います。
スパイク決定率、ブロック決定本数はもちろん高いのですが
粘り強いブロックで、片手だけでもなんとか触ろう、
必死にフェイクに入り、相手のブロックを惑わそうという「意思」が見えます。

こうして若い選手が急激に成長する場面を見られるのも黒鷲旗の楽しみです。

今日も1面ずつしか見ていませんので、他の2戦について記せなくてすみません。

それではまた。

posted by 市川忍 | 21:51 | コメント(2) | トラックバック(0)
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2008年05月03日

黒鷲旗 雑感

皆様、こんにちは。
大阪は5月とは思えない暑さです。

全日本の合宿から府立体育館に流れ
黒鷲旗を観戦しています。

府立に足を運べたのが、午後からだったり、朝一番の試合だけだったりと、
今日まで、全チームの試合は観戦できていないので、
とりあえず印象に残ったことだけ記します。

今日の堺対豊田合成戦は、とにかく木内選手と大道選手!
大道選手のCクイックに相手のブロッカーが釣られ
木内選手のパイプ攻撃がノーマークになった瞬間は鳥肌が立ちました。
その他、堺はブロックとレシーブの関係もしっかり構築されていて
守り勝ったという印象です。
増野選手のディグ、そしてエンドライン近くの西尾選手のポジショニングが絶妙でした。
(ちなみに西尾選手はレフトで出場しています)

豊田合成は島野選手と高橋選手の併用でした。
甲斐選手の調子があまり思わしくない印象を受けました。

パナソニック対NECで目を引いたのはパナソニックのセッター、大竹選手。
この大会が実質、デビュー戦でしょうか。
(サマーリーグとか、近総などを見ていないので、間違っていたらすみません)
ブロック、ディグ等で実戦慣れしていない部分は否めませんが、
トスのミスはさほど目立ちませんでした。
試合数を積んでどんな成長を見せるのか楽しみな選手です。

さて、黒鷲旗で毎年、痛感するのは
「一度に1面が限界」ということです(苦笑)。

大会終了後、準決勝以降の感想をきちんと記したいと思います。

posted by 市川忍 | 23:53 | コメント(3) | トラックバック(0)
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2008年04月27日

パナソニックの勝因は?

皆様、こんにちは。
どんなGWをお過ごしでしょうか。

さて、ブログを始める上で、ひとつのルールを自分で決めました。

ブログを開設している他のライターさんもおそらく心がけていることだと思いますが、
ブログで書くネタと、記事として媒体に書くネタを差別化することです。
一応、「雑感」というタイトルをつけ、主観で物事を記そうとしていますが、
やはり、どうしてもバレーの話になると、
本業である執筆とかぶる部分が出てきてしまいます。

基本的には媒体で「書ききれなかったネタ」や「必要とされなかったネタ」、
「媒体の売り上げには支障をきたさないくらい昔に書いたネタ」などは
ブログでも記していますが、たとえば、これから書くであろうテーマについては、
使うか使わないかは別として、使うことを前提として執筆が終わるまで、
全ネタをストックしておくのが記者の務めだと考えています。

それが取材のために必要な申請、手配などの手間をかけてくださった出版社や、
「わたしの記事」という商品に対価を支払ってくださる方々への当然の礼儀だと思うからです。

ということで、日によってはテーマに深く言及できていなかったり、
せっかく質問をいただいても返事が曖昧だったりするのは、
そういった「自分で決めたルール」のせいもありました。
ご了解ください。

本題です。
今日は、今さらですがVプレミアリーグのファイナルを振り返りたいと思います。
ある媒体でファイナルに少し関連した記事を書く予定があったため、
上記の理由により、試合直後はなかなか突っ込んだことを書けませんでした。
そちらの執筆も無事終わりましたので、重ならない部分を
黒鷲旗が始まる前に記しておきたいと思います。

以前、このブログではパナソニックの勝因は山本隆弘選手とフォンテレス選手が
安定した力を発揮したからだと書きましたが、ファイナル終了後、
山本選手にお話を聞いたところによると、
彼ら2人を含めた選手たちの意思の確かさも関係していたように感じました。

まず印象的だったのは山本選手が試合後の記者会見で言った一言でした。
「サイドアウトはフォンテレスが、ブレイクは僕が決めるという
チームのパターンが確立していたので、余裕を持って試合に臨めました」

ご存じのかたも多いと思いますが、サイドアウトというのは
相手にサーブ権がある状況を指します。
レセプションが崩されずにセッターへと返れば、
クイックを始めとするどんな攻撃でも使用可能ですから、
こちらにとっては有利な状況といえるでしょう。

逆にブレイクはこちらにサーブ権がある状況ですので、
相手チームが有利と言えます。
相手の攻撃を防御した際に生まれる「攻撃機会」ですから、
チャンスボールが返ってくるのはごく稀で、
それほど状態のいいトスばかりが上がるとは限りません。

有利な状況でトスを上げられる可能性が高いサイドアウトでは、
速いトスが得意なフォンテレス選手を。
不利な状況の可能性が高いブレイクでは、
2段トスを得意とする山本選手を。
それぞれの選手の特徴を加味し、長所を生かした戦い方だったと感じました。

長所を生かすと口で言うのは簡単ですが、それを戦略に盛り込むためには、
徹底した自己分析が必要となります。

近年、ほぼすべてのチームが使用しているデータ解析ソフトでは、
それぞれの選手の、トスの種類別のスパイク決定率、効果率まで出すことができます。
その選手の得意、不得意なプレーが数字によって丸裸になります。

では、その結果をどう試合運びに生かすか。
短所を隠し、長所を浮かび上がらせるような戦略を、
首脳陣やアナリストなどチーム一丸となって考えることが重要になります。
実際、フォンテレス選手は試合を見る限り、2段トスを打つことが苦手なようで
その決定力は低かったように感じます。
しかし、そんな「弱点」が目立たないくらい、「長所」が際立っていました。
偶然、際立ったのではなく、「際立たせるような戦略をパナソニックが生み出したのだ」と
わたしは感じています。


数日後には黒鷲旗が開幕します。
各チームとも全日本選手は不参加ですので、主力不在のチーム編成となります。
各チームの戦略がどれくらい主力選手以外にまで浸透しているか、
確認できるチャンスですね。

posted by 市川忍 | 18:52 | コメント(5) | トラックバック(0)
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2008年04月20日

カレッジフェスティバル

宣言通り、昨日は久しぶりに大学バレーを見に行きました。
インカレ以外でこうして大学バレーを見るのは2年ぶりくらいでしょうか。

パっと見たところ、全体的に選手が小粒になったなぁという印象です。
背の高さに目を引かれてパンフレットでプロフィールを確認すると、
それほど高身長ではない、180㎝台後半。
190㎝台の選手が本当に少なくなったのだなと痛感しました。
バレーボールの将来にとっては、危機的状況です。

そんな中、心惹かれたのは順天堂大の16番の選手。
小柄ですが機敏で、守備でも攻撃でも、相手のプレーの先を読んで動いていました。
それと、日本体大の2人のミドルブロッカーは、まだまだ伸びしろのある選手だと思います。

ただ、残念ながら「成長を見逃すわけにはいかない」と感じて、
毎試合、足を運びたくなるほど吸引力のある選手は見つけられませんでした。

わたしが最も大学バレーに通っていたのは
北島武選手が筑波大に在籍していた4年間でした。
上級生には篠田歩選手、朝長孝介選手、山村宏太選手、柴田恭平選手らがいて、
同級生は勝野裕士選手、下級生には石島雄介選手がいました。

リーグ戦はもちろん、大学まで練習も見に行きました。
いったい、どういう練習をして試合に臨むと、
これほど見ている人の心を動かすプレーができるのか。
その裏側を覗いてみたくなるくらい、心身ともに強い選手が揃う、強いチームでした。

NECの金子隆行選手のいたころの東海大も同様です。

金子選手が2年生の春リーグでしたか。
試合の直後、がっくりと肩を落としている東海大の選手たちに遭遇しました。

金子選手はうずくまって、床を叩いて涙を流していました。

勝った試合なのに?
4年最後のインカレではなく、まだ2年生なのに?
しかも春のリーグ戦の初戦なのに?

あとで聞いたところによると、「試合内容に納得ができなかったから」だそうです。
この選手はいったい、どれほどひとつの試合、
ひとつのプレーに執着しているのだろうとビックリしました。

サポーターの皆様が何かのきっかけで特定の選手のファンになるように、
わたしの仕事にも「この選手を見続けて行きたい」と思う瞬間が存在します。

そもそも「主観を排除しない文章を書き慣れたい」と、このブログを始めたわたしですが、
どの選手を取材したいとか、この選手の記事を書きたいと感じている時点で、
わたしの文章には今までも、多かれ少なかれ主観が含まれていたのかもしれません。

取材対象との大切な出会いに、これからも敏感でいたいと思います。

posted by 市川忍 | 10:37 | コメント(2) | トラックバック(1)
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2008年04月19日

取材こぼれ話 《きっかけ》

先日、野球の記者をしている友人と、こんな話題で意見が一致しました。
「一度、話を聞いてみたいと思いつつ、
なかなかそのタイミングがつかめない選手っているよね」

実際、なんと声をかければいいのか迷っている間に、
あっという間に何年か経ってしまっていたというケースが多々あります。
(これは記者としてはあまりお勧めできない例なのですが)

わたしやその友人のようなフリーランスの記者は、
特定の媒体で記事を書くことがまだ決まっていない場合、
球場や試合会場で「ちょっといいですか?」と怪しげ(?)に選手を呼びとめ、
「ぶら下がり」と呼ばれる立ち話、もしくは歩きながらでの取材を
お願いすることが多くなります。

顔見知りならまだしも、初めて口を利く選手に、
まだ記事にできるかどうかもわからない状態で声をかけるのは、
仕事とはいえ、なかなか勇気のいる行為です。
「これを絶対に聞きたいんだ」という覚悟がないと、きっかけがつかめません。

しかし、友人とそんな話をしていた直後、幸い、長い時間、
タイミングを逃してきた選手にご挨拶するチャンスが訪れました。

以前、セッターの力量についての記事の中で、
「まだじっくりお話をしたことはないが、その配球から意図を感じる」と書いた
パナソニックの岩田正之選手です。

全日本合宿の、練習後のほんのちょっとの時間だったのですが、
Bカットからのトスについての見解などをうかがいました。

今シーズンのパナソニックは、レセプションがAカットで返らなくても、
サイドやパイプの決定力が高いという印象が強かったのですが
岩田選手のお話を聞いて、その理由がわかりました。
チーム単位で「Bカットでのサイドアウト率をどう上げていくか」という
課題に取り組んできたそうです。
練習の成果がこうしてはっきりと試合に表れるのは、
練習効率がよく、選手の理解度も深い証拠です。
パナソニック優勝の理由が少し解明できた気がします。

そもそも北島武選手や柴田恭平選手、阿部裕太選手らが選ばれていた
ジュニアの世界選手権当時から、何度か選抜合宿の取材にはうかがっていたし、
もちろん大学でもVリーグでも、岩田選手のプレーを見るチャンスはたくさんありました。

ジュニア時代の岩田選手の印象は、とにかくアタッカーからの評価が高いセッター。
誰に聞いても「岩田のトスは打ちやすい」という言葉が返ってきたのを覚えています。
これほど一貫して評価が高いセッターは珍しく、
その動向がずっと気になっていました。
気になっていたものの、話をするチャンスがなく現在に至っていたのです。

今回、シニア代表には初選出ということで、今後の合宿でも注目してみたいと思います。

関東は雨が上がりました。
今日は久しぶりに大学バレーを見に行こうと思います。

皆様もよい週末を。

posted by 市川忍 | 09:09 | コメント(4) | トラックバック(0)
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2008年04月14日

全日本登録選手について思うこと

皆様、こんにちは。

ここのところ、前記事に書いた「マネー・ボール」の内容を思い出したり、
野球の日本代表のケースはどうだったかと振り返ったりして、
「選手を選ぶということ」について、いろいろと考えていました。

100人が100人、満足する選手選考というのはあり得ないのかもしれません。
それだけ、人の意見は多種多様です。

先日、22名の「今年度の全日本登録選手」が発表されましたが、それについても、
様々なご意見があるのではないかと推測できます。

わたし自身も感じることがあったのですが、まだ考えがまとまりませんので、
今の率直な気持ちを記しておきたいと思います。

まず、ご存じのかたは多いと思いますが、今回の22名は
OQTのあとに行われるワールドリーグの登録を視野に入れた人数です。
この顔ぶれについては、Vリーグの監督陣や強化委員からなる
テクニカル委員会で承認を得なければ決めることができないので、
多くの賛同を得た人選だと判断していいでしょう。

そして、この22名の中から最終的に、OQTのベンチ入りメンバー12名を決定するのですが、
OQTの登録メンバーは、ワールドカップ時から3名までしか変更することができません。

22名の人選についてはひとまず置いておいて、
わたしは、この「変更可能な3名の枠」は、
使わなくて済むならば、使わないに越したことはないと考えています。
それは、ここ2大会、全日本男子が五輪予選で出場権を逃す姿を、
目の前で見てきた上でたどり着いた意見です。

選手を入れ替えれば当然、セッターとアタッカーのコンビネーションなど、
組織力の再構築が必要になります。

もちろん、代表に呼ばれ、いきなり組織として動けるくらい個々の能力が高ければ、
世界ランク上位国のように代表合宿期間が短くても問題はないのでしょうが、
近年の代表の試合を見る限り、現状で、
日本の選手にそれを求めるのは難しいと感じています。

組織力を高めるためには、ある程度の時間を要します。
そのためにアテネ五輪出場を逃してから今までの
準備期間があったのだと、わたしは思っています。

OQTの開幕までの練習時間は限られています。

22名の中から何人が合宿に参加するのかは知りませんが、
その「貴重な時間」をなんのために使うのか。
新しく代表に入った選手とのコンビネーション練習に使うのか。
それとも、ワールドカップで露呈した課題の修正、
チーム力のより一層の向上のために使うのか。

後者のほうが重要な気が、わたしはしています。

以前、このブログでも優先順位の話を書きましたが、
こういう時期こそチームのプランニングの手腕が試されるのではないかと考えています。

ぜひ注目したいと思います。

posted by 市川忍 | 01:00 | コメント(9) | トラックバック(0)
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2008年04月10日

男子バレー雑感 《貢献度》

今年度の全日本登録選手が発表されました。
ワールドリーグも見据えたメンバー構成でしょうが
復帰組が多いのでかなり驚きました。

さて、このブログで、いろいろと「数字」について語っている記事が多いせいか、
ものすごくマニアックな人間だと思われているかもしれませんが、
基本的にはライブ観戦が好きで、ときには仕事を忘れ、
「試合の行方に一喜一憂してみたい」と憧れています。

……と言いながら、今日も数字の話になります。

過去、決定率、効果率などのお話をしてきましたが、
ひとつ書き忘れていたことがありました。
アタッカーの特徴によっては決定率と効果率が高くなくても、
チームに貢献している場合があるということです。

たとえばサントリーの荻野正二選手、JTの徳元幸人選手や
NECの金子隆行選手などのように、ブロックに囲まれるなどして、
自分にとって不利な状況で打たなければいけないときに、
無茶をせず、リバウンドをとり、味方のチャンスボールにする
テクニックと視野の広さを持つ選手がいます。

リバウンドを取るスパイクは、相手はシャットアウトをねらって手を出してくるわけですから、
かなり高い技術が必要なプレーではないかとわたしは考えています。
レシーバーが待っている位置に確実にリバウンドを返すためには、
多くの訓練を要するでしょう。

ただし、決定率は単純な「決定本数÷打数×100」ですし、
効果率は「決定本数-ミス+シャットアウト数÷打数×100」ですから、
彼らがチームのために「あえて自分で決めようとしなかった」という事実は
公式記録上、見過ごされます。
効果率には多少、表れるかもしれませんが、
打数と決定数は変わらないので、さほど大きな差にはなりません。

たとえ決定率が伸びなくても、チームに貢献していると考えれば、
彼らは高い評価を得るべきなのですが実際、こういったケースは
公式記録では確認できないのです。
となると、首脳陣や見ている人の判断にゆだねられることになります。

野球の打率であれば、バントや犠牲フライなど、
チームに貢献したプレーは打席数から除かれます。
ただしバレーの場合は、そういったプレーの見極め方が
バントや犠牲フライほど簡単ではないため、致し方ないのかもしれません。
(野球も、チームのための進塁打であっても
明らかなバントでない限りは「凡打」と記録されますし)

そんな風に考えているとき、ふと、以前、友人に勧められて読んだ
「マネー・ボール」という書籍のことを思い出しました。
独自の算出方法で選手の出塁率、選球眼の良さなどの「貢献度」を割り出し、
スカウティングに役立て、弱小チームを強化していくメジャーリーグ球団の話です。
チーム編成にかけられる予算(契約金など)が少ないため、
そうやって他のチームとは違う視点で選手を選ぶようになるのがきっかけなのですが、
チーム強化のため、「知恵」と「工夫」がどれだけ武器になるか、
その様子が描かれていて非常に興味深く読んだ覚えがあります。

興味のあるかたはぜひ。

ちなみに今日は久しぶりに球場へ行って生で試合を見ました。
千葉ロッテの西岡選手の走塁技術、データや経験値に基づいた
思い切りのいいディフェンスに感銘を受けました。
ファイティングスピリッツが表に出るところもいいですね。
そういえば、このブログには「ときどき野球も」というサブタイトルがついているのに
なかなか野球を語るチャンスがありませんでした。
これからは、少しずつ、野球についても書き込みたいと思います。

posted by 市川忍 | 00:55 | コメント(2) | トラックバック(0)
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