2009年12月24日

ブッフォンの師匠のトレーニング

フルゴ1
更新がしばらくできませんでした。
実は12月半ばからパルマにて、あるJリーグ選手の個人トレーニングの通訳の仕事に行っていました。
その選手とはヴィッセル神戸のGK榎本達也選手。今回はイタリアでも以前FCパルマにて育成時代ブッフォンを見出したGKコーチとして定評のあるエルメス・フルゴーニ氏の下で個人トレーニングをするために自費でイタリア入りされていました。
インターネットのニュースにも掲載されていましたが(http://www.chunichi.co.jp/chuspo/article/fctokyo/news/200912/CK2009121002000120.html)FC東京の権田選手も同コーチの下でトレーニングを行っていました。(両選手が一緒になったのは1日のみ)
また日本代表GKである川島選手も数年前からフルゴーニ氏の下でトレーニングを行っているそうです。
今回はフルゴーニ氏の元レジーナ時代の教え子で現在デンマークリーグ1部でプレーするセルビア人(デンマークリーグは現在バカンス中なため個人的にフルゴーニ氏のトレーニングを受けたくてイタリアに来たそうです。)と、地元のアマチュアリーグでプレーするイタリア人も一緒にトレーニングをしました。

さて、私自身も今までGKの技術やトレーニングに関しては全くの無知であり、今回の仕事を通して多くのことを学ばせて頂きました。
プロで10年以上もプレーしている榎本選手でも、イタリアでのトレーニングは目から鱗だったようで、短期間のトレーニングにも関わらずトレーニングや技術に対する意識から実際の動きまで確かな変化を感じていると言っていました。

ふるご2
フルゴーニ氏のトレーニングはイタリアのGKコーチの中でも他とは少し異なっていると言われています。 私自身の今までのイタリアGKの印象として、無理にキャッチに行かずに遠くに確実に弾く印象がありました。しかしフルゴーニ氏は「パンチングやセービングはあくまで最終手段。取れるものは確実にキャッチに行くべきだし、飛ぶ必要がなければ飛ばないほうがよい」といった考えでした。 その他にもフルゴーニ氏のトレーニングのコンセプトは非常にはっきりとしており、トレーニングを受けた榎本選手も言葉がわからなくても(通訳を通さなくても)トレーニング内容からそのコンセプトの意味合いが理解できると言っていました。 フルゴーニ氏のトレーニングの主なコンセプト ・Attacca la palla 日本語に訳すと「ボールに向かう、ボールにアタックする」となるでしょうか。フルゴーニ氏が一番言っていた言葉です。向かってくるボールに対して待つのでなく前に向かって取りに行く、真横よりも少し前に取りに行くことが大事だと言っていました。速度の速いシュートのセービングの際にはそこまで前で取ることはできなかったりしますが、練習時に常にそう意識してトレーニングを行うことで以前よりも前の位置でボールを止められるようになった(それまでは自分の身体よりやや後ろで止めていた)と榎本さんも言っていました。 ・スピードとパワーを重視 GKは最初の一歩目のスピードが重要なためにそこで素早く動けるためのパワーを生むフィジカルが重要。「出だしの部分で決まる」とフルゴーニ氏は言ってました。 ・状況を常に観察する力 ボールを持っている選手だけでなく、中に何人のFWがいて何人の味方がいるか、その中で誰が危険な相手か常に観察しそこに常に飛び出せるように集中しておく。そしてその飛び出すタイミングを決めるための観察も必要。ブッフォンはこの能力が特にすごいとフルゴーニ氏は語っていました。 ・セービングの際、身体は1本の線のように ボールを目で追いかけるとどうしても頭の位置が身体と手を伸ばした線より後ろに行きがちなのですが、頭は重いためそれではバランスを崩してしまうため、頭を前にして手と身体と1本の線のようにすることが大事。榎本選手が常に指摘されていた部分がこの頭の位置でした。 ・ギリギリまで動かない 予測して先に動いてしまうことで相手に逆をつかれてしまうため、ギリギリまで動かずに相手が蹴った瞬間に最大の力で動き出す準備と集中力が必要。反応速度は脳を経由する動きのために単なる筋力トレーニングだけではそのスピードは養われないために、反応を素早くするトレーニングをしっかりと行うことが大事だそうです。 榎本選手は練習を受けて「こういったことは日本でも言われていることだしある意味当たり前なことのようだけど、だからこそ少し曖昧にして後回しにしていたところがあったけど、今回これだけ何回も言われてその重要性を再認識した」と言っていました。またトレーニングの内容にはこういったことを習得するための要素が常に含まれていたためにそれをこなしていれば自然と能力がついてくるとも言っていました。こういったトレーニングメニューの工夫はコーチの力によるものだと思います。 今回は急なヨーロッパの悪天候のために実質5回のトレーニングしかできませんでした。 しかしその5回でも榎本選手の動きは格段に変わったとフルゴーニ氏は言っています。 トレーニング初日に、シーズンを終えたばかりの身体でトレーニングを行った際に今までこなかった部分の筋肉痛がきたということで、「自分が今まであまり使ってなかった部分を使ってる」と初日にして感じていました。 GKのみならずどんなことに関しても基礎の部分と言うものは大事にされているようで実は徹底できてないことということがよくあります。イタリアでも同じことをトレーニングで言っているコーチは沢山いるけれど、それをトレーニングで実際に徹底して行わせているコーチは少ないとフルゴーニ氏は言っていました。 今回のトレーニングでその基本的なことの重要性は私自身も再認識させてもらいました。 今回近くでプロのトレーニングを見せてもらい、もちろんフルゴーニ氏のトレーニングから学ぶことも多くありましたが、榎本選手は30歳という決して若手ではない選手ですがこうやってまだ自分の能力を上げようとイタリアまでやってきてトレーニングをされている姿、また今まで自分が築き上げてきたことも多くあるでしょうが今回教えてもらったことを素直に受け入れ自分の中で吸収していっている姿は非常に素晴らしいと思いました。その姿にフルゴーニ氏も感心していました。 「GKは40歳までいけるぞ!!」フルゴーニ氏がそう言うように、榎本選手にも是非これからも頑張って常に上を目指して欲しいと思います。
フルゴ3


posted by idalia_calcio |06:20 | イタリアサッカー | コメント(6) | トラックバック(0)
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