2012年02月10日

ウサギとカメ ~打者と投手の争い~

 「ウサギとカメ」をご存じの方は多くいるだろう。ウサギとカメが目的地を目指して競争し、足の速いウサギが油断して昼寝をしているすきに、カメがゴールしてしまうという話である。昨季のプロ野球を振り返ると、ついこの話を思い浮かべてしまうのだ。

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 昨季のプロ野球は、「投高打低」が顕著に表れた。2010年は、長打率が4割を超えた一方、防御率も4点台と、過去5年と比べると「打高投低」のシーズンと見てとる事ができる。しかし、昨季の長打率は3割台中盤まで下がり、逆に防御率は1点近くも良化したのだ。昨季導入された「低反発球」の恩恵を受け、“カメ”は「打高投低」を見事に覆したのである。

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 特に投手においては、驚くべき変化も見ることができた。防御率1点台の投手が2010年の1人から、6人にまで急増したのである。1点台の投手が6人も誕生したのは、1965年以来で46年ぶりの快挙となった。

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 一方、打者はというと、2009、2010年と両リーグ合わせて1500本以上の本塁打が飛び出したのに対し、昨季は939本に減少。52年ぶりに1000本を割る結果となった。また、シーズンで30本以上放った選手もわずか2人に減るなど、決して打者が油断したわけではないが、完全に投手の後塵(こうじん)を拝してしまった。

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 そんな打者であるが、シーズンを通して苦しんだわけではない。9月以降の長打率を見ると、半数以上のチームがそれ以前よりも数字を上げていたのだ。シーズン終盤と時期的には遅かったものの、低反発球に慣れてきた証しともいえよう。

 「ウサギとカメ」には続きがあるのをご存じだろうか。「カメに負けたウサギは、恥さらしだといわれ、仲間から追われる。しかし、その仲間を狙うオオカミが現れると、そのウサギは知恵を絞って撃退し、見事名誉挽回(ばんかい)に成功した」というのだ。
 果たして球界版「ウサギとカメ」の続きはどんな展開になるのだろうか。打者が打ち崩すのか、それとも投手がまたまた封じ込むのか。打者と投手の争いから、今季も目が離せない。

※データは2011年シーズン終了時点

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posted by 佐藤 岳 |18:09 | 日本プロ野球 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2012年01月20日

赤ヘル軍団の逆襲

 「カープはこいのぼりの時期まで」なんて、いつまでいわれ続けるのだろうか。昨季も4月は首位で折り返したものの、端午の節句を過ぎると徐々に順位は下落。瞬く間に首位から陥落すると、最終的には5位でシーズンを終え、14年連続Bクラスという不名誉な記録をまたも更新してしまった。

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 広島はここ数年、極度の長打力不足に悩まされている。純粋な長打力を測る指標である「IsoP」は2008年から、本塁打数も2009年からリーグ最下位なのだ。昨季も打率こそリーグ2位だったが、本塁打数と長打率はリーグ最少を記録。いまだに克服されない長打力不足が、チームの低迷と無関係とはいえないだろう。

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 長打力不足の要因として、クリーンアップが機能していない点があげられる。過去3年間、広島のクリーンアップは本塁打数、IsoPともにリーグで最も低い。しかも、5位と大きく差を広げられたダントツの最下位なのだ。

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 そんな広島のクリーンアップは、全く固定できていないのが現状だ。唯一、栗原が不動の中軸として存在しているものの(2010年は、ケガで105試合のみの出場)、あとの2選手はほぼ“日替わり”状態である。貧打解消に向けて、クリーンアップを固定するのも一つの手段ではないだろうか。

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 そこで、栗原の脇を固める選手の1人として期待されるのが、5年目の丸である。昨季は外野のレギュラーを獲得すると、本塁打数、IsoPでともにチーム2位の数字をマークし、パンチ力でもアピールした。2011年、最も急成長を遂げた選手の1人といっていいだろう。

 1970年代に一世を風靡(ふうび)し、その後も年代ごとにファンを魅了し続けた「赤ヘル打線」。投手陣が充実してきた今こそ、「新・赤ヘル打線」が必要なのではないだろうか。満月の輝く夜に、野村監督が宙に舞う姿を見たいものである。


※データは2011年シーズン終了時点

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posted by 下山 拓也 |17:55 | 日本プロ野球 | コメント(2) | トラックバック(0)
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2012年01月11日

東野、1/6を争う。そして、、、

 2011年4月12日。巨人が球団史上初となる地方開幕を迎えたこの日、マウンドを託されたのは東野峻であった。見事な投球でチームを勝利へ導いた東野だが、2012年は先発ローテーション落ちの危機に直面している。

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 まず、巨人の先発投手陣を整理しよう。3年ぶりのV奪回を狙うチームは、大型補強を敢行し、ソフトバンクからホールトン、杉内の獲得に成功。この2人に、昨季セ・リーグ最多勝の内海、新人王・沢村を加えた4人はローテーションがほぼ確定だ。つまり、残り2枠をゴンザレス、東野ら実績、経験豊かな投手、さらには虎視眈々(たんたん)と一軍マウンドを狙う若手投手で争う事となる。

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 話を東野に戻そう。昨季は統一球が導入され、「投高打低」という言葉を何度聞いただろうか。防御率1点台の投手が46年ぶりに6人も出現した事からも、投手が多大なる恩恵を受けていた事が分かる。しかし東野の場合、防御率は2010年より悪化し、QS率も同様に低下。一時はリリーフに配置転換されるなど、先発投手としての責務を果たす事ができなかったのだ。つまり、東野は投手有利のシーズンで、統一球を味方にする事ができなかったといえる。

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 では先発の枠を勝ち取るために、どうすればいいのか。これには、チェンジアップがカギを握っていそうだ。昨季、球宴後から投げ始めたボールであるが、20打数0安打と一本も安打を許さなかったのだ。これに付随する形で、後半戦の投球成績は上昇。本人も手ごたえを感じたに違いないチェンジアップこそ、ローテーション定着を引き寄せる一つの武器といえる。

 原監督から“危険人物”扱いされ、あらためて厳しい立場に置かれている事が明確となった東野。まさに今こそ真価を発揮する時ではないだろうか。し烈を極める“ローテーション争い”を勝ち抜き、2年連続の開幕マウンドをもくろむ。


※データは2011年シーズン終了時点

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posted by 藤原 慶 |17:58 | 日本プロ野球 | コメント(2) | トラックバック(0)
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2011年12月27日

先発3本柱の流出がソフトバンクに与える影響

 43/88。ソフトバンクのチーム勝利数の約半数を挙げた先発3本柱が、こぞってチームを去った。和田はオリオールズ、杉内、ホールトンは巨人へ。この3投手の穴がいかに大きいかは容易に想像がつくだろう。今回はその穴を“失点”という観点から見ていきたい。

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 まず、先発3本柱とそれ以外の投手の失点率を比較してみた。失点率とは9イニングあたりに失った点数を表したもので、3本柱は1点台と見事な数字を残していたのに対し、それ以外の投手陣の失点率が2点台後半とその差は歴然。リーグ平均が3.30だったことを考えると、いかに3本柱が失点を防ぐ能力に優れていたかが分かる。

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 しかし、その3本柱が来季いないことは確定している。仮に今季の戦力のままで2012年を迎えた場合(投球回は今季と同じだったと仮定)、失点数は351から399と48点も増加することになる。
 
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  では、48失点はチームの勝率にどのような影響を及ぼすのか。「ピタゴラス勝率」を用いて説明したい。ピタゴラス勝率は、得点と失点を用いてチームの勝率を算出する指標だ。つまり、得失点から導き出した理論上の勝率といっても良いだろう。
 ピタゴラス勝率によると、今季ソフトバンクの勝率は7割を超えていたが、失点が399に増えたと仮定すると、一気に5分5厘も勝率が低下するのだ。ピタゴラス勝率からもわかるように、48という数字の大きさが見てとれる。

 このように、“失点”という観点から見ると、3人の抜けた穴は簡単に埋められないといえよう。また、失点を補う打線に関しても、川崎のメジャーリーグ移籍が確実で戦力ダウンは否めない。過去に例のない「先発3本柱」の流出。連覇を目指すチームにとって、真価が問われる1年となるだろう。

※データは2011年シーズン終了時点

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posted by 渡辺 佑希 |16:47 | 日本プロ野球 | コメント(2) | トラックバック(0)
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2011年12月21日

谷繁という存在

 落合野球の象徴といっても過言ではないだろう。在任8年間でリーグ優勝4回を成し遂げたその背景には、常にこの男の存在があった。不動の正捕手・谷繁元信である。

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 41歳で迎えた2011年、谷繁の力は顕著に表れた。シーズン中盤に約2カ月間、ケガで戦線離脱したのだが、チームはその間15勝21敗1分けと負け越し。防御率も大きく数字を落としてしまったのだ。

 守備面での貢献はもちろんであるが、今季は打撃でも存在感を発揮した。特に、復帰後の活躍は目覚ましいものがあった。
 
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 前述した通り、谷繁のいないチームは調子を落とし、順位も2位から3位へ転落。首位・ヤクルトとのゲーム差は8まで広がっていた。
 そうした状況の中で復帰した谷繁は、3割を超える打率を残し、OPSも8割以上をマーク。チームで最も好調な姿を見せていたのだ。

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 この好調さは起用法にも表れた。谷繁は不調の和田に代わり、5番を打つことが多くなったのだ。過去5年間で1試合しか経験のない打順であったが、勝負強さをいかんなく発揮し、4割という得点圏打率を記録した。
 また、マスクをかぶらない時は一塁手としてでもスタメン出場を果たした。この点からも、谷繁の打撃がいかに必要とされていたかが分かるのではないだろうか。

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 ちなみに、対戦チーム別の成績からも谷繁の貢献ぶりは見てとれる。し烈な争いを展開したヤクルト、巨人という2チームに対し、非常に強さを見せた。首位攻防4連戦(ナゴヤドーム)の中で放ったサヨナラ打は、チームを2連覇へ導く大きな糸口となり、非常に印象深い一打となった。
 
 「キャッチャーは年季が入れば入るほど味の出てくるポジション。ボールがセカンドに届くうちはやめちゃいかん」。野村克也の言葉にあるように、来季で24年目を迎える大ベテランは、年々深みが増しているように見える。“ポスト谷繁”の出現はチームにとって最重要課題であるが、新星が現れるその日まで、正捕手の座を譲る気はない。


※データは2011年シーズン終了時点

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posted by 松本 創貴 |17:36 | 日本プロ野球 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2011年12月14日

プロスペクト

  「プロスペクト」という言葉をご存じだろうか。「将来有望な選手」という意味で用いられるのだが、日本の野球界では少々なじみの薄い言葉かもしれない。しかし、メジャーリーグでは公式にランク付けされるなど、非常に重要視されているのだ。今回はそんなプロスペクト選手について見ていきたい。

 まず、対象とする選手だが、元来プロスペクトには明確な基準が用いられていない。そこで、今回は2010年のドラフト会議で指名され、かつ新人王の資格を保持している選手に限定する。

 方法としては、選手を以下の通り4つのカテゴリーに分類した。

・「高卒投手」(高校卒業後プロ入りした投手)
・「高卒野手」(高校卒業後プロ入りした野手)
・「大・社・独立リーグ出身投手」(大学卒業後または社会人、独立リーグを経てプロ入りした投手)
・「大・社・独立リーグ出身野手」(大学卒業後または社会人、独立リーグを経てプロ入りした野手)
 
 そして、投手はK/BB、野手はOPSという指標を用いて比較していく。

・K/BB・・・奪三振数を与四球数で割った指標。数値が高いほど「純粋な能力の高い投手」と考えられる。
・OPS・・・出塁率と長打率を足した指標。数値が高いほど「攻撃力の高い野手」と考えられる。


①高卒投手(対象は12名)

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 高卒ルーキーということで、数字は低めのランキングとなった。その中で上位3名が2以上をマーク。いずれの選手も一軍登板こそなかったが、二軍では先発を任された。来季はより多くの場数を踏んで、一日も早い一軍マウンドでの活躍に期待がかかる。

②高卒野手(対象は18名)

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 高卒野手では西川(日本ハム)、山田(ヤクルト)が高い数字を残した。山田はクライマックスシリーズでスタメン起用され、“ポスト宮本”として期待の大きさをうかがうことができる。西川は一軍出場は果たせなかったが、二軍では強打の1番打者として起用され、ファーム日本選手権では優秀選手に輝くなど大器の片りんを見せつけた。

③大・社・独立出身投手(対象は22人)

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 高校卒業から、いくらかの経験を積んでプロの世界に飛び込んできた大・社・独立出身リーグ選手。上位に名前を連ねた選手は、素晴らしい数字を見せた。特に乾(日本ハム)、武藤(中日)の数字には目を見張るものがある。互いに今季は一軍マウンドを経験しただけに、来季は開幕一軍、そして定着を目指す。

④大・社・独立出身野手(対象は17人)

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 最後に大・社・独立リーグ出身野手を見ていきたい。1位の柳田(ソフトバンク)の圧倒的なOPSの高さが目立った。今季は二軍で13本塁打をマークし本塁打王を獲得。持ち前のパワーは王貞治球団会長をうならせたほどである。ちなみに、チームメートの松田が1年目に二軍で記録したOPSは.720。同じ大卒選手として、今季は外野のレギュラー争いに加わりたいところだ。

 近年、ベテランと呼ばれる選手の活躍が目立っているプロ野球界。そのような現状を打破するべく、若手選手が中心となって引っ張っていくべきではないだろうか。今回取り上げた選手達は、プロ野球界の将来を背負っていく“原石”である。彼らの一挙手一投足に注目することは、今からでも早過ぎることはない。

※データはシーズン終了時点

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posted by 佐藤 岳 |19:50 | 日本プロ野球 | コメント(1) | トラックバック(0)
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2011年12月08日

アラフォーの星・宮本慎也

 「アラフォー」といえば2008年の流行語大賞で年間大賞に輝き、仕事など人生の岐路を迎える世代を指した言葉だという。しかし、プロ野球界には今もなお現役として活躍している“アラフォー戦士”が存在する。宮本慎也―2011年、優勝争いを演じたヤクルトの戦いぶりを語る上で、彼を差し置いて話を進めることは不可能であろう。
 
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 11月に41歳を迎えたベテランは、打率3割をマークし、ベストナイン・ゴールデングラブ賞をともにリーグ最年長記録を更新して受賞。不惑を超えても衰えを見せない活躍でチームをけん引した。そんな宮本であるが、この5年で打率3割を3度も記録する驚くべき打力を発揮している。普通の選手なら老けこむ年代であるが、宮本の場合は逆に打撃技術が向上しているかのような印象を人々に与えているのだ。
 
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 今季の宮本は相当の勝負強さを発揮した。得点圏打率ではトップ5に20代の選手が並ぶ中、41歳のベテランが堂々のランクイン。6番での起用が多かった今季、宮本自らがポイントゲッターとしての意識をしっかりと持ち、長年の経験を生かしたバッティングを発揮した格好となった。

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 また、勝負強さに加え、宮本の特徴として目立ったのが逆境での強さである。チームが劣勢の場面でよくバットが振れていたのだ。チームが苦しい状況でも精神的支柱となって打線を引っ張り、チームリーダーのあるべき姿を自ら体現していた。そんな姿がチーム全体にも影響を与え、リーグ最多の逆転勝利数を引き起こしたともいえるだろう。
 
 攻守でフル回転の活躍を見せた宮本であるが、秋季キャンプにはコーチとして帯同。ルーキー・山田、三輪ら“後継者候補”に、伝えるべきことはしっかりと伝えなければならないという責任感を持って指導を行った。しかし、一方で簡単にレギュラーを渡す気持ちも毛頭ない。あと25本に迫った2000本安打、そして悲願の優勝と、宮本にはまだまだたくさんの忘れ物が残されているからだ。それを拾い集めるまで、アラフォーの星はさんぜんと輝き続ける。


※データはシーズン終了時点


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posted by 山田 周平 |12:14 | 日本プロ野球 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2011年11月24日

“森福の11球”に見られた1つのツキ

 最終戦までもつれた末、ソフトバンクの日本一で幕を閉じた日本シリーズ。互いに本拠地で勝てず、“外弁慶シリーズ”ともいわれたがターニングポイントとなるシーンが第4戦にあった。ソフトバンクが1点リードの6回無死満塁、2番手・森福が完ぺきな投球で無失点に抑えた場面である。今回は、1979年の日本シリーズにおける伝説的投球“江夏の21球”になぞらえて呼ばれる、“森福の11球”について見ていきたい。

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 右打者3人に対して投じられた11球の内訳は、スライダー5球、シュート5球、ストレート1球であった。森福は右打者に対するスライダー、シュートには絶対的自信を持っており、この配球はシーズン通りといえよう。注目したいのは、8球目に投じられたストレートだ。

 1ボールから投じられた球が行きついた先はど真ん中。捕手・細川が内角にミットを置いていた点から、意図して投げていないことは明白だ。また、谷繁が空振りした後に舌を出した表情も、この1球の重要性を物語っている。

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 シーズン中、森福が右打者に投じたストレートは、スライダーやシュートと比べると割合は少なく、また被打率も非常に高い。また、真ん中というコースは高い割合で打ち込まれている。この2つの要素を組み合わせて分かるように、真ん中へのストレートは森福にとって失投以外の何物でもないのだ。

 そんな失投で「幸運にも」空振りを奪った森福は、結果的に谷繁を遊ゴロで打ち取り、1人の走者も帰すことなく大ピンチを切り抜けた。小さな大投手の快投に後を押されたソフトバンクは、1点差を守りきり敵地で2勝目を飾ったのであった。

 打者が当たりのなかった谷繁だったこと。その谷繁が唯一の失投を逃してくれたこと―。歴史的な快投に存在したわずかなツキが、8年ぶりの日本一という悲願達成の1ピースであることは間違いない。


※データはシーズン終了時点


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posted by 柿崎 智紀 |19:04 | 日本プロ野球 | コメント(1) | トラックバック(0)
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2011年11月10日

オレ竜野球の集大成

 地の利がある中日、勢いに乗るヤクルトという構図で始まったクライマックスシリーズのファイナルステージ。結果は4勝2敗(アドバンテージを含む)でリーグ覇者・中日が制し、2年連続の日本シリーズ出場を果たした。今回はそのファイナルステージを振り返っていきたいと思う。

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 今ステージの特徴として、先制したチームがそのまま勝利を収めた点が挙げられる。先取点を挙げた際には高い勝率を残した両チームの戦いだっただけに、“先手必勝”が顕著に表れた5試合となった。
 
 では、両チームを通じて勝敗を分けたポイントとは何だったのか。それは投手陣の差にあった。

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 1つは先発投手である。中日は、ネルソンの発熱という誤算もあったが、他の先発ローテーション投手がカバーして4試合を戦い抜いた。一方のヤクルトは、ファーストステージからスクランブルな投手起用を展開し、ファイナルステージでも同様の起用法を見せた。その結果、5試合を通して先発投手の平均投球回は3回に満たず、与四死球率も中日をかなり上回ってしまった。ナゴヤドームという不利があったにせよ、先発投手で試合をつくれなかった点は裏目に出たといえよう。

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 2つ目は走者を背負った場面での勝負強さだ。実は両チームともに走者がいる状況で打たれた安打数は同じ11本であった。しかし、得点に一番つながりやすい長打数で1本の差が生じ、勝負の決め手となった。そう、この1本とは第5戦で放たれた井端の2ランである。わずか1本ではあるが、ヤクルトにとっては非常に悔しい1本になったといえよう。
 
 このように、投手陣が安定した働きを見せて守り勝つという“らしい戦い方”で勝ち上がった中日。落合竜の最後を締めくくる相手は、パ・リーグ覇者のソフトバンクだ。互いに先取点を取った時の勝率は高く、投手陣もリーグトップと似た要素を多く持つチーム同士の対戦となる。オレ竜8年間の集大成をぶつける時がいよいよきた。


※データは11月7日終了時点

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posted by 佐藤 岳 |13:01 | 日本プロ野球 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2011年11月03日

勝負の分かれ目

 西武の2連勝で幕を閉じたクライマックスシリーズ第1ステージ。本拠地・札幌での開催、絶対的エース・ダルビッシュの存在など日本ハム有利と思われたが、シーズン最終戦で3位を決めた勢いそのまま西武の完勝という結果になった。今ステージにおいて、両チームの勝敗を分けたポイントは何だったのか。

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 1つは“シーズン通り”ではなかった救援投手陣である。日本ハムは、榊原、増井がセットアッパー的役割を果たし、最後は守護神・武田久が締めるという「勝利の方程式」を確立。安定した救援陣でシーズンを勝ってきた。
 一方の西武は、昨年の守護神・シコースキーがシーズン序盤に離脱。ルーキー・牧田の配置転換という荒療治で守護神問題は解決したが、最後まで方程式を形成する事はできず、試行錯誤を繰り返しながらの戦いであった。

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 しかし今ステージを見てみると、日本ハムの“盤石”の救援陣がことごとく打ち込まれたのだ。1戦目は武田久と榊原が、2戦目は増井が5失点とシーズンではない炎上ぶりを見せてしまった。対する西武の救援陣は、日本ハムとは対照的に1点も許す事なく切り抜けた。このように、悪い意味でシーズン通りではなかった日本ハムと良い意味で違った西武。明暗を分けた要因だった事は間違いないだろう。

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 2つ目は得点機での差である。勝った西武が得点圏打率.348だったのに対し、敗れた日本ハムは.200と、ここぞの場面で打線が止まった。シーズンでは同じような数字を残していた両チームなだけに、この差が勝負を決めた要因の1つとも考えられる。

 このように、両チームの明暗を分けた“いつも通り”ではなかった事こそ短期決戦の難しさであり、勝負の面白さでもある。今日から西武が日本シリーズをかけて戦うソフトバンクとは、今季5勝15敗と非常に苦しい戦いを見せていた。果たして、相性の悪さを払しょくする「何か」を、ファイナルステージでも発揮する事があるのだろうか。勝負の分かれ目に注目だ。


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posted by 佐藤 岳 |10:31 | 日本プロ野球 | コメント(1) | トラックバック(0)
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