2008年07月08日
※2008年データは全て6月20日現在
5月31日付けの某スポーツ新聞(成績表)を見て目を疑った人も多いのではないか。カープの東出輝裕がセ・リーグ打率ランキング1位にいるではないか。開幕当初は出場機会が少なかったが、コツコツと安打を重ね2番に定着すると5月26日に規定打席に到達。そして現在も堂々セ・リーグ第2位の打率.355(表1)をマークしている。一時は1軍と2軍を行ったり来たりで、出場数は激減し、どん底を味わった。苦節10年、練習の虫がようやくここまでの成長を遂げた。今回は東出好調の要因を、データを通して見ていきたいと思う。
東出と言って多くの人は“エラーが多い”というイメージが沸くのではないだろうか。実際、主にショートで出場したプロ2、3年目はリーグ最多の失策(表2)を記録。その守備への不安からか打撃でもなかなか結果を残せなかった。成績不振とともに出場試合数は減少し、外野を経験するなどレギュラーを確保できずにいた。しかし、そんな東出に転機が訪れたのが、マーティー・ブラウン監督との出会いである。2006年から監督に就任すると、長年カープの悩みの種でもあった二遊間を東出・梵の2人で固定。もともとスローイングに難のあった東出はセカンドに固定されたことにより徐々にその不安から解放され始めた。06年の失策数は8個と2ケタを割り、01年以来の規定打席に到達し打率.282をマーク。07年も失策数7と安定した守備を見せた。そして今季は、守備に不安なくプレーできていることが打撃にも好影響を及ぼしていると言えるのではないか。
次に東出の06年からの三振数(表3-1)を見てもらいたい。実は東出は三振が少ないバッターなのである。三振割合を見てみると、およそ9打席に1回しかなくリーグ平均と比較すると三振の少なさがよく分かる。つまりバットに当てる技術は高いということになる。しかし表3-2の2ストライク後の打率を見ると、06、07年はリーグ平均とあまりかわらない平凡な打率となっている。バットに当てる技術が高いことが逆に中途半端な打撃をする原因となっていたと推測できる。しかし今季は、2ストライク後の打率は.301とリーグ平均を大きく上回っている。追い込まれても当てるだけではなく、自分のスイングでボールをとらえられていることが好成績を生んでいるのだ。相手投手にとって追い込んでも三振をとれない上に、きっちりと打ち返してくる東出はやっかいな相手となっているに違いない。
好調の要因として弱点を克服したことも大きい。東出の課題となっていたのが速いストレートへの対応である。06、07年の140km/h以上のストレートに対する打率は2割前半と力負けしていた。だが今季は打率.438と力負けせずにしっかりと打ち返している。今季の東出は、速い球にもさし込まれないスイングスピードを、身につけた証拠なのだ。
東出は「シンプルに考えることをマーティーから学んだ」などブラウン監督に対する感謝の言葉をいくつか残している。ブラウン監督のおかげで、どん底からはい上がった男が、今度は監督を“男”にするために攻守でチームをけん引し、頂点を目指す。
アナリスト(執筆担当): 吾郷伸之
posted by 吾郷伸之 |18:09 |
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2008年07月02日
今回のテーマを書くにあたって、きっかけとなった試合がある。それは今年の4月8日の日本ハム対楽天戦。楽天は7連勝のあと3連敗を喫し、この試合に臨んだ。楽天は2回表に集中打で一気に7点を挙げ、この時点で「今日で楽天の連敗は止まった。」と思った人も多いのではなかろうか。私自身はこの試合は楽天の勝利だと早々に思ってしまった。しかし、3回以降得点を挙げられず、結果は8-7の逆転負け。その後も黒星を重ね6連敗となった。
おそらくこのように思ったのは、長年に渡って野球のスコアを見る上で、序盤とは言え7点差をひっくり返すのは容易ではないという印象が刷り込まれていたからだと振り返った。果たしてこの印象は正しいのだろうか。そこで今回は2004年から今年の5月21日現在のセ・パ両リーグの実際の結果から、各イニングの終了時の得点差別勝率を見ていきたいと思う。
まずは表1を見て頂きたい。こちらはイニングの序盤の点差別勝敗になる。上記で挙げた「2回終了時7点差」の試合は23試合と少ないものの、勝率は.913となっている。さらに2回終了時の5点差、6点差も勝率は9割を超え、2回終了時に5点差以上で算出すると、154勝9敗2分で勝率.945となる。数値から見ると、上記の試合に関しては楽天の勝利の可能性は非常に高かったことは確かであり、故にこの時点で楽天の勝利をイメージしたことは、自然な流れだったのかもしれない。また、序盤の区切りとして3回終了時を見ると4点差の時点で勝率は9割近くである。まだ攻撃回数は半分以上残っているとは言え、実際のところはかなりの劣勢となっていると言えよう。
次に中盤となる表2を見て頂きたい。こちらになると序盤とは違いが出てくる。先ほど挙げた4点差の例で違いが出てくる。中盤においてこの点差となると各イニングにおいて勝率は.950程まで上がる。
もう一つ挙げる点としては、1点差時である。4回までは1点差時の勝率は6割台であったが、5回は7割台に上がる。わずか1点差と言っても、試合の半分を終えた時点ともなると、追う側も徐々に厳しい状況となってくる。
最後は終盤となる表3を見ると、当然のことながら状況が変わってくる。現在の野球では7、8回とのなればリードしているチームは継投により、中継ぎ陣でも力のあるセットアッパーを投入するケースが多い。特に接戦時ではそういう場面が増える。7回を終えた時点で2点差なら勝率は.920にまで上り、8回終了となれば1点差でも勝率はほぼ9割となる。
1点差で最終回を迎えればどのチームも守護神投入のケースが多く、終盤接戦時の1、2点差は中盤までの1、2点差とは状況が異なってくる。1点差から逆転されると悪い印象が脳裏に残るが、実際のところはわずか残り1回の攻撃回数に加え、チーム屈指の好投手が登板ともなれば、ほぼ勝利は手中にしていると言える。2点差ともなれば、イメージ通りかもしれないが、逆転はより困難になり、ほぼ勝利を手中にしている。
5月17日の中日‐横浜戦でこんな場面があった。中日は7-5の2点リードで最終回を迎え、9回のマウンドに登ったのはもちろん守護神・岩瀬。数値的には勝利の可能性が極めて高い。しかし、実際は横浜の猛攻で5点を奪われ逆転負けとなった。いくら勝利の可能性が極めて高い状況でも、こういうこともあるのが野球である。今まで挙げた3つの表を見ても、中盤や終盤で大きな点差がついた劣勢からの逆転勝利が全くないわけではない。また、今後はこの表にない何年かに一度の大逆転勝利も見られるかもしれない。そういう場面を球場で見たら、今回の実数から算出した表を見て頂き、本当に稀な試合を目で見ることが出来たとことをあらためて感じて頂ける材料になれば幸いである。
アナリスト(執筆担当): 田中秀典
posted by 田中秀典 |18:52 |
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2008年06月13日
※文中の数字やデータは全て5/30現在
昨季、26年ぶりにBクラスとなったライオンズ。秋山、清原、工藤、松井などといったスーパースターが他球団へ移籍する中、25年間もAクラスに君臨し続けた常勝軍団が昨年に屈辱を味わった。その雪辱を果たすべく今季は、近年のライオンズの顔であったカブレラと和田が昨オフにそれぞれ移籍し大きな戦力ダウンが叫ばれていたが、新監督・渡辺監督の下、王者復権を思わせるかのような戦いぶりで現在リーグ首位を直走っている。今回はそんなライオンズの強さに迫ってみようと思う。
今季のライオンズを一言で言うならば、「伸び伸び野球」だ。若手選手が多いライオンズにおいて、12球団の現監督の中で最も若い指揮官である渡辺監督は、選手の個性を生かすべく、失敗を恐れず積極的にプレーさせており、それが現在のところ好結果につながっている。打撃陣においては三振数がリーグ唯一の400個台でワースト、四球数もリーグ5位の135個、投手陣ではリーグワーストの与死球数28個と、単純な成績からも失敗を恐れず積極的にプレーしていることが見えてくる。それは細かいデータでも垣間見えることでき、打撃陣においてはファーストストライクのスイング率がリーグ唯一の50%台で、打率もリーグトップの.357(表1-1)。ファーストストライクから積極的に振っていき、それが功を奏し、好結果を生んでいる。また、投手陣では内角投球率がリーグで最も高い数字を記録しており、その被打率も.210と好結果だ(表1-2)。前述した通り与死球数はリーグワーストであるが、失敗を恐れず、強気に打者の内角を攻めるバッテリーにも積極性を大いに感じる。
今季のライオンズは、カブレラと和田が抜けたことを全く感じさせない破壊力を見せており、本塁打数はリーグ断トツの74本で、2位のソフトバンク、オリックスとは実に30本もの差がある。そんな破壊力ばかりに目が行きがちな今季のライオンズだが、ライオンズ野球の伝統でもある機動力や打線のつながりもしっかり発揮されている。盗塁数はリーグトップの48個であるが、そのうち42個が打順1~3番の俊足トリオ、片岡・栗山・中島が記録したものだ。彼らに対しては原則ノーサインで自由に走らせているという話を聞くが、そういった中でこれだけの盗塁数をマークしているのだから、これもまた「伸び伸び野球」が良い形となって表れていると言えよう。また、昨季チーム2位の28盗塁をマークした福地が抜けた穴も全く感じさせていない。
次に打線のつながりを表す意味で、表2を見て頂きたい。1・2番打者生還率はリーグトップの数字をマークしており、もちろん1・2番打者の走力の高さも要因として挙げられるが、何よりクリーンアップがしっかり機能していることが大きな要因と言える。出塁した1・2番打者をしっかりクリーンアップが返す、打線がしっかりつながって機能していることを表したデータである。
投手陣においては、昨季はリーグ5位のチーム防御率3.82と、当時「投手王国・ライオンズ」と呼ばれていた姿とは程遠く、安定感を欠いていた。それを払しょくすべく、選手流出が目立った野手陣とは逆に投手陣は補強を成功させ、スワローズから石井一、ドラゴンズからは岡本真を加え、今シーズンに臨んだ。現在のところリーグ2位のチーム防御率3.20であり、昨季と比べて良化し、安定した投手陣となっている。中でも特筆すべき点は、味方が得点を奪った直後に失点する確率が低い点である(表3)。得点を取った直後に、その流れをしっかり守るべくピッチングを投手陣が見せているのだ。抜群の得点力を誇る打線と、投手陣がうまくかみ合っており、まさにチーム一丸となっている。
若いチームであるがゆえに、今後正念場に差し掛かった時に今まで通りの「伸び伸び野球」を実践し、快進撃を続けることができるか!?それを果たせた時に、真意の「王者復活」となるだろう。まだ獅子は目覚めたばかりである。
アナリスト(執筆担当): 矢野幸大
posted by 矢野幸大 |16:13 |
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2008年05月26日
毎年、多くの外国人選手が来日してくる日本プロ野球界。“助っ人”として来日してくる彼らは、結果を残し続けなければ即解雇となる厳しい環境におかれている。
そんな外国人選手だが、今年はドーピングや、パウエル問題が勃発。年明けから球界を賑わし、特に外国人投手が大きくクローズアップされたのだ。パウエルを引き抜かれたオリックス球団幹部は、パウエル以上の投手を連れてくると意気込んでいたが、そもそも、日本球界で成功する外国人投手はどのような選手なのか。今回はその傾向を探っていきたい。
まず、取り上げたい投手は来日1年目で、セ・リーグ最多勝を獲得したグライシンガーだ。彼の特徴はなんと言っても制球力の高さにあるだろう。その1つを示すデータが与四死球率である。07年のグライシンガーは与四死球率でリーグトップの記録を残した(表1-1)。過去10年では、グライシンガー以外にリーグトップとなった外国人投手はおらず、2002年のミンチー(ロッテ)が2.27(リーグ2位)で続く形となっている。それだけ、グライシンガーの制球力はずば抜けていると、考えてもらえるだろう。また、規定投球回到達者の中ではベストの被打率.239をマーク。このように、走者を出すケースが少なければ、おのずとして、試合を作れる。実際、グライシンガーは先発して6回を3失点以内に抑える、いわゆるクオリティースタートを21回記録している(表1-2)。これは、高橋尚と並びリーグトップである。無駄な走者を出さないことは、投手全員に共通することだが、一番重要なのは環境が変わっても自身の力を発揮することができる、タフな精神力だろう。
そして06年にカープからオリックスへ移籍し、来日初の2ケタ勝利を果たしたデイビー。彼の特徴は球種の緩急にある。通常の投手は1球種に対し5キロ~7キロの球速差があるが、デイビーは実に18キロもの差を1球種でつけていたのである。(表2)外国人投手によく見られるタイプとして、150キロ近い速球を投げられるものの、パワーピッチングに頼り、痛打を浴びるといったケースがよくある。しかし、デイビーはそれだけに頼らず、緩急を使うことで、打者に的を絞らせない投球をするようになった。また、それ以外ではガトームソンにも同じことが言える。デイビーと違う部分は緩急ではなく、横の揺さぶりを使うようになったということだ。06年と07年の球種割合を見比べると、07年はツーシームとカットボールを新しく投げ始めた(表3)。成績だけを見れば振るわないかもしれないが、自身を変えていくという、柔軟な投球が出来る投手は日本で通用しやすい。
次にリリーフ投手へ目を向けてみたい。過去3年の両リーグ、セーブ、ホールドポイントランキング(06年から)を見てみると、クルーン、ウィリアムス、グラマン、ベイルの4選手がどちらかで10個以上を記録していた。クルーンはフォーク(.137)ウィリアムスはスライダー(.118)、グラマンはチェンジアップ(.115)、ベイルはカーブ(.186)とそれぞれ、武器になる変化球の通算被打率が1割台であった(グラマン・ベイルはリリーフ登板時の被打率)。絶対的な変化球を持っていることが、リリーフで成功する1つの条件であろう。
それでは逆にどのようなタイプが失敗してしまうのか。それはやはり制球力が無い投手であろう。いくら力強いストレートを持っていても、制球がなければ打たれてしまう。そこで、逆球率のワーストランキング(表4)を見て頂きたい。ご覧になるとお分かりのように、ストレートには力強さがあるが、制球は…といったタイプが目立ってランクインしている。ストライク、ボールの制球はもちろんだが、さらに必要なのはストライクゾーン内での制球なのだ。逆に言えば、その制球を持ってさえいれば、日本野球への成功の道は近くなったと言えるのではないだろうか。
アナリスト(執筆担当): 森川佳
posted by 森川佳 |18:32 |
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2008年04月09日
打者の能力を知る最も一般的な指標は「打率」である。新聞などに記載されている打撃一覧表は、規定打席到達打者が打率順に並び、「3割」を超えることが一流打者の証明にもなっている。当然、チームの打撃力評価としての指標でもある。打率の高い打者を多く擁し、チーム打率が高ければ得点力も高い、と考えるのは当然だろう。だが、果たして、本当にそうだろうか。
表1を見ていただきたい。07年のチーム得点と打撃指標である。まず平均得点と打率を見てみると、セ・リーグでは打率5位の中日が平均得点2位であり、パ・リーグでは打率4位のロッテが唯一の平均得点4点台でトップとなっている。打率と得点力が、必ずしも相関していないのだ。
単に打率だけでは補えない面がある。打率には安打以外の出塁が含まれず、単打と長打が区別されていないのだ。同じ打率のチームでも、出塁率や、長打率によって、得点力に違いが生じてくるのだ。
そこでチーム別に出塁率、長打率、さらにこの2つを合算した「OPS」を算出してみた。OPSは出塁率と長打率を同価値として扱い単純に足したものだが、それで見るとセ・リーグはほぼ平均得点順となり、パ・リーグは平均得点4位の西武がトップだが、ロッテがOPSで2位となっていて、打率よりは得点との相関が強いと考えられる。ただ、07年は偶然が重なった結果かも知れないので、05、06年(表2、3)も同じように算出してみた。
するとどうだろう。06年はセ、パともに下位チームに打率と得点の相関にばらつきがある。ところが、OPSで見るとパ・リーグは平均得点順位と一致し、セ・リーグも4位まで同じとなったのだ。
05年はセ・リーグで面白い傾向も出ている。チーム打率トップのヤクルトが平均得点ワーストであり、OPSで見るとなんと最下位。この傾向は非常に興味深く、得点力が打率だけでは計れないことの証左といえる。また、この年は広島がOPSでトップとなりながら、平均得点は5位と逆の傾向も出ていた。
こうしてみると、まず言えることは、得点力があるチームはOPSが高いということだ。逆に過去3年でOPSが最下位のチームは、平均得点もワーストである。このOPS最下位チームは打率もワーストかというと、前述の05年にトップであったヤクルトを含め、関係性は強くない。
次にリーグトップの得点を挙げているチームはOPSが高いが、中でも特に出塁率が高い。昨年のロッテはOPSではトップ西武との差は9厘だったが、出塁率の差は約1厘、巨人も中日とは3厘と僅差だった。中日との得点力は長打力の差で圧倒したものだろう。05、06年は平均得点でトップのチームが出塁率も1位となっているが、長打率は1位ではないチームもある。この点から長打率よりは出塁率の方が価値としては高いことが推測できる。前述した05年の広島もOPSではトップだったが、出塁率は3位。3位といっても上位2チームに1分以上離され、3位広島と最下位巨人までの差は8厘で上位チームとの差より小さいことから、打率、長打率こそ高いものの、得点が思ったように稼げなかったのではないだろうか。
項目に順位を付けて比較したが、各項目の差は大差もあれば僅差もあり、得点順位と各指標の順位が必ずしも一致するわけではなく、ブレが生じることもある。ただ、過去3年を見る限り、チーム得点力は打率より、出塁率、長打率、OPSの方が関係性を計るには適していると言える。チームでこの様な傾向が出るということは、打者個人の評価にも適用できるのではないだろうか。
今回は打率自体を否定したものではない。打率は得点との相関がOPSなどに比べて弱いだけで、皆無ではなく、指標としての分かりやすさでは十分に利便性はある。ここで挙げた指標も完全ではなく、より得点との相関が強い別の指標もあるかもしれない。ただ、打撃の指標として定着しすぎている打率だけでは、見えないこともあるのである。
アナリスト(執筆担当): 田中秀典
【略歴】
田中 秀典(たなか ひでのり)
1979年生まれ、愛知県出身。
筑波大学卒業後、営業職を経て、データスタジアムに入社。
プロ野球からメジャーリーグ、さらにはアマチュア野球まで
幅広く担当し、視野の広い分析には定評がある。
posted by 田中 秀典 |20:11 |
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2008年03月24日
【巨人】
5年ぶりのリーグ優勝を果たした巨人。クライマックスシリーズ第2ステージでは、中日に敗れ苦杯をなめたが、昨年の巨人からは随所に“強さ”が見うけられた。まず打撃では、球界ナンバー1の破壊力を誇る強力打線が機能し、打率、本塁打、得点等でリーグ1位をマーク、一昨年から攻撃力を大幅に上昇させた。中でも一昨年の課題だった1,2番を高橋由、谷が務めたことで、1,2番の打率、出塁率が良化。その後を打つクリーンアップ陣も、好成績を収め、結果的に打線がしっかりとつながっていたことが得点力増加の要因だろう。
次に投手では、高橋尚、内海、木佐貫を中心とした先発投手陣が安定した投球を披露した。その要因として得点圏での投球が挙げられる。先発投手陣の得点圏被打率が、一昨年の.277から.231に改善されたことにより、先発投手の1試合平均失点も減少。これはどんな状況下においても、安定した投球ができたことを示していると言えよう。さらにチーム事情とは言え、上原が抑えに回ったことにより、ここ数年不在だった守護神も確立された。これらの要因が、がっちりかみ合ったことにより、球団史上初となる2年連続のBクラスに陥った一昨年の汚名を返上できたのだろう。
昨オフに、セ・リーグ最多安打男・ラミレス、昨年の最多勝右腕・グライシンガーの二人をヤクルトから獲得。さらに横浜から日本球界最速の161km/hをマークしたクルーンも獲得するなど、さらに選手層の厚みは増した。彼らを一つにまとめ、原ジャイアンツが02年以来となる日本一奪回を目指す。
【中日】
前年と同一カードとなった日本シリーズを、4勝1敗で制し、53年ぶりの日本一に輝いた中日。昨年の中日は、完投能力があり長い回を投げられる川上、中田、朝倉と強力先発陣を擁しながらも、多くの試合を継投で勝ちとってきた。それは5人以上の投手継投での高い勝率から証明できる。これは投手陣がそれぞれの役割を果たすとともに、投手の適正をしっかりと理解した首脳陣の手腕があったからこそできたのだろう。
次に打撃を見てみると、昨年の中日は機動力を幾度となく発揮していた。昨シーズン途中から主軸の福留をケガで欠くも、機動力など小技を駆使し、勝利を確実に掴んでいた。リーグトップの83盗塁を記録するとともに、その盗塁をしっかりと得点に結びつけていたのだ。しかしその一方でやはり福留の穴は大きく、一昨年リーグトップの打率をマークした強力打撃陣は数字を落とし、リーグ5位と打撃に課題を残した。
今季はセットアッパーの岡本が抜け、福留も球団を去った。福留の代役として期待されるのが、西武から移籍してきた和田。一方で岡本の空いた穴はまだ埋まっていない。鈴木、石井が有力候補だが、落合監督は「誰か出てくる」とそ知らぬ顔。岩瀬へのつなぎ役を誰がうけもつのか、ここが連覇の鍵を握りそうだ。
アナリスト(執筆担当): 吾郷伸之
posted by 吾郷伸之 |18:30 |
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2008年03月13日
リーグ制覇を果たした日本ハムは、ダルビッシュを中心とした先発投手陣の健闘が光った。特に規定投球回に達したダルビッシュ、グリン、武田勝の三人は合計で68試合に登板し、防御率2.39と安定感抜群だった。一方のロッテは、先発した投手がリーグ最少の8人と年間を通してローテーションが大崩れすることなく、高いパフォーマンスを維持できたことが大きかった。
次に両チームの救援投手の成績を見てみる。日本ハムは、一昨年防御率2.36と安定感を誇っていたが、昨年は1点以上悪化した。左右投手ともに防御率は悪化しているが、特に左の救援陣は安定感を欠いた。やはり一昨年、55試合に登板し、防御率2.14をマークした岡島(現レッドソックス)の存在が大きかったと言えよう。武田久と守護神・MICHEALの二人は一昨年同様の活躍を見せたが、今季は連投による勤続疲労も予想される。2人の負担を軽減させるためにも、阪神から加入した中村泰や山本といった左の救援陣の奮起に期待したい。
一方のロッテは、一昨年よりも救援防御率は良化した。昨年ブレイクした右の荻野、左の川崎といったニューフェイスが年間通して安定した投球ができたことで、救援陣の厚みが増した。しかし、今季からロッテ救援陣を支えてきた「YFK」がこぞって球団を去り、台所事情は一変する。若手、新戦力にかかる期待は大きいだけに、昨オフにウインターリーグで実績を積んだ田中良、新外国人のアブレイユ等の活躍が、今シーズンの明暗を分けそうだ。
打撃ではロッテが得点力を上げた。一昨年に比べチーム得点を100点以上も上乗せし、リーグトップの破壊力を見せた。その要因の一つとして挙げられるのが西岡・早川の1,2番コンビだ。西岡は初の打率3割に到達し、早川は西岡に次ぐチーム2位の打率をマークする活躍を見せ、1,2番の打率、出塁率ともに向上した。その結果、得点が増えたと言えよう。今季も2人が昨年同様の活躍を見せ、さらに福浦やズレータが本来の力を発揮出来たならば昨年以上の破壊力が期待できる。
一方の日本ハムは、打撃面では一昨年を大きく下回り、チーム得点でリーグワーストを記録。中でも本塁打は、両リーグ通じて唯一の2ケタ台と、深刻な長打力不足に見舞われた。クリーンアップの本塁打が85本から51本に減少したことが響いた。1,2番の出塁率は一昨年以上だっただけに、クリーンアップに破壊力が備わっていたなら、チーム得点は増したはずだ。今シーズンは、得点力向上のためにも、クリーンアップの強化が第一命題と言える。
日本ハム・梨田新監督は、「まずは3位以内」と目標を低めに設定しているが、目指すところは一つ。高卒ルーキー・中田、新外国人・スレッジなどをテコに日本ハム打線がどのように変化するのか注目したい。ロッテは、毎年何かと話題を生むボビーマジックで、「YFK」の穴をどのように埋めていくかが一番の焦点となりそうだ。
アナリスト(執筆担当): 吾郷伸之
posted by 吾郷伸之 |18:18 |
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2008年03月07日
【横浜】
一昨年の最下位から見事に再建を果たした横浜。昨年を振り返ってみると特徴的だったのが、接戦での強さと先発投手の奮闘である。1点差試合勝敗を見てみると、一昨年の.452から昨年は阪神に並ぶリーグトップの.632まで上がっていた。その要因として挙げられるのがベテラン選手の影響である。昨年は三浦や佐伯、石井などに加え、新加入の仁志や工藤らがチームをけん引。特にトップバッターの仁志は、1点差以内時の7回以降の打率が.333と、競った試合の終盤に勝負強いバッティングを見せていた(2点差以上.221)。ベテランならではの勝負強さが、接戦時の強さに表れていたのだ。今季もチームの中核を担うであろうベテラン選手の奮起が大いに期待される。
また先発投手が先制される割合を見てみると横浜は06年に比べて大幅に低くなっていたことが分かる。先制点が勝敗に与える影響は大きく、07年の先制点を奪った試合の勝率は、両リーグ合わせて7割近くにも及ぶ。つまり、いかに先制点を与えないかということが勝率を高めることになるのだ。これがしっかりできていたことも最下位脱出の要因である。今オフ、多数の新外国人に加え、入来や小山田など積極的な投手補強を行っている横浜だが、先発投手がしっかりと役割を果たすことができるかがシーズンの行方を大きく左右するのではないだろうか。
【阪神】
前半戦の低迷から後半戦の怒涛(どとう)の快進撃、さらに終盤でのまさかの大失速と昨年は激動のシーズンだった阪神。しかし、ある意味最もペナントレースを盛り上げたチームではなかっただろうか。そんなチームを支えたのが、JFKを中心とした救援陣である。昨年はリーグトップのチーム防御率をマークするも、規定投球回到達者はおらず、先発陣は防御率リーグワーストとその役割を全うできていなかった。言うまでもなく先発陣の再建が急務である。
一方の攻撃陣を見てみると、林威助や桜井といった若手の台頭こそあったものの、相次ぐ主力の不振や故障により、先発陣同様、苦しい台所事情を抱えていた。それはチーム別の打撃成績を見ても明らかであり、軒並みリーグワーストの数字となっていた。そんな阪神の得点別勝敗を見てみると2得点以内では2割程度の勝率が、3点以上奪うと一気に7割台まで上昇していたことが分かる。ちなみにこの勝率はリーグ断トツであり、抜群の救援陣を誇る昨年の阪神は3点取れば勝てたのである。今季、いかに3点以上取れる打線を形成するか。広島から加入した新井や復活にかける今岡など主力が普段通りの成績を残してくれれば決して難しいことではないだろう。先発投手と攻撃陣をしっかりと整備できれば間違いなく優勝候補の一角となるだろう。
アナリスト(執筆担当): 若桑 誠
posted by 若桑 誠 |21:02 |
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2008年03月03日
ソフトバンクと楽天のチーム防御率は対照的である。リーグトップのチーム防御率3.18をマークしたソフトバンクに対し、楽天はリーグで唯一の4点台となる4.31であった。
ソフトバンクは、豊富な先発陣に07年セーブ王・馬原と投手陣の層は厚い。内野は本多・川崎の二遊間、外野には多村・大村らと守備力の高い選手が揃っている。やはり、課題は捕手である。城島(マリナーズ)の移籍後、捕手が固定できない状況が続いている。
昨年のチーム盗塁阻止率はリーグワーストの.188。捕手陣強化として、今季はオリックスから強肩のベテラン・的山を獲得した。打力を考えると常時出場は難しいだろうが、リードだけでなく、盗塁阻止の面でも期待がかかる。チーム全体として、この数字が良化できれば、より守りの堅いチームとなるだろう。
一方の楽天は、チーム被打率がリーグワーストで、与四死球率も3.69と一番悪い。打たれている上に、四死球も多ければ、リーグ唯一のチーム防御率4点台になるのも、必然と言えよう。先発陣は田中・朝井に加え、復活にかける岩隈、昨年後半に勝ち星を重ねた一場、新人・長谷部に期待がかかる。救援陣は福盛(レンジャース)が抜け、これといった補強がない分、やや不安が残る。被打率の良化も課題だが、まずはチームとして無駄な走者を出さないことが必要であろう。
打撃では楽天が大きく得点力を上げた。06年はリーグワーストだったチーム得点も、07年はリーグ2位タイ。チーム別のOPSでは、一昨年比でプラスに転じているチームは総じて得点が増えており、マイナスの2チームはチーム得点も下げている。楽天は長打率が一昨年比で3分弱の差があり、得点力アップにつながったと言える。これに関しては山崎武の存在が大きい。そのため、今季も山崎武の好不調が得点力に影響してきそうだ。
一方のソフトバンクは得点力向上を掲げ、小久保・多村らといった長距離打者を補強。やや得点は上がったものの、目論見どおりの成績とはいかなかった。特に本塁打数が期待外れだった松中・多村の影響が大きい。今季は、昨年25本塁打の小久保は開幕出遅れが濃厚。その分、開幕から松中・多村がしっかり力を発揮することが必須である。
ソフトバンク・王監督、楽天・野村監督ともに今季を最後に勇退すると報じられ、両監督とも「優勝」の二文字をはっきり口に出している。今季に強い意気込みを感じる両軍の戦いから目が離せない。
アナリスト(執筆担当): 田中秀典
posted by 田中秀典 |18:59 |
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2008年02月20日
【ヤクルト】
21年ぶりの最下位に沈んだヤクルト。主力の長期離脱や移籍選手の穴が埋められず、不振というよりはむしろ人材不足が敗因として挙げられた。そんな中、より顕著に欠点が浮かび上がったのが、やはり投手陣である。ヤクルトは先発投手が5回未満で降板した試合の勝率がリーグ唯一の一割台とワーストの数字だったのだ。序盤の大量失点で早々に決められた試合もあれば、後を受けた救援陣が踏ん張りきれない試合も多かった。いずれにしても投手陣の再建が急務である。
また人材不足は攻撃陣にも表れていた。チーム別の下位打線打撃成績では全ての部門でリーグワーストとなっている。タイトルホルダーの青木・ラミレスに加え、35本塁打を放ったガイエルなど突出した成績を残した選手が多かった一方で下位打線は低迷。いわゆる「実力格差」である。得点力の向上には下位打線も大きなウエイトを占める。レギュラー内での「実力格差」の解消が攻撃陣には求められている。
チーム再建を目指す中、主力の相次ぐ移籍で、いきなり暗雲が立ち込めたヤクルトだが、一方で即戦力ルーキーや新外国人など着実な補強も行っている。この新戦力たちが新生・高田スワローズの行方を左右するのではないだろうか。
【広島】
07年も06年同様5位と、10年連続Bクラスの長い停滞期に陥っている広島。課題は試合終盤にある。6回までリードしていた試合の勝敗を見ると、他球団の高い勝率に対して広島はリーグワーストの.767。つまり勝てる確率の高い試合を、より多く落としていたのだ。07年も永川がストッパーとして起用されたが、不安定な投球が続き、度々炎上。強いチームには絶対的な守護神が存在するように停滞期を脱するためにはストッパーの確立が必要不可欠だ。08年の広島は、ストッパーの出来が明暗を分けることになるだろう。
一方の攻撃陣には優れた点も見受けられた。1番打者がイニング先頭で出塁した時の得点確率がリーグトップを記録。これは打線のつながりを意味し、1番打者の出塁を高い確率で得点へと結び付けていたのだ。当然、新井が抜けたことで今季もこの数字を維持することは容易ではない。栗原や新外国人・シーボルなど「ポスト・新井」を託された選手に大きな期待が掛かる。
広島もヤクルト同様、エースと主砲がチームを離れ大きなダメージを負った。この二人の穴は簡単には埋まることはないだろう。広島市民球場最後の年となる2008年。何とか上位戦線に食い込み有終の美を飾りたいところだ。
アナリスト(執筆担当): 若桑 誠
posted by 若桑 誠 |22:52 |
日本プロ野球 |
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