2009年10月29日
先日、イタリアサッカーフィジカルコーチ協会主催による講習会に参加してきました。
今回はセリエAのシエナやレッチェ監督経験もあるMario Beretta氏(写真右)、Beretta氏のアシスタントとして活動しているMax Canzi氏(写真左)、そして「Human Performance Lab」にて研究をされているErmanno Rampinini氏(写真中央)が講演をしてくださいました。
その中で興味深かったのがRampinini氏による「サッカーの試合時における運動量と疲労」についての講演でした。
Rampinini氏は今回「Time motion analysis」という装置を用いたサッカー選手の試合時の運動量の分析をしたものを発表してくださいました。
プロサッカーの1試合の平均走行量は9~12Kmだということはご存知の方も多いと思います。
日本代表も現在選手の選考基準のひとつとして、1試合平均12km以上走る選手ということを挙げているといったことも聞いたことがあります。
しかしこの約9~12kmという走行量、ただ単に12km走り続けているわけではないことは皆さんもお分かりだと思います。
9~12kmの走行量のうち、約2200~2400m(全体の22-24%)がハイスピードの運動(15km/h以上)、約850~950m(8-9%)が高強度の運動(19.8km/h以上)、そして約250~350m(2-3%)がスプリント(25km/h以上)というデータがあるそうです。
これらからわかるように、サッカーにおける運動は間欠的な運動(持久走のように一定の速度で長く運動するものでなく、高強度・低強度の運動が交互に行われる運動)であり、毎4-6秒ごとにその運動は変わっており、選手1人につき1試合で約1300タイプの運動、その内(200タイプが高強度の運動)行われているそうです。
もちろんその他にもドリブルや接触プレー、ヘディングなどの動きも存在し、それらは更に運動量の消費を増加させます。
これらの運動によって溜まった疲労は「一時的な疲労」と「永続的な疲労」2種類に分けられます。
「一時的な疲労」とは主に筋系などの肉体的疲労であり、「永続的な疲労」とは脳や中枢神経系の疲労、つまり精神的な疲労を指します。
肉体的な疲労に関してはクールダウンや運動後の栄養補給、そしてマッサージなどのトリートメントなどでケアすることが一般にも広く知られています。
一方精神的な疲労についてはどうでしょうか?
実は疲労の内訳として全体の35%が肉体的疲労、残りの65%が精神的疲労だというデータがあるそうです。
つまり精神的な疲労を取り除くことが如何に大事かということがこれでわかります。
一般的に疲労の回復は試合後48~72時間以上の休息が必要とされています。スペインなどではどのカテゴリーにおいても試合後(90分以上の試合後?)48時間以内に次の試合を行ってはいけないという決まりがあることを聞いたことがあります。
この48~72時間の間でどれだけ疲労を回復させれるかが次の試合週のトレーニング、そして試合を万全の状態で戦える鍵となります。
日本のチームでは試合の翌日にアクティブレストとして軽めのトレーニングを行うチームもあるようです。
一方でイタリアのチームでそういった手法を取るチームはほとんど聞いたことがありません。
以前モウリーニョの本で見たことがあるのですが、彼も「疲労の大部分は精神的なものであり、それを回復させることが次の週に非常に重要なために試合の翌日はオフにしている」と書いていた記憶があります。
欧米の人たちにとって子どもも大人も休日に家族や友人と過ごす時間が一番のリラックスできる時であり、その時間を非常に重要視しています。
日本の場合、家族や友人との時間がそういった役割になっているかどうかはわかりませんが、精神的に自分がリラックスできる術を持つことは非常に大事なようです。
昔から言われているきつい練習による所謂「根性練」といったものも必用な時もあるかもしれませんが、精神的な回復をすることもトレーニングの一環と言えるかもしれません。
またサッカーは運動量だけではその実力は測ることはできませんが、現代サッカーにおいてトップレベルの選手の運動量が多いのは明らかです。
このデータをどうトレーニングに活かすか、そこが重要になってくると思います。

posted by idalia_calcio |21:02 |
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2009年10月11日
インターネットの記事(http://ameblo.jp/uncolpodivento/entry-10192182667.html >)である日本のクラブの指導者が、日本のJクラブユースの問題点を指摘していた記事を見ました。
それについて私の思うことを書きたいと思います。
記事内容は以下のものです。
「高校のサッカー部なら選手一人一人に課題を与えることやサッカーノートを書かせるといった取り組みが比較的やりやすいのですが、クラブチームでは選手と接する時間が短いのでなかなか難しく苦労させられています。
例えばスペインでは選手寮がグラウンドに隣接され、ユースチームの選手たちは午前中にトップチームと同じ時間に練習し、午後から学校で授業を受けることが可能です。しかし日本のクラブユースに所属する選手たちは朝から夕方まで授業を受け、その後17時半からクラブに来て練習します。練習した後に自主トレをするので、どうしても帰宅は遅い時間となってしまい、それにともない食事時間も遅くなり、睡眠時間もわずかなまま次の日の朝が来てしまいます。
また、XXXのトップチームはユースの選手が来る頃には練習を終えているので海外のチームのようにつねにトップチームの選手のプレーを側で見られるような環境でもありません。
グラウンドもクラブハウスもプロと同じものを使い、一見するとエリート教育を施すための理想的な環境のように思えますが、実際にはそこまで至っておらず、教育との兼ね合いという日本のクラブチーム特有の問題があるわけです。」
まずはサッカーノートをつけることに関して、もちろん自分の取り組みを記録として残すことは大事なことですし後々見返すこともできるということで非常にいいことだと思います。
しかし例えばそれを義務化したり、強要することがいいことだとは思いません。
自主的に行い自分でそのノートを活用するからこそ意味のあるものであり、クラブチームだから選手と接する時間がないためにそれをするのが難しいというのは少し疑問に思いました。(もちろんサッカーノートに関することだけでこの言葉が述べられているのではなく、選手とコミュニケーションをとる時間が高校と比べて少ないという意味で言われたのでしょうけど)
またスペインの環境を例に挙げていましたが、確かにイタリアもですが欧州の国の多くが、高校でも午前中で学校が終わったり、記事に書いてある通り午後から学校というとこもあり、そのおかげでトップチームと同じ時間帯でトップの選手を身近に感じながら練習できるといった環境のチームはあります。
しかし全てのチームがそうであるわけでもなく、トップとは別の時間帯に別グラウンドで練習しているチームも沢山あります。
一方で日本では中学も高校も午後までしっかり授業があり、練習はその後になるためにそういった理想の環境にはなかなかできないというのがあります。
しかし日本のそういった環境を変えることはサッカー自体を変える前に教育環境まで変えなければならないことであり、サッカーだけでそれを変えることは実質的に不可能だと思います。
だとしたら今の日本の環境の中でできる最善の方法を探すべきではないでしょうか?
また気になったのが{「練習した後に自主トレをするので、どうしても帰宅は遅い時間となってしまい、それにともない食事時間も遅くなり、睡眠時間もわずかなまま次の日の朝が来てしまいます。」という部分。
練習後に自主トレをして、疲れて帰って食事もままならず、睡眠時間も短い状態の生活を繰り返して、それが選手の成長になるでしょうか?
それだったら自主トレを省いてその分チームのトレーニングを全力で行うようにして、自主トレの時間を食事や休息に割り当てたほうがよっぽど選手のためになると思います。
もちろん自主トレを非難しているわけではないのですが、食事や睡眠時間を削ってまでのトレーニングが本当に有意義かどうかということを思います。
スポーツ選手は身体が資本です。食事や休息時間も立派なトレーニングの一部だと思います。
イタリアでもおそらくその他の欧州の国々でもチームトレーニング以外の時間で練習をする選手はほとんどいません(個人的にジムやちょっとしたランニングをする選手はいますが)トレーニング以外の私生活の時間も非常に大事にしている印象を受けます。(家族との時間も非常に大事にされています。)
変えることのできない環境を欧州と比較してそれができないと思うのでなく、今ある日本の環境の中でどこを改善できるかを考えることが大事だと思います。
最後に、今回の記事は決してインタビューをされた方の批判として書いたものでなく、私が思う日本が進む方向性を書いたものであることを理解して頂きたく思います。
posted by idalia_calcio |21:15 |
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