2009年01月24日

外国人選手獲得の指針

 NPBでプレーする外国人選手の獲得方法は大きく分けて2通りある。MLBやMLB下部の3A、韓国リーグや台湾リーグなど海外のリーグ、或いはアマチュア(主にアジア圏)から新規にスカウトする手法と、NPBの他球団に所属していた外国人選手と契約を結ぶという手法だ。後者については更に2つに大別することができる。球界トップクラスの成績を残し、より良い契約条件を求めて移籍するパターンが一つ。もう一方がケガや不振により契約条件に見合わず、あるいは外国人選手枠の関係や首脳陣との軋轢(あつれき)等により再契約を見送られて放出された選手を他球団が獲得するというパターンだ。
 巨人のラミレスやグライシンガー、中日のウッズなどに代表される高額契約で他球団に移籍した選手はやはり好成績を残す確率が高く、チームへの貢献度は非常に高い。しかし、金額に見合う活躍ができなかった時にはダメージが大きく、また一般のファン(自球団のファンも含め)の獲得球団に対する心象の悪化は避けられないというデメリットがある。その点、諸々の事情により放出された選手を他球団が獲得する手法は、往々にしてある程度のディスカウント価格で契約を結ぶことが可能で、ファンの心象を損なう危険性も低い。その上、日本球界を経験していることで新規に海外から選手を獲得するよりも一定の成績を見込むことができ、いわゆる大外れという結果を引き起こす可能性は低くなる(仮に活躍できなかったとしても前述の理由によりダメージは小さい)。近年、この外国人選手獲得の指針を明確に採用している球団がオリックスだ。

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 オリックスは06年オフ、巨人退団後アメリカに帰国していたローズを獲得。30代後半の年齢に加え、半引退状態にあったローズの獲得を疑問視する向きもあったが、シーズンに入ると42本塁打を記録するなどチーム不動の4番として君臨。08年は西武から放出されたカブレラと強力コンビを形成し、自身3度目となる打点王を獲得する活躍でチームを2位に押し上げる原動力となった。衰えを指摘されていたカブレラも通算4度目となる3割30本100打点を達成。前年3番として27本塁打をマークしたラロッカ(広島→ヤクルト→オリックス)はケガの影響でシーズンの大半を棒に振ったが、実績を考慮され今季もチーム残留が決定した。

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 投手ではデイビー(広島→オリックス)がケガの影響により昨年途中で自由契約となったものの、06・07年の2年で18勝を挙げ先発ローテーションとして活躍。2年通算の防御率も2点台と優秀で、昨年を除けば投資に十分見合った働きを見せた。

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 オリックス以外では楽天もこの手法で成功している。昨季首位打者を獲得したリックは03年千葉ロッテでプレー後、アメリカに帰国しマイナーでくすぶっているところを05年オフに楽天が獲得。以来毎年3割を超える安定した打撃で首位打者のタイトル争いの常連となった。昨季限りで退団となってしまったが、フェルナンデス(ロッテ→西武→楽天→オリックス)も3年間を通じてまずまずの成績を残し、チャンスに強い中軸として機能した。また、昨季途中に獲得したセギノール(オリックス→米3A→日本ハム→米3A→楽天)は出場試合数を超える打点を記録し、少ない打席数ながら13本塁打。これを規定打席数に換算すると約37本塁打となる計算で、長打力に乏しいチーム事情にあって来季も非常に頼りになる存在だ。

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 一風変わっているのがロッテのシコースキーの存在。米国に復帰してMLBなどでプレーした06年を除き、01年から7年に渡り3球団に所属。毎年ほぼ確実に戦力となり、昨年も自己最高の防御率2.23を記録するなどセットアッパーとしてフル回転の活躍を見せた。

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 09年環境を変えてシーズンに臨むのは上記の選手。この中で注目したいのは02年巨人でプレーしたワズディンだ。NPBでは1勝に留まり、1年限りで退団とインパクトを残すことができなかった。アメリカに帰国後、3Aでのプレーが中心ながらMLBで計70試合に登板。37歳となって再び踏む日本のマウンドで、どのような投球を見せることができるだろうか。
 オリックスは今オフも積極的に他球団の外国人選手の獲得に動き、前阪神のボーグルソン、前楽天のフェルナンデスを獲得。阪神ではポテンシャルの高さを認められながらも不完全燃焼の印象を拭えなかったボーグルソンだったが、リーグを変えて心機一転、先発ローテーションの一角として期待される。フェルナンデスは国内4球団目の入団。これまで残した実績は申し分無く、ローズ・カブレラ・ラロッカと強力外国人カルテットを組んで更に破壊力を増した打線を構築しそうだ。

 「戦力外」外国人選手獲得の最大のメリットはコストパフォーマンスの高さ。また副次的ながらメリットとなるのがFA権の存在だ。NPBでは外国人選手でも8年(出場選手登録日数145日で1年に換算)プレーすれば国内FA権を取得でき、通常一軍出場登録は4人までとされている外国人選手枠から外れて日本人選手と同じ扱いとなる。オリックスのローズは権利を取得しているため枠に縛られず、カブレラも今年中に取得する見込みであり、これによりチームはより多様なオーダーを組むことが可能となる。8年というハードルの高さがあり対象選手はごく一部に留まるが、これを上手く活用できればチームにもたらすメリットは極めて大きい。
 「宝くじ」とも揶揄される外国人選手の獲得。MLBで実績を残していれば必ず活躍する訳でもなく、とにかく数打てば当たるというものでもない。外国人スカウティングの難しさは今も昔も変わらず、成功と失敗を繰り返していくしかなかった。その中にあって、ここ数年のオリックスによるNPB経験のある他球団の外国人選手を集めるやり方は徹底しており、満足のいく結果を残すことで新たな外国人スカウティングモデルを確立しつつある。資金力に限界のある球団にとってこの合理的な手法は魅力的であり、多くの球団が現在、そして今後のオリックスに注目していることだろう。近い将来、NPBでプレーする外国人選手の流動化がより活発化する、ということも大いにあり得る話といえそうだ。


posted by 佐々木 浩哉 |12:31 | 日本プロ野球 | コメント(2) | トラックバック(0)
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2009年01月17日

打線の見方

 トップバッターというのは『リードオフマン』とも呼ばれ、野球の打順において非常に重要な役割を担っている。元来トップバッターの理想としては“出塁能力が高い・俊足”と言われている。これらを量る指標も大事だが、1番打者の出塁がどれぐらい得点に結び付いているかが、そのチームにおける打線の良し悪しを量る上での重要な数字となってくる。そこで、まずは日本ハムのリードオフマン・森本のデータを紹介しよう。

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 この表を見て気付くことは、チームがリーグ優勝を果たした06・07年と、3位に終わった去年との差である。昨年はイニング先頭時出塁率も下がり、さらにはイニング先頭出塁時の得点確率も下がっている。要するに、昨年は06・07年と比べて、森本がリードオフマンとしての役割を全う出来ず、さらにはイニング先頭で出塁したとしてもその後の打線がつながらず、森本をホームへ迎え入れることが出来なかったのだ。3番を担っていた小笠原が06年オフに巨人へ移籍し、さらに07年オフには4番のセギノール(現楽天)がチームを離れたことを如術に表しているデータである。リードオフマンが出塁できず、クリーンアップも機能していなかったことが昨年12球団ワースト得点の最大の要因で、さらにはシーズン3位に沈んだ原因と言えよう。

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 続けて、昨年リーグ優勝を果たした西武と巨人のトップバッターも同じように見てみたい。もちろん両者の球界を代表する走力の高さも影響しているが、やはりクリーンアップが充実していた両チームは、トップバッターがイニング先頭で出塁すれば高い確率でホームへ還ってきていた。また、鈴木尚に関しては高い出塁能力を発揮していた。リードオフマンが出て、それをしっかり還す。こういった基本とも言える攻撃を、いかに出来るかがやはり重要となってくる。

 トップバッターのイニング先頭時出塁率とイニング先頭出塁時得点確率、この二つの数字だけでそのチームの上位打線がいかに機能していたかが見えてくる。そして、それらの数字がチームの勝敗を左右する大きな要因となる。2009年のペナントレースにおいても、トップバッターのこういった数字が各チームの命運を握ることになるだろう。


posted by 由井 一成 |04:32 | 日本プロ野球 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2009年01月07日

セオリーに従うべきか?

                                                       ※データは2008年シーズン終了時点

 野球だけに限らず、あらゆるスポーツにセオリーというものが存在する。今回はその一般常識とされているものが本当に正しいのか、その一部を検証してみたい。

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 「右投手には左打者、左投手には右打者が有利」という事は野球経験のある人なら誰でも聞いたことがあるだろう。昨年のNPB全体の成績を見ると分かるように、わずかな差ではあるが確かに上記の通説が正しいと言える。

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 しかし、全ての選手に当てはまるかと言えば、それはまた別の話である。上記の表は昨年NPBにおける、左打者の対左投手、右打者の対右投手の打率ランキングである。両ランキングにてトップのヤクルト・青木と横浜・内川を除く全選手が、それぞれ打席とは逆の利き腕の投手との打率より、打席と同じ利き腕の投手との打率の方が高く、セオリーとは逆の傾向となっている。しかも、左投手を得意としている左打者は巧打者タイプの選手が並んでおり、逆に右投手を得意としている右打者は主に長距離砲が並んでいるという点も興味深い。どちらかと言うと、右対右の結果の方が意外と感じる人が多いかもしれないが、ここまできれいに傾向がはっきり出ると面白い。もちろん、もっと検証の余地はあるが、一つの傾向として、巧打者タイプの左打者にはあえて右投手を、右の長距離砲にはあえて左投手をぶつけることも作戦の一つと言えるのかもしれない。

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 また、「無死一塁ではバント」というのも野球のセオリーのひとつであろう。進塁成功率に着目すると、バントは84%と走者を進塁させる確実性は非常に高い。しかし、それが得点に結び付くかといった肝心な部分を見てみると、得点確率はヒッティングとバントで同じ確率であり、さらに平均イニング得点で見てみると、なんとヒッティングの方が高い数値となっている。ヒッティングに出た場合、バントよりもリスクは高くなるのだが、ヒットでつなぐことができれば少ないアウトカウントで好機を迎えることができる。バントによって得点圏にランナーを置き、守備側にプレッシャーを与えるなど、数字には出てこないバントの重要性はあるのかもしれないが、走者を進ませることが目的ではなく、得点を奪うことが目的である以上、バントよりもヒッティングの方が得策と言えそうだ。現に、世界最高峰のメジャーリーグでは、バントよりもヒッティングという文化で“ベースボール”が繰り広げられている。


posted by 伊藤 順平 |22:43 | 日本プロ野球 | コメント(6) | トラックバック(0)
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