2009年09月18日

インテルのサッカーは本当につまらないものだったか?(CLインテルvsバルセロナ戦より)

インテル
先日行われたCL予選のインテルvsバルセロナの試合を観戦してきました。
試合結果については皆さんも既にご存知だと思います。

試合内容について、バルセロナが7割近くのポゼッション率を誇りながらもインテルの堅守によりスコアレスドロー。
イタリア国内の新聞でもバルセロナの攻撃的なサッカーに対してインテルは引きこもってサッカーをしていないという批判もあれば、インテルの現実的なゲーム展開を褒め称える人もいます。

ゲームについて思うことは見る人それぞれの見解があると思いますが、生で試合を見た一人としてその感想を述べさせて頂きます。

「ペナルティーエリア内で9人もの選手が守るチームを相手に、プレーするのは生易しいことではない。“カテナチオ”を崩すには常に困難が付きまとうというものだ。とはいえ、われわれにも相手の守備を揺さ振るために必要な“中盤から前線への飛び出し”が少し欠けていた」
インターネットの記事でバルセロナの監督であるグラウディオラのコメントです。

実際試合を見ていて私自身インテルはエトーとミリートに加えトップ下のスナイデルも比較的前に残っていたように思います。

バルセロナの守備は前線から連動してプレッシャーをかけ非常にコンパクトでした。そこからボールを奪うとまるで水面に水滴を垂らしたかのようにバッと全員が広がっていくのが非常に印象的でした。
そして圧巻なのがポゼッションの技術。ポジションチェンジを頻繁に行い常にボールを動かしたかと思えば、前線のイブラヒモビッチやメッシなどがボールを持つとそこでタメを作ってまた新たな選手が飛び出してくる。
確かに見ていて躍動感のある非常に魅力的なサッカーだと思いました。

一方でインテルは先ほど書いたように前線に3人を残して残る7人(プラスGK)での守備。
試合後のコメントでモウリーニョ監督も「非常に現実的なゲームの進め方だった」と言っていましたが、明らかにポゼッション能力の上回る相手に対して、前線からむやみにプレッシャーをかけるより、自陣内まである程度相手の好きにボールをまわさせておいて、ペナルティーエリアに近づいてきたところで人数をかけてプレッシャーをかけてボールを奪う、一見引きこもりでつまらないように見えますが、バルセロナのような相手に対してそれに合わせた戦術を用いるという考えでは非常に合理的だと私は感じました。
イタリアのチームはこういった守備の仕方をするチームが多いです。

もちろんサッカーは今や観客をも楽しませるスペクタクルなものであるべきだという意見ももちろんわからなくはないです。
インテルが単にゴール前にかたまって攻撃などまったくしないようなサッカーをして0-0をはじめから狙っているのであればそれがつまらないものと言われても仕方ないかもしれません。
ただ時折見せたインテルのカウンターもサッカーの戦術の一つとして非常に魅力的なものであったと私は思います。

またそういった戦術をとるチーム相手に、それをどう崩してくるチームが現れるのか、それを見るのもまた楽しみであり、その積み重ねがサッカーの進歩なのだと思います。

イタリアサッカーは守備的で魅力に欠けると言われていますが、昔から言われている伝家の宝刀であるカウンター攻撃と、またゴール前に堅い守備を掻い潜るFWの動きは非常に面白い部分があると思います。

目に見えやすいバルセロナのような動きのあるサッカーももちろん素晴らしいと思いますが、地味でも意外と見所があるイタリアのサッカーの魅力を発見してみるのも意外と面白いと思うのは私がイタリアにいるからでしょうか・・・笑


posted by idalia_calcio |20:10 | イタリアサッカー | コメント(35) | トラックバック(0)
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2009年09月14日

もうひとつのワールドカップ「Homeless World Cup in Milano」

Homeless Cup
みなさんは「ホームレス・サッカーワールドカップ(公式HP http://www.homelessworldcup.org/)」という大会をご存知でしょうか? 名前の通り、選手は世界各国から集まったホームレス(元ホームレスの人も含む)の人達の参加する大会です。 「サッカーは貧富や年齢、人種に関係なく人をつなぐことができる最高のツール。世界に共通する貧困という問題や人間の可能性について世界中に人々に考えてもらい、同時に貧困状態にある人たちに楽しみや喜び、希望を感じるきっかけをつくるためにホームレス・ワールドカップは生まれました。」(日本語版ホームレス・サッカーワールドカップHP http://www.nobushijapan.com/)より 今年で9回目を迎えるこの大会はナイキ・UEFA・Vodafoneがスポンサーになり、世界のホームレスの自立とホームレス問題の解決に向けて毎年行われているホームレスの人のサッカー世界大会で、今年はイタリアのミラノで行われており私も街中に貼られていたポスターを見たことはあったのですが、どういった大会なのか、そして今大会に日本チームも参加しているということを人伝に聞きこの大会を見に行きました。 今大会には世界48カ国、約700人の選手達が集まり、サッカーをすることで世界交流をしたり、また選手個人個人が喜びや楽しみを感じていました。 今回で9回目ということですが日本代表に関して言えば今回で2回目の参加、しかも前回大会は4年前と随分前になります。 日本選手団は大会には日本での寄付金によって参加しているのですが、参加するに至まで4年という歳月がかかるほど集まらなかったそうです。 それだけ日本ではまだこの大会の知名度が低いということでしょう。 一方で他の国に関して言えば毎年参加している国もあれば大勢の応援団やサポートスタッフを抱えている国もあり、国によってこの大会の認識や協力、またホームレス問題に対する取り組みが違っていることがよくわかります。 ただ大会の回数を重ねるにつれて、国によって目的が変わってきているという現状も見て取れました。 それはつまり、この大会には各国のサッカー協会やクラブチームが賛同しクラブの指導者をチーム指導に派遣したり(マンU、アトレティコマドリー、インテル等)、過去の大会で数人の選手がプロとしてスカウトされたという例もあります。 国によってホームレスの現状の違いもあるとは思いますが、特にアフリカ諸国のチームはそういった若くてかなりのレベルの高い選手がいる一方で、日本をはじめとする数国の国々はサッカー経験もほとんどなく年齢的にも40歳以上の選手が多いといったチームもあります。 そんな中「野武士Japan(公式ブログhttp://d.hatena.ne.jp/NobushiJapan/)」と呼ばれる日本代表チームは、路上生活からの自立を目指して東京や大阪を中心に販売している「ビッグイシュー」の雑誌の販売者の中から選ばれて今大会に参加しました。 選手のほとんどがサッカー未経験者、そして平均年齢も40歳以上ということでサッカーの実力的には他の国の選手と比べても大きな差がありました。 ただ彼らがこの大会に参加している目的は彼ら自身の中にあるものであり、この大会を通して「1点」「1勝」を求めてボールを追いかけていました。 ひたむきにプレーする彼らの姿は大会の他の国の参加者やサポーターからも賞賛と応援が送られていました。 大会を通して目標であった「1勝」というものは達成できませんでしたが、1週間にわたる戦いを通して彼らは間違いなく何かを掴んだと思います。 最終試合で3-4と惜しくも1点差で負けてしまった試合の後、選手とスタッフで最後の反省会の時に本当に悔しくて涙する選手、目標は達成できなかったけど自分の力を出し切って満足した笑顔を見せる選手、それぞれの選手がそれぞれの感想を持ち、そして何よりも参加してよかった、何か得たものがあったということがこの大会に参加した意義なのだと思います。 私は単なる一サポーターとして数試合応援に行かせて頂いたり、多少のイタリア語通訳をしてお手伝いしただけですが、選手やスタッフの方からも「応援ありがとうございました。私達の中でもそれぞれ得たものがあり参加してよかったです」といった声を聞いたときはとてもうれしく思い、また「サッカー」というスポーツがこういったことにも貢献できる素晴らしいものなのだと感じることができました。 ただこの大会は彼らにとってほんのきっかけにすぎません。 ここで得たもの、感じたものをこれからどう彼らが活かしていくか、そしてこの大会の目的である「ホームレス問題」の解決に少しでも役に立つことでこの大会の意義ももっと多くの人に伝わり、日本でもまたこの大会を通じてホームレス問題などにも関心を持つ人が増え問題解決のきっかけとなれば素晴らしいと思いました。
Homeless Cup1
(写真:最終戦のオーストラリア戦後の両チームの健闘を称えての円陣。) 最後に、「ホームレス問題」というのは世の中に多々ある様々な問題の一つでしかありません。 ただその一つ一つがどれが大きな問題で重要視され、どれが小さな問題で軽視されるということなく、それぞれの問題を多くの人々がそれぞれに自分達ができることを考え実行することで、少しずつでも解決していくきっかけになるのだと思います。 今回はそれが「ホームレス問題」であり、そしてそのツールとして「サッカー」というものが利用されていたということで、サッカーに関わる者の一人として大変多くのことを感じ学ばせてもらいました。


posted by idalia_calcio |21:40 | 世界のサッカー | コメント(2) | トラックバック(0)
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