2007年09月03日

世界陸上2007大阪 女子マラソン

大会開催中の一週間で、一気に気温が下がり、過ごしやすくなった。男子マラソンのスタート時とは打って変わった、女子マラソンのスタートコンディション。好記録、とは言わないが、ペースは速めで推移してもおかしくなさそう。
レース予想は、周が積極的に出て行けば、おそらく文句なく優勝。ただし速いけどレースぶりはうまくなさそうなので、もたもたすると日本人選手にもチャンスか。特に、原がぴったりくっついていけば、転がり込んでくるかも。レース巧者という意味では、シモンやヌデレバは一日の長があるが。土佐は何とか持ち前の粘りで下位から上位入賞を目指して欲しい。

どちらかというと涼しいコンディションにもかかわらず、その後の気温上昇を畏れてか、それともスローのレースしかシミュレーションしてこなかったか、5km18分30秒という入りのペース。大集団でなかよく進行。18分ペースで推移。一応トップをひっぱるのは、土佐と原。コースを知ってる日本人に先を行かせれば、何の問題もなく楽に行ける。あまりにも集団が大きいからか、ヌデレバを中心に少し離れた第二集団も形成される。

御堂筋に入っても第二集団まであわせて30人ほどの大集団は形成されたまま。これは、折り返してからの細い道が走りにくいぞ。集団が少し縦長になって、絞り込むには格好の条件だが、中間点・ハーフを過ぎてもその気配はなし。
23kmあたりの給水直後に原が脇腹を押さえる。あれ、なんかひねった?飲んで急に腹痛って。気づかなかったが、何回か抑えていたんだろうか。そして、そのまま、集団から最初に遅れる日本人となってしまう。おいおい、期待してたのに。

25kmを過ぎて、やっとペースが17分台まで上がり出す。縦長になり、ポロポロと人が減っていく。橋本、小崎もここで脱落。ヤマウチが積極的に前に出たかと思ったが、数キロで脱落。

30kmを過ぎると、ようやく集団は8人に。ケニア3人、中国2人、日本2人(土佐・嶋原)そしてシモン。なんてバランス、というより、チームランニングか。ヌデレバ、周はかなり同僚に気を配って走っている。
35kmの給水で、ケニア勢がいっせいに給水をミスする。完全にストップしたので、これはチャンス、と思ったのだが、誰も動かず。ヌデレバは悠々と復帰。ここで、脚を使わせることができたら、後半の展開は変わったのだが。

ケニアが一人遅れたが、残ったシティエネイがペースアップ。ヌデレバが上げろと指示していた、と解説の増田さんが言っていたが本当か。
しかし、そのペースアップに、シモンと嶋原がつけず、先頭はとうとう5人に。ただ、シモンだけに、つけなかったのか、つかなかったのか、判別できない。

40kmを前にして、まず土佐が遅れる。やや離れてシティエネイも遅れてきたのが、土佐の気力を繋いだともいえるか。先頭に残った3人はなかなか離れないが、でもヌデレバ、周はともかく、朱は抜かないと。土佐、崩れたフォームで、苦しそうな顔(これは最初からか)ながら、粘りの力走。サングラスをしてはいるが、鬼気迫るオーラが出ている。そして公園周回道路に入って朱を捉える。
待てよ、この展開は、数日前にも見たような。そう男子マラソンの尾方のレースが頭をよぎる。怖いのは後ろにいる・・・げ、シモンか。シモンはどこ?、だが、さすがに国際映像、そうそう映してくれない。
トップのヌデレバは周を5秒ほど離してはいるが、まだ勝負は決していないわからない。周と土佐の差は「みるみる縮まって5秒」とかテレビは叫んでいるが、そこまでは行ってない。残り距離とスプリント力を考えると、最後までこの順位かな。周はどうも脚も腎臓も良くないようだが、走りは衰えてはいない。

競技場に入って、それぞれの差が少しずつ開く。最後は気温も30℃まで上がり、消耗は激しい。瀬古スパートは出ない。
ヌデレバが2時間30分37秒で優勝、周が8秒差で二位、土佐は10秒差の三位となった。多くの観客が詰めかけ大声援を送った。北京の内定とかそんなのはどうでも良い。日本チームのムードは後半良くなりつつあったが、やはりメダルがあると評価も違うものだ。いわれのないバッシングも多少はやわらぎ、今大会に臨んだ選手たちの努力が、わずかでも報われるのではないか。

日本選手は、嶋原が大健闘といえる6位。トップと1分差以内でゴールという点も評価したい。原は残念なことに18位。体調が良くなかったようだが、それはそれ、万全の体調で臨んだ選手がほとんどいなかったのだから、粘って欲しかったなあ。

最後に全体的な完走。記録との乖離を見ても、男子のレースより涼しかったのに、記録の乖離は高い。ちょっとレースレベルが低かったのではないか?今大会は気象条件も良くないし有力選手が少なかったとはいえ、もう少し勇気を持ったレースぶりを期待したかった。そうでないと、今日のようなレースでは、順当な人が勝っていってしまう。アクシデントを引き起こすようなインパクトを、特に優勝候補ではない選手たちに期待したかったなあ、と。

ま、でも、日本・日本マラソンによっては、よかった。

posted by ironmouse |13:55 | 陸上 | コメント(0) |
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2007年09月02日

世界陸上2007大阪 第八日:感じられる「壁」と「不完全」をリレーで発散

競技場につくのが少し遅れたが、超満員のお客さんが入って、座席に着くのが困難なほど。昨日までは見えた観客席の空席がほとんどない。非常に良いムードだ。水郷横、簿宇高のピットを横から見る席で観戦。選手団IDのドイツ人が先に来て座っていたが・・・すまんねえ。でも今日は空きないって。かなり涼しく、湿度が低いので、ようやく好記録を期待できそう。


女子5000m

今季世界記録(14分16秒!)を出しているエチオピアのデファが優勝候補の筆頭か。同じレースでケニアのチェルイヨットも世界記録を更新する自己ベストを出しているが、レース内容は完敗している。オリンピックで勝ってもなお「ディババのスパーリングパートナー」などと呼ばれるデファは、まだ獲っていない世界陸上のタイトルを強く願っているはず。

10000mで2位に入ったアベイレゲッセも、乗っているという点では期待できるが、5000mと10000mの両方出場は今のレベルでは相当厳しい。(ディババはヘルシンキで二冠を達成しているが)例えば今回のようなスケジュールの場合、5000mが本命の選手は先に実施される10000mにはエントリーしないだろう。そういうことからも、福士が入賞するとは思ってないけど、でも良いレースをしてほしい。

レースは例によって福士が前に。キロ3分5秒くらいのペースで、序盤の牽制としては早くも遅くもない。こういう福士のレース戦略というのは、よく分からないのだが、後ろでの有力選手にとっては、脚をためつつスパートの機会をうかがううえで、もっとも適したペースなのではないか。3000m過ぎまで絶好のターゲットにされた福士は、劇的なペースアップをされる前に、お役ご免とばかりに集団の後ろに回される。ほんの少ししかペースは上がっていないので、距離的に大きな差はつかないが、「あなたの出番ではない」という意思のある集団がと実力の差をはっきり見せられる。
後ろで耐えて、ペースアップとともに、上がっていくぐらいの展開が出来れば良かったが、やはりノーチャンスだった。

ディファは3000m以降の集団トップの後ろについて絶好の位置をキープ。譲られるようにトップに立っても、集団を崩さずにコントロールしたまま最終周回へ。ラスト200からの段違いの加速で、トップのままゴールへ駆け込んだ。チェルイヨットは食い下がったが、並ぶには至らず二着。三着以降は大混戦となったが、ケニアのチェロノ、キベトがアベイレゲッセをかわし、2-4位をケニア勢が占めた。

結果だけ見ると、入賞ラインが15分3秒だから、福士にとっては自己ベストに近い走りが求められたわけで、あのレース展開ではそれは酷だと言えるかもしれない。でも、キベトは自己新を出して4位だし、福士にとって壁を破るほどの走りが出来なかったのも事実。限界を感じてのマラソン転向は、分からなくはないが、トラックでその壁を越えてほしい。それからでも遅くないのではないか。というより、今から北京のマラソンを狙うとしたら準備期間が少ない。北京までトラックで挑戦してほしくなった。


男子棒高跳び

澤野なき棒高跳び。僕も、この日に、この席を選んだのは、澤野のメダルを期待してだったので、それはまあ残念。周辺の席でもその話題持ちきり(特に後ろのでかい望遠レンズのおじさん達)。とはいえ、興味が失せたわけではない。5m86のチャレンジャーが9人も残っていて、非常に期待(6mジャンプが見たかった)した。エドモントン(6m05)、パリ(5m90)、ヘルシンキ(5m81)と徐々に優勝記録が下がっていってるのも何だかなあというかんじだったので、少なくともヘルシンキを超えて、さあ盛り上がっていくぞ、となったのだが・・・。5m86を超えたのは、ウォーカーとメニルのみ。パスした選手も含めて6人が5m91にチャレンジしたが、誰も超えられずに、試技数での決着と相成る。

不完全燃焼の目立つ競技が多いが、その最たるものとなってしまった。ああ、記録チャレンジが見たかったなあ、と。


男子4x400mR予選

金丸が400mで負傷し、出場できなくなったことから、苦戦が予想はされるが、でも最終日の盛り上がりという点で、開催国は決勝進出しなくてはいけない。三着プラス二の準決勝、実際にはプラスでどうかな、というところだろう。

二組に日本が登場したレースは、一走の山口がやや出遅れたか、直線に入って伸びなかった。しかし二走の石塚がよく頑張った。金丸の同期ライバルがまさかのクローズアップ。勢いはさすがで、後半直線も良く伸びて、望みを繋ぐ。三走が成迫。ここは心配だったが、疲れもある中よくがんばった。四走の佐藤が少し後ろへ回ってしまい、詰まるシーンも見られた。直線に入って抜いてくれるのを期待したが・・・4位でフィニッシュ。

スタジアムは、非常に微妙な雰囲気。着順では取られないので、プラス狙いだがタイムも前組と変わらず、むしろ少し遅いくらいか。ざわざわ。

二組の結果が出る前に、一組の結果が掲示板に。一組四着の英国、五着のドミニカの横には、プラスでの通過を示す、小文字のqが・・・。スタジアムを支配する、これまたガックリというか、あーまたやってもうた感。残念だが、明日は客観的に見るしかないね。
金丸がいたらどうだったか分からないけど、チーム競技なんだからそういうこともある。全体で力をつけなきゃいかんということだね。アテネのことは忘れて、またがんばってほしい。


男子4x100mR

予選通過タイムはアジア記録を大幅に更新して3位の日本。明日のリレー種目への進出が出来なかった以上、今大会トラック最終種目の様相。まずは無事にゴールを、そしてどこかにアクシデントがあればメダルの可能性もあるか。

スタートは塚原が抜群だった。ほとんどトップで(あまり他のチームも見えてないが)末續へ。末續も伸びのある走りで見劣りしない。高平のコーナリングも良く、朝原に渡るまではメダルも・・・と期待されたが、バトンがスムーズに行かず少しロス(したように見えた)、直線に入った時点で5位。追い上げるものの、どのチームも非常に良い走りで、そのままゴール。

トップのアメリカが37秒78は仕方ないにしても、2位ジャマイカが国記録の37秒89、ドイツ、ブラジルまで38秒を切っては、ちょっとレベルが高すぎる。ここに来て良いコンディションで競技に臨めて、一気に爆発したということだろうか?

日本もアジア記録を更新する38秒03。アクシデントはポーランド、ナイジェリアと日本より下位のチームで起こった。リレーは難しい競技なので、連続して入賞し続けること自体、賞賛に値するはずだ。しかもスプリント。

誉めたって~。

posted by ironmouse |14:11 | 陸上 | コメント(0) |
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2007年09月01日

世界陸上大阪2007 第六日:「積極的」と「逆転」で醍醐味を堪能

第四日の記事が飛んでしまったがそれはさておき。

自由席での観戦。また棒高跳びや走り幅跳びのピットに近い方で見ようかと悩むが、気分を変えようとバックスタンドでゴールラインのよく見えるところに陣取る。外国人と、マスターズ関係の年配の方が比較的多い。


男子棒高跳び予選

棒高跳びのピットを避けたのは、澤野の予選はすぐ通って終わるだろうから、と言う理由だったが、最悪の形で予想は外れた。
5m55を二回失敗、パスして臨んだ65も失敗で記録なし。オフィシャルでメダルに近いとされた日本人はマラソン抜きで、室伏、為末、澤野だったのだが、登場順にどんどん悪くなっている。

脚がつるのは澤野ははじめてではないから、単に調整に問題があるとは一概に片付けられないが、これだけ体調が整わないでチームが大会に臨んでいるのだから、何とかケアしないと。力を出せずに負けるというのは、能力が低くて負けるよりも、初歩的で致命的な低レベルのミスだと認識すべきだ。


女子400mH決勝

あまり興味を持ってみてはいなかったのだが、世界記録保持者のロシアのペチョンキナが出ており、記録でないかな、ぐらいの気持ちでみていた。レースはオーストラリアのローリンソンが小気味よく前半積極的にとばす。ペチョンキナはバックストレートで少し力を入れてペースを上げ、三コーナーで早くも二人のマッチレース。

男子のレースから女子の予選まで、繰り返し「400mHは途中でペースアップしたらかならずダウンするからだめなんです、為末と同じミスです」との解説を聞いてきて、刷り込まれている。ああロシア大丈夫かなあと思っていたが、直線向いてから差が開く。

しかしペチョンキナの失速と言うよりは、ローリンソンが伸びている(落ちない)というか力強くてリズムが崩れない、非常にバランスがいいままゴールに飛び込んだ。なんでも昨冬に出産したばかりとのこと。おそれいります。精神的な強さと言うか、経験値というのは、競技から得られるものばかりではない。陸上も人生の一部、強い人生を送れるかどうか、だ。


男子走り幅跳び

正直選手を知らないので、真っ白な気持ちで観戦。パナマ人が世界ランク1位かー、お、8m30ってすげーな。という子供じみた観戦で澤野ショックの心を洗おう。東京の世界陸上でパウエルとルイスが世界記録で逆転劇をやってたな。当時高三だった僕は感動してテレビの前で泣いてしまった。あれぐらいドラマチックだったら、情報なしでも感動できるよなー。

競技はそのパナマのサラディノが、三回目に8m46をとんでトップに。試技のはじめは風も良かったので記録も伸びたが、エイトになってからは、順位の変動もほとんどなくなった。このまま終わりかなーと思っていたが、世界の舞台に臨む選手たちの集中力を見くびってました。

六回目イタリアのハウ8m47を跳んでトップに。いや、すげー跳んだ。その前のアメリカのフィリップスもすごい跳んだように見えたが、踏み切りを相当余らせたらしくて、記録は伸びていなかった。そう、助走路の後ろ目から見ていると、跳んだ距離が長いかどうかはわかるが、砂場でどの位置に落ちたかが判断できない。モニター見れば良いんだが、つい跳んでいる方をみてしまう。でも、ハウはすごかった。実際1cm差なのだから、トップに出たかどうかは計測を待たないと分からないのだが、とにかく絶叫、吠えまくって歓喜していた。この歓喜が僕は好きだ。勝った負けたの歓喜ではなくて、自分の力を出せたことの歓喜。力を出すためにトレーニングして、調整して、集中して競技をして、最後に力を発揮できた歓喜。

しかし、それだけでは終わらなかった。最終跳躍となったサラディノは、これまた大ジャンプを披露。結果が出る前から、サラディノは歓喜し、ハウは素直に拍手で讃えていた。8m57という好記録で再逆転の優勝。いやー、興奮したわ。


男子800m予選

一組目のトップが1分46秒フラットと、非常にはやいタイムでの決着だったのを皮切りに、後続の組も全てハイペースの予選となり、見応え十分だった。とはいえ、今シーズンタイムで1分44秒を切っている選手たち、一位の南アフリカのムラウジから、出場していないウェッブをのぞき、三位のカメル、四位のラルー、五位のリードまで、各組で1位で通過しているのはさすがだった。

ところで、5組に登場した横田選手は、なかなか積極的な走りで会場を沸かせてくれた。まあおそらく多くの人は、通過できるとは思っていなかっただろうけれど、中盤までの奮闘と、後半粘って7位でフィニッシュしたことが、見ていて非常に気持ちの良いレースだった。結果的にも、この組の5着までプラスで拾われて準決に進んだので惜しいところまで、レースを作れたともいえる。

そして、どのくらいの人が気づいたのかしれないが、1秒以上更新する自己ベスト!これはすごい。本当に嬉しかった。800mは、僕と同期のスーパー陸上選手だった小野選手の記録が残っている。ぜひ更新してほしいものだ。場内の解説の人は、福士みたいにアフリカ行ってこいって言ってたけど。


男子5000m予選

ランクトップのベケレとシヒネが欠場。
一組目はスウェーデンのショークビストが独走して逃げ切りをはかるが、4000mまで後ろで遊んでいた集団が、あっさりと抜き去ってスプリントレース。ベケレ弟と、エスパーニャというスペイン人(日本人なら「大和」か?)、ラガトなどが通過。ショークビストは35歳。なんていうか、味のある良いレースぶりだった。日本の三津谷は、たれたショークビストさえ抜けずに、14分台。

二組目は逆に非常に目まぐるしく構成が入れ替わりつつペースは安定したレース。日本の松宮兄が4000mのラップをゲットするが、それに怒ったキプチョゲ以下の集団が一斉にペースアップ。一周持たずに松宮は撃沈。短命だった。レースはキプチョゲが貫禄の一位通過。

5000mはもはや日本人の距離じゃないことは分かっているので、まあ仕方ない。今一番おもしろいのは5000mじゃないかな、と思うので、決勝が楽しみだ。


posted by ironmouse |15:32 | 陸上 | コメント(0) |
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