2009年04月22日
このブログを始めて1年とちょっとになりますが、今まで私なりにイタリアのサッカーを見ていて感じたこと、思ったことを勝手な自分の主観でですが書かせて頂き、予想以上に多くの方が読んでくださっているようで、この場を借りてお礼を言わせて頂きます。
ただ私の思っていることをうまく文章に表せていないこともあり、言いたいことの本質がずれた形で伝わっている部分も多いようです。
記事を書くたびにいろいろな方からコメントやご意見を頂いているのですが、先日はこのようなコメントがありました。(先に断らせて頂きますが、そのコメントに対しての批判や文句が言いたいわけでなく、そのように捉えられている方もいらっしゃるという事実とそれを踏まえて自分が本当はどういったことをこのブログを通じて伝えていきたいのかを読んでいる方々に知っていただくために今回このことを書いています。匿名でのコメントでしたので個人のプライバシーに触れることはないと思いますのでコメントそのままを掲載させて頂きます)
「私は少年サッカー指導者です。近年、日本のクラブユースも勉強に力をいれています。私のチームでも勉強をしない子供はいくら上手くてもレギュラーにはしません。プレミアーリーグ、リーガエスパニョーラのユースチームも同じ文武両道の考え方ですからイタリアだけというものではありません。それはサッカーがうまくなる前の青少年の教育・義務という常識です。ブログを読ませていただいていますが、コーチを目指しているのにイタリアで知ったということばかりが多すぎませんか?日本ではサッカーの何を勉強されていたのでしょうか?まだ10代の方なら、無知であることも分かりますが26歳のコーチをされているかたがここまでサッカーの指導業界に対して無知なのはいかがなものでしょうか?イタリアだけが凄いという感じのブログの内容ばかりです。またイタリアのサッカーが素晴らしいものであるのなら貴方様はそれをどうやって吸収したり、日本のサッカーへ生かしていかれたいのか全く伝わってこず、プロフィールにある日本サッカーの発展に貢献することにはなりません。イタリアへ長く留学している意味はあるのでしょうか?日本で頑張っている指導者の方がよっぽど日本サッカーを真剣に考えておりますよ。外国帰りのコーチという名前で指導していこうというものが多くて困ります。」(以上コメント)
まず私は現在イタリアという国にてサッカーの勉強をしています。
確かにW杯4度の優勝を誇り、セリエAという世界でもトップリーグと呼ばれる国内リーグを持つイタリアという国はサッカーの歴史においても実力においても日本より大きな国であります。
しかし私自身その中で実際にイタリアサッカーを見ていて、全てがイタリアだから特別だとか優れているとか思ったことはほとんどありません。
もちろんいろんな面で衝撃を受けたり学ぶべきことは多々あります。
しかしそれらが全て目新しいもので日本には無いものかと言われればそうではありません。
このコメントがあった記事の内容は「文武両道」を目指すクラブチームについてでした。
コメントにあるように日本でも「勉強にも力を入れている」というクラブは存在します。いやむしろ「うちのクラブは勉強には力をいれてません」という指導者やクラブはほぼ存在しないと思います。
ただ重要なのは力をいれているが結果がでているか?ということです。
先日イタリア指導者研修に参加された方がこの記事のきっかけになった前回の記事とコメントを見てこういったメールを下さいました。
「先日帰国後ある方と話をしていたおりに、次のようなことを言っていました。今の日本は、「文武両道」ではなく、「文武両立」である。」
これは捉え方の問題なので非常に表現が難しいですが、要するに重要視の仕方のことです。
(以上メールの一部より)
彼はその話を聞いて、{日本では勉強もサッカーもどこか(これらに限らずなんにしても)「やっといた方がいいんじゃない?」程度のような表面的な感じがします。(あくまで全体的な傾向として)僕が感じるいわゆる日本の「軽さ」が、単に個人的な思い込みであれば、全く問題ないのですが、少なくとも僕は今回のイタリア研修を通してこの点を非常に感じました。}と言っていました。
これは子供を指導するにあたって勉学にも力をいれることは常識だと思っている大人にも言えることであり、その常識が現実ではどう結果につながっているか、本当に日本全体がそうなのか?そこまで問わないと単に一部の常識として捉えられているだけで中身の薄いものになってしまうと思います。
もちろん簡単なことではありませんが、当たり前だと思っていることでも私は記事に書いたあるクラブを見て日本人指導者の人達と話をして改めてそのことについて考える重要性を改めて感じたので記事に書きました。(ちなみにイタリアでも全てのクラブがそうできているわけではありません)
その他のことについても、今まで私が書いてきた内容に「そんなこと日本ででも当たり前だ」と思うことがいっぱいあると思います。
しかしその当たり前だと思うことが如何にしっかりと行われているか、それを再度見つめなおすことも必要だと思ったことを書いています。
確かに私は日本を離れて4年、その間に日本のサッカー現場も指導者の質もどんどんレベルアップしていると思います。
日本にも情熱を持って本当に努力されている指導者がいっぱいいることは十二分に承知しています。
上にも書いたメールをくれた方が次のようにも言っていました。
日本にも熱い人は間違いなくたくさんいます。
ただ、「熱い=力のある=日本社会を問題視している=具体的に行動している」を兼ね備えたレベルになるとそうはいないんだよね。。。
(以上メールより)
私自身日本の情報はあまり入手できないためにどのように進んで行ってるのかは日本にいる方よりは明らかに疎いでしょう。
しかし私はイタリアにいるからといって日本のサッカーや指導者を下に見下したりそう思ったりしたことは一度もありません。
海外にいることで日本以外の国のことも知れることはもちろん、外から見た日本のことも改めて考え直すことができたり、欧州でも日本と同じような考えや方法の部分も沢山あるのだということをこちらに来たからこそ感じることができたことも多く、こちらにいる私が今日本に対してできることのひとつはそれを日本に伝えることだと思って書いています。
下手な文章でわかりづらいことも多いとは思いますが、その中で少しでも日本で、また他の国でもこれを読まれている方に何かしら日本サッカーの発展に繋がるものがあれば幸いだと思ってます。
今回のコメントを頂き私自身もいろいろと考えさせていただくいいきっかけとなり、コメントを下さった方にはある意味感謝もしています。
また、自分の意見をうまく伝えることも指導者として必要な資質だと思いますので、私自身もこれからもっと精進していきたいと思います。
これからも何卒よろしくおねがいします。
posted by idalia_calcio |06:10 |
私事 |
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2009年04月14日
「イタリア最高峰の育成機関」と書きましたが、世界を見渡してもおそらくクラブでこれほどまでに設備と環境を整った育成機関も数少ないと思います。さすが世界を代表するクラブ「A.C Milan」だと感じました。
ただMilanのトップチームでトレーナーを勤めている日本人の遠藤さんともお話をさせて頂きましたが、育成機関と言っても2種類のタイプに分かれるようです。
ひとつは一般的に知られているような正に「選手を育成する」といったタイプの機関、そしてもうひとつは優秀な選手を集めより良い環境で選手をトレーニングさせる育成機関。
MilanやInterなどの強豪クラブの育成機関はその後者に当たります。
もちろんイタリアでも「青田買い」のような行為は禁止されており、14歳まではその州内の選手しか獲得できないようになっています。
しかしその後はイタリア全土にスカウトを張り巡らせ、毎年優秀な選手を獲得し、逆に競争に残れなかった選手はクラブを去っていきます。
今回コーディネートを務めてくださった方も言っていましたが、「あるクラブにおいて数年前にあるカテゴリーに所属していた選手達が今は誰一人として残っていなかった」という言葉が象徴するようにそれだけ激しい競争が毎年繰り広げられています。
このMilan育成部もそういったタイプであり、ここに集まる子供達は皆ある程度の身体能力とサッカーの技術を持った者達だとスタッフの方も言っていました。
そうして集められた子供達が下は9歳から上は17歳まで「Centro Vismara」と呼ばれる施設にてトレーニングを積んでいます。
驚くべきはその施設の設備、天然芝のグラウンド3面に人工芝グラウンド、また9人制のグラウンドやビーチのような砂のグラウンドに屋根付きのドーム型室内練習場、またトレーニングジムもありました。
この日は雨が降っていたために室内練習場でのトレーニングだったのですが、そこに併設されたある部屋に私達は通されました。
そこはいわゆるフィジカルコーチの部屋であり、なんとMilan育成部には5人ものフィジカルコーチが働いています。
その部屋のホワイトボードには全チームの週ごとに区切られたトレーニングメニューが書かれており、どのチームがどういったトレーニングをやっているのか把握できるようになっています。
ここMilanの育成部ではトップチーム(+プリマヴェーラ)が練習を行っている「ミラネッロ」と呼ばれるトレーニング施設と密に連携を取りミラネッロのトレーニングメソッドと同じやり方で(もちろん世代別にトレーニング内容は違うが)トレーニングプログラムを立てているそうです。
ここは正にいわゆる「ピッコロ・ミラネッロ(小さなミラネッロ)」と言うわけです。
また特徴的だったのが5人のフィジカルコーチ達はそれぞれ自分達の担当チームというのを持っているわけでなく、月ごとにそれぞれのコーチが順番で変わりながらトレーニングをしていくそうです。
その理由として、偏った指導にならないようにということと、「5人いれば5人の脳を使うことができる」といったより多くの視点から指導ができるということを言っていました。
その他にも常駐のドクター1人に5人のトレーナー(理学療法士やマッサージ師)がこの施設にはいるそうであり、正に環境としては恵まれた施設でありました。
またこのクラブでは定期的に体力テストを行っており、常に選手のデータは保管されておりタレント発掘のための資料として活用されています。
これまた驚いたのが選手の筋トレを始める時期を決めるための指標としてある機械を用いてその選手の実際の骨年齢を測定しそれを元にトレーニングプログラムを作っているということでした。
これだけ充実した設備でトレーニングできる選手達は正に選ばれた子供達であり、ここでは選手を「育てる」と言うよりは「篩いにかける」と言った方が意味が近いかもしれません。
この環境で勝ち抜いていった者達がイタリアを代表するような選手になっていくのです。
そうでない者たちはその後地方のクラブや下位リーグを渡り歩くといった選択肢になるのですが、A.C Milanでは正に世界を代表するクラブ「A.C Milan」で活躍する選手を探し出すといったことが一番の目的のように感じました。
歴史と伝統と栄誉とそして何より豊富な資金のあるこのクラブならではの育成スタイルを見た気がしました。
posted by idalia_calcio |20:04 |
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2009年04月13日
イタリア指導者研修の初日はミラノ市内にある「Cimiano(チミアーノ)」というアマチュアクラブの育成組織の見学に行ってきました。
このクラブはアマチュアクラブではありますがA.C Milanと提携したクラブであり、このクラブから毎年優秀な選手数名がMilanの直属の下部組織に引き抜かれていきます。
しかしクラブ独自としてもチーム力はそれなりのもので、各年代の大会でも結果を出しているこの地域では有名なクラブでもあります。
見学したのはその中でもU-8とU-10の世代のトレーニング。
人工芝1面のグラウンドを約6つのグループに分けてトレーニングをしていました(それプラスGKはGKコーチのもとで個別トレーニング)。
この年代は6人制サッカーで公式戦を行っているそうなのですが、私が驚いたのはこの年代からも競争意識を高めるためか、その中でも特に優れた6人が1グループとなり個別で練習していたことです。
しかしだからといって他のグループの練習の質や環境が低いなんてことはありません。1グループ多くても12人程度であり、指導者の目がいきわたる人数で構成されています。
1度の練習でこれだけのグループにこれだけの指導者を配置できることもこのクラブの環境の良さを物語っていると思います。
ちなみにコーチングスタッフも30歳以上の人がほとんどであり(中に1人若いコーチもいましたが)それはある程度経験のあるコーチをという配慮もあるらしいです(別に年齢が高ければいい指導者という意味ではなく)
コーチングの様子を見ていると、選手の動きを止めるようなフリーズをした指導が非常に少なく、より選手にプレーさせる機会を多く作っていたような気がします。
育成部責任者に話を聞いたところ、このクラブのモットーとしては「文武両道」ということを大事にしているそうで、学業をしっかりとさせることがまず基本だと言っていました。
イタリアにおいても強豪クラブに行ったり上のレベルに行くとどうしても学業が疎かになってしまう現実もあるらしく、しかしこのクラブでは長い人生を生きていく上で学業は非常に重要であり、またプロ選手になれる選手は限られているためにそれはなお更であるという考えらしいです。
その上で良い環境で良い指導をすることで選手としての成長もし、人としても大きく成長をしていく、このクラブの方針が父兄からも信頼されクラブとしての評価が上がっているようです。
(イタリアでもサッカーばかりして勉強ができないといったことは父兄に嫌がられます。)
おそらくこのクラブはMilanの傘下にあるクラブということで単なる町クラブよりは資金もあり(スポンサーも付き)またスタッフをこれだけ配置できるのも資金面とあとはこちらの指導者は他の仕事と兼業できる人が多いこともあげられると思うので日本や全てのところで同じようなクラブを作るということは難しいでしょう。
しかしこのクラブをを見学して思ったのは、こういった環境が整い質の高いトレーニングを行える中堅クラブが充実することが、その国の全体的なサッカーのレベルを上げる重要な要因のひとつとなり、また世間に対するサッカーのイメージを高める(文武両道によってサッカーが社会的に認められる)効果もあるのではと思いました。
posted by idalia_calcio |03:16 |
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2009年04月12日
4月1日から5日間、日本から7人の若い指導者の方達(いずれも昨年まで学生であったり現役の学生などこれから指導者を志す人たちでした)がイタリアサッカーの指導現場を視察にやってきました。
この研修を企画をしたのが私の大学時代の同級生の働く「NPO法人スポーツ指導者支援協会(http://sportif-support.net/)」で、3年前からこの研修をスタートし、(1年目はテスト視察ということで実質は2回目)1年目から毎回通訳として呼んで頂いてます。
ただ私自身もこの研修を通していろいろな指導現場を訪れ見学できるので、ある意味研修者の一人でもありました。
今年はミラノを中心に、ミラノ市内のアマチュア育成クラブの「Cimiano(チミアーノ)」、そしてあの「AC.MILAN」の育成部、そしてミラノから1時間近く離れた「Brescia(ブレーシャ)」の育成部の3チームでした。
私自身イタリアに4年近くいますが、ペルージャのあるウンブリア州以外のチームを見ることはほとんどなかったので今回の研修は非常に貴重なものとなりました。
と言うのも、イタリアは南部に比べると北部の方が経済的にも豊かであり、サッカーにおいても北部のチームの方が組織もしっかりしており充実していると言われているからです。
そして今回行ったチームを見て同じイタリアにいてもここまで違うのかとある意味カルチャーショックを受けました。
今まで自分が見てきたイタリアサッカーはそのほんの一部に過ぎなく、改めてこの国のサッカーの環境の良さ、サッカーの根付いた環境を見せ付けられました。
内容も非常に充実していたため、次回から何回かに分けてその内容について書いていきたいと思います。
写真はようやく修復の終わったミラノのドゥオーモ。ミラノの街もしっかりと観光してきました。
posted by idalia_calcio |00:52 |
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