2009年03月23日

消極打法のすすめ

※文中、表中の数字および所属球団は2008年度終了時点

 相手投手に付き合わない打者は優れている。打率よりも出塁率に価値を見いだすならば、このような理論が確実に成り立つ。「付き合わない」とはすなわち「遅打ち」「消極的な打撃」を意味するのだが、それが出塁率とどのような関わりを持つのか、以下のデータを基に解説していこう。


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 消極的な打撃は四球出塁の確率を格段に高める。上表は各打者の1打席における平均投球数を降順で表したものだが、その上位10名の四球割合はいずれもNPB平均値を上回っている。出塁率を向上させる上で、安打よりも四球を重要視するならば、彼らの成績はより価値の高いものといえるのではないだろうか。また、併載したストライク・ボールゾーン別のスイング率からもわかるように、消極的な打者は結果的に悪球への手出しが少ない。これはまさしく相手投手に「付き合わない」姿勢であり、出塁機会の増加を大きく助ける要素なのだ。


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 一方、積極的な打撃は高打率を生むことが多い。平均投球数下位10名の中には、昨年の両リーグ首位打者が顔を並べた。早いカウントから仕掛ける積極性が安打の量産につながったのだろう。しかし、それに伴いボール球のスイング率も上昇し、四球による出塁機会の増加を妨げている。そのため彼らの出塁率には、打率を大きく上回る数字が望めず、冒頭で述べた概念に従えば、必ずしも理想的な成績ではないというわけだ。

 もちろん、安打を積み重ねることで優れた出塁率を残す打者は存在する。だがその多くは、四球による出塁機会を得られない傾向が強い。あくまで「出塁率至上主義」を掲げるのなら、彼らの評価にも少なからず再考の余地があってしかるべきだ。打者の価値は、決して“打つ”ことがすべてではない。――消極性だって、武器になるのだ。


posted by 山田 隼哉 |16:57 | 日本プロ野球 | コメント(5) | トラックバック(0)
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2009年03月16日

相性(2)

※データは2008年シーズン終了時点

 前回のセ・リーグに引き続き、今回はパ・リーグで相性を探りたいと思う。今回もアウェーでの投手成績を球場別に見ていくのだが、それに加えて、各投手の本拠地球場での対戦チームとの成績を合わせて見ていきたい。

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 まずは西武ドームから。上位5人のうち3人をオリックスの投手が占めた。データ上で見る限り、西武ドームでは小松-本柳-加藤は鉄板の投手リレーである。また、1位の日本ハム・建山はホームでの防御率、被打率が際立って悪かったが、西武ドームとの相性は良いようだ。

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 続いて京セラドーム。1位には西武・岸がランクインした。岸にとって京セラドームとは、昨年7連勝中と勢いに乗るオリックス打線を沈めた場所であり、2007年にさかのぼれば、プロ初勝利を挙げた場所でもある。好成績とは別に思い入れが深い球場なのかもしれない。

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 次は札幌ドーム。ここで相性が良かったのは楽天・田中。防御率、被打率はやや平凡ではあるが、高校生活を過ごした北海道の地でホームよりも良い成績を収めた。ランキング外では投手三冠を達成した楽天・岩隈が、防御率4.26、被打率.279と札幌ドームが最も成績の悪い球場であった。

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 続いては千葉マリンスタジアム。1位の建山、3位のオリックス・川越の2人が、防御率、被打率ともにホームとの差が大きく、千葉マリンスタジアムとの相性が良かったことをうかがわせる結果となった。

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 次にクリネックススタジアム宮城。相性の良さを見せたのは小松、武田勝の両先発投手であった。昨年は両投手とも3試合に登板し、小松は3勝、武田勝は2勝を挙げている。

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 最後にヤフードーム。同率1位に中継ぎ右腕3人がランクイン。特に武田久は昨年防御率4.40、被打率.285と不調であったが、ここでは防御率0.00、被打率.174と格別に相性が良かった。


 2回に分けてセ・パ両リーグの投手と球場の相性をデータで見た。セ・リーグはデータが不十分であったと思うが、ざっくりと「相性」を見ることができたと思う。
個人的には西武ドームの小松-本柳-加藤に注目してみたい。


posted by 伊藤 順平 |19:05 | 日本プロ野球 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2009年03月08日

投球数別成績早見表

※文中、表中の数字および所属球団は2008年シーズン終了時点

 どれほど優れた投手であっても、自分のベスト投球を常時継続することは容易ではない。直接の対戦相手はもちろんだが、そのほかにも得点差や塁状況など、さまざまな環境が彼らの難敵あるいは追い風となり得る。中でも、一試合における投球数の多少は、彼らのピッチングに大きな影響を与える要素の一つだ。当然ながらその影響の受け方は投手によって異なるが、実際に数字としてはどのように表れているのだろうか。今回は、投球数にまつわるデータを早見表形式でご紹介しよう。


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 上記の表は、昨季規定投球回に到達した全29投手の被出塁率を投球数別に算出し、各項目の上位3名を赤字、下位3名を青字で示したものである。各投手の数字が何よりの参考資料だが、その中でも特に興味深い傾向が表れた数名を取り上げたい。

 今や先発完投型の代表格にまで名を上げたダルビッシュ有(日本ハム)は、60球以前では最も優れた被出塁率を残しながら、61~90球の成績は平均値並みに“低迷”している。投球数の多少は、国内最強右腕にもこれほど大きな影響を及ぼしていたのだ。
 さらに顕著な例を挙げると、昨年の日本シリーズで一躍脚光を浴びた岸孝之(西武)や、WBC日本代表左腕の杉内俊哉(ソフトバンク)にも、大きな数字の波が表れている。特に杉内は、61球以降の成績が90球目を境に1.5割近く改善されるなど、全29投手の中でも極めて特徴的だった。

 多くの投手が投球数の影響を少なからず受けることが実証されたが、この中で唯一、小松聖(オリックス)だけが全ての球数帯で被出塁率.280以下の好成績を残している。昨季の小松は中継ぎでの登板も含んでいるが、投球数の多少に左右されにくい安定感をうかがい知るには十分なデータだ。特に61~90球での成績は全29投手の中でも群を抜く数字で、球数を重ねてもパフォーマンスが低下するどころか、むしろ大幅に向上していることがわかる。稀だが、投球数の影響を味方につける投手も存在するのだ。

 これらが今回の検証で際立ったデータだが、そのほかにもルイス(広島)や成瀬善久(ロッテ)、グライシンガー(巨人)など興味深い傾向を示す投手が何人か見受けられた。シーズン開幕まで残りあとわずか。今季も投手の成績と投球数は密接な関わりを持つだろう。昨年のデータを参考に、引き続き彼らの投球を追いかけたい。


posted by 山田隼哉 |23:29 | 日本プロ野球 | コメント(4) | トラックバック(0)
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