2009年04月25日

鉄人とタフィ

 野球選手の多くは、年齢を重ねるごとに円熟味を増すものである。力に頼るのではなく、熟練の技で体力的な衰えを補う。それが第一線で活躍を続けるための最も自然なすべだ。しかし、中には例外も存在する。金本知憲(阪神)とローズ(オリックス)がその代表だ。ともに1968年生まれの二人は、40歳を超えた今もなお、球界屈指の長距離打者として君臨し続けている。

 
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 彼らの長打力には陰りが見えない。金本は2005年、37歳にしてシーズン本塁打数の自己記録を更新し、ローズはいまだに年間40本塁打以上を連発する。年齢別(各年度終了時)の成績比較でも、両者の数字は衰えを知らない。特にローズは驚異的で、39歳以降の「IsoP」が最も高い。これは打率と長打率の差を表すもので、打者の純粋な長打力を測るための指標だ。金本も持続傾向にあり、両者はまさに年齢を感じさせない打棒を維持している。

 二人に共通する点は、今季再び自己最高のシーズンを送る可能性があることだ。4月19日現在、金本は14試合で8本塁打、ローズは14試合で7本塁打と絶好調ぶりを発揮している。単純計算にすると、それこそ非現実的な数字が飛び出す。果たして、実際にシーズンを終えたとき、彼らの本塁打数はどこまで伸びているのだろうか。単なる「40代の星」では片付けられない二人に、より一層の熱視線が注がれる。


posted by 山田 隼哉 |01:41 | 日本プロ野球 | コメント(2) | トラックバック(1)
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2009年04月15日

育成ドラフト

※データは4月15日現在

 昨年行われた育成ドラフトで、過去最多の26人が指名された。2005年から始まった同制度でこれまで指名された人数は59名。初年度は4球団計6名の指名に留まったが、年を追うごとに確実に参加球団・指名数を増やしている。これまで指名選手から拒否された球団も無く、同ドラフト出身者の一軍での活躍も徐々に増えてきた。制度定着に向け、まず順調に歩を進めているといっていいだろう。
 どういった選手が指名されてきたのか。どのような成果を挙げてきたのか。今年で5年目を迎える育成ドラフトを、振り返ってみたい。

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 まず、球団別指名者数を見て欲しい。初年度から毎年指名を行っている球団は巨人と広島。そのうち巨人は4年間で計15選手を指名し、12球団でトップの指名数となっている。昨年新人王を獲得した山口は同ドラフト出身者であり、初年度に球団で唯一指名された選手。山口は今やチームに欠かせぬ戦力としての地位を確立し、先日のWBCでも日本代表として大会連覇に貢献するなど大きく飛躍を遂げた。この山口の成功が巨人の球団運営に与えた影響は、決して小さくないだろう。
 指名数で巨人に次ぐのがロッテ。05年、06年と同ドラフトへの参加を見送っていたが、方針を転換したのか07年、08年の2年間で大量13選手を獲得。昨年には日本独立リーグのパイオニアであるアイランドリーグの球団買収を検討、という球団関係者の発言が新聞紙上を賑わせたこともあった。
 対照的に、これまで一貫して育成選手を指名していないのが西武と日本ハムの2球団。球団の方針として参加を見送っているのか、それとも同ドラフトで獲得したい選手がそもそもいなかったのか。現時点で、両球団とも育成選手制度そのものを利用していない(外国人選手、自由契約選手等一部該当選手は育成ドラフトを経ずとも育成選手として登録可能)。

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 指名選手の出身カテゴリ別に見ると、高卒選手が17人で最多。16人と僅差の2位に大卒選手となっている。高卒選手は近年急増しており、初年度の指名ゼロから昨年は過去最多の9名が指名され入団している。
アイランドリーグ・BCリーグからなる独立リーグ出身者は14名で3番手。毎年安定して選手を供給しており、プロへの登竜門として一定の成果を出している。2009年からは、日本3番目の独立リーグとして関西地方をフランチャイズとする関西独立リーグもスタートする。

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 ドラフト指名を経て、一軍出場を果たした選手はこれまでに8名。前出の山口(巨人)をはじめ、小斉(ソフトバンク)、内村(楽天)、中村真(楽天)など活躍が期待される有望な面々が並ぶ。支配下登録のみで一軍未出場の選手を加えると、1/4弱の選手が球団から戦力として認められていることになる。
一方で、既に球団から解雇され退団した選手は9名。05年、06年に入団した選手の半数近い選手が、この世界からの退場を余儀なくされている。育成ドラフトによる指名は、プロ入りの夢を果たすのと同時に、いつ首を切られてもおかしくない過酷な競争の始まりをも意味している。

 昨季の山口の活躍で、育成ドラフトの意義が少なからず見出された。そうした意味で同制度にひとつの区切りが付いたといっていいだろう。今秋も各球団は第二・第三の山口を求め、新たな育成選手の獲得を目指すことは間違いない。今後の課題として、より機能的な育成環境を構築し、いかにして選手の成功確率を上げていくのかが問われていく。「フューチャーズ」(※注1)や「シリウス」(※注2)といった、球団の垣根を越えた混成チームの結成はその好例だろう。
選手も制度も、大事なことは「結果を出すこと」。ゆっくりと動き出した球界の新たな潮流に、今後も注目していく必要がありそうだ。

(※注1)
2007年から行われている「イースタン・リーグ チャレンジ・マッチ」。イースタン・リーグ7球団が育成選手を含む若手選手の混合チーム「フューチャーズ」を結成し、イースタン各球団や社会人チーム、独立リーグ等と対戦を行っている。扱いとしては非公式戦だが、より多くの若手選手の出場機会創出を図っている。

(※注2)
多数の育成選手を抱える巨人・ロッテの両球団で結成した連合チーム。2009年から運営がスタートし、主に社会人チームと年間24試合の対戦を予定している。これもまた若手に実戦機会を与えることを主眼としている。


posted by 佐々木 浩哉 |19:54 | 日本プロ野球 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2009年04月09日

クルーンとマイケル

※文中、表中の数字および所属球団は2008年度終了時点

 たかが抑え、されど抑え――。巨人にとって、絶対的守護神の確立は長年の鬼門だった。近年は主力先発投手にその座を託すなど、守護神不在による負担増が相次いだ。クルーンの獲得は、その打開策だった。彼が巨人の抑えとして責務を果たせば、チームが長い間抱えてきた悩みは自然と解消されるだろう。
 しかし、クルーンの活躍は、全幅の信頼をおいて保障できるものではない。四球を連発しては崩れる自滅症がその主たる原因だ。マイケル中村の加入により、救援陣の起用法はますます多様化する。抑え投手の選択肢も一つだけではなくなるはずだ。果たして、「守護神・クルーン」は最善の策といえるのだろうか。

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 クルーンは本塁打を打たれない。三振を奪う能力も素晴らしい。抑え投手として、必要不可欠な要素を兼ね備えている。被本塁打率と奪三振率は、いずれも巨人救援投手のなかで群を抜く数字だ。
 しかし、制球力の低さがそれらを打ち消してしまう。クルーンの与四球率は、上記表に挙げた5投手中最悪で、豊田清と比べると約4倍にも及ぶ四球の多さだ。この独り相撲を脱しなければ、首脳陣が望む安定感を実現することはできない。
 さらに、「LOB%」にも大きな弱点がある。これは、自身が許した走者をいかに生還させなかったかを表す指標だが、クルーンのそれはNPB平均値をも下回っているのだ。粘り強さに欠け、走者を背負うとたちまち失点の危険性が高まる。抑え投手としての信頼を得る上では、致命的ともいえる欠点だ。

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 一方、マイケルの成績には大きな穴が無い。あらゆる面で平均値以上の数字を残し、年度別の防御率も安定している。さらには、おおよそ1イニングあたりの許出塁数を表す「WHIP」、そして与四球率もクルーンと比べ良好だ。これに加え、失点を防ぐ能力が高い。過去4年間の「LOB%」が示す両者の差は歴然だ。背負う走者が少ない上に、それを生還させない粘り強さも持ち合わせる。救援投手として、マイケルの投球がどれほど信頼性の高いものであるかは明白だ。

 もちろん、クルーンの奪三振能力や、本塁打を許さない圧倒的な球威は捨て難い。この2点においては、マイケルも遠く及ばないのが実際だ。しかし、一芸に秀でているだけでは、絶対的守護神の重責は務まらない。昨年までのデータをトータルで評価するならば、抑え投手として適任なのはおそらくマイケルだ。球界屈指ともいえる救援陣の歯車が狂ったとき、巨人は正しい選択をすることができるだろうか。それは、決して小さな問題ではない。


posted by 山田 隼哉 |19:12 | 日本プロ野球 | コメント(5) | トラックバック(0)
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2009年04月02日

初球

※データ及び所属球団は2008年シーズン終了時点
※データは全て2008年の数値を使用


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 早いカウントで追い込むことで、グっと被打率・被本塁打を引き下げることが可能になる。対戦の中でどうにかして2ストライクまで追い込んでしまえば、80%以上の確立で打者は凡退してくれるのだ。だからこそバッテリーは、ストライク先行のピッチングを目指し配球を組み立てる。カウントを考える上で、平行カウント、とりわけ初球の持つ意味合いは意外なほど大きいといえる。

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 バッテリーが初球にどの球種を選択しているのかを表したのが表2だ。左右投手とも半数近くストレートを配し、比較的コントロールしやすいスライダーが20%強で続く。ここで注目したいのがカーブ。特別目立った投球割合ではないが、こと見送りストライクの期待値に関しては全球種中で最も高い数字を示しているのだ。

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 打ち気満々で打席に入ったものの、初球のストライクゾーンに投じられたカーブをつい目で追ってバットが出ない打者…というイメージを浮かべた方もいるかもしれない。安全にストライクが欲しい場面において非常に有効であり、打ち気を逸らすという意味でも積極的に使っていきたいボールだ。
 最も投じられているストレートは見逃し率30%強。投球割合の高さから考えれば、そう悪い数字ではない。ただし打者が明白に初球ストレートを狙っている場面や、コース・高さを意識せずに投じると危険なボールとなりやすい。

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 初球ストレートは長打の出やすい真ん中から高めのコースに集まり、甘くなりがちなのだ。まずはストライク、とばかりに漫然とストレートを投じると手痛い一打を被る可能性が高い。打ち気にはやる打者に対しては、フォーク・チェンジアップといったスイング率の高い落ちる球で誘いを掛けてみる、などの工夫が必要だろう。逆に打者は打ち気の無いそぶりを見せておき、甘く入る初球ストレートにヤマを張る…という心理作戦が有効となるかもしれない。

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 打者を個別に見ていくとブラゼル(西武)、セギノール(楽天)の二人が50%を超えるスイング率で1位2位。このような打者に対しては、まともにストライクを取りにいかずに誘い球やボールゾーンを上手く使った配球が必要となるだろう。逆に紺田(日本ハム)、金子(日本ハム)といった振ってこない打者に対しては、多少置きにいったとしても積極的にストライクを取りにいくべきとなる。長打力のある選手は初球から積極的で、巧打に長けた選手は待球志向になりやすい、というのがごく大まかな傾向となるだろうか。
 
 当たり前の話だが、どんな投手でも、どんな相手に対しても必ず投げるのが初球。であればこそ、明確な意図を持って投じることが求められる。初球の勝負をものにすることで、バッテリーは打者に対して優位に立つことが可能となるのだ。


posted by 佐々木 浩哉 |06:57 | 日本プロ野球 | コメント(2) | トラックバック(0)
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